成分名 |
塩酸ピラルビシン |
適応症状 |
下記疾患の自覚的症状および他覚的症状の寛解、改善
・尿路上皮がん(膀胱がん、腎盂・尿管腫瘍)、頭頸部がん、胃がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、悪性リンパ腫、急性白血病 |
簡易説明 |
塩酸ピラルビシンは胃がん、乳がんなどのがん種における自覚的症状および他覚的症状の緩解に用いられます。塩酸ピラルビシンはがん細胞へ取り込まれた後、核内に移行して核酸の合成を阻害することでがん細胞に障害を与えます。とくに細胞分裂G2期において、細胞回転を止めてがん細胞の増殖をブロックすると考えられています。 |
処方可能な診療科目 |
腫瘍内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:10mg約4,592円/20mg約8,868円/30mg約13,587円
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月:1988年6月(ピノルビン注射用10mg/20mg)、2016年12月(ピノルビン注射用30mg) |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ピノルビン注射用10mg/20mg/30mg【製薬メーカー:日本マイクロバイオファーマ】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
塩酸ピラルビシンは胃がん、乳がんなどのがん種における自覚的症状および他覚的症状の緩解に用いられます。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
がん細胞の増殖を阻害する薬には、化学療法薬、分子標的薬、内分泌療法薬など複数ありそれぞれ特徴が異なっています。塩酸ピラルビシンはがん細胞へすぐ取り込まれ、核内に移行して核酸の合成を阻害することでがん細胞に障害を与えます。具体的には細胞分裂G2期において、細胞回転を止めてがん細胞の増殖を阻害すると考えられています。 |
使用方法 |
<動脈内注射>
■頭頸部がん、膀胱がん
ピラルビシンとして、1日1回、10〜20mg(7〜14mg/体表面積m2)(力価)を連日または隔日に5〜10回投与します。
<静脈内注射のケース>
以下の通りそれぞれの治療方法を選択してください。
・悪性リンパ腫:I法またはIV法
・頭頸部がん:III法またはIV法
・卵巣がん、子宮がん:I法
・乳がん、胃がん:I法またはIII法
・尿路上皮がん:I法またはII法
・急性白血病:V法
■I法(3〜4週1回法):胃がん、乳がん、卵巣がん、尿路上皮がん、子宮がん、悪性リンパ腫
ピラルビシンとして、1日1回、40〜60mg(25〜40mg/体表面積m2)(力価)を投与して3〜4週間休薬します。これを1クールとして繰り返します。
■II法(3〜4週2回法):尿路上皮がん
ピラルビシンとして、1日1回、30〜40mg(20〜25mg/体表面積m2)(力価)を2日間連日で投与して3〜4週間休薬します。これを1クールとして繰り返します。
■III法(週1回法):頭頸部がん、乳がん、胃がん
ピラルビシンとして、1日1回、20〜40mg(14〜25mg/体表面積m2)(力価)を1週間間隔で2〜3回投与して3〜4週間休薬します。これを1クールとして繰り返します。
■IV法(連日法):頭頸部がん、悪性リンパ腫
ピラルビシンとして、1日1回、10〜20mg(7〜14mg/体表面積m2)(力価)を3〜5日間連日で投与して3〜4週間休薬します。これを1クールとして繰り返します。
■V法(連日法):急性白血病
ピラルビシンとして、1日1回、10〜30mg(7〜20mg/体表面積m2)(力価)を5日間連日投与します。その後、骨髄機能が回復するまでは休薬して投与を繰り返します。
<膀胱内注入>
■膀胱がん
カテーテルを用いて導尿します。その後ピラルビシンとして、1日1回、15〜30mg(力価)を500〜1,000マイクログラム(力価)/mLの溶液として週3回、各1〜2時間膀胱内把持します。これを1クールとして2〜3クール繰り返します。なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜増量、減量することができます。
<使用上の注意>
ピラルビシンとして10mg(力価)あたり5mL以上の5%ブドウ糖注射液、注射用水または生理食塩液を加えて溶解してください。 |
副作用 |
重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・心筋障害
※その他のアントラサイクリン系薬剤(エピルビシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、アクラルビシンなど)を使用した方への塩酸ピラルビシンの使用には十分注意してください。
※心筋障害、ひどい場合は心不全などが引き起こされる可能性があります。モニタリングを十分に行って異常が確認された場合には、休薬または投与中止を検討してください。
※総投与量が950mg/体表面積m2を超えると、うっ血性心不全の発現リスクが上昇するので、十分に注意してください。
・汎血球減少などの骨髄抑制
※貧血、汎血球減少、好中球の減少、白血球の減少、血小板の減少、出血傾向などが引き起こされる可能性があります。血液検査などによるモニタリングを十分に行って、異常が確認された場合には、減量や休薬などの処置を行ってください。
・ショック
※ショックが引き起こされる可能性があります。モニタリングを十分に行ってください。
・間質性肺炎
・萎縮膀胱
その他の副作用
次に挙げるような副作用が引き起こされる可能性があります。
・肝臓系: ALT(GPT)の異常、Al-Pの異常、AST(GOT)の異常、γ-GTPの異常、LDHの異常、総ビリルビンの上昇などの肝障害
・泌尿器系:排尿時の痛み、血尿
・心臓系:頻脈、心電図の異常、不整脈
・腎臓系:BUNの上昇、タンパク尿、クレアチニン上昇などの腎障害
・消化器系:軟便、悪心、吐き気、消化管出血、食欲不振、嘔吐、口内炎、下痢、腹痛、イレウス、便秘
・精神神経系:頭痛、全身のだるさ、しびれ、めまい、マヒ
・過敏症:発疹などの過敏症状、皮膚炎
・皮膚系:脱毛、色素沈着
・その他:電解質の異常、感染症、発熱、胸の痛み、むくみ、息切れ、動悸、血液中の総タンパク減少、味覚の異常、顔面潮紅、耳鳴り
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ・塩酸ピラルビシンを配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、ピノルビン注射用はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ピノルビン注射用の有効成分
塩酸ピラルビシン
▼代表薬の添加物
塩酸、マルトース水和物、pH調節剤
・心機能異常を患っている方またはその経験のある方
・その他のアントラサイクリン系薬剤などの心毒性を持っている薬剤による前治療が限界量(例:ドキソルビシン塩酸塩では総投与量が500mg/体表面積m2、ダウノルビシン塩酸塩では総投与量が25mg体重/kgなど)にすでに達している方
使用に注意が必要な方 ・水痘を患っている方
・骨髄抑制の状態にある方
・感染症を併発している方
・腎障害を患っている方
・肝障害を患っている方
・妊娠している方
※妊娠している方または妊娠している可能性のある方は、使用しないことが推奨されています。
※動物実験(ラット):胎児に対する毒性が確認されています。
・授乳している方
※授乳している方が使用する場合には、授乳を中止してください。
※動物実験(ラット):塩酸ピラルビシンの乳汁中への移行が確認されています。
・小児など
※小児などを対象としている安全性および有効性を指標とした臨床試験が実施されていません。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。
上記にあてはまる方は、塩酸ピラルビシンを使用する事が出来ない可能性があります。 塩酸ピラルビシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射
・抗悪性腫瘍剤、放射線照射
・アントラサイクリン系薬剤などの心毒性をもっているその他の抗悪性腫瘍剤
上記を使用している方は、塩酸ピラルビシンを使用する事が出来ない可能性があります。 塩酸ピラルビシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬はないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
塩酸ピラルビシンに関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ピノルビン注射用 【ピノルビン注射用 添付文書】 |
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