塩化ラジウム(223Ra)

成分名

塩化ラジウム(223Ra)

適応症状

骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌

簡易説明

塩化ラジウム(223Ra)を主成分とする医療用の医薬品であるゾーフィゴ静注は骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対して効果を発現するα線放出放射性医薬品です。本剤ははCa類似体として骨代謝の亢進した骨転移部位に取り込まれ、高エネルギーのα線により、隣接する細胞において高頻度に腫瘍細胞のDNA二重鎖切断をもたらし、骨転移に対して抗腫瘍効果を発揮します。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/心臓内科外科/呼吸器内科外科/耳鼻咽喉科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1回分あたりの目安:1回約697,600円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

塩化ラジウム(223Ra)を主成分とするゾーフィゴ静注は、2016年3月28日に製造販売が承認され、2016年5月25日に薬価基準に収載、その後2016年6月1日に発売開始となりました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ゾーフィゴ静注【製薬メーカー:バイエル薬品株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

米国においてBayer HealthCare Pharmaceuticals Inc.(会社名)がXofigo(販売名)を2013年5月15日に承認を取得しました。欧州では、Bayer AG(会社名)がXofigo 1100kBq/mL solution for injection(販売名)を2013年11月13日に承認を取得しました。

効果・作用

塩化ラジウム(223Ra)は骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対して効果のある医薬品になります。

【作用機序】
塩化ラジウム(223Ra)の活性本体であるラジウム223は、カルシウムと同族のアルカリ土類金属である事から、カルシウムに類似した性質を有しており、骨転移巣の様に骨代謝が亢進している部位に集積する特性を有しており、高エネルギーのα線を放出する事によって近接する腫瘍細胞等に対してDNA二重鎖切断等を誘発し、骨転移に対して腫瘍細胞の増殖抑制作用を示します。
またα線の組織内飛程は100μm未満であり、周辺組織に対する放射線量は極めて限定的です。

【去勢抵抗性前立腺癌とは】
男性ホルモンの分泌を抑える治療(手術療法やホルモン療法)を実施しても病状が悪化する前立腺がんの事を「去勢抵抗性前立腺癌」と呼びます。
前立腺がんは、男性ホルモン(テストステロン)によって増殖する性質があります。男性ホルモンの分泌や働きを抑える事により、癌細胞の増殖を抑制する治療法がホルモン療法です。しかし一方で男性ホルモンが低下する事で、長く治療を行うと骨密度が低下する事があります。その結果骨粗鬆症になりやすく骨のケアも大切になります。
前立腺がんは、進行すると骨に転移しやすくなります。転移が起こりやすい部位としては、脊椎、肋骨、骨盤、大腿骨などから体の中止付近にある骨になります。
骨にがんが転移しても、初期では症状がほとんどない為気づきにくく見逃されがちです。しかし、骨転移が進行すると、癌細胞が骨の中にある神経を刺激したり、脊髄など周囲の組織を圧迫する事で、痛みやしびれ、麻痺等が起こりやすくなります。また転移した場所の骨がもろくなることで骨折しやすくなることもあります。更に、骨のカルシウムが血流に流れ出す「高カルシウム血症」が起こると、吐き気、倦怠感、食欲不振、多尿、意識障害等の症状が見られることもあります。

