チペピジンヒベンズ酸塩

成分名

チペピジンヒベンズ酸塩

適応症状

咳、喀痰喀出困難

簡易説明

チペピジンヒベンズ酸塩を主成分としたアスベリン(以下、本剤)は非麻薬性の鎮咳去痰剤で普通薬です。
チペピジンヒベンズ酸塩は1950年にイギリスでモルヒネに匹敵する鎮痛作用があるジメチルチアンブテン製剤を元に1952年に田辺製薬株式会社(現 田辺三菱製薬株式会社)によりに合成されました。チペピジンヒベンズ酸塩はジメチルチアンブテン製剤が持つ鎮痛作用はありませんが、著明な鎮咳作用があり、毒性も少ないことが判明し、発売が開始されました(現在は、田辺三菱製薬株式会社から販売移管を受けたニプロESファーマ株式会社)が販売しています。
本剤は1976年に再評価精度(最新の医学的知見に基づいた承認後医薬品の有用性再確認)により、その有用性が改めて厚生労働省から認められました。

チペピジンヒベンズ酸塩は一般用医薬品の有効成分にも配合されていて、2023年3月現在では89製品に使用されています。なお、チペピジンヒベンズ塩酸塩は一般用医薬品では「ヒベンズ散チペピジン」という有効成分名でしたが、令和4年12月27日の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令第三条の規定に基づき厚生労働大臣の指定する医薬品の有効成分の一部を改正する件について(令和4年厚生労働省告示第375号)」により、令和5年1月1日より「チペピジンヒベンズ酸塩」に変更になりました。

処方可能な診療科目

内科/呼吸器内科など

健康保険の適応

下記疾患に伴う咳嗽及び喀痰喀出困難
感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺炎、肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)、気管支拡張症

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:140円(散20 1日0.6g×30日分)~4,680円(シロップ2% 1日24mL×30日分)
薬代1錠あたりの目安:錠10、錠20 9.80円/散10% 7.90円(1gあたり)/ドライシロップ2% 6.50円(1gあたり)/シロップ2% 6.50円(1mLあたり)/シロップ「調剤用」2% 6.50円(1mLあたり)
薬代後発品1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1959年10月15日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

アスベリン(錠10・錠20、散10%、ドライシロップ2%、シロップ0.5%・シロップ「調剤用」2%【製薬メーカー:ニプロESファーマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

本剤は咳嗽および喀痰喀出困難に用いられる中枢性の非麻薬性鎮咳去痰薬(咳を止め、痰の切れをよくする薬)です。
咳や痰は肺や気道の異物を体外に排泄するための生体防御反応です。
咳は異物を延髄の咳中枢で感じ取り、そこからの指令(呼気に関連した筋肉の急激な収縮等)によって引き起こされます。この延髄の咳中枢の反応性を和らげる薬が中枢性鎮咳薬となります。な中枢性鎮咳薬にはコデインに代表される麻薬性の薬もありますが、本剤は非麻薬性の薬です。なお、末梢性鎮咳薬には、気管支拡張薬、局所麻酔薬などがあり、去痰薬も末梢性鎮咳薬に分類されます。
痰はを侵入した異物を気道の分泌物とともに排泄するために生じる現象です。この気道分泌物の量を増やすなどして痰の粘性を下げる、気道粘膜にある繊毛運動を高めるなどの作用を持つ薬が去痰薬です。

本剤の作用は咳中枢の感受性を低下させる鎮咳作用と気管支腺分泌を高め、気道粘膜繊毛の運動を高める去痰作用となり、この作用は動物実験で確認されています。
・イヌに経口投与した結果、コデインリン酸塩とほぼ同等の鎮咳作用を示し、その作用は30分~1時間後に発現し、約5~6時間持続しました。
・ウサギに経口投与した結果、ブロムヘキシン塩酸塩とほぼ同等の気管支線分泌亢進作用を示しました。
・ハトに筋肉内投与した結果、気道繊毛運動は30分後に1.5倍に亢進しました。
この作用は国内53施設、1,777例を対象とした臨床試験で、感冒、上気道炎、急・慢性気管支炎、肺炎、肺結核及び気管支拡張症に伴う咳・痰の症状に対する改善効果が確認されました。

使用方法

1日量を3回に分けて飲みます。
・1歳未満 5~20mg
散 0.05~0.2g/ドライシロップ 0.1~0.25g/シロップ 1~4mL/シロップ「調剤用」 0.25~1mL
・1~3歳未満 10~25mg
散 0.1~0.25/ドライシロップ 0.5~1.25g/シロップ 2~5mL/シロップ「調剤用」 0.5~1.25mL
・3~6歳未満 15~40mg
散 0.15~0.4g/ドライシロップ 0.75~2g/シロップ 3~8mL/シロップ「調剤用」 0.75~2mL
・6歳以上
錠10 6~12錠/錠20 3~6錠/散 0.6~1.2g/ドライシロップ 3~6g/シロップ 12~24mL/シロップ「調剤用」 3~6mL

副作用

主な副作用
副作用発現率:4.3%(86例/2,006例)
主な副作用:食欲不振 1.1%(22例)、便秘 0.5%(11例)

重大な副作用
咳嗽、腹痛、嘔吐、発疹、呼吸困難等を伴うアナフィラキシー様症状

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤およびチペピジンヒベンズ酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
本剤および下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、アスベリンはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼アスベリンの有効成分
チペピジンヒベンズ酸塩
▼アスベリンの添加物
(錠)
黄色5号、ステアリン酸マグネシウム、タルク(錠10のみ)、デキストリン、トウモロコシデンプン、二酸化ケイ素(錠20のみ)、乳糖水和物
(散10%)
黄色5号、デキストリン、二酸化ケイ素、乳糖水和物
(ドライシロップ2%)
塩化ナトリウム、黄色5号、二酸化ケイ素、乳糖水和物、ブドウ糖、フマル酸ナトリウム、ポピドン、香料(バニリン、エチルバニリン)
(シロップ0.5%、シロップ「調剤用」2%
安息香酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、サッカリンナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、シリコーン樹脂、ステアリン酸ポリオキシル、ソルビタン脂肪酸エステル、D-ソルビトール、ブチルパラペン、プロピルパラベン、香料(エタノール、バニリン、プロピルレングリコール)

使用に注意が必要な方
・妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳婦の方:安全性に関する情報がありません。
・高齢者:一般に生理機能が低下しています。

上記にあてはまる方は、チペピジンヒベンズ酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
チペピジンヒベンズ酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

チペピジンヒベンズ酸塩に関する
よくある質問
誤って多く飲んでしまった場合にどのような症状があらわれますか?

過量投与により,眠気,眩暈,興奮,せん妄,見当識障害,意識障害,精神錯乱等があらわれることがある。

アスベリン インタビューフォーム

【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

赤みがかった尿がでるのですが副作用ですか?

本剤の代謝物により,赤味がかった着色尿がみられることがある。

アスベリン インタビューフォーム

【上記引用元:PMDA i量用医薬品 情報検索】

参考元一覧

チペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

チペピジンヒベンズ酸塩 【PMDA 一般用医薬品医薬品・要指導医薬品 情報検索】

医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令第三条の規定に基づき厚生労働大臣の指定する医薬品の有効成分の一部を改訂する件について 【厚生労働省 令和4年厚生労働省告示第375号】

鎮咳薬、去痰薬 【公益社団法人 日本薬学会 薬学用語解説】

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