亜硝酸アミル

成分名

亜硝酸アミル

適応症状

狭心症/シアン及びシアン化合物による中毒

簡易説明

亜硝酸アミルは、平滑筋弛緩ならびに血管拡張作用をもつ薬剤で、狭心症とシアン化合物による中毒に使用されます。アミルアルコールを亜硝酸でエステル化することで薬剤化が実現しました。吸入することで肺やほかの粘膜から吸収され、およそ30秒以内に作用を示します。歴史の古い薬剤で1951年に三共株式会社が販売したが、現在はアルフレッサファーマに移管しています。

処方可能な診療科目

循環器内科/心臓血管内科/心臓血管外科/血管科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
亜硝酸アミル「AFP」 【製薬メーカー:アルフレッサファーマ】0.25mlL1管 793.10円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

1951年7月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

亜硝酸アミル「AFP」 【製薬メーカー:アルフレッサファーマ 】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

亜硝酸アミルは、狭心症に対しては吸入することで、平滑筋を弛緩・血管を拡張させ、発作の急性期症状を速やかに緩解する作用をもっています。また、もう1つの適応であるシアン及びシアン化合物による中毒に対しては、血中のヘモグロビン(2価)を酸化することによりメトヘモグロビン(3価)を生成させます。結果、シアンに対して競合的に作用し細胞呼吸を回復させる作用を持っています。

狭心症に対する臨床試験データは記載されておりませんでしたが、本剤は狭心症発作に使用するとただちに発作を緩解することが認められています。作用は速効性で肺から吸収されて30秒以内に効果をあらわし、数分間持続するとされています。

一方でシアン化合物中毒に対しては、データが報告されています。
1975年以降に発生したシアン化合物中毒に対して、亜硝酸アミルを用いた治療報告から情報を収集し、国内臨床試験としてまとめています。
1976年から 1997年にシアン中毒の解毒剤として亜硝酸アミルが使用された臨床使用成績報告は9例でした。対象年齢は 24~61歳で、8例が男
性、1例が女性でした。9 例中6例が自殺目的でシアン化合物を経口的に服用したことがわかっています。来院までの時間は 10分から 8時間であり、来院時は多くの人が昏睡あるいは意識障害の症状でした。このような症例に対して亜硝酸アミルが処方された結果、9例中7例が生存、2例が死亡しました。
一般に、シアン中毒の病態の進行は原因物質とその暴露の量により、作用の発現・予後に大きな差が出るといわれています。解毒メカニズムから、初期の治療もその予後には大きくかかわると考えられ、メトヘモグロビンを産生させるための亜硝酸アミルの投与は、それに続く亜硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム水和物の前治療として有用と位置付けられました。

使用方法

使用目的によって用量が異なります。

狭心症の場合、1回1管を、被覆を除かずそのまま打ち叩いて砕き、内容を被覆に吸収させ、鼻孔に当てて吸入します。

シアン及びシアン化合物による中毒の場合、自発的に呼吸ができる場合は直接吸入、できない場合は回路内へ投入します。
<直接吸入>
直接吸入は、自発呼吸ができる場合のみ適用されます。
1回1管を、被覆を除かずそのまま打ち叩いて砕き、内容を被覆に吸収させ、鼻孔に当てて吸入します。なお、症状により適宜増量が可能です。

<回路内への投入>
バッグマスク等の呼吸器経路内に、1回1管を、被覆を除かずそのまま打ち叩いて砕いた亜硝酸アミルのアンプルを投入し内容を吸入します。なお、症状により適宜増量が可能です。

副作用

主に、脳貧血 、 めまい 、 血圧低下 、 紅潮 、 動悸 、 頻脈 、 虚脱などがあげられます。

項目別の発生状況は以下の通りです。
循環器・・脳貧血、めまい、血圧低下、紅潮、動悸、頻脈、虚脱
精神神経系・・失神、頭痛
消化器・・悪心・嘔吐
その他・・呼吸障害、発汗、尿失禁、便失禁

