アリメマジン酒石酸塩

成分名

アリメマジン酒石酸塩

適応症状

・皮膚疾患に伴う痒み(湿疹、皮膚瘙痒症、小児ストロフルス、中毒疹、咬刺症)
・じん麻疹
・感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳
・アレルギー性鼻炎

簡易説明

アリメマジン酒石酸塩は、1958 年に開発されたお薬です。アレルギー反応を引きおこすヒスタミンという化学伝達物質の働きを抑え、皮膚疾患にともなうかゆみ、じんま疹、上気道炎にともなうくしゃみ・鼻水・咳、アレルギー性鼻炎などを改善します。特にかゆみを抑える作用に優れる薬です。H1受容体に競合的に結合することで、アレルギー反応を和らげるお薬です。
クロルフェニラミンマレイン酸塩と同様に第一世代の抗ヒスタミン薬です。抗精神病薬として用いられるフェノチアジン系薬剤のうち、抗ヒスタミン作用のあるもので、フェノチアジン系薬剤としての特徴も残しています。

処方可能な診療科目

皮膚科/耳鼻咽喉科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

シロップ 21.60円/10 mL
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

製造販売承認年月日:2008年3月7日(販売名変更による)
発売年月日:2008年7月(販売名変更による)

国内のジェネリック認可

-

関連製品(先発薬)

アリメジンシロップ0.05%(ニプロファーマ)

関連製品(ジェネリック)

-

効果・作用

抗ヒスタミン作用とともに自律神経抑制作用、鎮静作用、止痒作用、鎮咳作用を有します。
臨床試験において、種々の皮膚疾患に伴い瘙痒を訴える患者(803 例)の 79.6%に止痒効果又は症状の改善効果が認められています。
臨床試験において、じん麻疹患者(171 例)の 83.6%、感冒等上気道炎患者(77 例)の 66.2%に症状の改善効果が認められています。

抗ヒスタミン作用、抗アセチルコリン作用を有し、強い鎮痒作用、静穏等の中枢作用を示します。
中枢神経系と末梢神経系(ヒスタミン H1受容体)に作用し、抗ヒスタミン作用(H1受容体遮断薬)の働きをします。医薬品の構造から、フェノチアジン系に分類されます。
皮膚瘙痒に対して中枢性に作用します。

H1 受容体は、Gq/11 を介してホスホリパーゼCを活性化し、イノシトール1,4,5―三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)を生成します。IP3 は、IP3 受容体を介して細胞内カルシウムストアよりカルシウムの放出を促し、DG はプロテインキナーゼCを活性化します。
また、H1 受容体は、気管支や腸管などの血管外平滑筋を収縮させます。血管内皮細胞からは NO を遊離させ、それにより血管平滑筋は弛緩します。また、後毛細血管小静脈
の血管透過性を亢進させます。Th1 ヘルパーT細胞を活性化させる作用もあります。
中枢神経系において、H1 受容体は、自発運動量の増加、覚醒レベルの維持、記憶・学習機能の亢進、食欲抑制、痙攣抑制などの機能を持ちます。

アリメマジン酒石酸塩は、フェノチアジン骨格をもつため、クロルプロマジンのような神経鎮静作用を持ちます。実際には交感神経遮断作用が少なく、これによる副作用は少ないです。また、強力な抗ヒスタミン作用があることが特色です。本剤は既に欧米において,各科領域のアレルギー性疾患及び精神科領域で使用され優れた成績を挙げています。

止痒効果と皮疹の改善が認められています。特徴としては、強力な抗ヒスタミン作用、交感・副交感神経の抑制作用の他に平滑筋への抗痙攣作用、心臓血管系への作用がないこと、作用時間の長いことなどが認められています。

使用方法

アリメマジン酒石酸塩として,通常成人1回2.5mg(5mL)を1日3~4回経口投与します。
年齢、症状により適宜増減します。
就寝時の頓用には5mg(10mL)を経口投与します。
〈参考〉
小児の1回投与量例:下記用量を1日3~4回経口投与します。
1歳:1 mL
2~3歳:1.5 mL
4~6歳:2 mL
7~9歳:3 mL
10~12歳:3.5 mL

