ビンデシン硫酸塩

成分名

ビンデシン硫酸塩

適応症状

ビンデシン硫酸塩を主成分とする医薬品である注射用フィルデシン1mg/3mgの効能効果は、急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)、肺がん、悪性リンパ腫、食道がんなどの自覚的並びに他覚的症状の寛解に対して適応症を持ちます。

簡易説明

ビンデシン硫酸塩を主成分とする医薬品である注射用フィルデシン1mg/3mgは抗悪性腫瘍剤になります。ビンデシン硫酸塩はキョウチクトウ科植物Vinca rosea Linn.から抽出されたビンブラスチン硫酸塩を化学的に修飾して得らえた半合成ビンカアルカロイドになります。その作用機序はビンブラスチン硫酸塩同様細胞の有糸分裂の中期に作用する事で効果を発現すると考えられています。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/呼吸器内科外科/血液内科外科/消化器内科外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:1mg約4,000円/3mg約11,400円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ビンデシン硫酸塩を主成分とする医薬品である注射用フィルデシン1mg/3mgは1985年4月16日に製造販売が承認され、1985円7月29日に薬価基準に収載されました。その後1985年9月9日に販売が開始となりました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

注射用フィルデシン1mg/3mg【製薬メーカー:日医工株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

ドイツ、フランスなどで発売されています。

効果・作用

ビンデシン硫酸塩を主成分とする医薬品である注射用フィルデシン1mg/3mgの効能効果は、急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)、肺がん、悪性リンパ腫、食道がんなどの自覚的並びに他覚的症状の寛解に対して効果のある医薬品になります。

【作用機序】
細胞毒性発現に関する作用機序の詳細はまだ明らかではありません。細胞分裂に必要な微小管あるいはその構成蛋白であるチュブリンの合成を阻害してがん細胞の分裂に選択的に作用する事で癌細胞の増殖を抑えます。

【薬効を裏付ける試験成績】
1)抗腫瘍作用
①動物実験に対する効果
p388白血病、ヒト由来T-ALL、B-ALL等に対して優れた抗腫瘍作用を示しました。
②細胞学的効果
細胞の有糸分裂の中期に作用して細胞分裂を中期にて停止させることで、細胞周期のG2+M期に細胞を蓄積させました。

【血管への影響】
点滴用の抗がん剤であるビンデシン硫酸塩は、一般に前腕の静脈から投与されます。ビンデシン硫酸塩は刺激の強い包であり、時として投与時に血管痛を伴ったり、腕の血管を損傷する事があります。
1)血管外漏出について
薬液が血管外に漏れる事を血管外漏出と言いますが、抗がん剤の血管外漏出は炎症を起こすなど、酷い痛みを伴う場合もあります。
2)壊死について
細胞が死んで機能しなくなることを壊死と言います。ビンデシン硫酸塩が血管外漏出を起こすと、周辺組織に壊死を引き起こします。壊死を起こすと火傷の様な酷い痛みを伴うだけでなく、なかなか治らない潰瘍を形成したりします。

使用方法

【急性白血病、悪性リンパ腫】
ビンデシン硫酸塩として、通常成人に投与する場合には1回3mg(0.06mg/kg)、また小児に投与する場合には1回0.07~0.1mg/kgを1週間間隔で静脈内に注射を行います。
なお、患者の年齢及び症状によって適宜増減する事が認められています。

【肺がん、食道がん】
ビンデシン硫酸塩として、通常成人に投与する場合には1回3~4.5mg(0.06~0.09mg/kg)を1週間間隔で静脈内に注射を行います。
なお、患者の年齢及び症状によって適宜増減する事が認められています。

副作用

重大な副作用
1)骨髄抑制
汎血球減少(頻度不明)、貧血(頻度不明)、白血球減少(46.1%)、血小板減少(11.3%)、また出血(0.4%)等が現れる事があります。
2)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(0.1%)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群が現れる事があります。
3)麻痺性イレウス(頻度不明)、消化管出血(0.1%)
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来すことがあります。
4)間質性肺炎(0.1%)
5)心筋虚血(頻度不明)
心筋梗塞、狭心症が現れる事があります。
6)脳梗塞(頻度不明)
7)神経麻痺(頻度不明)、痙攣(0.1%)、聴覚異常(0.1%)、筋力低下(起立障害、歩行障害、階段昇降障害、手指運動障害等)(頻度不明)、、知覚異常(14.7%)、末梢神経障害(4.3%)
8)アナフィラキシー(頻度不明)
蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等が現れる事があります。

