成分名 |
オキシメテバノール |
適応症状 |
咳止め |
簡易説明 |
オキシメテバノールは日本国内で開発された鎮咳(咳止め)作用を持つあへんアルカロイド系麻薬です。その鎮咳効果はコデインやデキストロメトルファンに比べて少量で発揮するとされています。なお、オキシメテバノールはモルヒネと同程度の依存性があることから、昭和45年6月12日に麻薬に指定されています。
現在、オキシメテバノールを主成分とした薬剤はメテバニール錠2mg(以下、本剤)のみで、第一三共株式会社が販売しています。 |
処方可能な診療科目 |
内科/呼吸器内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:3,950円(14日処方)
※本剤は14日の処方制限が設定されています。
薬代1錠あたりの目安:94.10円
後発品1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月:1970年8月 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
メテバニール錠2mg【製薬メーカー:第一三共株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
咳とは気道の異物を体外に排出する生体防御反応の一つです。肺や気道の異物刺激による情報を延髄の咳中枢が受け取り、その反応として咳中枢から呼気に関連した筋肉の急激な収縮などの指令がだされることで咳が生じます。
鎮咳薬(咳止め薬)には咳中枢に働く中枢性と末梢性(去痰薬、気管支拡張薬など)があり、中枢性鎮咳薬は麻薬性と非麻薬性に分類されています。本剤は、あへんアルカロイド系の鎮咳剤なので、中枢性の麻薬性鎮咳剤に分類されています。
本剤の主成分であるオキシメテバノールの鎮咳作用は動物実験で確認されています。モルモットの気管に刺激を与え、本剤、コデインリン酸塩水和物およびデキストロメトルファンと比較した結果、コデインリン酸塩の1/10量、デキストロメトルファンの1/5量で同等の鎮咳効果を示すことが確認されました。
本剤の臨床試験では、肺結核、急・慢性気管支炎、肺癌、感冒の方(380例)に確認した咳に対する有効性は82.6%(314/380)でした。
本剤を分娩前に投与すると、胎児への悪影響がおこることがありますが、これは「新生児薬物離脱症候群」と呼ばれ、厚生労働省から「重篤副作用疾患別対応マニュアル」が発出されています。本剤の場合は「【使用に注意が必要な方】妊婦、産婦、授乳婦」に記載のある症状がおこるとされています。発症した新生児をそのままにしておくと、一般的な家庭環境で育てる事が困難になります。医療機関でチェックリストで確認し、一定の状態異常になる場合は治療が必要となります。分娩前に本剤を使用している方は分娩施設の担当医に本剤を使用している旨を伝えてください。
本剤は医療用麻薬に分類されているため、不要になった薬剤に扱いには注意が必要となります。「医療用麻薬適正使用ガイダンス」では、不要になった場合は、できる限り薬を処方された医療機関や薬局に持参するようにと記載されています。本剤の添付文書にも同様の記載が明記されています。一方、持参が不可能な場合の廃棄方法が明記されている場合もあります。東京都福祉保健局が示す医療用麻薬の廃棄方法推奨例では、本剤は「粉砕して水とともに下水に放流する。」と記載されています。本剤を家族、友人等へ譲渡することは医学的に危険であるだけでなく、譲渡した方が「麻薬及び向精神薬取締法」違反となります。 |
使用方法 |
1回1錠1日3回飲みます。
年齢や症状によって適宜増減します。 |
副作用 |
主な副作用
副作用発現率:10.52%(123例/1,169例)
主な副作用:悪心(吐き気):2,22%、便秘:1.54%、食欲不振:1.11%、嘔吐:1.03%
重大な副作用
・依存性:連用によって薬物依存がおこることがあります。また連用中に急激に飲む量を減らしたり飲むのをやめると、退薬症候(あくび、くしゃみ、涙、発汗、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、譫妄、振戦、全身の筋肉・関節痛、呼吸促迫等)があらわれることがあります。投与を中止する場合は、1日用量を徐々に減らす等の対応が必要になります。
その他の副作用
・精神神経系
1%以上の発現率:眠気
0.1~1%未満の発現率:頭痛、めまい、頭重
・消化器系
1%以上の発現率:悪心、便秘、食欲不振、嘔吐
0.1~1%未満の発現率:口渇、腹痛
0.1%未満の発現率:下痢
・過敏症
0.1~1%未満の発現率:掻痒感
0.1%未満の発現率:発疹
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■重篤な呼吸抑制のある方
呼吸抑制を増強する為、服用できません。
■慢性肺疾患に続発する心不全の方
呼吸抑制や循環不全を増強する為、服用できません。
■痙攣状態にある方(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)
脊髄の刺激効果があらわれる為、服用できません。
■急性アルコール中毒の方
呼吸抑制を増強する為、服用できません。
■アヘンアルカロイドに対し過敏症の方
■オキシメテバノールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、メテバニールはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼メテバニールの有効成分
オキシメテバノール
▼メテバニールの添加物
タルク、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、乳糖水和物
※眠気やめまいがおこることがあるので、自動車運転等の危険を伴う機械の操作を行わないでください。
使用に注意が必要な方 ・心機能障害のある方:循環不全を増強するおそれがあります。
・呼吸機能障害のある方:呼吸抑制を増強するおそれがあります。
・肝・腎機能障害のある方:本剤が体内に蓄積し、副作用があらわれるおそれがあります。
・脳に器質的障害のある方:呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇をおこすおそれがあります。
・ショック状態にある方:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがあります。
・薬物依存の既往歴(過去に罹患したこと)のある方:依存性を生じやすいため。
・高齢者:一般に生理機能が低下していて、特に呼吸抑制への感受性が高くなっています。
・新生児・乳児:呼吸抑制への感受性が高くなっています。
・衰弱者:呼吸抑制作用への感受性が高くなっています。
・妊婦、産婦、授乳婦:妊婦への情報はありません。分娩前に投与した場合、新生児に薬の悪影響(多動、神経過敏、不眠、振戦など)があらわれることがあります。
上記にあてはまる方は、オキシメテバノールを使用する事が出来ない可能性があります。 オキシメテバノールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・中枢神経抑制剤、吸入麻酔剤、アルコール
呼吸抑制、血圧低下、顕著な鎮静・昏睡がおこるおそれがあります。
・ナルメフェン塩酸塩水和物
本剤の効果が減弱するおそれがあります。
上記を使用している方は、オキシメテバノールを使用する事が出来ない可能性があります。 オキシメテバノールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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参考元一覧 |
オキシメテバノール(添付文書) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】
医薬品マスター検索(メテバニール) 【厚生労働省 診療報酬情報提供サービス】
重篤副作用疾患別対応マニュアル 新生児薬物離脱症候群 【厚生労働省】
麻薬を指定する政令の一部を改正する政令の交付について 【厚生省薬務局長通知 昭和四十五年五月二十三日政令第百三十号】
鎮咳薬 【公益社団法人 日本薬学会 薬学用語解説】
医療用麻薬適正使用ガイダンス 【厚生労働省 医薬食品局】
医療用麻薬 廃棄方法推奨例一覧 【東京都 福祉保健局】 |
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