アブロシチニブ

成分名

アブロシチニブ

適応症状

アトピー性皮膚炎

簡易説明

アブロシチニブを主成分とする薬品は主に、既存治療では効果が不十分なアトピー性皮膚炎の治療に用いられます。
アトピー性皮膚炎は、外的要因や環境要因によって炎症反応が引き起こされることで発症するとされています。
アブロシチニブには、その炎症反応に深く関わる物質(インターロイキン)の伝達を阻害するはたらきがあるため、同疾患の治療に効果を示します。

処方可能な診療科目

皮膚科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

【薬価】
・サイバインコ錠50mg(ファイザー):2587.4円/50mg1錠
・サイバインコ錠100mg(ファイザー):5044円/100mg1錠
・サイバインコ錠200mg(ファイザー):7566.1円/200mg1錠

厚生労働省による認可、または発売年月日

2021年12月(発売)

国内のジェネリック認可

ジェネリックなし

関連製品(先発薬)

・サイバインコ錠50mg(製薬会社:ファイザー)
・サイバインコ錠100mg(製薬会社:ファイザー)
・サイバインコ錠200mg(製薬会社:ファイザー)

関連製品(ジェネリック)

ジェネリックなし

効果・作用

アブロシチニブを主成分とする薬品は、「ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬」という種類に分類される、アトピー性皮膚炎の経口治療薬です。
既存治療(プロトピック軟膏やステロイド外用薬など抗炎症外用剤を用いた適切な治療)を一定期間施行しても期待した効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及んでいる場合に使用されます。

アトピー性皮膚炎は、既往歴やストレスなど様々な要因によって体内で炎症反応が引き起こされることで発症します。

炎症反応は、「(炎症性)サイトカイン」の中にある「インターロイキン(IL)」という物質が体内で伝達されることにより起こります。そして、そのインターロイキン(IL)の伝達に必要な酵素の1つが「ヤヌスキナーゼ(JAK)」です。

ヤヌスキナーゼ(JAK)にはJAK1~3の3種類があり、それぞれ伝達するものが異なるのですが、その中でアブロシチニブはJAK1を選択的に(JAK2の28倍、JAK3の340倍)阻害します。

そのためアブロシチニブの摂取により、JAK1が関与しているアトピー性皮膚炎の症状が抑えられ、服用開始早期から、痒みや湿疹といった自覚症状の改善が期待出来るのです。

使用方法

通常、成人または12歳以上の小児は、アブロシチニブとして1日1回100mg服用しますが、症状によって1日1回200mgまで服用可能です。

副作用

主な副作用
悪心/腹痛/嘔吐/下痢/消化不良/腹部不快感/胃食道逆流性疾患/腹部膨満/疲労/無力症/上咽頭炎

重大な副作用
単純ヘルペス/口腔ヘルペス/眼部単純ヘルペス/ヘルペス眼感染/ヘルペス性皮膚炎/鼻ヘルペス/帯状疱疹/眼帯状疱疹/肺炎/重篤な感染症/血小板減少/ヘモグロビン減少/貧血/リンパ球減少/好中球減少/間質性肺炎/発熱/咳嗽/呼吸困難/呼吸器症状/ALT上昇/AST上昇/致死的経過/敗血症/日和見感染/血小板数が50000/mm3未満/ヘモグロビン値が8g/dL未満/リンパ球数が500/mm3未満/好中球数が1000/mm3未満/肝機能障害/消化管穿孔/静脈血栓塞栓症/肺塞栓症/深部静脈血栓症

その他の副作用
咽頭炎/上気道感染/毛包炎/尿路感染/結膜炎/ヘルペス性状湿疹/膿痂疹/インフルエンザ/副鼻腔炎/気管支炎/膀胱炎/せつ/膿瘍/皮膚感染/胃腸炎/下気道感染/感染性湿疹/皮膚真菌感染/白血球減少/リンパ節症/赤血球減少/白血球増加/高血圧/鼻出血/動悸/心室内伝導障害/頭痛/浮動性めまい/傾眠/体重増加/高脂血症/脂質異常症/ざ瘡/脱毛症/蕁麻疹/皮膚そう痒症/皮膚乳頭腫/疣贅/血中CK増加/NK細胞減少/LDH増加/γ-GT上昇/尿中蛋白陽性/プロトロンビン時間延長