また、頻度不明ですが、重大な副作用としてメトヘモグロビン血症、チアノーゼ 、 溶血性貧血があらわれることがあるので、注意をしてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・狭心症かつ心筋梗塞の急性期の方は、本剤の投与により末梢血管が拡張され、さらに血圧が低下し、心原性ショックを誘発する恐れがあるため使用できません。
・狭心症かつ閉塞隅角緑内障の方は眼圧を上昇させる恐れがあるため、使用できません。
・狭心症かつ頭部外傷又は脳出血のある方は頭蓋内圧を上昇させる恐れがあるため使用できません。
・狭心症かつ高度な貧血のある方は、血圧低下により貧血症状を悪化させる恐れがあるため使用できません。
・狭心症かつ硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある方は使用できません。
・狭心症をもつ妊婦又は妊娠している可能性のある女性には可能な限り投与をしないでください。

使用に注意が必要な方
・低血圧の方は血圧を低下させるので注意してください。
・原発性肺高血圧症の方は心拍出量が低下しショックを起こすため注意をしてください。
・肥大型閉塞性心筋症の方は心室内圧較差の増強をもたらし、症状を悪化させるため注意をしてください。
・シアン及びシアン化合物による中毒で心筋梗塞の急性期の方
(本剤の投与により末梢血管が拡張され、さらに血圧が低下し、心原性ショックを誘発する恐れがあるため)
・シアン及びシアン化合物による中毒で閉塞隅角緑内障の方
(眼圧を上昇させる恐れがあるため)
・シアン及びシアン化合物による中毒で頭部外傷又は脳出血のある方
(頭蓋内圧を上昇させる恐れがあるため)
・シアン及びシアン化合物による中毒で高度な貧血のある方
(血圧低下によりめまい、立ちくらみ等の貧血症状を悪化させる恐れがあるため)
・シアン及びシアン化合物による中毒で硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある方


・シアン及びシアン化合物による中毒の妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましいが、治療上必要な時は注意をして投与をします。
・高齢者は起立性低血圧が起こりやすいため、注意をしてください。

上記にあてはまる方は、亜硝酸アミルを使用する事が出来ない可能性があります。
亜硝酸アミルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<アルコール>
アルコールにより血管拡張作用が増強し、血圧低下を起こすことがあるため注意をしてください。

●シアン及びシアン化合物による中毒の場合
<シルデナフィルクエン酸塩/バルデナフィル塩酸塩水和物/タダラフィル(ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤)>
併用により、降圧作用を増強することがあるため、本剤を投与する前に上記の薬剤を服用していないか確認してください。
治療が必要であると判断された場合のみ、注意して処方をしてください。

<リオシグアト(グアニル 酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤>
併用により、降圧作用を増強することがあるため、本剤を投与する前に上記の薬剤を服用していないか確認してください。
治療が必要であると判断された場合のみ、注意して処方をしてください。

上記を使用している方は、亜硝酸アミルを使用する事が出来ない可能性があります。
亜硝酸アミルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
●狭心症の場合
<シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ)/バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)/タダラフィル(シアリス)等ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤)>
併用により、降圧作用を増強することがあるため、本剤を投与する前に上記の薬剤を服用していないか確認してください。

<リオシグアト(アデムパス)等グアニル 酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤>
併用により、降圧作用を増強することがあるため、本剤を投与する前に上記の薬剤を服用していないか確認してください。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

亜硝酸アミルに関する
よくある質問
どのくらいで効果発現しますか?

本剤は狭心症発作に使用(吸入)するとただちに発作を緩解します。その作用は速効性で肺から吸収されて 30秒以内に効果をあらわし、数分間持続するとされています。

臨床効果

【上記引用元:亜硝酸アミル「AFP」 インタビューフォーム】

吸入後、注意することはありますか?

起立性低血圧によるめまい、脱力、失神又はその他の脳貧血症状が一過性にあらわれることがあります。このような場合、頭を低くして寝かせ、深呼吸をさせ、四肢を動かせるなどの処置を行うことによって回復がはやまります。

適用上の注意

【上記引用元:亜硝酸アミル「AFP」インタビューフォーム】

参考元一覧

亜硝酸アミル「AFP」 【添付文書】

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