チオトロピウム臭化物水和物

成分名

チオトロピウム臭化物水和物

適応症状

COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息など

簡易説明

チオトロピウム臭化物水和物はムスカリン受容体拮抗薬(抗コリン薬)です。ドイツのベーリンガーインゲルハイム社が1986年から研究を始めました。
チオトロピウム臭化物水和物を主成分としてスピリーバ(以下、本剤)の吸入用カプセルは長時間作用性吸入気管支拡張剤、吸入製剤製剤の気管支拡張剤として同社によって1991年から臨床試験が開始されました。
日本国内では1988年7月から同社により開発が開始され、2004年に厚生労働省の承認を得ました。
吸入用カプセルは使用時に専用の吸入器具(ハンディヘラー)が必要なため、その利便性を高めるためのキット製剤としてレスピマットが開発されました。レスピマットにするこtで効率よく肺へ到達させることができるようになり、5μgで吸入用カプセル18μg
と同等の治療効果があることが確認されました。
海外ではレスピマット製剤は2.5μgが2007年に承認され、日本国内では2014年に厚生労働省の承認を取得しました。また、2016年には気管支喘息を適応として12.5μg製剤が承認されました。

処方可能な診療科目

内科/呼吸器内科など

健康保険の適応

下記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)、気管支喘息
※「スピリーバ1.25μgレスピマット60吸入」は気管支喘息のみ

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:(30日分)吸入用カプセル 3,400円/12.5μgレスピマット 2,070円/2.5μgレスピマット 3,600円
薬代1カプセルあたりの目安:吸入用カプセル 113.40円/12.5μgレスピマット 2067.10円/2.5μgレスピマット 3600.50円
※レスピマットは1キット(30日分)あたりの薬価
薬代後発品1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2004年12月10日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

スピリーバ(吸入用カプセル18μg、1.25μgレスピマット60吸入、2.5μgレスピマット60吸入)【製薬メーカー:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

・吸入用カプセル
ヨーロッパ:2002年4月承認(オランダは2001年10月)
アメリカ:2004年1月承認
2022年5月現在、世界85ヵ国で承認されています。
・レスピマット
ヨーロッパ:2007年7月(COPD承認)、2014年9月(気管支喘息承認)
アメリカ:2014年9月(COPD承認)、2015年9月(気管支喘息承認)
2022年5月現在、世界106ヵ国で承認されています。

効果・作用

気道はアセチルコリンがムスカリン受容体に結合することで収縮します。特に気管支収縮にはムスカリン受容体(M1~M5受容体)のうちM3j湯様態が主に関与すると考えられています。
本剤はM3受容体へのアセチルコリンの結合を抑えることで気管支収縮抑制作用を発現します。チオトロピウム臭化物水和物mpM3受容体への結合時間は極めて長く、非臨床試験で24時間結合が持続することが確認されています。
本剤の臨床効果は各種臨床試験で確認されています。
【吸入用カプセル】
国内第Ⅲ相試験ではオキシトロピウム(製品名:テルシガン)との比較試験が行われました(投与4週間の肺機能検査値変化量)。
本剤(63例):0.12±0.02 オキシトロピウム(61例):0.02±0.02 (P=0.001)
※P=0.05以下であれば統計学的に明らかな違いがあります(有意差あり)。
同オキシトロピウムを対象薬とした長期試験(1年間)の肺機能検査値変化量でも有意差が示されています。
本剤(100例):0.09±0.02 オキシトロピウム(46例):-0.02±0.03 (P=0.005)
【レスピマット】
使用成績調査(慢性閉塞性肺疾患)では吸入用カプセル使用歴の有無による効果の違いが示されています(無効症例率)。
使用歴あり(133例): 52.6%(70例) 使用歴なし(183例):30.1%(55例)
※無効例のうち「不変」の割合:使用歴あり(67/70例)、使用歴なし(55/55)
使用成績調査(気管支喘息)では喘息コントロールを確認しています(308例)
有効:42.86%(132例)、不変:2.60%(8例)、無効:14.61%(45例)、不明:39.94%(123例)

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

予防接種や感染症治療を受ける場合は、本剤を服用していることを必ず医師や薬剤師に伝えてください。

使用方法

・吸入用カプセル
1日1回1カプセルを専用吸入用器具(ハンディヘラー)を使って吸入します。
・レスピマット
(慢性閉塞性肺疾患)
2.5μgを1日1回(2吸引)使用します。
(気管支喘息)
1.25μgを1日1回(2吸引)使用します。症状や重症度に応じて(重症度の高い場合)、2.5μgを1日1回(2吸引)使用します。

