成分名 |
アビラテロン酢酸エステル |
適応症状 |
去勢抵抗性前立腺癌
内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌 |
簡易説明 |
アビラテロン酢酸エステルは2022年7月現在ザイティガ錠のみ流通しています。この薬は前立腺がんの患者さんに対して処方されます。またこの薬は作用が強いことや、副作用が起こる可能性が高いことから、劇薬に指定されています。医師、薬剤師からの指示を必ず守り、ご不明な点があれば必ず確認するようにしてください。また、市場流通しているアビラテロン酢酸エステルの薬がザイティガ錠250mgの1種類のみなので、以下、ザイティガ錠と記載します。
ザイティガ錠は男性ホルモンが作られるのを抑える薬です。前立腺がんの治療では男性ホルモンの生成を抑える「ホルモン治療」が行われます。主に男性ホルモンは精巣から作られますが、副腎やがん組織内でも生成されており、それらの組織から生成される男性ホルモンの分泌を抑制することにより治療効果が期待されています。
ザイティガ錠の飲み方についてプレドニゾロンと一緒に服用するなど、注意点が多くあるので、毎回よく確認して服用するようにしてください。ザイティガ錠の飲み方について、詳しくは使用方法の項目をご覧ください。 |
処方可能な診療科目 |
泌尿器科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:約1,000~2,000円
ザイティガ錠1錠あたりの値段:3759.30円
※後発品はありません
病院によって差があり薬代のほかに、初診料・処置料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
製造販売承認年月日:2014年7月4日
製造販売一部変更承認年月日:2018年2月16日
薬価基準収載年月日:2014年9月2日
発売年月日:2014年9月2日 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリック(後発品)は存在しません |
関連製品(先発薬) |
ヤンセンファーマ株式会社
ザイティガ錠250mg |
関連製品(ジェネリック) |
ジェネリック(後発品)は存在しません |
効果・作用 |
●前立腺がんについて
前立腺がんは男性のみの起こる病気です。前立腺は膀胱から続く尿道の周りにあります。前立腺がんは基本的に進行が穏やかなため、早期発見で完治が期待出来ることもあります。自覚症状として、尿が出ずらい、頻尿、血尿、腰痛等がありますが、早期にはこれらの症状がほとんど出ないため、発見が遅れる原因となっています。ですから、定期的にがんの検査を含む健康診断を受けるようにしましょう。
前立腺がんの発生・増殖のメカニズムに大きくかかわるのが男性ホルモンです。男性ホルモンといってもいくつかの種類がありますが、それらの男性ホルモンを合わせてアンドロゲンと呼びます。アンドロゲンは約95%が精巣(睾丸、金玉)から分泌されています。そのほかにも副腎(腎臓のすぐ近くにある器官)、前立腺がんからも分泌されています。前立腺がんのがん細胞にはアンドロゲンと結合してがん細胞が増殖・活性化するアンドロゲン受容体があります。そのため前立腺がんの進行を抑えるためには、がん細胞にアンドロゲンが結合しないようにすることが重要です。
●前立腺がんの治療
早期の前立腺がんには主に手術、放射線療法、ホルモン治療が行われます。転移が確認されている時はホルモン治療を行います。ホルモン療法はアンドロゲンを除去する治療となります。昔はアンドロゲンを除去するために精巣を摘出する外科的去勢が行われていましたが、現在は精神的苦痛を伴うため、あまり行われていません。それに対して、薬によりアンドロゲンを除去することを内科的去勢と呼びます。
●効果・作用機序
この薬の効果には
・去勢抵抗性前立腺癌
・内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌
と書かれています。
去勢抵抗性前立腺がんとは、上記にある内科的去勢によるホルモン治療の薬が効かなくなった状態の前立腺がんのことをさします。ザイティガ錠はアンドロゲンを合成する途中にあるCYP17という物質を特異的に阻害する作用をもちます。CYP17が阻害されることにより、アンドロゲンの合成が阻害され、その結果、前立腺がんのがん細胞の増殖が抑制されると考えられています。また、CYP17を阻害する弊害として、糖質コルチコイドの一種である、コルチゾールという物質の生成を抑制してしまいます。糖質コルチコイドが減少すると鉱質コルチコイドという物質が増加します。鉱質コルチコイドが増加すると、高血圧・高カリウム血症・浮腫などの症状が発現します。そのため糖質コルチコイドを補充するプレドニゾロンとの併用が必要になります。
内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌とありますがこちらは最近効果が認められた症状になります。内分泌療法とはホルモン治療のことをさします。また、ハイリスク予後因子とは、以下の3つの予後因子のうち2つ以上認められた前立腺がんのことをさします。
