静脈血管叢エキス

成分名

静脈血管叢エキス

適応症状

痔核の諸症状(痒感/腫脹/疼痛/出血)

簡易説明

痔核(いぼ痔)の薬です。痛みやカユミ、腫れや出血などを和らげます。

舌下錠という舌の下で溶かして吸収するタイプの薬で、舌の裏から吸収された成分が、血流に乗っていぼ痔の根元に直接届き、うっ血状態を改善します。本剤は主に動物の血管のたんぱく質を分解したものから作られています。

強い効果があるとはいえませんが、副作用はほとんどありません。一般に痔は塗り薬や手術で治すものだと考えらており、本剤はそれを嫌う患者から好まれる傾向にあります。

処方可能な診療科目

肛門科/肛門外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1000円~5000円
薬代1錠あたりの目安:0.18mg約20.2円
病院によって差が有ります。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1972年2月販売開始(ヘモリンガル舌下錠0.18mg)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ヘモリンガル舌下錠0.18mg【製薬メーカー:東菱薬品】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

静脈血管叢エキス(じょうみゃくけっかんそうエキス)は、雑食動物の静脈叢(叢は多くのものの集まりという意味)を加水分解して得られる乾燥エキスで、主成分はポリペプタイド(多数のアミノ酸がペプチド結合によって連なった化合物)です。

静脈血管叢エキスには、大きく分けて5つの薬理作用があります。

①血液循環機能調節
拡張した血管の弾力を高め、原因であるうっ血を改善します。

②抗浮腫
痔核の腫れを改善します。

③線維素溶解
うっ血を起こした箇所で固まった血を溶かし、いぼを柔らかくしていきます。

④組織修復
組織を修復し、出血を抑えます。

⑤抗炎症
炎症を抑え、かゆみ・痛みなどの症状を改善します。

痔核とは俗に言う「いぼ痔」を指します。痔には「いぼ痔」「切れ痔」「痔ろう(あな痔)」の3タイプがありますが、静脈血管叢エキスはいぼ痔専用の薬です。

いぼ痔・・・肛門を閉じる役割をするクッション部分がうっ血してふくらんだもの。最も多く見られるタイプ。
切れ痔・・・便秘や下痢による刺激で肛門が切れて起こる。
あな痔・・・肛門にあるくぼみに細菌が入り、化膿して膿がたまり、穴があいたようになる。

いぼ痔は、簡単に言うと血管がうっ血して膨らんだものです。肛門付近には、便やガスが漏れないようにクッションの役目を果たす「静脈」が編み目のように張り巡らされています。このクッション自体が、肛門という管をピタッと閉めてくれる働きを担っているとも言えます。普段ガスや便が漏れたりしないのは、このクッションのおかげです。ところが、便秘などでこのクッション部分に負担がかかると、うっ血して大きくなり、出血したり、クッション部分を支えている組織が緩んで肛門の外に出てしまいます。このようにクッション部分に異常をきたしたものが、いぼ痔の正体です。便秘以外には、下痢、妊娠・出産、冷え性、長時間座りっぱなし、香辛料の過剰摂取なども、いぼ痔の原因として挙げられます。

組織がうっ血すると血液循環が悪化するため栄養不足で機能しなくなり、最終的には壊死を起こします。どうにかうっ血を改善しようと、人間の体はアドレナリンによって血圧を上げて血流を促します。本剤はアドレナリンの血圧上昇作用を増強させる働きがあるため、その症状を改善させることができます。

本剤の成分の発見は、腸の病気を、その同じ腸を酵素的に分解して得たポリペプチド(タンパク質の分解物)で治療できるという現象がきっかけになっています。腸の病気を研究していた際に偶然、狙っていた腸の病気にではなく痔に効果があることがわかり、それが痔の静脈血管叢分解物の発見につながりました。

使用方法

通常、静脈血管叢エキスとして1回0.18mg(本剤1錠)を1日3回舌下投与して下さい。なお、症状により適宜増減して下さい。

※使用上の注意事項
・PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導して下さい。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、さらには穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されています。〕
・本剤は舌下錠のため、口腔粘膜から徐々に吸収させて下さい。〔嚥下すると効果が著しく低減します。〕
・痔の治療や予防には、食生活の改善が欠かせません。便通を整え、肛門やその周辺を清潔に保って下さい。

副作用

主な副作用
静脈血管叢エキスには、副作用が起こる可能性があります。
静脈血管叢エキスを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

瘙痒感/発疹/悪心/食欲不振/下痢/胃部不快感/腹部膨満感/軟便など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■静脈血管叢エキスを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方(ヘモリンガルの場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ヘモリンガルの有効成分
静脈血管叢エキス
▼ヘモリンガルの添加物
・D-マンニトール
・結晶セルロース
・白糖
・ペプトン
・カルメロース、
・マクロゴール 6000
・タルク
・ステアリン酸マグネシウム
・乳糖水和物

使用に注意が必要な方
・高齢者〔一般に高齢者では生理機能が低下しているので、減量するなど注意して下さい。〕
・妊婦/産婦/授乳婦等〔妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与して下さい(妊娠中の投与に関する安全性は確立していません)。〕

上記にあてはまる方は、静脈血管叢エキスを使用する事が出来ない可能性があります。
静脈血管叢エキスを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
現在併用注意薬に該当する医薬品はございません。

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
他の痔の薬(塗り薬、注入軟膏、座薬、飲み薬)と併用しても大丈夫でしょうか。

併用禁止の薬は特に示されていません。ただ、症状や体質、痔の進行度は様々ですので、併用する際は、医師、薬剤師にご相談いただいた方が良いかと思います。

薬局で市販されているヘモリンドと同じ薬でしょうか。違いはありますか。

基本的には同一の薬ですが、添加物などに違いがあるかもしれません。市販薬ヘモリンドは、ヘモリンガルを市販薬として販売する権利を得た小林製薬が出している薬で、一般用医薬品(処方箋なしで購入できるお薬)です。なお、本記事は、医療用医薬品(処方箋が必要な医薬品)について書かれています。

このお薬は、なぜ舌の下で溶かして飲まなければいけないのでしょうか。

いろいろと研究した結果、臓器を酵素分解したこの静脈血管叢エキスは、粘膜吸収によって効果を最大限発揮することがわかりました。普通に飲み込んでしまうと、効果が出ないばかりか、むしろ症状が悪化することが分かっています。口の粘膜から吸収させないと効果が得られない薬ですので、必ず舌の下で全部溶かして下さい。錠剤が全て溶けるまで、5~10分ほどかかります(味はありません)。服用後7日後以降に効果が期待されます。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。