フルチカゾンフランカルボン酸エステル

成分名

フルチカゾンフランカルボン酸エステル

適応症状

■点鼻薬:アレルギー性鼻炎
■吸入薬:気管支喘息

簡易説明

■点鼻薬
アラミスト(一般名:フルチカゾンフランカルボン酸エステル)は鼻腔内に噴霧するタイプのステロイド薬で、アレルギー性鼻炎や、炎症などの治療に効果を発揮します。
本剤は1日1回の噴霧で効果が得られることや、デバイス(噴霧器)が横押し型となっていること、また年齢を問わず快適に使用できること、噴霧された薬剤が微細な霧状になるため液だれしにくいこと、薬剤特有の臭いがほとんどないことなど、とても利便性の髙い点鼻薬です。

■吸入薬
アニュイティは、気管支喘息治療に対して効果を発する吸入薬です。
原則として既に起きている気管支喘息の発作に対して使用する薬ではなく、毎日規則正しく使用することによって喘息の症状を抑える薬です。
従来の吸入薬は1日2回使用する必要があったのに対し、本剤は1日1回の使用で効果が持続するという特徴がありますので、使いやすさの点でメリットがあります。

処方可能な診療科目

耳鼻咽喉科/アレルギー科/呼吸器内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

■点鼻薬
・アラミスト点鼻液27.5μg 120噴霧用:3513.8円(5mg10g1キット)
・アラミスト点鼻液27.5μg5 6噴霧用:1672.5円(3mg6g1キット)
■吸入薬
・アニュイティ100μg エリプタ30吸入用:1593円 (30吸入1キット)
・アニュイティ200μg エリプタ30吸入用:2055.2円 (30吸入1キット)
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

■点鼻薬:2009年6月(発売)
■吸入薬:2017年6月(発売)

国内のジェネリック認可

■点鼻薬:ジェネリックなし
■吸入薬:ジェネリックなし

関連製品(先発薬)

■点鼻薬
・アラミスト点鼻液27.5μg120噴霧用(製薬会社:GSK)
・アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用(製薬会社:GSK)
■吸入薬
・アニュイティ100μg エリプタ30吸入用(製薬会社:GSK)
・アニュイティ200μg エリプタ30吸入用(製薬会社:GSK)

関連製品(ジェネリック)

■点鼻薬:ジェネリックなし
■吸入薬:ジェネリックなし

効果・作用

■点鼻薬
アラミストが属するステロイド(剤)には抗炎症(アレルギー反応を抑える)作用があります。
炎症とは、身体にとっての異物や傷などの異常部分をみつけてそれを治そうとする反応で、身体にとって必要なものです。そのためステロイドは私たちの体内でも副腎皮質ホルモンとして少量作られているのですが、ステロイドが「薬」として最も多く使われているのは、自己免疫疾患の治療に対してです。
自己免疫疾患とは、本来ならば身体を守るべき白血球などが何らかのエラーで自身の身体を攻撃してしまう病気、つまり自分の身体に対するアレルギー反応のことです。
アレルギー反応には、Ⅰ型アレルギーからⅣ型アレルギーまで大きく4種類に分類されるのですが、ステロイド薬にはそうしたアレルギー反応の大部分を抑える作用があるのです。
そのためステロイドを鼻に使用する本剤には、鼻で起こってるアレルギー反応の大部分を抑制する効果があるのです。

■吸入薬
アニュイティは、日常的に使用することで喘息の発作の程度や頻度を軽減する薬で、すでに起きてしまった発作を速やかにしずめるものではありません。
本剤は上記点鼻薬アラミストと同様のステロイド剤で、アレルギー反応の大部分を抑える作用があります。薬剤を吸入することで有効成分が気管支に作用し、気道の炎症を抑えて喘息発作を起こりにくくする効果が得られるのです。

