エピルビシン塩酸塩

成分名

エピルビシン塩酸塩

適応症状

・以下の悪性腫瘍に対するその他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
乳癌(手術可能例における手術前、あるいは手術後の化学療法)
・下記疾患の自覚的症状および他覚的症状の緩解
悪性リンパ腫、急性白血病、乳がん、胃がん、卵巣がん、肝がん、尿路上皮がん(腎盂・尿管腫瘍、膀胱がん)

簡易説明

エピルビシン塩酸塩は、悪性リンパ腫などの自覚的症状および他覚的症状の緩和に用いられます。エピルビシン塩酸塩はがん細胞のDNAと複合体を形成し、DNAポリメラーゼ反応やRNAポリメラーゼ反応を阻害し、DNAおよびRNAが生合成されるプロセスをブロックすることで効果を発揮します。また移植がんに広い抗がんスペクトルをもっています。

処方可能な診療科目

腫瘍内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:現在先発品の製造はありません。
薬代後発薬1瓶の目安:10mg約1,543円/50mg約7,424円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:2009年11月

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

現在先発品の製造はありません。

関連製品(ジェネリック)

エピルビシン塩酸塩注射用10mg/50mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】
エピルビシン塩酸塩注射用10mg/50mg「NK」【製薬メーカー:日本化薬】

効果・作用

エピルビシン塩酸塩は、悪性リンパ腫などの自覚的症状および他覚的症状の緩和に用いられます。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
がん細胞の増殖を阻害する薬には、化学療法薬、分子標的薬、内分泌療法薬など複数ありそれぞれ特徴が異なっています。エピルビシン塩酸塩はがん細胞のDNAと複合体を形成し、DNAポリメラーゼ反応およびRNAポリメラーゼ反応をブロックし、DNAやRNAが生合成されるプロセスを阻害することで効果を発揮します。また、移植がんに広い抗がんスペクトルをもっています。

使用方法

■乳がん(手術可能例における手術前、あるいは手術後の化学療法)に対するその他の抗悪性腫瘍剤との併用療法のケース
・シクロホスファミド水和物との併用:標準的なエピルビシン塩酸塩の使用量および使用方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/体表面積m2を約20mL程度の日局注射用水に溶かし、1日1回静脈内に投与した後、20日間休薬します。これを1クールとして通常4〜6クール反復します。
・フルオロウラシル、シクロホスファミド水和物との併用:標準的なエピルビシン塩酸塩の使用量および使用方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/体表面積m2を約20mL程度の日局注射用水に溶かし、1日1回静脈内に投与した後、20日間休薬します。これを1クールとして通常4〜6クール反復します。なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜増量、減量することができます。

■悪性リンパ腫のケース
エピルビシン塩酸塩として40〜60mg(力価)/体表面積m2を約20mL程度の日局注射用水に溶かし、1日1回静脈内に投与した後、3〜4週休薬します。これを1クールとして通常3〜4クール反復します。

■急性白血病のケース
エピルビシン塩酸塩として15mg(力価)/体表面積m2を約20mL程度の日局注射用水に溶かし、1日1回5〜7日間連日静脈内に投与した後、3週間休薬します。これを1クールとして症状に応じて2〜3クール反復します。

■肝癌のケース
エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)/体表面積m2を約20mL程度の日局注射用水に溶かし、肝動脈内に挿入したカテーテルから1日1回肝動脈内に投与した後、3〜4週休薬します。これを1クールとして通常3〜4クール反復します。

■卵巣がん、乳がん、尿路上皮がん(膀胱がん、腎盂・尿管腫瘍)、胃がんのケース
エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)/体表面積m2を約20mL程度の日局注射用水に溶かし、1日1回静脈内に投与した後、3〜4週休薬します。これを1クールとして通常3〜4クール反復します。

■膀胱がんのケース(表在性膀胱がんのみ)
エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)を30mL程度の日局生理食塩液に溶かし、1日1回3日間連日膀胱腔内に注入した後、4日間休薬します。これを1クールとして通常2〜4クール反復します。注入する際には、ネラトンカテーテルによって導尿し十分に膀胱腔内を何もない状態にした後、ネラトンカテーテルよりエピルビシン塩酸塩溶液を注入して1〜2時間膀胱腔内に把持します。なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜増量、減量することができます。

■肝がんに対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)のケース
エピルビシン塩酸塩10mg(力価)を基準として、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルを0.5〜2mLの比率で添加し、肝動脈内に挿入したカテーテルよって肝動脈内に注入します。エピルビシン塩酸塩の使用量は、1日60mg(力価)/体表面積m2としますが、病態によって適宜増減し、腫瘍血管に乳濁液が満たされた段階で終了してください。

