成分名 |
ベネトクラクス |
適応症状 |
ベネトクラクスは条件付きで慢性リンパ性白血病と、急性骨髄性白血病に対して適応症を有しております。
条件として慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫も含む)は、再発又は難治性の疾病に限られます。 |
簡易説明 |
白血病は、血液細胞が骨髄で作られる過程で腫瘍化して、無制限に増加する病気です。種類は大きく4つに分けられます。①急性骨髄性白血病、②急性リンパ性白血病、③慢性骨髄性白血病、④慢性リンパ性白血病。この中でベネトクラクスが適応を持つ疾患は①と④になります。
ベネトクラクスはこれらの疾病に対してアポトーシス抑制タンパク質を選択的に阻害する事で効果を発揮します。 |
処方可能な診療科目 |
血液内科/内科/小児科/産婦人科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
■病院で処方してもらう時の費用目安
診察料などの目安 :約10,000円~
薬代1錠あたりの目安:10mg約870円/50mg約4000円/100mg約7600円/(薬価)
※病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2019年9月20日製造販売承認
2019年11月19日薬価基準収載
2019年11月27日販売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ベネクレクスタ錠10mg/50mg/100mg【製薬メーカー:アッヴィ合同会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
ベンクリクスト【製薬メーカー:Abbvie社】
ベンクレクスタ【製薬メーカー:Genentech社】 |
海外での使用実績 | CLL患者に対し2019年5月31日の時点で、米国及び欧州諸国を含む世界68ヵ国で承認されており、また、AML患者に対して2020年12月10日の時点で、米国を含む世界 25 ヵ国以上で承認されております。
米国
CLL:2016年4月、AML:2020年10月承認
VENCLEXTA(販売名)
欧州
2016年12月承認
Venclyxto(販売名) |
効果・作用 |
ベネトクラクスは再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)及び急性骨髄性白血病ににたいして効果のある医薬品になります。単剤投与ではなく必ずリイツキシマブ(遺伝子組み換え)、アザシチジン、シタラビンとの併用がなされます。
その作用機序は、ベネトクラクスはアポトーシス抑制タンパク質であるBCL-2を標的とし、選択的に阻害する低分子化合物になります。
アポトーシス抑制タンパク質であるBCL-2は、アポトーシス促進性タンパク質(BAX/BAK、BINなど)と相互作用する事で、アポトーシス抑制性に機能しています。
ベネトクラクスは、BCL-2と直接結合する事によりアポトーシス促進性タンパク質であるBAX/BAK、BIN等を遊離させ、オリゴマー化する事でミトコンドリア外膜に細孔を形成し、チロクロムCが流出する事によってカスパーゼが活性化し、その結果腫瘍細胞を速やかなアポトーシスに誘導する事により、抗腫瘍作用を示すと考えられております。
ベネトクラクスにおける治療目標はCLL細胞を減らし、それを維持できる状態にすることを目標に治療を行います。治療効果が認められる場合には、基本的に2年間はベネトクラクスによる治療を続けます。
治療を進める上で大切なことは副作用を発現させない事です。重大な副作用である腫瘍崩壊症候群を予防するために、ベネトクラクス服用開始の2~3日前から処方による高尿酸血症治療薬を服用します。またベネトクラクス服用中においては1日あたり1.5~2.0Lの水分を毎日摂取します。水分を多くとることで尿が薄められ尿酸が結晶化しにくくなります。電解質のバランスが崩れる事も予防します。定期的に血液検査も行い腎機能や血液検査値の変化などを確認しながら治療を進めます。 |
使用方法 |
【再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)】
リツキシマブ(遺伝子組み換え)(商品名:リツキサン点滴静注)を併用投与する事。また併用する時期としては維持投与期から開始する事とされております。
通常、成人においてはベネトクラクスを、5週間かけて漸増していきます。これを用量漸増期と呼びますが1週間毎に規定量を投与し維持量まで増量していきます。まず投与第1週目には20mgを、第2週目には50mgに増量し、第3週目には100mg、第4週目には200mg、そして第5週目に400mgまで増量していきます。投与方法としては1日1回食後に経口投与する事とされております。
その後、維持投与期においては、400mgを1日1回、食後で継続投与する事とされております。
なお、患者の状態によって適宜減量する事ができます。
【急性骨髄性白血病】
急性骨髄性白血病治療においては投与する注射の種類によりベネトクラクスの維持量が異なる為注意が必要です。
●アザシチジン(商品名:ビダーザ注射用100mg)を併用する場合:
通常、成人においてはベネトクラクスを、3日かけて漸増していきます。これを用量漸増期と呼びますが1日毎に規定量を投与し維持量まで増量していきます。まず投与1日目には100mgを、2日目には200mgに増量し、3日目に400mgまで増量していきます。投与方法としては1日1回食後に経口投与する事とされております。
その後、維持投与期においては、400mgを1日1回、食後で継続投与する事とされております。
なお、患者の状態によって適宜減量する事ができます。
●シタラビン(商品名:キロサイド注)少量療法併用する場合:
通常、成人においてはベネトクラクスを、4日かけて漸増していきます。これを用量漸増期と呼びますが1日毎に規定量を投与し維持量まで増量していきます。まず投与1日目には100mgを、2日目には200mgに増量し、3日目には400mg、そして4日目に600mgまで増量していきます。投与方法としては1日1回食後に経口投与する事とされております。
その後、維持投与期においては、600mgを1日1回、食後で継続投与する事とされております。
なお、患者の状態によっては適宜減量する |
副作用 |
重大な副作用
1)腫瘍崩壊症候群(2.7%)
腫瘍崩壊症候群とは:腫瘍細胞の崩壊に伴い、高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症、低カルシウム血症などを来す結果、急性腎不全、不整脈、けいれん、多臓器不全などを引き起こす緊急性を要する疾患になります。
2)骨髄抑制
