dl-メチルエフェドリン塩酸塩

成分名

dl-メチルエフェドリン塩酸塩

適応症状

喘息、風邪、蕁麻疹など

簡易説明

dl-メチルエフェドリン塩酸塩は1892年に日本国内で天然l-エフェドリンから合成されました。1929年の報告が最初と思われます。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩はエフェドリンよりも副作用が少ない喘息治療薬とされています。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩はを主成分としたメチエフ散10%(以下、本剤)は田辺製薬株式会社(現、田辺三菱製薬株式会社)によって1954年に医療用医薬品として発売されました。
なお、dl-メチルエフェドリン塩酸塩は700製品以上の一般用医薬品にも用いられています。医薬品リスク分類としては第二類医薬品(第一類医薬品ほどではないが、リスクが比較的高い医薬品)に指定された成分です。市販されている一般用医薬品ですが、dl-メチルエフェドリン塩酸塩を含む薬によるオーバードーズが問題になっています。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩は依存性のある成分に指定されています(平成26年6月4日 薬食発0604第2号「薬事法施行規則第15条の2の規定に基づき濫用等のおそれがあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品(告示)の施行について」)。これに該当するのはメチルエフェドリンのうち、内用液剤の鎮咳去痰薬に限られますが、1人1包装づつといった販売数量制限が設けられています。なお、この指定を受けている成分は他に、エフェドリン、コデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ブロムワレルル尿素、プソイドエフェドリンです。
平成30年の「全国の精神科医療施設における薬物関連性心疾患の実態調査」で、一般用医薬品による薬物依存が疑われるケースが存在することが報告され、その薬の中には、dl-メチルエフェドリン塩酸塩を含む内用液剤も記載されています。特に10代の方が市販薬によるオーバードーズが多いというデータも紹介されています。
医師の管理下にない一般用医薬品は入手しやすく、また医療関係者側も使用状況の把握が困難なため、今後の課題と考えられています。

処方可能な診療科目

内科/呼吸器内科/皮膚科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約300円(10円*×30日)
*薬剤費は1円単位を四捨五入して10円=1点として計算しますが、10円以下の薬剤費は全て1点として計算します)
薬代1gあたりの目安:7.50円
薬代後発品1gの目安:7.00円~7.60円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1954年7月25日

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

メチエフ散10%【製薬メーカー:ニプロESファーマ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

dl-メチルエフェドリン塩酸塩散10%「三恵」【製薬メーカー:三恵薬品株式会社】
dl-メチルエフェドリン塩酸塩酸10%「マルイシ」【製薬メーカー:丸石製薬株式会社】
dl-メチルエフェドリン塩酸塩散10%「メタル」【製薬メーカー:中北薬品株式会社】
dl-メチルエフェドリン塩酸塩散10%「フソー」【製薬メーカー:扶桑薬品工業株式会社】

効果・作用

本剤は、交感神経を刺激する働きにより様々な薬理作用を発現します。
神経には自分の意思で制御する体性神経と体を正常に保つために働く自律神経があります。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は活動を高めることで正常な状態を維持するために働きます。逆に副交感神経は活動を鎮めるために働きます。本剤は交感神経が高い時、例えばマラソンを走っている時に働く神経です。マラソンを走っている時は酸素が必要となるので、そのために気道を広げる働きをします。全身にその酸素を送るために心拍数は早くなりますし、血圧も上がります。また動かなければならないので、食欲や尿意はおこりませんし、眠気もなくなります。つまり、交感神経を刺激するとよくスポーツ選手などが「アドレナリンが出る」と表現するような状態になります。
この作用(気管支拡張作用)が咳止めという効果にあらわれます。また、ヒスタミンというアレルギー反応を起こす物質の働きを抑える作用があるため、じんましんなどにも効果をあらわします。
本剤は医療用医薬品、つまり医師の監視下で使用される薬なので、使用に注意が必要な方は記載のとおりですが、一般用医薬品、つまり自身の判断で使用する薬の場合は、使用に注意が必要な方や併用禁忌・注意薬は、さらに多くなります。

【一般用医薬品としてのdl-メチルエフェドリン塩酸塩】
dl-メチルエフェドリン塩酸塩は、アドレナリン作動成分として、気管支拡張作用、血管収縮作用、肝臓でのエネルギー代謝促進作用、糖代謝促進作用があるとされ、かぜ薬、咳止め、痔の薬、鼻炎薬などに用いられています。またこれらの作用から注意すべき方が設定されています。
【使用に注意が必要な方(医師、薬剤師等に相談してから使用すること)】
・授乳中の方(乳汁中に移行する可能性)、高齢者(心悸亢進、血圧上昇、糖代謝促進をおこしやすい)、甲状腺機能亢進症の方・高血圧・心臓病・糖尿病(症状を悪化させるおそれ)

使用方法

1日メチルエフェドリン塩酸塩として25mg~50mg(本剤、250mg~500mg)を1日3回服用してください。

副作用

主な副作用
副作用発現率:7.7%(139例/1,806例)
胃腸障害(1.7%)、動悸(1.2%)、不眠(1.2%)、吐き気(0.9%)

重大な副作用
重篤な血清カリウム値低下が報告されています。
「併用禁忌薬」に記載の薬を併用すると、血清カリウム値低下作用が増強することがありますので、重症喘息の方は特に注意が必要となります。
低酸素血症の場合、心リズムに及ぼす作用が増強されることがありますので、定期的に血清カリウム値を検査します。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン等)を使用している方は、作用が強まり不整脈(場合によっては心停止)を起こす恐れがあるので、服用できません。
■dl-メチルエフェドリン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、メチエフ散10%はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼メチエフ散10%の有効成分
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
▼メチエフ散10%の添加物
乳糖水和物

使用に注意が必要な方
・甲状腺機能亢進性の方、高血圧の方、心疾患のある方、糖尿病の方:症状を悪化させるおそれがあります。
・高齢者:生理機能が低下しているので医師が減量などの注意を払います。
・妊婦、産婦、授乳婦、小児:安全性に関する情報がありません。

上記にあてはまる方は、dl-メチルエフェドリン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・MAO阻害剤、甲状腺製剤(チロキシン、リオチロニン等):作用が強くあらわれるおそれがあります。
・テオフィリン、プレドニゾロン、アミノフィリン:血清カリウム値が低下するおそれがあります。

上記を使用している方は、dl-メチルエフェドリン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン等):「使用出来ない方」の項、参照。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
本剤の作用はどのくらい持続しますか。

本剤の作用持続時間は約4時間です。

主な副作用以外にはどのような副作用が報告されていますか。

顔面蒼白、頭痛、めまい、眠気、疲労、食欲不振、のどの乾きなどの報告があります。

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