サルブタモール

成分名

サルブタモール

適応症状

気管支喘息/小児喘息/肺気腫/急性気管支炎/慢性気管支炎/肺結核/珪肺結核 など

簡易説明

サルブタモールは、短時間作用性のβ2アドレナリン受容体刺激薬です。
気管支を拡張する事で、喘息や慢性閉塞性肺疾患の治療に用いられます。
サルブタモールは、世界で1番使用されている気管支拡張剤で、錠剤やシロップなどの経口タイプと、吸入によって投与されるタイプがあります。
吸入タイプは、サルブタモールが直接気管支平滑筋をゆるめる事で気管支が広がり、呼吸を楽にします。
日本では用法外の為におこなわれませんが、海外では静脈注射で投与することで、子宮平滑筋を弛緩させ早産防止に用いられる事もあります。
また、サルブタモールの脂肪燃焼、骨格筋増強の副作用を利用して、ダイエットやボディビルディングを目的として、海外ではサルブタモールの錠剤を用いる事があります。

処方可能な診療科目

呼吸器科 など

健康保険の適応

健康保険適応可

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~10,000円
錠剤:薬代1錠あたりの目安:2mg1錠 5.40円(薬価)
吸入:薬代1錠あたりの目安:2mg1錠 842.00円(薬価)
病院によって差が有り、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

サルタノールインヘラー 発売年月 1978年6月
サルブタモール錠 発売年月 2013年12月

国内のジェネリック認可

有り

関連製品(先発薬)

サルタノールインヘラー【製薬メーカー:グラクソスミスクライン】

関連製品(ジェネリック)

▼錠剤タイプ
アスタリン

▼吸入タイプ
アスタリンインヘラー/ベントリンインヘラー

効果・作用

▼サルブタモールの作用
サルブタモールがβ2アドレナリン受容体と結合する事で、Gタンパク質の立体構造を変化させ、アデニル酸シクラーゼを活性化させます。
アデニル酸シクラーゼは、アデノシン三リン酸(ATP)を環状アデノシン一リン酸(cAMP)へ変換させます。
cAMPにはプロテインキナーゼA(PKA)を活性化させる働きを持っており、PKAが活性化すると平滑筋を弛緩させます。
上記のような連鎖反応によって、平滑筋を弛緩させる作用がサルブタモールにあります。
気道でβ2受容体が活性化すると、気管支平滑筋を弛緩させるので、気管支拡張剤の効果があります。
子宮でβ2受容体が活性化すると、子宮平滑筋っを弛緩させるので、出産を遅らせる効果があります。
しかし、日本では用法外の為に、早産予防には使用されていません。

サルブタモールは、心臓の筋肉へ影響するβ1受容体への結びつきの方が強く、β2受容体への結びつきのほうが63%程度まで落ちます。
サルブタモールは、心悸亢進作用よりも気管支拡張作用の方が17倍程度強くなります。
心臓への作用が少ない用量で、気管支拡張に十分な効果がある事から、治療に用いられています。

【サルブタモールの効果・作用まとめ】
①β2受容体と結合し、気管支平滑筋を拡張する。
②気管支平滑筋が拡張すると、気道が広がり喘息などの治療効果があります。
③子宮の平滑筋細胞をが弛緩する事で、早産を予防します。
④日本では用法外の為、早産予防には使用出来ません。
気管支の平滑筋を拡張する事で気道を確保し、呼吸を楽にします。

使用方法

▼錠剤
・成人の場合
1日3回、1回につき症状に応じてサルブタモール4mg~8mgを、水またはぬるま湯で服用して下さい。
年齢や症状によって、適宜増減して下さい。

・小児の場合
小児の場合、成人量の1/4~1/2量となります。
・5歳以上15歳未満
1日3回、1回につき症状に応じてサルブタモール2mg~4mgを、水またはぬるま湯で服用して下さい。
・5歳未満
1日3回、1回につき症状に応じてサルブタモール2mg~3mgを、水またはぬるま湯で服用して下さい。
年齢や症状によって、適宜増減して下さい。

▼吸入
吸入タイプは喘息発作に対する対症療法剤の為、発作発現時に限り使用して下さい。
サルブタモールとして、通常成人1回200μg(2吸入)を吸入して下さい。
サルブタモールとして、小児1回100μg(1吸入)を吸入して下さい。
年齢や症状によって、適宜増減して下さい。

・使用上の注意点
使用者または保護者は、サルブタモールの過剰使用により、不整脈、心停止等の重篤な副作用が発現する危険性があることを理解して下さい。
・成人1回2吸入、小児1回1吸入の用法・用量を守ること。
通常3時間以上効果が持続するので、その間は次の吸入を行わないこと。
・1日4回(原則として、成人8吸入、小児4吸入)までとすること。