使用方法

通常、成人に使用する場合においては、1回1kgあたり55kBqを静脈内へ投与します。投与間隔は4週間毎に行い、最大6回まで使用が可能です。

【用法及び用量に関連する注意事項】
1)内科的又は外科的去勢術と併用しない場合、有効性及び安全性は未確立です。
2)塩化ラジウム投与により発生した副作用は、その重症度におけるグレードに応じて、投与の延期または投与の中止を判断します。
【副作用のグレードにおける投与の延期または中止の目安】
①副作用がグレード3以上(血小板減少、好中球減少、貧血):塩化ラジウム(223Ra)の投与を延期し、副作用がグレード2以下に回復するまで待ちます。投与延期した事で、グレード2以下まで回復が確認でき次第、再度あらめて投与を再開します。但し、前回投与から6週間以内にグレード2以下に回復しない場合は投与を中止します。
②副作用がグレード3以上(便秘、下痢、嘔吐、悪心):塩化ラジウム(223Ra)の投与を延期し、副作用がグレード2以下に回復するまで待ちます。投与延期した事で、グレード2以下まで回復が確認でき次第、再度あらめて投与を再開します。
③グレード4(その他の事象):本剤投与において副作用が7日を超えて持続する場合は、投与を中止します。
3)化学療法未治療で無症候性又は軽度症候性の骨転移のある去勢抵抗性前立腺がん患者に対する本剤とアビラテロン酢酸エステル(ザイティガ錠250mg/500mg)及び、プレドニゾロン(ソル・メドロール静注用40mg/125mg/500mg/1000mg)の併用投与は推奨されていません。

副作用

重大な副作用
1)骨髄抑制
好中球減少(3.9%)、血小板減少(7.4%)、貧血(19.3%)、白血球減少(3.2%)、リンパ球減少(2.0%)、汎血球減少(1.7%)等が現れる事があります。

その他の副作用
精神神経系、消化器、呼吸器、肝臓、筋・骨格系、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)精神神経系
浮動性眩暈、嗜眠、頭痛(1~5%未満)
2)消化器
悪心、下痢、嘔吐、食欲減退(5%以上)
便秘、腹痛(1~5%未満)
上腹部痛(1%未満)
3)呼吸器
呼吸困難(1~5%未満)
咳嗽(1%未満)
4)肝臓
AST上昇、γーGTP上昇(1%未満)
5)筋・骨格系
骨痛(5%以上)
関節痛(1~5%未満)
筋骨格痛(1%未満)
6)その他
疲労(5%以上)
発熱、体重減少、無力症、味覚異常、末梢性浮腫、脱水(1~5%未満)
全身健康状態低下、倦怠感、尿路感染、注射部位反応、悪寒(1%未満)

1%未満の全身健康状態低下等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
■塩化ラジウム(223Ra)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ゾーフィゴ静注はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ゾーフィゴ静注の有効成分
塩化ラジウム(223Ra)
▼代表薬の添加物
・塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム水和物、pH調整剤

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強する恐れがある為使用には注意が必要です。
②炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)の患者
主な排泄経路は糞中の為、症状を増悪させる恐れがある為使用には注意が必要です。
③脊髄圧迫のある患者又は脊髄圧迫の可能性のある患者
本剤投与前に適切な処置を行わなければならず使用には注意が必要です。
2)生殖能を有する者
①本剤は放射性医薬品である為、投与中及び投与後6ヶ月間は適切な避妊を行う様指導しなければならず使用には注意が必要です。
②生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、性腺に対する影響を考慮しなければならず使用には注意が必要です。
3)小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施しておらず使用には注意が必要です。
4)高齢者
一般的に高齢者では生理機能が低下している為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、塩化ラジウム(223Ra)を使用する事が出来ない可能性があります。
塩化ラジウム(223Ra)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

塩化ラジウム(223Ra)に関する
よくある質問
塩化ラジウム(223Ra)は一度の投与でどのくらい効果が持続しますか?

単回投与時における血中濃度の推移より、血中放射線濃度は投与直後に速やかに減少しました。また単回投与後の血液中放射能の薬物動態学的パラメータにおける消失半減期は18.8時間でした。
インタビューホーム 【バイエル薬品株式会社】

塩化ラジウム(223Ra)は骨以外において特異的な取り込みはありますか?

心臓、肝臓、腎臓、膀胱、脾臓等の臓器への特異的な取り込みは認められていません。
インタビューホーム 【バイエル薬品株式会社】

塩化ラジウム(223Ra)の排泄経路はどの様になりますか?

投与後のラジウム223の主要排泄経路は糞中排泄になります。
インタビューホーム 【バイエル薬品株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【バイエル薬品株式会社】

医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

適正使用ガイド 【バイエル薬品株式会社】

製品情報概要 【バイエル薬品株式会社】

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