ボリノスタット

成分名

ボリノスタット

適応症状

皮膚T細胞性リンパ腫など

簡易説明

ボリノスタットは、白血病やリンパ腫などのがん化を促進する酵素であるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害する働きがあります。
分化やアポトーシスなどを誘導することで抗腫瘍効果をあらわす薬で皮膚T細胞性リンパ腫の治療に用いられます。
日本では、MSDがゾリンザの商品名で販売しています。2022年9月時点ではジェネリック(後発薬)は販売されていません。
大鵬薬品工業株式会社がMSDから2011年7月に製造販売承認を取得して生産しています。

処方可能な診療科目

内科/循環器科/脳神経内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約1000円~5000円程度
薬代1カプセルあたりの目安:100mg約5723円
※病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

販売開始年月 : 2011年9月

アメリカ 2006年10月6日承認

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

【製薬メーカー:MSD】
ゾリンザカプセル100mg

関連製品(ジェネリック)

なし

海外での使用実績

・2006年10月6日にFood and Drug Administration(米国食品医薬品局)は、2種類の全身療法中または療法後に、疾患が進行あるいは持続、または再発した皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)患者の皮膚症状の治療に対して、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤であるボリノスタットを承認しました。

効果・作用

ボリノスタットは、白血病、リンパ腫などのがん化を促進する酵素(ヒストン脱アセチル化酵素:HDAC)を阻害するはたらきがあり、分化やアポトーシスなどを誘導することで抗腫瘍効果をあらわす薬です。
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返して正常な細胞を障害することから、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖して病気が進行します。
がんの中でも特に白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫などの腫瘍細胞でヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)とよばれる酵素の異常な活性化がみられることから、この活性化により腫瘍化が亢進するとされています。
また、皮膚などに生じる悪性リンパ腫の中に腫瘍の由来となる細胞がT細胞である皮膚T細胞性リンパ腫があります。
本剤は腫瘍細胞でヒストン脱アセチル化酵素(HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC6)の酵素活性を阻害することでヒストンなどのアセチル化が増加して、クロマチン構造(DNAとヒストンなどのタンパク質を含む構造)の弛緩などを介して、がん抑制遺伝子を含む遺伝子発現が増加します。
そして、分化やアポトーシスが誘導されて抗腫瘍効果をあらわすことから、主に皮膚T細胞性リンパ腫で用います。

使用方法

▼用法用量
・成人にはボリノスタットとして1日1回400mgを食後経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。

副作用

重大な副作用
▼肺塞栓症、深部静脈血栓症
肺塞栓症、深部静脈血栓症があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼血小板減少症
血小板減少症があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼貧血
貧血があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼脱水症状
脱水症状があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼高血糖
高血糖があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼腎不全
腎不全があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

その他の副作用
呼吸困難/咳嗽/下痢/悪心/口内乾燥/嘔吐/便秘/腹痛/上腹部痛/胃食道逆流性疾患/胃腸出血/ALT増加/AST増加/脱毛症/皮膚剥脱/多汗症/血中クレアチニン増加/蛋白尿/血尿/高マグネシウム血症/低カリウム血症/筋痙縮/味覚異常/疲労/悪寒/食欲不振/体重減少/味覚減退/発熱/胸痛/末梢性浮腫/冷感/血管神経性浮腫/憩室炎/溶血/虚血性脳卒中/低血圧/血管炎/喀血/嚥下障害/肝虚血/高ビリルビン血症/尿閉/低ナトリウム血症/腫瘍出血/霧視/難聴/無力症/高トリグリセリド血症/倦怠感

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ボリノスタットを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方は、ゾリンザにアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ゾリンザの有効成分
ボリノスタット
▼代表薬の添加物
結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム
カプセル本体:ゼラチン、酸化チタン

■重度の肝障害患者
重度の肝障害患者は副作用が強くあらわれるおそれがあることから使用できません。投与しないでください。

使用に注意が必要な方
■静脈血栓塞栓症を有する又は既往歴のある患者
静脈血栓塞栓症を有する又は既往歴のある患者は、肺塞栓症、深部静脈血栓症が発現、悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■糖尿病又はその疑いのある患者
糖尿病又はその疑いのある患者は、糖尿病が悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■肝機能障害患者
肝機能障害患者は、本剤の血清中濃度が上昇するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■軽度及び中等度の肝障害患者
軽度の肝障害患者に対する最大耐用量は300mg、中等度の肝障害患者に対する最大耐用量は200mgであることが確認されています。慎重に投与してください。

■生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には本剤投与中は妊娠しないよう指導してください。

■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。やむを得ず投与する場合には、本剤投与によるリスクについて患者に十分説明してください。

■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続又は中止を検討してください。本剤がヒト乳汁中へ移行するかは不明です。

■小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していません。

■高齢者
高齢者は生理機能が低下していることが多いことから、観察を十分に行い慎重に投与してください。

上記にあてはまる方は、ボリノスタットを使用する事が出来ない可能性があります。
ボリノスタットを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・クマリン系抗凝血剤:
 ワルファリン
・バルプロ酸

上記を使用している方は、ボリノスタットを使用する事が出来ない可能性があります。
ボリノスタットを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ボリノスタットは新しいタイプの薬と聞きましたが、効果は期待できますか?

ボリノスタットは治療が難しい皮膚T細胞性リンパ腫に対し一定の効果が期待できる薬で、おおよそ3割くらいの人に有効で、皮膚症状の軽減がみこまれます。

ボリノスタットはどなたにでも使える薬ですか?

いいえ。ボリノスタットは重い肝臓病のある人は使用できないことがあります。また、静脈血栓塞栓症や糖尿病のある人は、病状の悪化に注意するなど慎重に用いる必要があります。ご自身が使用できるかは担当医にご相談ください。

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