キザルチニブ塩酸塩

成分名

キザルチニブ塩酸塩

適応症状

再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病

簡易説明

・受容体型チロシンキナーゼであるFLT3に対する選択的な低分子化合物となっております。
・腫瘍細胞の増殖に関与するタンパク質の働きをおさえる作用があり、主に白血病の治療に使用されます。
・白血病細胞の内側からFLT3-ITD遺伝子変異のあるFLT3受容体を選択的に妨害します。その結果、がんの増殖が抑えられ、急性骨髄性白血病の進行抑制効果を発揮します。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約10,000円~
薬代1錠あたりの目安:ヴァンフリタ錠17.7mg 20059.6円/錠【製薬メーカー:第一三共】
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

販売開始年月 : 2019年10月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ヴァンフリタ錠17.7mg/26.5mg【製薬メーカー:第一三共】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

・キザルチニブ塩酸塩は、受容体型チロシンキナーゼであるFLT3に対する選択的な低分子化合物となっております。FLT3は正常な「造血前駆細胞、骨髄系細胞、リンパ系細胞」に発現しており、細胞の生存、増殖、分化などに関係しております。
・AML患者さんにおいてFLT3は高発現しており、白血病細胞の生存や増殖に関係していると考えられます。
・FLT3遺伝子変異はAML患者さんの約30%に認められており、傍膜貫通領域の一部が重複して繰り返されるITD変異と、チロシンキナーゼ領域(TKD)の活性化ループ内で起こるアミノ酸残基の点突然変異や欠失変異の2種類が知られております。
・FLT3-ITD変異は、受容体型チロシンキナーゼ及びその下流シグナル伝達に活性化を引き起こすことにより、白血病細胞の恒常的な増殖をもたらします。
・キザルチニブ塩酸塩は、細胞膜を通過し、ITD変異を有するFLT3のアデノシン三リン酸(ATP)結合部位に高い親和性で非共有結合することで、FLT3の自己リン酸化を選択的に妨害し、それによりFLT3受容体下流のシグナル伝達が阻害され、AMLにおいてFLT3-ITD依存的な細胞増殖に対する妨害活性を有することで、抗腫瘍の働きを発揮します。また、キザルチニブ活性代謝物である「AC886」もキザルチニブと同様に高い選択性をもって、FLT3活性を阻害いたします。

使用方法

・成人は、1日1回26.5mgを2週間経口投与し、以降は1日1回53mgを経口投与すること
※患者の状態により適宜減量する
(用法/用量に関連する注意)
①他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有益性及び安全性は確立しておりません。
②投与開始前に心電図検査を実施してください。また、QTcF値が450msecを超えている場合、薬の投与はお控えください。また、投与を開始かして2週間後までで、QTcF値が450msecを超えた場合、薬の増量はしないでください。
③強い「CYP3A阻害剤」と併用する際には、減量基準を参考に考慮し、薬を1段階減量してください。(併用終了後、薬の量を減量前の投与量に戻してください)
④投与中に副作用があらわれた時は、以下を参考に「休薬・減量・中止」してください。
〈減量段階の目安として〉
・通常投与量⇒53mg
・1段階減量⇒26.5mg
・2段階減量⇒17.7mg
≪休薬・減量・中止の目安≫
1)QT間隔延長
①480msecを超え、500msec以下のQT間隔延長
a)53mgまたは、26.5mgを投与していた時は、1段階減量してください。QTcF値が450msec以下に回復した後は、副作用発現時の用量で再開可能となります
b)17.7mgを投与していた場合においては、服用を休み、2週間休薬後、QTcF値が450msec以下に回復しない時は、服用を中止してください。
②500msecを超えるQT間隔延長
a)服用を休み、QTcF値が450msec以下に回復後、1段階減量して薬の投与を再開できることとします。(※17.7mg投与していた場合、回復後には、同用量で再開できます)
b)2週間の休薬した後もQTcF値が450msec以下に快復しない場合は、薬の投与をただちに中止してください。
③生命を脅かす不整脈の症状、兆候をともなったQT間隔延長
薬の投与は中止
2)グレード3以上の非血液系副作用(QT間隔延長を除く)
①休薬をしてください。また「グレード1以下」に回復後には、投与量を1段階減量して再開できます。
②「グレード2以上」の副作用が2週間を超えても継続する際には、薬の投与をすぐ中止してください。
3)骨髄抑制(血小板数⇒1quizartinib_hydrochloride/mm3未満かつ、好中球数⇒1000/mm3未満)
①1段階減量または、休薬をし、数値が回復後は、副作用発現時の用量で再開できることとします。
②2週間を超えて継続する場合は、投与を中止してください。

副作用

主な副作用
キザルチニブ塩酸塩には、副作用が起こる可能性があります。
キザルチニブ塩酸塩を服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

発熱、発疹、味覚異常、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、口内炎、ALT増加、血中ビリルビン増加、AST増加

重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

リンパ球減少症、出血、QT間隔延長、敗血症、敗血症ショック、、肺臓炎、骨髄抑制、血小板減少症、好中球減少症、貧血、白血球減少症、肺炎、感染症、上気道感染、尿路感染、頭蓋内出血、発熱性好中球減少症、蜂巣炎、汎血球減少症、心筋梗塞、急性腎障害、間質性肺疾患心室性不整脈、Torsade de Pointes

その他の副作用
無力症、食欲減退、低カリウム血症、末梢性浮腫、急性熱性好中球性皮膚症、点状出血、消化不良、血中ALP増加、低マグネシウム血症、体重減少、鼻出血

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■キザルチニブ塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ヴァンフリタは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ヴァンフリタの有効成分
キザルチニブ塩酸塩
▼代表薬の添加物
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、タルク、トリアセチン、酸化チタン

・妊婦/産婦
・過敏症
・QTcF値が450msecを超えている

使用に注意が必要な方
・高齢者
・新生児(低出生体重児を含む)/乳児/幼児/小児
・低カリウム血症/低マグネシウム血症/電解質異常/QT間隔延長/重度肝機能障害/不整脈につながる心疾患/Child−Pugh分類C

上記にあてはまる方は、キザルチニブ塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
キザルチニブ塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含むもの

上記を使用している方は、キザルチニブ塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
キザルチニブ塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
強力なCYP3A阻害剤/イトラコナゾール/クラリスロマイシン/ボリコナゾール/CYP3A酵素誘導剤/リファンピシン類/フェニトイン/カルバマゼピン/QTを延長する薬剤/キニジン/プロカインアミドオンダンセトロン

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ヴァンフリタのQT間隔延長の発現機序を教えてください。

キザルチニブ塩酸塩によるQT間隔延長の詳細なメカニズムは不明となっております。

排泄部位、排泄率はどうなりますか?

健康被験者6例に14Cで標識したキザルチニブ53mgを単回経口投与した際、投与336時間後までに投与放射能の76%が糞中に、2%が尿中に排出されました。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。