エリブリンメシル酸塩

成分名

エリブリンメシル酸塩

適応症状

手術不能または再発の乳がん、悪性軟部腫瘍

<適応症状における注意>
■手術不能または再発の乳がん
・エリブリンメシル酸塩の手術前、手術後補助化学療法における安全性および有効性は確立されていません。
・エリブリンメシル酸塩の使用を行う場合、タキサン系抗悪性腫瘍剤およびアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法を施行した後の増悪ケースもしくは再発ケースを対象としてください。

■悪性軟部腫瘍
・エリブリンメシル酸塩の化学療法未治療ケースにおける安全性および有効性は確立されていません。
・添付文書の「17.臨床成績」を熟知し、エリブリンメシル酸塩剤の安全性および有効性を十分理解した上で使用してください。

簡易説明

エリブリンメシル酸塩は手術不能または再発の乳がん、悪性軟部腫瘍に用いられます。エリブリンメシル酸塩は、細胞内におけるチューブリンの重合を阻害することによって微小管の伸長を抑制し正常な紡錘体形成を妨害します。それにより細胞分裂のG2/M期において細胞分裂が停止し、アポトーシスによる細胞死が誘導され、結果としてがん細胞の増殖が抑制されます。

処方可能な診療科目

腫瘍内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:1mg約66,857円
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:2011年7月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ハラヴェン静注1mg(エーザイ)

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

エリブリンメシル酸塩は手術不能または再発の乳がん、悪性軟部腫瘍に用いられます。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
がん細胞の増殖を阻害する薬には、化学療法薬、分子標的薬、内分泌療法薬など複数ありそれぞれ特徴が異なっています。エリブリンメシル酸塩は、細胞内におけるチューブリンの重合を阻害することによって微小管の伸長プロセスを抑制し正常な紡錘体形成プログラムを妨害します。それによって細胞分裂のG2/M期において細胞分裂が停止し、アポトーシスによる細胞死が誘導されがん細胞の増殖が抑制されます。

使用方法

成人(15歳以上)のケース:エリブリンメシル酸塩として、1日1回1.4mg/体表面積m2を2〜5分間の時間をかけて、週1回の頻度で静脈内投与します。これを2週連続で行った後3週目は休薬してください。これを1サイクルとし、使用を繰り返していきます。なお、症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。

副作用

重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・骨髄抑制
※好中球減少、白血球減少などの異常が確認された場合、減量や休薬を行ってください。
・感染症(肺炎、敗血症など)
・末梢神経障害
・肝機能障害
・間質性肺炎
・皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑

その他の副作用
・消化器系:消化不良、腹痛、悪心、裂肛、口内炎、嘔吐、吐き気、便秘、口唇炎、口の感覚マヒ、歯の痛み、歯肉の痛み、膵炎、歯周炎、舌炎、舌苔、嚥下障害、腹部不快感、口腔内の乾燥感、胃腸粘膜障害、胃炎、肛門周囲の痛み、下痢、粘膜の炎症
・血液:血小板の増加
・精神神経系:頭痛、味覚の異常、めまい、不眠症、不安、眠気、感覚マヒ、感覚障害
・皮膚系:発疹、脱毛症、湿疹、じんましん、光線過敏性反応、かゆみ、皮膚の乾燥感、皮膚筋炎
・循環器系:心電図QT延長、息切れ、血圧の上昇、動悸、頻脈、心室性期外収縮
・泌尿器系:排尿障害、血中クレアチニンの上昇、タンパク尿、尿意切迫感、BUN上昇、尿潜血、尿路感染、腎不全
・全身性の症状:むくみ、だるさ、発熱、倦怠感、無力症、疼痛、疲労感、インフルエンザ様疾患
・代謝系:血糖の低下、血中アルブミン低下、血中リン上昇、血中ナトリウム低下、食欲の減退、血中カリウム低下、血中カルシウム低下、総コレステロールの上昇、耐糖能異常、血中クロール低下、血中リン低下、総タンパク低下、血中トリグリセリド上昇
・呼吸器系:鼻漏、咳嗽、呼吸困難、鼻血、上気道炎、口腔咽頭痛、口腔咽頭不快感、胸膜炎、放射線性肺臓炎、肺塞栓症、発声障害、喀血、胸水
・筋骨格系:関節の痛み、筋肉痛、頸部痛、背部痛、四肢痛、鼡径部痛、筋けいれん、関節炎、変形性関節症、筋固縮、骨痛
・肝臓系: ALT上昇、AST上昇、Al-P上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇、γ-GTP上昇、脂肪肝
・感覚器系:眼の異常感、結膜炎、複視、眼痛、眼脂、眼乾燥、流涙増加、耳鳴、耳漏、白内障
・その他:注射部位漏出、CRP上昇、CK上昇、体重減少、注射部位反応、胸の痛み、過敏症、膣分泌物、口の渇き、血管炎、ほてり、出血、体重増加、不規則月経

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・エリブリンメシル酸塩を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、ハラヴェン静注はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ハラヴェン静注の有効成分
エリブリンメシル酸塩
▼代表薬の添加物
塩酸、無水エタノール、水酸化ナトリウム

・高度な骨髄抑制状態にある方
※骨髄抑制の悪化を引き起こす可能性があります。
・妊娠している方、または妊娠している可能性のある方

使用に注意が必要な方
・肝機能障害を患っている方
※エリブリンメシル酸塩のAUCが増加し、好中球減少の発現リスクが高くなる可能性があります。
・腎機能障害を患っている方
※エリブリンメシル酸塩のAUC増加が引き起こされる可能性があります。
・骨髄抑制状態にある方
・生殖能をもっている方
※性腺における影響を検討してください。
・授乳している方
※授乳しないことが推奨されています。
※エリブリンメシル酸塩が乳汁に移行するリスクがあり、乳児に重篤な副作用が引き起こされる可能性があります。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。
・小児など
※小児などを対象としている安全性および有効性を指標とした臨床試験が実施されていません。

上記にあてはまる方は、エリブリンメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
エリブリンメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・抗悪性腫瘍剤、放射線照射
※エリブリンメシル酸塩との併用によって骨髄抑制の増強が引き起こされる可能性があります。もし併用するケースでは、症状をよくモニタリングを十分に行って、異常が確認された場合には、減量や休薬などの適切な対応をとってください。

上記を使用している方は、エリブリンメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
エリブリンメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

エリブリンメシル酸塩に関する
よくある質問
エリブリンメシル酸塩をシリンジに入れた後はどのくらい安定しますか?

エリブリンメシル酸塩をシリンジに入れ、冷蔵で保存する場合は24時間以内、室温で保存する場合は6時間以内に使用してください。ハラヴェン静注 【ハラヴェン静注 添付文書】

エリブリンメシル酸塩の希釈に適する希釈液は何が該当しますか?

5%ブドウ糖注射液で希釈すると生成物が検出されてしまいます。したがって希釈する場合は日本薬局方生理食塩液を使用することが推奨されています。ハラヴェン静注 【ハラヴェン静注 添付文書】

参考元一覧

ハラヴェン静注 【ハラヴェン静注 添付文書】

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