その他の副作用
消化器、肝臓、腎臓、過敏症、皮膚、精神神経系、神経・筋症状、呼吸器、循環器、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)循環器
食欲不振(13.9%)、悪心・嘔吐(11.2%)
腹痛、下痢、味覚低下(0.1~5未満)
味覚異常等(0.1%未満)
口内炎、便秘(頻度不明)
2)肝臓
AST上昇(14.7%)、ALT上昇(23.9%)、AlーP上昇(13.3%)等
黄疸(0.1~5%未満)
3)腎臓
蛋白尿(0.1~5%未満)
BUN上昇、クレアチニン上昇等
4)過敏症
発疹等(頻度不明)
5)皮膚
脱毛(25.6%)等
6)精神神経系
倦怠感、脱力感、複視、眩暈、抑うつ、振戦、失神、頭痛等(0.1~5%未満)
7)神経・筋症状
痺れ感(13.0%)
深部腱反射減弱、疼痛、筋痛、顎痛、排尿障害、尿閉等(0.1~5%未満)
8)呼吸器
息切れ、気管支痙攣(頻度不明)
9)循環器
狭心症発作様の症状(胸部痛、息切れ、発汗亢進)、不整脈、心電図異常等(0.1~5%未満)
10)その他
悪寒、発熱、静脈炎等(頻度不明)

頻度不明の発疹等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
■ビンデシン硫酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、注射用フィルデシン1mg/3mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼注射用フィルデシン1mg/3mgの有効成分
ビンデシン硫酸塩
▼代表薬の添加物
・D-マンニトール、水酸化ナトリウム、硫酸
2)髄腔内

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増悪する恐れがある為使用には注意が必要です。
②感染症を合併している患者
骨髄抑制作用により、感染症が増悪する恐れがある為使用には注意が必要です。
③神経・筋疾患の既往歴のある患者
末梢神経障害・筋力低下が強く現れる事がある為使用には注意が必要です。
④虚血性心疾患のある患者
心筋虚血症状が強く現れる事がある為使用には注意が必要です。
⑤水痘患者
致命的な全身障害が現れる事がある為使用には注意が必要です。
2)腎機能障害患者
腎障害が増悪する恐れがある為使用には注意が必要です。
3)肝機能障害患者
本剤の排泄が遅延し、血中濃度の上昇に伴い、副作用発現の可能性が高くなるため使用には注意が必要です。
4)生殖能を有する者
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、性腺に対する影響を考慮しなければならず使用には注意が必要です。
5)妊婦
動物実験において催奇形性が報告されている為使用には注意が必要です。
6)授乳婦
糖物実験において乳汁中への移行が報告されている為使用には注意が必要です。
7)小児等
小児等に投与する場合には副作用の発現に特に注意が必要です。
8)高齢者
一般的に生理機能が低下している為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、ビンデシン硫酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ビンデシン硫酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)他の抗悪性腫瘍剤
骨髄抑制等の副作用が増強する事がある為使用には注意が必要です。
2)放射線照射
骨髄抑制等の副作用が増強する事がある為使用には注意が必要です。
3)マイトマイシンC
息切れ及び気管支痙攣が発現しやすいとの報告がある為併用には注意が必要です。
4)アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)
本剤の筋神経系の副作用が増強するとの報告がある為併用には注意が必要です。
5)フェニトイン
フェニトインの血中濃度が低下し、痙攣が増悪するとの報告がある為使用には注意が必要です。

上記を使用している方は、ビンデシン硫酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ビンデシン硫酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ビンデシン硫酸塩に関する
よくある質問
ビンデシン硫酸塩を投与した場合の血中濃度はどの様になりますか?

ビンデシン硫酸塩を静脈内に投与した場合、血中濃度の推移は2相性を示し、β相の半減期は22~29時間でした。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

ビンデシン硫酸塩を投与した場合、代謝に関与する酵素は何ですか?

ビンデシン硫酸塩の代謝には肝代謝酵素CYP3Aが関与すると報告されています。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

ビンデシン硫酸塩投与時における副作用の口内炎の機序は明らかにされていますか?

口腔内粘膜にフリーラジカルが発生し、粘膜組織破壊を起こします。また、白血球低下による局所感染症に起因すると言われています。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【日医工株式会社】

医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

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