強い光にあたると着色することがあるので、遮光して保存します。

副作用

主な副作用
・過敏症 (発疹)
・血液(顆粒球減少)
・精神神経系(眠気、めまい、倦怠感、頭痛)
・消化器(口喝)
・高齢者(60 歳以上)では、低血圧、失神、中毒性の錯乱状態、錐体外路症状特にパーキンソン症候群及び過度の鎮静といったフェノチアジン系化合物による副作用が出やすいです。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・アリメジン、フェノチアジン系化合物またはその類似化合物に対し過敏症のある患者
アリメマジン酒石酸塩はフェノチアジン骨格をもつ薬剤であるため、アリメジンの成分、フェノチアジン系化合物又はその類似化合物に対し過敏症のある患者では本剤でも過敏症を発現するおそれがあります。
昏睡状態の患者またはバルビツール酸誘導体・麻酔薬等の中枢神経抑制薬の強い影響下にある患者
アリメマジン酒石酸塩はフェノチアジン骨格をもつ薬剤であるため、精神安定剤に比べれば弱いものの中枢神経抑制作用があります。したがって中枢神経抑制薬の強い影響下にある患者に本剤を投与するとその作用を増強し、呼吸抑制などの症状があらわれるおそれがあります。

・緑内障の患者
アリメマジン酒石酸塩を投与するとその抗コリン作用のため瞳孔括約筋は弛緩し、又毛様体筋も弛緩します。この作用に伴い眼房水の流出管(シュレム管)が塞がれ眼圧が上昇するため、緑内障の症状が悪化するおそれがあります 5)。
前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者
前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者に本剤を投与すると、本剤の抗コリン作用のため膀胱括約筋が収縮し排尿障害を起こすおそれがあります。

使用に注意が必要な方
・肝障害のある患者
アリメマジン酒石酸塩投与により肝障害を発現したとの報告はありませんが、他のフェノチアジン系化合物を服用中にごくまれに一過性の黄疸が起こっています。

・高齢者への投与
高齢者(60 歳以上)では、低血圧、失神、中毒性の錯乱状態、錐体外路症状特にパーキンソン症候群及び過度の鎮静といったフェノチアジン系化合物による副作用が出やすいです。

上記にあてはまる方は、アリメマジン酒石酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
アリメマジン酒石酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・中枢神経抑制薬、アルコール
アリメマジン酒石酸塩は中枢神経抑制作用をもつため、同様の作用をもつバルビツール酸誘導体、ベンゾジアゼピン誘導体、抱水クロラール等の催眠薬、ベンゾジアゼピン誘導体の抗不安薬等の中枢神経系抑制薬の併用やアルコールの摂取により、相互に中枢神経抑制作用が増強されることがあります。
・降圧薬
アリメマジン酒石酸塩のα-アドレナリン受容体遮断作用により、ほとんどの降圧薬、特にα-アドレナリン受容体阻害薬の降圧効果を相互に強めることがあります。
・アトロピン様作用を有する薬剤
フェノチアジン系化合物の軽度の抗コリン作用が他の抗コリン作動薬により強められ、口内乾燥、霧視、かすみ目、排尿障害、便秘及び頻脈等を引き起こすことがあります。

上記を使用している方は、アリメマジン酒石酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
アリメマジン酒石酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
アレルギー反応で痒みが生じるメカニズムはどのようなものですか。

H1 受容体が炎症や組織傷害により遊離されたヒスタミンを感知して痛みや痒みを生じます。

アトピー性皮膚炎の飲み薬は、どのようなものがあり、どのように効きますか。

一般的には、抗ヒスタミン薬が用いられます。第一世代の抗ヒスタミン薬は、抗原がH1受容体との結合を競合的に阻害することでアレルギー症状を緩和するお薬です。第一世代の抗ヒスタミン薬は中枢移行性があるため、鎮静性があります。この性質を克服した抗アレルギー薬として第2世代、第3世代の抗ヒスタミン薬があります。

アレルギーの薬は眠気が生じると聞きますが、車の運転などは可能でしょうか。

眠気などの精神神経系の副作用が多く発現する薬剤に共通の注意であり、事故防止のために記載されています。眠気には個人差があるため、服用後に眠気が生じなければ車の運転は可能だと考えられます。

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