レボホリナートカルシウム水和物

成分名

レボホリナートカルシウム水和物

適応症状

・レボホリナート・フルオロウラシル療法で使用する場合、手術不能もしくは再発した胃癌や結腸・直腸癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強

・レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法で使用する場合、結腸・直腸癌、小腸癌、治癒切除不能な膵癌や治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強

簡易説明

レボホリナート・フルオロウラシル療法は、薬剤レボホリナートが抗がん剤フルオロウラシルの効果を高める化学療法です。レボホリナートは、解毒薬ホリナートからd体を除いたもので、葉酸代謝拮抗剤メトトレキサートの毒性軽減や白血病治療に使用されます。一方、フルオロウラシルは、多くのがん種に効果があります。レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法は、両薬剤を持続静注で投与する方法で、結腸・直腸癌などに効果があるとされています。1999年にレボホリナート・フルオロウラシル療法が、2005年に持続静注併用療法が承認されました。さらに、膵癌や小腸癌にも効果が認められ、それぞれ2013年と2018年に承認されました。

処方可能な診療科目

消化器内科/外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
<先発品>
アイソボリン点滴静注用25mg1瓶763円(薬価)
アイソボリン点滴静注用100mg1瓶2541円(薬価)

<後発品>
25mg314円~/50mg1461円~/100mg1636円~

厚生労働省による認可、または発売年月日

1999年10月発売【アイソボリン点滴静注用25mg】
2016年10月発売【アイソボリン点滴静注用100mg】

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

アイソボリン点滴静注用25mg/100mg【製薬メーカー:ファイザー】

関連製品(ジェネリック)

レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「ヤクルト」【製薬メーカー:ヤクルト本社
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品】
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「NK」【製薬メーカー:高田製薬
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「NP」【製薬メーカー:ニプロ】
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「HK」【製薬メーカー:光製薬】
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「F」【製薬メーカー:富士製薬工場】
レボホリナート点滴静注用25mg/50mg/100mg「日医工」【製薬メーカー:日医工】
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「BT」【製薬メーカー:コーアバイオテックベイ】
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「オーハラ」【製薬メーカー:大原薬品工業】
レボホリナート点滴静注用25mg/100mg「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場】

海外での使用実績

フランスでは1992年から、イギリスでは1998年から販売されております。その他、ベルギーやカナダ、ドイツ、スペイン、オーストリアなどでも使用されています。

効果・作用

レボホリナートカルシウム水和物は、フルオロウラシルと併用することでがんの症状を抑制する働きを持っています。ロイコボリンという薬剤からd体を取り除いたものが本剤であり、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させます。フルオロウラシルはさまざまな癌腫に適応を取得しているため、本剤との併用療法も発売当初と比較し、適応が増加しています。

化学療法未治療の遠隔転移のある膵癌患者を対象とした海外第Ⅱ・Ⅲ相臨床試験を実施しています。FOLFIRINOX法群 とゲムシタビン 塩酸塩単独投与群で比較しました。
FOLFIRINOX法群 は1クールを2週間として第1日目にオキサリプラチン85mg/m2、ホリナート400mg/m2、イリノテカン塩酸塩水和物180mg/m2を点滴静注し、フルオロウラシル400mg/m2を早いスピードで静脈内投与、フルオロウラシル2400mg/m2を46時間かけて持続静注をしました。
一方、ゲムシタビン単独投与群は、1000mg/m2の週1回点滴投与を7週間連続継続し、8週目は休薬しました。その後、週1回点滴投与を3週連続投与し、4週目は休薬することを、4週間ごとに繰り返しました。
中間解析の結果は、127例のFOLFIRINOX法群の生存期間中央値が10.5カ月、128例のゲムシタビン単独投与群の生存期間中央値は6.9カ月で本剤の有効性が証明されました。

使用方法

【レボホリナート・フルオロウラシル療法の場合】
体表面積として1回250mg/m2を2時間かけて点滴静脈内注射します。点滴静脈内注射
開始1時間後にフルオロウラシルを1回600mg/m2を3分以内でゆっくり静脈内注射します。1週間ごとに6回繰り返し、2週間休薬します。これを1クールとしてください。

【結腸・直腸癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法の場合】
①体表面積として1回100mg/m2を2時間かけて点滴静脈内注射します。点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルを400mg/m2静脈内注射するとともに、フルオロウラシルを600mg/m2を22時間かけて持続静脈内注射します。これを2日間連続して行い、2週間ごとに繰り返します。
②体表面積として1回250mg/m2を2時間かけて点滴静脈内注射します。点滴静脈内注
射終了直後にフルオロウラシルとして2600mg/m2を24時間かけて持続的に静脈内注射します。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬します。これを1クールとしてください。
③体表面積として1回200mg/m2を2時間かけて点滴静脈内注射します。点滴静脈内注
射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静
脈内注射するとともに、フルオロウラシルを2400~3000mg/m2を46時間かけて持続的に静脈内注射します。これを2週間ごとに繰り返してください。

【小腸癌、治癒切除不能な膵癌及び治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法の場合】
体表面積として1回200mg/m2を2時間かけて点滴静脈内注射します。点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルを400mg/m2静脈内注射するとともに、2400mg/m2を46時間かけて持続的に静脈内注射します。これを2週間ごとに繰り返してください。