使用方法

■点鼻薬
1.開封後初めて使う際には、キャップをしたまま10秒ほどしっかり振ります。振ることにより、粘り気のある懸濁液がサラサラの液体へと変化します。
2.キャップを外し、容器を垂直に立ててノズル(噴霧口)を顔から離して持ちます。容器を握るようにして持ち、親指以外の4本の指でレバーを最後まで押し切ります。液が完全に霧状になるまで、少なくとも6回空打ちを行います。(2回目以降の使用では空打ちは不要です。)
3.軽くうつむき、容器を垂直に立てたまま鼻の穴にノズルを入れ、レバーを最後まで強く押し切ります。通常、成人は左右の鼻腔に2回ずつ、小児は左右の鼻腔に1回ずつ薬液を噴霧します。

■吸入薬
本剤はエリプタという専用の容器を用いて使用します。エリプタは蓋を開けるだけで1回分の薬が充填され、その状態で1回吸うだけで1日分の治療が完了します。
通常、成人にはアニュイティ100μgエリプタ1吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入します。なお、症状によってはアニュイティ200μgエリプタ1吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして200μg)を1日1回吸入します。

副作用

重大な副作用
■点鼻薬
アナフィラキシー反応

■吸入薬
アナフィラキシー反応

その他の副作用
■点鼻薬
発疹、血管性浮腫、蕁麻疹、鼻出血、鼻症状(刺激感、疼痛、乾燥感)、鼻潰瘍、鼻中隔穿孔、頭痛、睡眠障害、血中コルチゾール減少、白血球数増加、眼圧上昇

■吸入薬
口腔咽頭カンジダ症、上気道感染、気管支炎、、インフルエンザ、頭痛、鼻咽頭炎、口腔咽頭痛、副鼻腔炎、咽頭炎、咳嗽、背部痛

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■点鼻薬
・有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症に罹っている方
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方

■吸入薬
・有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症に罹っている方
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方

使用に注意が必要な方
■点鼻薬
・鼻咽喉感染症に罹っている方
・反復性鼻出血の方
・重症な肥厚性鼻炎や鼻茸の方
・長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている方
・妊婦、授乳婦
・小児等
・高齢者

■吸入薬
・結核性疾患又は感染症に罹っている方
・気管支粘液の分泌が著しい方
・長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている方
・肝障害のある方
・妊婦、授乳婦
・小児等
・高齢者

上記にあてはまる方は、フルチカゾンフランカルボン酸エステルを使用する事が出来ない可能性があります。
フルチカゾンフランカルボン酸エステルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■点鼻薬
【薬物代謝酵素<CYP3A4>を阻害する薬剤】
副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれることがあります。
【リトナビル】
副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があわわれる可能性がある他、血中フルチカゾンプロピオン酸エステル濃度の上昇、血中コルチゾール値の低下、全身性のステロイド作用などがみられる場合があります。
【副作用として鼻閉がみられる降圧剤】
鼻閉症状に対する本剤の効果が隠蔽する可能性があります。

■吸入薬
【薬物代謝酵素<CYP3A4>を阻害する薬剤】
【リトナビル】
【ケトコナゾール】
【エリスロマイシン】
上記はいずれも副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性があります。
【ケトコナゾール<経口剤>】
血中のFFの曝露量が増加する場合があります。

上記を使用している方は、フルチカゾンフランカルボン酸エステルを使用する事が出来ない可能性があります。
フルチカゾンフランカルボン酸エステルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
■点鼻薬
■吸入薬
共に報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
■点鼻薬
症状がひどいときは、1日の使用回数や1回の噴霧回数を増やしてもいいですか?

アラミストは、1日1回の使用で効果が得られる薬剤です。また、使用回数や噴霧回数を2倍にしても効果が倍増するわけではありません。薬の効き方には個人差がありますので決められた回数だけ使用して効果があらわれるのをお待ちください。

■点鼻薬
症状が落ち着いているときは使わなくてもいいですか?

本剤は、継続して使用するとより良い効果が得られます。症状がなくても、指示した期間は使用を継続するようにしてください。

■吸入薬
アニュイティの使用に際して注意すべきことはありますか?

本剤を使用した後は、うがいをするようにしてください。
本剤はステロイド成分を含んでおり、ステロイド成分が口の中に残ると、ステロイドの免疫抑制作用によりカンジダなどの感染症にかかりやすくなったり、発声障害の副作用がおこったりするリスクがあります。それらを抑止するためにも使用後はうがいを徹底してください。

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