<使用上の注意>
■肝がんに対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)のケース
・X線透視下においてエピルビシン塩酸塩の乳濁液を、時間をかけて投与してください。
・エピルビシン塩酸塩の再投与を行う場合、肝臓の機能回復状況などを鑑みて適切な使用間隔を検討してください。

副作用

重大な副作用
・間質性肺炎
※モニタリングを十分に行って、異常が確認された場合には使用を中止して副腎皮質ホルモン剤の使用などの適切な対応を行ってください。
・骨髄抑制
※貧血、汎血球の減少、好中球の減少、白血球の減少、血小板の減少、出血傾向が引き起こされる可能性があります。
・肝障害、胆道障害
※モニタリングを十分に行って、異常が確認された場合には使用を中止して副腎皮質ホルモン剤の使用などの適切な対応を行ってください。
・心筋障害
※モニタリングを十分に行って異常が確認された場合には、休薬もしくは使用を中止してください。
・アナフィラキシー、ショック
※モニタリングを十分に行って、血圧の低下、発赤、呼吸困難、意識低下などの異常が確認された場合には使用を中止して適切な対応を行ってください。
・萎縮膀胱
※モニタリングを十分に行って、異常が確認された場合には使用を中止して副腎皮質ホルモン剤の使用などの適切な対応を行ってください。
・十二指腸潰瘍、胃潰瘍、消化管出血
※モニタリングを十分に行って、異常が確認された場合には使用を中止して副腎皮質ホルモン剤の使用などの適切な対応を行ってください。

その他の副作用
次に挙げるような副作用が引き起こされる可能性があります。
・精神神経系:意識障害、だるさ、耳鳴、疼痛、しびれ、頭痛、耳痛、不眠、知覚異常
・呼吸器系:気胸、呼吸困難、血胸
・心臓系:心電図の異常、不整脈、頻脈、胸の痛み
・肝臓系:肝臓の機能異常(ALTの上昇、ASTの上昇など)
・消化器系:腹痛、悪心、食欲不振、嘔吐、口内炎、下痢、食道炎、胃炎
・皮膚系:脱毛、かゆみ、色素沈着
・腎臓系:腎臓の機能異常(BUNの上昇など)
・泌尿器系:膀胱炎、排尿時の痛み、血尿、頻尿、血尿
・過敏症:じんましん、発疹、紅斑、発赤
・注射の部位:静脈炎、静脈内投与による血管の痛み、血栓
・その他:悪寒、ほてり、発熱、血圧の低下、顔面のむくみ

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・エピルビシン塩酸塩を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、エピルビシン塩酸塩注射液「サワイ」はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼エピルビシン塩酸塩注射液「サワイ」の有効成分
エピルビシン塩酸塩
▼代表薬の添加物
乳糖水和物、パラオキシ安息香酸メチル

・心臓の機能異常を患っている方、またはその経験のある方
・ヨード系薬剤に対して過敏症の経験のある方(肝がんに対する肝動脈化学塞栓療法の場合)
・その他のアントラサイクリン系薬剤など心毒性のある薬剤によって前治療が限界量に到達している方

使用に注意が必要な方
・水痘を患っている方
・腎臓に障害のある方
・肝臓に障害のある方
・骨髄抑制を患っている方
・感染症を併発している方
・授乳している方
・妊娠している方
・小児など
・高齢者

上記にあてはまる方は、エピルビシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
エピルビシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・シメチジン
・パクリタキセル
・投与前における心臓部あるいは縦隔への放射線照射
・抗悪性腫瘍剤、放射線照射
・心毒性をもっていると考えられる抗悪性腫瘍剤(アントラサイクリン系薬剤など)

上記を使用している方は、エピルビシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
エピルビシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

エピルビシン塩酸塩に関する
よくある質問
エピルビシン塩酸塩の使用によって心臓へ影響が出始める目安量はありますか?

エピルビシン塩酸塩の総使用量が900mg/体表面積m2を超えるとうっ血性心不全が引き起こされる可能性が高くなると言われています。エピルビシン塩酸塩注射液「サワイ」 【エピルビシン塩酸塩注射液「サワイ」 添付文書】

小児においてとくに起こりやすい副作用はありますか?

小児での副作用は、白血球減少、食欲不振、悪心などがとくに報告されています。エピルビシン塩酸塩注射液「サワイ」 【エピルビシン塩酸塩注射液「サワイ」 添付文書】

参考元一覧

エピルビシン塩酸塩注射液「サワイ」 【エピルビシン塩酸塩注射液「サワイ」 添付文書】
医薬品マスター検索 【診療報酬情報提供サービス】

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