好中球減少(44.2%)、貧血(15.7%)、血小板減少(27.7%)、発熱性好中球減少症(17.6%)等が現れる恐れがある為使用できません。
3)感染症(29.3%)
肺炎(11.0%)、敗血症(4.5%)等が現れる恐れがある為使用できません。
その他の副作用
消化器、一般・全身障害及び投与部位の状態、肝胆道系障害、代謝及び栄養障害、筋骨格系及び結合組織障害、神経系障害、腎及び尿路障害、呼吸器、胸郭及び縦隔障害、血管障害の副作用が挙げられます。
発生頻度は以下の通りです。
1)消化器
悪心(24.0%)、下痢(20.8%)、嘔吐(11.2%)
便秘・口内炎・腹痛(10%未満)
2)一般・全身障害及び投与部位の状態
疲労・無力感(10%未満)
3)肝胆道系障害
血中ビリルビン増加、胆嚢炎/胆石症(10%未満)
4)代謝及び栄養障害
食欲減退(10.1%)
体重減少、低カリウム血症(10%未満)
5)筋骨格系及び結合組織障害
関節痛(10%未満)
6)神経系障害
浮動性眩暈/失神、頭痛(10%未満)
7)腎及び尿路障害
血中クレアチニン増加(10%未満)
8)呼吸器、胸郭及び縦隔障害
呼吸困難(10%未満)
9)血管障害
出血、低血圧(10%未満)
特に重大な副作用である腫瘍崩壊症候群には注意が必要です。毎回血液検査を行い異常が認められた場合は速やかに投与を中止し適切な処置を行うようにしましょう。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■ベネトクラクスを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ベネクレクスタ錠10mg/50mg/100mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ベネクレクスタ錠10mg/50mg/100mgの有効成分
ベネトクラクス
▼代表薬の添加物
・コポリビドン、ポリソルベート80、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール4000、タルク、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄
2)再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)治療時において、用量漸増期に強いCYP3A阻害剤であるリトナビル、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、コビシスタット含有製剤を投与中の患者
使用に注意が必要な方 1)肝機能障害患者
①重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)の患者
血中濃度が上昇し、副作用が強く現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
2)生殖尿を有する者
妊娠可能な情勢に対しては、動物実験において胚・胎児毒性が認められていること、また生殖可能な年齢の男性においては、動物実験において精巣毒性が認められていることから使用には注意が必要です。
3)妊婦
動物実験において胚・胎児毒性が認められている為使用には注意が必用です。
4)授乳婦
動物実験において授乳中への移行が認められている為使用には注意が必用です。
5)小児等
小児等における使用は確立していないため使用には注意が必用です。
上記にあてはまる方は、ベネトクラクスを使用する事が出来ない可能性があります。 ベネトクラクスを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)<再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病>
強いCYP3A阻害剤:クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール等
これらの薬剤等がCYP3Aを阻害する事によって本剤の血中濃度が上昇し副作用が増強される恐れがある為使用には注意が必用です。
2)中等度のCYP3A阻害剤:エリスロマイシン、ジルチアゼム、フルコナゾール等
これらの薬剤等がCYP3Aを阻害する事によって本剤の血中濃度が上昇し副作用が増強される恐れがある為使用には注意が必用です。
3)グレープフルーツ含有食品
これらの薬剤等がCYP3Aを阻害する事によって本剤の血中濃度が上昇し副作用が増強される恐れがある為使用には注意が必用です。
4)強い又は中等度のCYP3A誘導剤:カルバマゼピン、リファンピシン、エファビレンツ等、セイヨウオトギリソウ含有食品
これらの薬剤等がCYP3Aを誘導する事により本剤の血中濃度が低下し効果が減弱する恐れがある為使用には注意が必用です。
5)生ワクチン又は弱毒生ワクチン
ワクチン接種に対する応答が不明且つ生ワクチンによる二次感染が否定できないため使用には注意が必用です。
6)ワルファリン
ワルファリンの作用が増強される恐れがある為使用には注意が必用です。
7)P-gp阻害剤:シクロスポリン、タクロリムス、リファンピシン等
これらの薬剤がP-gpを阻害する事によって、本剤の血中濃度が上昇し副作用が増強される恐れがある為使用には注意が必用です。
8)治療息の狭いP-gpの基質となる薬剤:ジゴキシン、エベロリムス、シロリムス等
これらの薬剤がP-gpを阻害する事によって、本剤の血中濃度が上昇し副作用が増強される恐れがある為使用には注意が必用です。
9)アジスロマイシン
本剤の効果が減弱する恐れがある為使用には注意が必用です。
上記を使用している方は、ベネトクラクスを使用する事が出来ない可能性があります。 ベネトクラクスを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 <再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期>
強いCYP3A阻害剤:リトナビル(ノービア)、クラリスロマイシン(クラリス)、イトラコナゾール(イトリゾール)、ボリコナゾール(ブイフェンド)、ポサコナゾール(ノクサフィル)、コビシスタット含有製剤(スタリビルド)
これらの薬剤がCYP3Aを阻害する事によって、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。その結果として腫瘍崩壊症候群の発現が増強される恐れがある為使用できません。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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