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本成分に対し過敏症のある方

■敗血症等、重篤な感染症を患っている方
症状が悪化するおそれがあります。

■活動性結核を患っている方
症状が悪化するおそれがあります。

■重度の肝機能障害のある方

■好中球数が1,000/mm3 未満の方

■リンパ球数が500/mm3 未満の方

■ヘモグロビン値が8g/dL未満の方

■血小板数が50,000/mm3 未満の方

■妊婦又は妊娠している可能性のある女性

使用に注意が必要な方
■(重篤ではない)感染症を患っている方やその疑いのある方

■結核の既感染者、結核感染が疑われる方
結核を活動化させるおそれがあります。

■B型肝炎ウイルスを保有している方や既往感染者
B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されています。

■C型肝炎を患っている方

■易感染性の状態にある方
感染症を発現するリスクが高まります。

■静脈血栓塞栓症のリスクを有する方
深部静脈血栓症及び肺塞栓症が報告されています。

■好中球減少(好中球数1,000/mm3 未満を除く)のある方
好中球減少が更に悪化するおそれがあります。

■リンパ球減少(リンパ球数500/mm3 未満を除く)のある方
リンパ球減少が更に悪化するおそれがあります。

■ヘモグロビン値減少(ヘモグロビン値8g/dL未満を除く)のある方
ヘモグロビン減少が更に悪化するおそれがあります。

■ 血小板減少(血小板数50,000/mm3 未満の患者を除く)のある方
血小板減少が更に悪化するおそれがあります。

■ 間質性肺炎の既往歴のある方
間質性肺炎があらわれるおそれがあります。

■腸管憩室のある方
消化管穿孔があらわれるおそれがあります。

■腎機能障害のある方
活性成分の曝露量が増加するため、副作用が強くあらわれるおそれがあります。

■重度の肝機能障害のある方
臨床試験が実施されていないため、安全性が確保されていません。

■生殖能を有する方
ラットを用いた受胎能試験において妊娠率の低下や黄体数及び着床数の減少など受胎能への影響が認められています。

■妊婦又は妊娠している可能性のある女性
ラットでの胚・胎児発生試験において、器官形成期の経口投与で胎児毒性が認められています。

■授乳婦
ラットで乳汁中へ移行することが報告されているため、服用中は授乳しないことが望ましいです。

■小児等
12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施されていないため、安全性が確保されていません。

■高齢者
臨床試験において、65歳以上の高齢者では帯状疱疹、リンパ球減少及び血小板減少の発現割合が高かったことが示されています。

上記にあてはまる方は、アブロシチニブを使用する事が出来ない可能性があります。
アブロシチニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■感染症のリスクが増加するおそれのあるもの
・適応疾患(アトピー性皮膚炎)の生物製剤
・経口ヤヌスキナーゼ
・シクロスポリン(局所製剤以外)
・免疫抑制剤(局所製剤以外)

■本成分による作用が増強するおそれのあるもの
・CYP2C19の強い阻害薬
・フルコナゾール
・フルボキサミン
・チクロピジン

■本成分による効果が減弱するおそれのあるもの
・強力なCYP2C19誘導薬
・CYP2C9の強い誘導薬
・リファンピシン類

■併用薬の作用が増強するおそれのあるもの
・P糖蛋白の基質となる薬剤
・ダビガトランエテキシラート
・ジゴキシン

上記を使用している方は、アブロシチニブを使用する事が出来ない可能性があります。
アブロシチニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
アブロシチニブを含む医薬品は、なぜ「既存治療では効果が不十分な」場合にのみ用いられるのですか?

アブロシチニブを含む医薬品は、1日1回の服薬で済むことや、症状に応じて量が調整出来ることなど多くのメリットがあります。一方で、他のアトピー性皮膚炎の治療薬と比べて高額で、副作用のリスクも大きいというデメリットもあります。そのため第一投としては用いられません。

服用にあたり、上記以外で注意することはありますか?

アブロシチニブには免疫を抑制する作用がありますので、感染症対策を入念に行ってください。

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