成分名 |
ルキソリチニブリン酸塩 |
適応症状 |
・骨髄線維症
・真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る) |
簡易説明 |
ルキソリチニブリン酸塩を主成分とするジャカビ錠(以下、本剤)はアメリカのIncyte社で開発されたチロシンキナーゼ阻害剤という抗体医薬品です。JAK(ヤヌスキナーゼ。ジャックと読みます)という血液成分(血球)の産生に関与する酵素を阻害することで血球の産生をコントロールするとともに病気の症状を改善する薬です。
この働きから本剤は骨髄繊維症(血球が造れなくなる病気)、真性多血症(血球を過剰産生する病気)の治療薬として2007年から臨床試験を開始し、2011年にアメリカで承認、2012年にヨーロッパで承認されました。日本国内では2014年に承認されました。 |
処方可能な診療科目 |
血液内科/腫瘍内科など |
健康保険の適応 |
骨髄繊維症、真性多血症(既存治療(*)本剤はが効果不十分又は不適当な場合に限る)
(*)真性多血症に対しては、ヒドロキシカルバミド(抗がん剤)による適切な治療を行っても効果が得られない、ヒドロキシカルバミドの使用が適切でない方に本剤が使用されます。 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安(*):105,530円(5㎎錠2錠×14日)~263,130円(5㎎錠1錠+10㎎錠2錠×14日)
薬代1錠あたりの目安:5㎎錠3,768.90円/10㎎錠7,513.20円
薬代後発品1錠あたりの目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要となる。
副作用の有無を確認するため、定期的に血液検査を行います。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なります。
骨髄繊維症は一部の自治体が独自で設定した指定難病となっていて、独自の助成金制度を設けている場合があります。
(*)本剤は処方日数の制限がありません。目安は14日分で計算しています。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:2014年9月2日 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ジャカビ錠5㎎、10㎎【製薬メーカー:ノバルティスファーマ株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 | 2020年12月現在、世界で100以上の国又は地域で使用されています。
日本国内と異なる剤形・規格、効能・効果で承認されている国又は地域
【アメリカ】
会社名:Incyte Corporation
販売名:JAKAFI
承認年月:2011年11月
剤形・規格:5㎎、10㎎、15㎎、20㎎、25㎎
効能・効果:骨髄繊維症、真性多血症、急性移植片対宿主病
【ヨーロッパ】
会社名:ノバルティスファーマ株式会社
販売名:Jakavi
承認年月:2012年8月
剤形・規格:5㎎、10㎎、15㎎、20㎎
効能効果:骨髄繊維症、真性多血症 |
効果・作用 |
骨髄繊維症は一言で言うと血球が造れなくなる病気、真性多血症は血球が過剰に造られる病気です。その血球の産生にはJAKが関与しています。
JAKは血球を造る細胞(造血幹細胞)に働きます。JAKに異常が生じると誤った指令が造血細胞に送られます。血球ではなくコラーゲン分泌細胞を増殖する指示になると「骨髄繊維症」、血球を造る指示が過剰になると「真性多血症」となります。
【骨髄繊維症】
本来、血球を細胞がある骨髄内に繊維質のコラーゲンが増えるので、血球の産生量が低下します。体内では代替措置として脾臓や肝臓で血球を造り始めますが、その結果、それらの臓器の負担が増えて腫れてしまい、お腹の張りや腹痛がおこります。
また、血球が少ないので、血球本来の作用(酸素運搬、免疫力、止血など)に支障が生じ、感染しやすくなったり、貧血症状、(出血傾向)あざができやすいなどがあらわれてきます。また進行すると白血病や重篤な感染症がおこる危険性があります。
このため、治療は①QOL(生活の質)の維持と②進行予防が重要となってきます。
国内の臨床試験:プラセボ(本剤未投与群)との比較試験
脾臓の容積縮小率:41.9%。プラセボ群(0.7%)と比較し、有意な改善がみられました。
全生存率には有意な改善が見られませんでした。
【真性多血症】
血球は血液内の固形成分ですので、増えすぎると血管がつまりやすくなり、血栓症がおこりやすくなります。その血栓ができる場所によって、脳梗塞や心筋梗塞に発展する可能性があります。また赤血球が分解されるとビリルビンという物質になりますが、このビリルビンにはかゆみを引き起こす働きがあります。また真性多血症はまれに白血病や骨髄繊維症に進展することもあります。