副作用

主に、食欲不振や嘔吐、AST/ALT上昇や脱毛、発熱などがあげられます。
項目別の発現頻度は以下の通りです。

消化器・・食欲不振/悪心・嘔吐(5%以上)、味覚異常/腹痛/心窩部痛/口渇/便秘/歯肉炎/口唇炎・口角炎/舌炎/腹部膨満感(0.1~5%未満)、下血(0.1%未満)、 胸やけ(頻度不明)
肝臓・・AST上昇/ALT上昇/ビリルビン上昇(5%以上)、Al-P上昇/LDH上昇(0.1~5%未満)
腎臓・・BUN上昇/クレアチニン上昇/蛋白尿/血尿(0.1~5%未満)、クレアチニンクリアランス低下(頻度不明)
精神神経系・・しびれ/めまい/末梢神経障害(0.1~5%未満)
皮膚・・色素沈着/脱毛(5%以上)、落屑/紅斑/表皮剥離/角化/そう痒感/爪の異常(0.1~5%未満)、浮腫/紅潮/光線過敏症/糜爛(0.1%未満)、水疱(頻度不明)
過敏症・・発疹(0.1~5%未満)
循環器・・胸痛(0.1~5%未満)、心電図異常(ST上昇/T逆転/不整脈等)(0.1%未満)、胸内苦悶(頻度不明)
眼・・流涙/眼充血/眼脂(0.1~5%未満)、結膜炎(0.1%未満)
その他・・発熱/低蛋白血症/低アルブミン血症(5%以上)、倦怠感/糖尿/頭重感/呼吸困難/顔面浮腫/手指の腫脹/鼻出血/筋肉痛/電解質異常(低ナトリウム血症/低カリウム血症/高カリウム血症/低クロール血症/高クロール血症/低カルシウム血症)/頭痛/白血球増多/CRP上昇/好酸球増多(0.1~5%未満)、耐糖能異常(頻度不明)

重大な副作用として、激しい下痢、骨髄抑制が5%以上認められていますので、注意をしてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■レボホリナートカルシウム水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼アイソボリンの有効成分
レボホリナートカルシウム水和物

▼代表薬の添加物
D‒マンニトール、pH調節剤

・以前、レボホリナートカルシウム水和物を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・重篤な骨髄抑制のある方は、症状が増悪し、重症感染症を起こすリスクがあるため使用できません。
・下痢のある方は、症状が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こす可能性があるため、使用できません。
・重篤な感染症を合併している方は、骨髄抑制によって、感染症が悪化するリスクがあるため使用できません。
・多量の腹水、胸水のある方は、重篤な副作用が発現するリスクがあるため使用できません。
・重篤な心疾患もしくは以前、かかったことのある方は、症状の増悪もしくは再発する可能性があるため、使用できません。
・全身状態が悪化している方は、重篤な副作用が発現するリスクがあります。
・テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の方や投与中止後7日以内の方は、重篤な血液障害等の副作用が出てしまう恐れがあるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・骨髄抑制のある方は、症状が増悪し、重症感染症を起こすリスクがあるため注意をしてください。
・感染症を合併している方は、骨髄抑制によって、感染症が悪化するリスクがあるため注意をしてください。
・心疾患もしくは以前、かかったことのある方は、症状の増悪もしくは再発する可能性があるため、注意をしてください。
・高度に進行した肝転移のある方は、血小板減少があらわれることがあるため注意をしてください。
・消化管潰瘍もしくは出血のある方は症状が悪化するリスクがあります。
・水痘患者は致命的な全身障害があらわれるおそれがあります。
・前に化学療法を受けていた方は、骨髄抑制等の副作用が強まるリスクがあります。
・腎機能障害のある方は副作用が強くあらわれるリスクがあります。
・肝機能障害のある方は副作用が強くあらわれるリスクがあります。
・生殖能を有する方
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性もしくは授乳婦
・小児
・高齢者

上記にあてはまる方は、レボホリナートカルシウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
レボホリナートカルシウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<フェニトイン>
構音障害、運動失調、意識障害等のフェニトイン中毒が起こる可能性があります。

<ワルファリンカリウム>
ワルファリンカリウムの作用が強まる可能性があります。

<他の化学療法、放射線治療>
血液障害、消化管障害等の副作用が増強することがあります。

<葉酸代謝拮抗剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム等)>
薬剤の作用が弱まってしまう可能性があります。

上記を使用している方は、レボホリナートカルシウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
レボホリナートカルシウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
<テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)>
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するリスクがあります。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

レボホリナートカルシウム水和物に関する
よくある質問
投与する際に気を付けることはありますか?

投与経路は必ず点滴静脈内投与としてください。皮下や筋肉内への注射は避けることとします。また、本剤は防腐剤を含んでいませんので、調製した後は必ず24時間以内に使用してください。

適用上の注意

【上記引用元:アイソボリン 医薬品インタビューフォーム】

本剤と葉酸を一緒に使用してもよいですか?

葉酸の投与によって、悪性貧血などの副作用がマスクされる可能性があるため、注意をして併用をしてください。

その他の注意

【上記引用元:アイソボリン 医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

アイソボリン 添付文書

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