副作用

【副作用発現率と主な副作用】
(吸入用カプセル)
副作用発現率 19.77%(35例/177例)
主な副作用:口喝 10.17%(18件)、アレルギー反応 1.69%(3件)、便秘・消化不良・心房細動 1.13%(各2件)
(レスピマット:慢性閉塞性肺疾患)
副作用発現率 2.72%(4例/147例)
副作用の種類:心室性期外収縮、咽喉頭疼痛、口喝、末梢性浮腫(いずれも1例)
(レスピマット:気管支喘息)
副作用発現率:9.11%(35例/384例)
主な副作用:発声障害 1.30%(5件)、口内乾燥・口喝 1.04%(各4件)、動悸・頭痛 0.78%(各3件)、喘息・浮動性めまい 0.52%(各2件)

【重大な副作用と主な自覚症状】
・心不全:疲れやすい、むくみ、体重の増加、息苦しい、息切れ
・心房細動:めまい、胸の不快感、動悸、脈がとぶ
・期外収縮:胸の不快感、脈がとぶ、脈が乱れる
・イレウス:嘔吐、吐き気、腹痛、お腹が張る、便やおならが出にくい
・閉塞隅角緑内障:目の充血・かすみ・痛み、視力の低下、視界の中に見えづらい部分がある、霧がかかったような見え方、視野が欠けて狭くなる
・アナフィラキシー:全身や喉のかゆみ、ふらつき、息苦しい、動悸、蕁麻疹

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■閉塞隅角緑内障の方
眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある為、使用できません。
■前立腺肥大等による排尿障害のある方
更に尿を出にくくすることがある為、使用できません。
■アトロピン(その類縁物質を含む)、本剤及びチオトロピウム臭化物水和物を配合した医薬品の添加物にアレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、スピリーバはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼スピリーバの有効成分
チオトロピウム臭化物水和物
▼スピリーバの添加物
(吸入用カプセル)
乳糖水和物
(レスピマット)
ベンザルコニウム塩化物、エデト酸ナトリウム水和物、精製水、塩酸

※本剤は慢性閉塞性肺疾患の維持療法に使用します(急性期治療には短時間作用性吸入β2刺激薬等、他の適切な薬を使用します)。
※気管支痙攣が誘発される場合があるため、異常がおこった場合は使用を中止します。
※目に入らないよう注意して使用します。
※(吸入用カプセル)カプセルを飲んでも期待する効果はありません。
(レスピマットを気管支喘息で使用する場合)
※吸入ステロイド剤で症状が改善しない場合や併用するべきと医師が判断した場合のみ、本剤と吸入ステロイド剤を併用します(十分な効果が得られた場合には吸入ステロイド剤の減量や中止をしてはいけません)。
※短時間作用性β2刺激薬を併用時に効果が不十分な場合は吸入ステロイド剤等の増量等による治療を行います。

使用に注意が必要な方
・心不全、心房細動、期外収縮(過去に罹患した方を含む)の方:心不全、心房細動、期外収縮があらわれることがあります。
・前立腺肥大(排尿障害がある方は除く)の方:排尿障害が発現するおそれがあります。
・腎機能が中等度以上低下している(クレアチニンクリアランス50mL/min以下)の方:血中濃度が上昇します。
・妊婦・授乳婦の方:動物実験で胎児・乳汁への移行が確認されています。
・小児:臨床試験を行っていません。
・高齢者:一般に腎機能等が低下しているので血中濃度が上昇するおそれがあります。また、口喝の頻度が高いことが確認されています。

上記にあてはまる方は、チオトロピウム臭化物水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
チオトロピウム臭化物水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

チオトロピウム臭化物水和物に関する
よくある質問
特にレスピマットを吸入する際に気を付けることはありますか?

レスピマット®は、吸入液をゆっくり噴霧する吸入器です。 他の製剤(DPI)と同じように勢いよく吸い込むとむせてしまうことがありますので、ご自身の呼吸に合わせてゆっくりと吸入してください。

スピリーバ レスピマット(吸入器)に関するQ&A

【上記引用元:ベーリンガーインゲルハイム ベーリンガープラス】

レスピマットにカートリッジを挿入できないのですが、どうしたらよいですか?

明ケースを回転させてしまっている場合
カートリッジを挿入する前に透明ケースを回転させると、 カートリッジは挿入できません。 一度噴霧ボタンを押して元の状態に戻してから、 カートリッジを挿入してください。
カートリッジを斜めに挿入してしまっている場合
カートリッジは本体にまっすぐ挿入しなければ最後まで装填できません。もう一度、カートリッジを「まっすぐ」挿入してください。

スピリーバ レスピマット(吸入器)に関するQ&A

【上記引用元:ベーリンガーインゲルハイム ベーリンガープラス】

参考元一覧

チオトロピウム臭化物水和物(スピリーバ 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

スピリーバ1.25μgレスピマット60吸入 スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入 【PMDA 患者向医薬品ガイド】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。