このため治療は、①血栓症の発症を抑える事と②QOLの維持となります。
ヒドロキシカルバミド無効例を対象とした臨床試験(国際共同試験:アメリカ、ヨーロッパなど計18か国)
他の治療方法(BAT)との奏功率(赤血球の割合と脾臓容積を基準としています)の比較
本剤群:奏功率22.7%(25/110)、BAT群:0.9%(1/112)で有意な治療効果が示されました。 |
新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して | 予防接種や治療を受ける時には、本剤を飲んでいることを必ず医師や薬剤師に伝えてください。
本剤は免疫の働きを低下させることがあり、感染症にかかるリスクや重症化するリスクが高まるおそれがあります。 |
使用方法 |
・骨髄繊維症
1日2回、5㎎(1錠)~25㎎(5錠*)を12時間ごとに飲みます。
・真性多血症
開始時は、1日2回、10㎎(2錠)を12時間ごとに飲みます。症状に応じて25㎎まで増量します。
(*)本剤には10㎎錠もありますが、5㎎錠の錠数で記載しています。 |
副作用 |
【重大な副作用と初期症状】
・骨髄抑制:赤血球、白血球、血小板などが造れなくなる):風邪症状、出血しやすい(あざ、歯磨き時等)、だるさ、息切れ等
血小板減少症(40.9%)、貧血(35.5%)、好中球減少症(4.3%)、汎血球減少症(頻度不明)
・感染症:風邪症状、肝炎ウイルス症状の悪化、帯状疱疹症状の悪化等
帯状疱疹(2.6%)、尿路感染症(1.9%)、結核(0.2%)
・進行性多巣性白質脳症(PML):意識障害、認知障害、麻痺、言語障害など
PML(頻度不明)
・出血:意識低下、吐き気等
脳内出血(0.2%)、胃腸出血(0.8%)、鼻出血(1.7%)、血尿(0.8%)
・間質性肺炎:咳、息切れ等
間質性肺炎(頻度不明)
・肝障害:疲れやすい、だるい、食欲不振等
AST上昇(3.2%)、ALT上昇(4.1%)
・心不全:息切れ、むくみ、疲れやすい等
重篤な心不全(0.6%)
その他の副作用
体重増加、下痢、疲労
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■妊婦または妊娠している可能性のある方は動物実験で胎児に異常がみられたため服用できません。
■ルキソリチニブリン酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ジャカビ錠はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ジャカビ錠の有効成分
ルキソリチニブリン酸塩
▼代表薬の添加物
・乳糖
・セルロース
・デンプングリコール酸ナトリウム
・ヒドロキシプロピルセルロース
・ポピドン
・無水ケイ酸
・ステアリン酸マグネシウム
使用に注意が必要な方 結核にかかった事がある方:結核が再発するおそれがあるため
感染症を合併している方:病状が悪化するおそれがあるため
B型肝炎ウィルスに感染している方:肝炎があらわれるおそれがあるため
腎機能障害、肝機能障害の方:本剤の作用が強くあらわれるおそれがあるため
妊娠が可能な方(避妊します):動物実験で胎児の異常がみられたため
授乳中の方:乳汁に移行するので、乳児に以上がみられるおそれがあるため
小児等:使用経験がありません
高齢者:血小板減少症、心不全等のリスクが高まるとの報告があります。
上記にあてはまる方は、ルキソリチニブリン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ルキソリチニブリン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 薬物代謝酵素(CYP3A4、CYP2C9)を阻害、誘導する薬:本剤の作用が弱まる恐れがあるため(誘導する薬の場合は本剤の作用が強くあらわれるおそれがあります)
・強力に阻害する薬
イトラコナゾール(抗真菌薬)、リトナビル(抗ウイルス薬)、クラリスロマイシン(抗菌薬)等
・CYP3A4、CYP2C9を阻害する薬剤
フルコナゾール(抗真菌薬)等
・CYP3A4を阻害する薬
エリスロマイシン、シプロフロキサシン(抗菌薬)、アタザナビル(抗ウイルス薬)、ジルチアゼム(不整脈治療薬)、シメチジン(胃酸抑制薬)等
・CYP3A4を誘導する薬
リファンピシン(抗菌薬)、フェイトニン(抗てんかん薬)、セイヨウオトギリソウ(市販のサプリメント)
ミダゾラム(鎮静薬)、経口避妊薬(エストラジオール):これらの薬剤の血中濃度が高くなったとの報告があります。
上記を使用している方は、ルキソリチニブリン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ルキソリチニブリン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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