成分名 |
パノビノスタット乳酸塩 |
適応症状 |
再発又は難治性の多発性骨髄腫など |
簡易説明 |
パノビノスタット乳酸塩は、白血病・リンパ腫・多発性骨髄腫などのがん化を促進させるヒストン脱アセチル化酵素のはたらきを
を阻害して、細胞周期停止や細胞のアポトーシスを誘導して抗腫瘍効果をあらわす薬剤です。
がん抑制遺伝子の発現を促進して、骨髄腫細胞の寿命を短くしたり、細胞の分裂を止めたりすることで抗腫瘍効果をあらわします。 |
処方可能な診療科目 |
内科/循環器科/神経内科/放射線科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約1000円~5000円程度
薬代1カプセルあたりの目安:10mg約37261円/15mg約55892円/
※病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要です。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
薬価基準収載年月 : 2015年8月
販売開始年月 : 2015年8月
国際誕生年月 : 2015年2月 |
国内のジェネリック認可 |
なし |
関連製品(先発薬) |
【製薬メーカー:ノバルティスファーマ】
ファリーダックカプセル10mg |
関連製品(ジェネリック) |
なし |
海外での使用実績 | パノビノスタット乳酸塩について、臨床的有効性を確認するためにアメリカ、ヨーロッパ、西太平洋諸国、アフリカ、地中海東岸、東南アジアで海外臨床試験を行っています。
本試験はスクリーニング期、治験治療はパノビノスタット、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンの3剤併用療法で、治療期、追跡調査期間より構成されて、治験治療は最大48週間実施されています。 |
効果・作用 |
パノビノスタット乳酸塩は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬です。
ヒストン脱アセチル化酵素の働きを阻害するはたらきによって、蛋白質のアセチル化レベルを上昇させます。
その結果として遺伝子転写が促進されて、がん抑制遺伝子の増加とともに抑制されていた腫瘍抑制因子が活性化して、細胞の分裂が停止して、細胞死の誘導を引き起こすなどして、腫瘍細胞の増殖を抑制します。
このような作用機序からヒストン脱アセチル化酵素阻害薬と呼ばれています。
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害して、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖します。
多発性骨髄腫は白血球の一つである形質細胞のがん化により症状があらわれる造血器腫瘍で、貧血・感染・骨折・腎障害などの症状があらわれます。
多発性骨髄腫細胞などでは、ヒストン脱アセチル化酵素という酵素の異常な活性化が認められて、この活性化によりがんの中でも特に白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍化が亢進するとされています。
本剤はHDACの活性を阻害することで、ヒストン及び非ヒストンタンパク質のアセチル化が促進し、細胞周期停止及び細胞のアポトーシス誘導がおこることで抗腫瘍効果をあらわします。 |
使用方法 |
・成人にはボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用において、パノビノスタットとして1日1回20mgを週3回、2週間(1日、3日、5日、8日、10日及び12日目)経口投与した後に9日間休薬(13日目~21日目)します。この3週間を1サイクルとして投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量します。 |
副作用 |
次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
重大な副作用
▼重度の下痢(18.9%)
重度の下痢があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察し、電解質異常、脱水等の異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼脱水症状(2.6%)
脱水症状があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼骨髄抑制
血小板減少症、貧血、好中球減少症があらわれることがあります。定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼出血
胃腸出血、肺出血等があらわれることがあります。定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼感染症
細菌、真菌、ウイルス又は原虫による重篤な感染症があらわれることがあります。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼QT間隔延長(1.3%)
QT間隔延長があらわれることがあります。定期的に心電図検査を行うなど、患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼心障害
頻脈性不整脈(心房細動、心室性頻脈、頻脈等)、心筋梗塞、心不全、狭心症等の心障害があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼肝機能障害(9.2%)
AST(GOT)、ALT(GPT)、総ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあります。定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼腎不全
腎不全等の腎機能障害があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察し、尿量減少、血清クレアチニンやBUNの上昇が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼静脈血栓塞栓症
肺塞栓症、深部静脈血栓症等の静脈血栓塞栓症があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼低血圧、起立性低血圧、失神、意識消失
低血圧、起立性低血圧、失神、意識消失があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察して異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
その他の副作用
腹痛/消化不良/無力症/末梢性浮腫/発熱/体重減少/B型肝炎/上気道感染/下気道感染/尿路感染/胃腸炎/敗血症性ショック/中耳炎/口腔ヘルペス/クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎/大腸炎/蜂巣炎/真菌性肺炎/甲状腺機能低下症/低アルブミン血症/低カルシウム血症/高血糖/低マグネシウム血症/高尿酸血症/体液貯留/不眠症/頭痛/振戦/頭蓋内出血/結膜出血/動悸/高血圧/血腫/出血性ショック/呼吸困難/咳嗽/鼻出血/呼吸不全/喀血/腹部膨満/口内乾燥/胃炎/鼓腸/口唇炎/消化器痛/吐血/発疹/紅斑/点状出血/関節腫脹/血尿/尿失禁/倦怠感/悪寒/血中クレアチニン増加/血中尿素増加/Al?P増加/ウイルス感染/アスペルギルス症/カンジダ症/徐脈/ラ音/喘鳴/血便排泄/皮膚病変/糸球体濾過率減少など
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用に注意が必要な方 ■血小板数減少のある患者又は抗凝固剤治療を受けている患者
血小板数減少のある患者又は抗凝固剤治療を受けている患者は出血のおそれがあります。十分に観察をしてから投与を慎重に行ってください。異常が確認された場合は、直ちに薬の使用を止めるなどの適切な処理を行ってください。
■感染症を合併している患者
感染症を合併している患者は、感染症が悪化するおそれがあります。十分に観察をしてから投与を慎重に行ってください。異常が確認された場合は、直ちに薬の使用を止めるなどの適切な処理を行ってください。
■QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者
QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者は、QT間隔延長が起こるおそれがあります。十分に観察をしてから投与を慎重に行ってください。異常が確認された場合は、直ちに薬の使用を止めるなどの適切な処理を行ってください。
■肝機能障害のある患者
肝機能障害のある患者は、血中濃度が上昇するおそれがあります。十分に観察をしてから投与を慎重に行ってください。異常が確認された場合は、直ちに薬の使用を止めるなどの適切な処理を行ってください。
■高齢者
高齢者は一般に生理機能が低下しています。十分に観察をしてから投与を慎重に行ってください。
■妊婦、産婦、授乳婦等
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
■小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は使用経験がないことから確立していません。
上記にあてはまる方は、パノビノスタット乳酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 パノビノスタット乳酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・強いCYP3A阻害剤
アゾール系抗真菌剤
(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ケトコナゾール※等)
リトナビル
サキナビル
クラリスロマイシン 等
・強いCYP3A誘導剤
リファンピシン
カルバマゼピン
フェノバルビタール
フェニトイン
リファブチン
セイヨウオトギリソウ〔St.John'sWort(セント・ジョーンズ・ワート)〕含有食品 等
・CYP2D6の基質
デキストロメトルファン
タモキシフェン
プロパフェノン
リスペリドン 等
・抗不整脈薬
アミオダロン
ジソピラミド
プロカインアミド
キニジン
ソタロール 等
・QT間隔を延長させることが知られている他の薬剤
クラリスロマイシン
メサドン
モキシフロキサシン
ベプリジル
ピモジド 等
・QT間隔を延長させることが知られている制吐剤
オンダンセトロン
トロピセトロン
上記を使用している方は、パノビノスタット乳酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 パノビノスタット乳酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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