副作用

▼サルブタモールの副作用
▼過敏症
そう痒感/血管浮腫/発疹/血圧低下/蕁麻疹
▼循環器
心悸亢進/脈拍増加/不整脈/血圧変動
▼精神神経系
頭痛/振戦/睡眠障害/めまい/眠気/興奮/脱力感/下肢疼痛/落ち着かない
▼消化器
食欲不振/悪心/嘔吐
▼呼吸器
気道刺激症状/気管支痙攣
▼その他
口渇/湿疹/口内炎/発汗/潮紅/浮腫/筋痙攣など

サルブタモールには、副作用が起こる可能性があります。
副作用の出方は、個人差や服用量によっても違ってきます。
サルブタモールを安全に使用する為にも、医師や薬剤師に指示された用法・用量を守りましょう。

■サルブタモール副作用(重度)
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。

・重篤な血清カリウム値の低下
β2-刺激剤による血清カリウム値の低下作用は、キサンチン誘導体、ステロイド剤および利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意が必要です。
低酸素血症は、血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがあります。

重篤な副作用の発生率は低いですが、異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

【サルブタモールの副作用まとめ】
・アレルギーによる、むくみや蕁麻疹
・心拍数の増加により、動悸や血圧の上昇、不整脈など
・頭痛、不眠、めまい、眠気、発汗、興奮、脱力感、落ち着かないなどの精神神経系の症状
・食欲不振や、気持ち悪さや場合によっては嘔吐など
・気管支痙攣や気道刺激症状
・口渇や口内炎、むくみなど
用法用量を守り、医師の指示に従って正しく服用しましょう。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

▼サルブタモールが使用できない方

■サルブタモールを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
添加物にアレルギーをお持ちの方は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼サルブタモールの慎重投与が必要な方

■甲状腺機能亢進症の方
甲状腺機能亢進症が悪化するおそれがある為。

■高血圧症の方
サルブタモールには血圧上昇作用がある為。

■心疾患のある方
サルブタモールには心刺激作用がある為。

■糖尿病の方
血糖が上昇するおそれがある為。

■高齢者の方
一般に高齢者では生理機能が低下している為。

■妊娠中・授乳中の方
お腹の赤ちゃんに害を及ぼす可能性がある為、リスクを上回る有効性が無い場合、服用は控えて下さい。

■小児の方
使用方法を正しく指導し、注意して使用する事。

▼重要な基本的注意点
・使用方法を正しく理解し、過剰投与にならない事が確認されている場合に使用する事。
・過剰投与した場合、不整脈などにより心停止を起こす場合がある為、必ず適量を守る事。
・正しく使用しても効果が認められない場合は、過剰投与せずに直ちに適切な処置へ切り替える事。

【サルブタモールの使用に注意が必要な方、使用が出来ない方まとめ】
▼サルブタモールが使用できない方
・サルブタモールや医薬品の添加物にアレルギーをお持ちの方
▼サルブタモールの慎重投与が必要な方
・甲状腺機能亢進症の方
・高血圧症の方
・心疾患のある方
・糖尿病の方
・高齢者の方
・妊娠中・授乳中の方
・小児の方
上記にあてはまる方は、サルブタモールを使用する事が出来ない可能性があります。
サルブタモールを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

▼併用注意薬
下記薬剤と併用すると、薬剤の効果を低下させたり、強めたりする恐れがあります。
下記の医薬品と併用する場合は、事前に医師に相談して下さい。
▼カテコールアミン
・アドレナリン
・イソプレナリン など
アドレナリン作動性神経刺激の増大により、不整脈を起こす場合があります。
▼キサンチン誘導体
・テオフィリン
・ジプロフィリン など
アドレナリン作動性神経刺激の増大により、血清カリウム値の低下を増強する場合があります。
▼ステロイド剤
・プレドニゾロン
・ベタメタゾン など
▼利尿剤
・フロセミド
・ヒドロクロロチアジド など
尿細管でのカリウム排出促進作用、血清カリウム値の低下を増強する場合があります。

よくある質問
サルブタモールの錠剤と吸入の違いを教えて下さい

喘息の発作を抑えるために服用するのが錠剤タイプです。
喘息の発作が起こった場合、気道が細くなり塞がってしまうので、呼吸が苦しくなります。
そこで、吸入タイプをしようすると、短時間で気管支を拡張させる事から吸入タイプは緊急時に使用されます。

サルブタモールを使ってから3時間以内に連続して使用するとどうなりますか?

大変危険です。適量を超えた過剰摂取は絶対におやめ下さい。
サルブタモールの作用は、気管支拡張以外にも、心筋にも作用し心拍数を増加させます。
先に気管支拡張に作用し、さらに増量すると心筋にも作用する事になります。
サルブタモールを過剰摂取すると、心筋に作用してしまい、不整脈や心不全を引き起こす恐れがあります。
大変危険ですので、用法用量を必ず守ってご使用下さい。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。