1.Gleasonスコアが8以上
2.骨スキャンで3カ所以上の骨病変あり
3.内臓転移あり(リンパ節転移を除く)
※Gleasonスコアとは前立腺がんの悪性度を判定するものです。6以下だと進行が遅いもの。8以上は進行が速く悪性度が高いもの。7はその中間となります。
これらのハイリスク予後因子をもつ、ホルモン治療未治療の前立腺がんにも最近の臨床試験で効果が認められました。また去勢抵抗性前立腺がんにはこの薬をいきなり使用することはできませんが、ハイリスク予後因子を持つ前立腺がんには初回から使用することが出来ます。 |
使用方法 |
1日1回、通常1000mg(250mgが4錠)を必ず空腹時に服用してください。なおこの薬と一緒にプレドニゾロンという薬も併用します。この2つの服用タイミングはバラバラでも大丈夫です。また、プレドニゾロンの薬には複数の名前がありますので、もし分からなければ、医師・薬剤師にご確認ください。
●服用する上で注意していただきたいこと
・定期的に血圧測定・血液検査・体重の測定等を行ってください
・劇症肝炎が起こることがありますので、定期的に肝機能検査を実施してください。
・妊娠中のラットにこの薬を投与したところ、胎児の発育に影響を及ぼしたため、女性の服用は避けてください。
・精液中にこの薬の成分が含まれているかは不明ですが、妊娠の可能性のある女性と性行為を行う際、コンドーム、低用量ピル、子宮内避妊器具(IUD)などの、適切な避妊を行ってください。 |
副作用 |
主な副作用
疲労 、 高血圧 、 悪心 、 便秘 、 下痢 、 末梢性浮腫 、 ほてり 、 尿路感染 、 リンパ球減少症 、 白血球減少 、 副腎不全
重大な副作用
肝不全 、 肝機能障害 、 AST増加 、 ALT増加 、 低カリウム血症 、 痙攣 、 筋力低下 、 QT延長 、 Torsades de Pointes 、 不整脈 、 心不全 、 重篤な心障害 、 ビリルビン上昇 、 血小板減少 、 劇症肝炎 、 横紋筋融解症 、 筋肉痛 、 CK上昇 、 血中ミオグロビン上昇 、 尿中ミオグロビン上昇
その他の副作用
糖尿病 、 高脂血症 、 高アミラーゼ血症 、 脱水 、 低アルブミン血症 、 高カリウム血症 、 高マグネシウム血症 、 浮動性めまい 、 頭痛 、 味覚異常 、 眼精疲労 、 羞明 、 心房細動 、 頻脈 、 狭心症 、 徐脈 、 右脚ブロック 、 心室性頻脈 、 胸膜炎 、 嘔吐 、 消化不良 、 胃潰瘍 、 膵炎 、 ALP増加 、 LDH増加 、 骨折 、 骨粗鬆症 、 血尿 、 精巣上体炎 、 浮腫 、 顔面浮腫 、 倦怠感 、 体重増加 、 血中尿酸減少 、 高比重リポ蛋白増加 、 膵管内乳頭粘液性腫瘍 、 発熱性好中球減少症 、 アレルギー性胞隔炎 、 皮疹
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ・この薬の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・重度の肝機能障害の方(Child-PughスコアC)
使用に注意が必要な方 ・心血管疾患のある方
・低カリウム血症の方
・中等度肝機能障害の方(Child-PughスコアB)
・スピロノラクトンと併用の方
・高齢者の方
上記にあてはまる方は、アビラテロン酢酸エステルを使用する事が出来ない可能性があります。 アビラテロン酢酸エステルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・肝薬物代謝酵素CYP2D6で代謝される薬剤 血中濃度が上昇
・デキストロメトルファン 血中濃度が上昇
・プロパフェノン 血中濃度が上昇
・フレカイニド 血中濃度が上昇
・ハロペリドール 血中濃度が上昇
・肝薬物代謝酵素<CYP3A4>を誘導する薬剤 本剤の血漿中濃度が低下し本剤の有効性が減弱
・リファンピシン類 本剤の血漿中濃度が低下し本剤の有効性が減弱
・フェニトイン 本剤の血漿中濃度が低下し本剤の有効性が減弱
・カルバマゼピン 本剤の血漿中濃度が低下し本剤の有効性が減弱
・リファブチン 本剤の血漿中濃度が低下し本剤の有効性が減弱
・フェノバルビタール 本剤の血漿中濃度が低下し本剤の有効性が減弱
・低カリウム血症を起こす恐れがある薬剤 低カリウム血症が発現又は増悪
・ピオグリタゾン 血中濃度が上昇し低血糖
・レパグリニド 血中濃度が上昇し低血糖
・スピロノラクトン PSA上昇
上記を使用している方は、アビラテロン酢酸エステルを使用する事が出来ない可能性があります。 アビラテロン酢酸エステルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 該当なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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