プロキシフィリン

成分名

プロキシフィリン

適応症状

強心・喘息

簡易説明

プロキシフィリンは、医薬品として広く用途が期待されながらも水溶性が課題となっていたテオフィリンの特性(*1)を維持しながら水に溶ける成分として1955年にアメリカで開発されました。
このプロキシフィリンを有効成分とするモノフィリン(以下、本剤)は、1959年から吉富製薬が販売していましたが、1998年に日医工株式会社が製造販売承認を承継して販売しています。
プロキシフィリンは一般用医薬品としては、第二類医薬品の成分に分類されていますが、「PMDA一般用医薬品・用指導医薬品 情報検索」では該当する製品はありません(2022年12月現在)。

(*1)骨格筋・心筋の興奮、平滑筋弛緩などの作用。現在はテオフィリン製剤が気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫の治療薬として使用されています。

処方可能な診療科目

内科/呼吸器内科/循環器内科など

健康保険の適応

気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、うっ血性心不全

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約80円(原末 0.2g×30日)~約510円(100㎎錠 3錠×30日)
薬代1錠あたりの目安:錠100㎎ 5.70円/原末(1g) 13.80円
薬代後発品1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1959年7月1日

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

モノフィリン(原末、錠100㎎)【製薬メーカー:日医工株式会社】

関連製品(ジェネリック)

なし

効果・作用

本剤は、平滑筋を弛緩させる作用があるため、気管支を広げる働きにより気管支喘息喘息性(様)気管支炎の治療に用いられます。
また、心筋を興奮させる作用があるため、心拍数と心臓の収縮力を増加させる働きとそれらの作用による利尿作用などにより、うっ血性心不全の治療に用いられます。
プロキシフィリンの作用は動物実験で確認されています。
筋収縮力増加作用はネコで確認され、テオフィリンの約半分でした。気管支痙攣への作用はモルモットで確認され、テオフィリンの4分の1でした。また、利尿作用はウサギで尿量の増加が確認されています。

本剤は、以前は「腎性浮腫」の適応症もありましたが、1975年に実施された薬効の再評価(*2)で提出された資料から有用性が確認できなかったため削除となりました。なお、薬効の再評価では当時の適応症を「有効であることが推定できるもの」として評価し、「腎性浮腫」以外の適応症についてはその有用性が厚労省に認められています。また、当該再評価では、「有効と判定する根拠がないもの」としてチェーン・ストークス氏呼吸、狭心症、冠動脈硬化症、肺気腫、肺水腫、妊娠浮腫、血圧亢進症についても評価がされました。
この結果を受け、本剤の適応症は、現在の「気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、うっ血性心不全となっています。当該再評価での使用方法の変更はありませんでした。
(*2)過去に承認された薬を現時点での評価基準で有効性、安全性、品質等を再評価する制度。

本剤はショック、痙攣、意識障害、急性脳症、横紋筋融解症という重大な副作用に注意する必要があります。これらの副作用には致死的な経過をたどる可能性があります。
このうち、横紋筋融解症については厚生労働省による「重篤副作用総合対策事業」に取り上げられており、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」が作成されています。
横紋筋融解症とは骨格筋の細胞が融解、壊死することにより筋肉の痛みや脱力などがおこります。夏には脱水や熱中症によって起こる場合もあります。具体的には「手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む」、「手足がしびれる」、「手足に力がはいらない」、「こわばる」、「全身がだるい」、「赤褐色の尿がでる」などの症状があらわれます。本剤服用中にこれらの症状があらわれたら、直ちに医師・薬剤師に連絡してください。
横紋筋融解症では筋肉の成分であるミオグロビンが大量に血液内に流出し、腎臓の障害(急性腎不全)が起こる可能性があります。また呼吸筋が障害されると呼吸困難になる場合もあります。多臓器不全を併発すると生命に危険が及んだり重篤な障害を残したりする可能性もあります。
これらを回避するため、医師は輸液療法、血液透析などの対応を速やかにより腎臓を守り、回復の可能性を高める処置を行います。

使用方法

1日200㎎~300㎎を2~3回に分けて飲みます。投与量等は年齢、症状により適宜増減します。

副作用

重大な副作用
ショック
痙攣、意識障害
急性脳症
横紋筋融解症

その他の副作用
・0.1~5%未満の発現率の副作用
頭痛、不眠、心悸亢進、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢
・頻度不明の副作用
発疹

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤および他のキサンチン系薬剤で重篤な副作用があらわれたことがある方は、服用できません。
■プロキシフィリンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、モノフィリン錠はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
※モノフィリン原末には添加物はありません。
▼モノフィリン錠の有効成分
プロキシフィリン
▼モノフィリン錠の添加物
・乳糖水和物
・トウモロコシデンプン
・タルク
・ステアリン酸マグネシウム

使用に注意が必要な方
・てんかんの方:中枢神経刺激作用により、てんかん発作を起こすおそれがあります。
・甲状腺機能亢進症の方:病気に伴う代謝亢進、カテコールアミンの作用(*3)を増強するおそれがあります。
・急性腎炎の方:腎臓への負荷を高めるため、尿蛋白が増加するおそれがあります。
・妊婦:投与しないことが望ましい(プロキシフィリンと同系統の成分(テオフィリン)の動物実験で胎児への悪影響が報告されています)。
・授乳婦:治療の有用性や母乳栄養の有用性の観点から、授乳の継続または中止を検討します(プロキシフィリンと同系統の成分(テオフィリン、カフェイン)で乳汁への移行が報告されています)。
・小児:小児を対象とした臨床試験を行っていないため、使用した情報がありません。
・高齢者:血中濃度が持続するおそれがあります。
(*3)交感神経(血管収縮、発汗、心拍増加などをおこす、活動期に働く神経の作用。交感神経が過剰に働くと甲状腺機能亢進症の症状が悪化する可能性があります。

上記にあてはまる方は、プロキシフィリンを使用する事が出来ない可能性があります。
プロキシフィリンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・他のキサンチン系薬剤(テオフィリン、コリンテオフィリン、ジプロフィリン、カフェイン等)、中枢神経興奮薬:併用薬の中枢神経興奮作用が増強されることがあるので、やむを得ず併用する場合は減量するなど慎重に投与します。
・ハロタン:本剤の血中濃度が上昇することがあり、不整脈を起こすおそれがあります。

上記を使用している方は、プロキシフィリンを使用する事が出来ない可能性があります。
プロキシフィリンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
本剤で痙攣、意識障害、急性脳症がおこった時はどのような対応をしますか。

抗痙攣薬の投与など適切な処置をおこないますので、まずは医師に連絡してください。

本剤の使用期限はありますか。

本剤は室温で気密容器中で3年間保存した結果の安定性が報告されてるため、有効期間は3年と設定されています。薬は医師の指示に従って確実に服用し、余った薬があれば処方された医療機関に相談してください。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。