成分名 |
パニツムマブ(遺伝子組換え) |
適応症状 |
KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸がん、直腸がん
<適応症状における注意>
・手術後の補助化学療法としてパニツムマブ(遺伝子組換え)を投与したケースでの安全性および有効性は確立されていません。
・RAS(KRASおよびNRAS)遺伝子の変異があるかどうかを考慮して、適応患者さんの選定を行ってください。
・パニツムマブ(遺伝子組換え)の安全性および有効性を熟知し、十分に理解した上で、適応患者さんの選定を行ってください。 |
簡易説明 |
パニツムマブ(遺伝子組換え)はKRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸がん、直腸がんに用いられます。パニツムマブ(遺伝子組換え)はヒトEGFRが発現している細胞のEGFRに結合し、EGFRがリガンドに結合する過程を阻害、およびEGFRの内在化を誘導することで効果を発揮します。なお、パニツムマブ(遺伝子組換え)はKRAS遺伝子野生型にのみ効果を発揮します。 |
処方可能な診療科目 |
腫瘍内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:100mg約79,154円/400mg約301,476円
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月: 2010年6月(ベクティビックス点滴静注100mg)、2011年9月(ベクティビックス点滴静注400mg) |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ベクティビックス点滴静注100mg/400mg(武田薬品工業) |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
パニツムマブ(遺伝子組換え)はKRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸がん、直腸がんに用いられます。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
がん細胞の増殖を阻害する薬には、化学療法薬、分子標的薬、内分泌療法薬など複数ありそれぞれ特徴が異なっています。パニツムマブ(遺伝子組換え)はヒトEGFRが発現している細胞のEGFRに対して選択的かつ高親和性に結合し、EGFRに対するリガンドの結合のブロック、およびEGFRの内在化を誘導することで効果を発揮します。なお、パニツムマブ(遺伝子組換え)はKRAS遺伝子野生型にのみ効果を発揮しますので遺伝子タイプの確認は非常に重要となります。 |
使用方法 |
成人(15歳以上)のケース:パニツムマブ(遺伝子組換え)として1回6mg/体重kgを60分以上の時間をかけて2週間に1回点滴静注します。なお症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。
<使用上の注意>
・パニツムマブ(遺伝子組換え)と並行して使用するその他の抗悪性腫瘍剤は、添付文書における「17.臨床成績」および「15.その他の注意」の内容を熟知したうえで選定してください。
・Grade3以上の重度の皮膚障害が引き起こされたケースでは、以下の通り対応してください。
┗皮膚障害発症時のパニツムマブ(遺伝子組換え)の使用量(6mg/体重kg):投与延期
┗皮膚障害発症時のパニツムマブ(遺伝子組換え)の使用量(4.8mg/体重kg):投与延期
┗皮膚障害発症時のパニツムマブ(遺伝子組換え)の使用量(3.6mg/体重kg):投与中止
・Grade3以上の重度のInfusion reactionが引き起こされたケースでは、パニツムマブ(遺伝子組換え)の使用を中止し、それ以降パニツムマブ(遺伝子組換え)を再投与しないでください。
・Grade2以下のInfusion reactionが引き起こされたケースでは、投与スピードを落として慎重に使用してください。
・パニツムマブ(遺伝子組換え)の1回使用量として1,000mgを超えるようなケースでは、日局生理食塩液で約150mLに希釈して、90分以上の時間をかけて点滴静注してください。 |
副作用 |
重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)
・低マグネシウム血症
※低マグネシウム血症に続発する低カリウム血症、低カルシウム血症などの電解質異常が確認される場合は、とくにそれらの症状が重篤化する可能性があります。
・間質性肺疾患(肺浸潤、肺線維症、間質性肺炎、肺臓炎)
※異常が確認された場合は、パニツムマブ(遺伝子組換え)の使用を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与などの適切な処置を行ってください。
・重度のInfusion reaction
※血管浮腫、アナフィラキシー様症状、発熱、気管支けいれん、悪寒、呼吸困難、血圧の低下などが引き起こされる可能性があるので、万が一それらを確認した場合、パニツムマブ(遺伝子組換え)の使用を中止し、副腎皮質ステロイド剤、アドレナリン、抗ヒスタミン剤などによる薬物療法を行うとともに、それ以降はパニツムマブ(遺伝子組換え)を再投与しないでください。
・重度の皮膚障害
※重度の皮膚症状に続発する炎症または感染性(壊死性筋膜炎、蜂巣炎、敗血症など)の発症に十分注意してください。
・重度の下痢
※重度の下痢およびそれにともなう脱水が引き起こされる可能性があります。下痢および脱水によって急性腎障害を引き起こしたケースも確認されているので、上記症状を確認した場合、ロペラミドなどの止瀉薬の投与、補液などの適切な処置を行ってください。
その他の副作用
・消化器系:下痢、口内炎、悪心、口腔内の乾燥、くちびるのひび割れ、くちびるの炎症、嘔吐、便秘
・精神、神経系:頭痛、味覚の異常
・呼吸器系:咳嗽、鼻血、鼻腔内の乾燥、呼吸困難、肺塞栓
・眼:角膜炎、まつ毛の成長、結膜炎、なみだ、眼の充血、眼の感染症、眼の乾燥感、眼の炎症、眼のかゆみ、眼瞼の炎症、眼瞼の感染症、潰瘍性角膜炎
・血液、リンパ系:血小板の減少、白血球の減少
・皮膚系:皮膚炎、赤み、かゆみ、ざ瘡様皮膚炎、爪囲炎、発疹、皮膚の乾燥感、皮膚の亀裂、皮膚の剥脱、爪破損、爪の変形、脱毛症、多毛症、湿疹
・代謝異常系:食欲の減退、脱水、低カルシウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症
・その他:発熱、粘膜の炎症、だるさ、悪寒
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ・パニツムマブ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、ベクティビックス点滴静注はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ベクティビックス点滴静注の有効成分
パニツムマブ(遺伝子組換え)
▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム水和物、pH調節剤
使用に注意が必要な方 ・生殖能をもっている方
※妊娠する可能性のある方は、パニツムマブ(遺伝子組換え)使用中または使用終了後も最低6ヶ月間は適切な避妊法にて避妊してください。
・間質性肺炎、肺線維症を患っている方、またはその経験のある方
※間質性肺炎、肺線維症の増悪が引き起こされる可能性があります。
※動物実験(カニクイザル):パニツムマブ(遺伝子組換え)使用により月経周期の遅延、妊娠確立の低下が確認されています。
・授乳している方
※※授乳している方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ使用してください。
※パニツムマブ(遺伝子組換え)の乳汁中への移行は確認されていませんが、ヒトIgGが乳汁中に移行することから、パニツムマブ(遺伝子組換え)も移行する可能性はあります。
・妊娠している方
※妊娠している、または妊娠している可能性のある方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ使用してください。
※動物実験(カニクイザル):流産および胎児の死亡率増加が確認されています。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。
・小児など
※小児などを対象としている安全性および有効性を指標とした臨床試験が実施されていません。
上記にあてはまる方は、パニツムマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。 パニツムマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
パニツムマブ(遺伝子組換え)に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ベクティビックス点滴静注 【ベクティビックス点滴静注 添付文書】 |
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