成分名 |
オラパリブ |
適応症状 |
①白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法としての使用が認められております。
②BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法としての使用が認められております。
③相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法としての使用が認められております。
④がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌への使用が認められております。
⑤BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌への使用が認められております
⑥BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法としての使用が認められております。
※BRCA遺伝子は、誰もがもっている遺伝子の1つで、DNAの傷を修復して、細胞ががん化することを抑える働きがあります。体の設計図であるDNAは、健康な人でも紫外線や化学物質などの刺激によって日常的に傷つけられております。しかし、通常は、BRCA遺伝子などの働きによって傷ついたDNAが修復され、がん化が抑えられております。この働きを持つ遺伝子がBRCA遺伝子と呼ばれております。 |
簡易説明 |
リムパーザ(一般名:オラパリブ)ファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子の変異などの相同組換え修復(HRR)の欠損を有する腫瘍細胞において、DNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の分子標的治療薬として作用します。この作用はDNAの二本鎖切断修復機構である相同組み換え修復が機能していない癌細胞に選択的に作用する事で、細胞死に導くとされております。
相同組み換え修復機能不全にはBRCA等の関与が知られており、乳がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん等の一部にBRCA遺伝子変異が認められております。
オラパリブはその作用を利用する事で、乳がん、卵巣がん、膵臓癌、前立腺がんの治療に用いられております。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/泌尿器科/産婦人科/乳腺外科/消化器内科/腎臓内科等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約3,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:100mg約3,500円/150mg約5,200円
この医薬品に後発薬は発売されておりません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2018年1月19日:製造販売承認
2018年4月18日:薬価基準収載
2018年4月18日:販売開始 |
国内のジェネリック認可 |
国内においてジェネリック医薬品の販売はありません。 |
関連製品(先発薬) |
リムパーザ錠100mg/150mg【製薬メーカー:アストラゼネカ株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
日本国内においてジェネリック医薬品は発売されておりません。以下海外製品のジェネリック医薬品になります。
ルシオラップ50mg【製薬メーカー:Lucius Pharmaceuticals Made in Sri Lanka】
オラパリクス50mg【製薬メーカー:BEACON社】 |
効果・作用 |
オラパリブは癌細胞を減らしたり、その増殖を抑えたりする薬、いわゆる抗がん剤と呼ばれる医薬品になります。その適応症は多岐にわたり、①卵巣がん、②乳がん、③前立腺がん、④膵がんへの使用が認められております。ただし①~④の全ての癌に対し著効するわけではありません。適応症に記載の通り使用においては各々厳しい条件がございますので改めてご確認の上ご使用ください。
【作用機序】
●正常細胞におけるDNA損傷の修復について。
DNAは、紫外線等の日常の様々な刺激によって損傷を受けております。正常な細胞においてはBRCA遺伝子の作用によりDNAの傷を修復して、細胞ががん化する事を抑制しております。
DNA損傷のタイプが一本鎖切断の場合には、主にPARP(ポリアデノシン5’二リン酸(ADP)リボースポリメラーゼ)が働いて塩基除去修復による修復が行われております。
一方、損傷のタイプが二本鎖切断の場合には、主にBRCAやATM、RAD51等が働いて、相同組み換え修復による修復が行われているとされております。
●相同組み換え修復ができない卵巣がんでは、プラチナ感受性を示します。
プラチナ製剤は、DANの二本鎖切断を増加させます。しかし、卵巣がん(高異型度漿液性癌)患者の約50%では、BRCAやATM、RAD51等が関わる修復経路に異常があり、二本鎖切断の修復を十分に行えず、プラチナ感受性を示すとされております。
●BRCA遺伝子変異陽性乳がん細胞におけるDNA損傷の修復について。
BRCA1/2遺伝子が正常に働かないBRCA遺伝子変異陽性乳がん細胞中では、BRCA1/2タンパク質の機能は喪失しており、相同組み換えによる二本鎖切断修復は行われません。ただし、PARPが関与する塩基除去修復等、一本鎖切断の修復は可能であるとされております。このため、一本鎖切断の多くは速やかに修復され、二本鎖切断への進展は少なく、細胞の生存が可能であるとされております。
●オラパリブの作用機序について。
オラパリブはPARPを強力に阻害することが知られております。このオラパリブはPARPを強力に且つ特異的に阻害する事により一本鎖切断を担う塩基除去修復が働く事を妨げてしまいます。修復されないDNAの一本鎖切断は、DNA複製の過程で二本鎖切断に至ります。相同組み換えができない癌細胞においては、二本鎖切断を修復する事ができずに結果細胞死に至るとされております。 |
使用方法 |
通常、成人にはオラパリブとして1回300mgを1日2回、経口投与するとされております。なお、患者の状態により適宜減量する事を考慮します。
相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法の場合、ベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはオラパリブとして1回300mgを1日2回、経口投与するとされております。なお、患者の状態により適宜減量する事を考慮します。
【用法及び用量に関連する注意事項】
①100mg錠と150mg錠の生物学的同等性は示されていないため、300mgを投与する際には100mg錠を使用しないこととされております。つまり300mg1日2回投与の場合は150mg錠を使用しますが100mg錠は減量時にのみ使用するようにとの事という解釈になります。
②他の抗悪性腫瘍剤との併用については、有効性及びお安全性は確立しておりません。
③本剤の投与開始後2年が経過した時点で完全奏効が得られている患者においては、本剤の投与を中止する事とされております。 |
副作用 |
重大な副作用
①骨髄抑制
貧血(33.7%)、好中球減少(14.4%)、白血球減少(12.1%)、血小板減少(8.8%)、リンパ球減少(7.4%)等
②間質性肺疾患(0.9%)
その他の副作用
①皮膚
発疹(1~10%未満)
過敏症、皮膚炎、結節性紅斑(1%未満)
血管性浮腫(頻度不明)
②精神神経系
頭痛、浮動性眩暈(1~10%未満)
③呼吸器
咳嗽、呼吸困難(1~10%未満)
④消化器
悪心(52.3%)、嘔吐、下痢、食欲減退、味覚異常(10%以上)
消化不良、腹痛、便秘、口内炎、上腹部痛(1~10%未満)
⑤全身
疲労・無力症(10%以上)
⑥その他
クレアチニン増加(1~10%未満)
平均赤血球容積(MCV)増加(1%未満)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
主成分:オラパリブ
添加物:≪リムパーザ錠100mg≫
コポリビドン、軽質無水ケイ酸、D-マンニトール、フマル酸ステアリルナトリウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタン、黄色三二酸化鉄
≪リムパーザ錠150mg≫
コポリビドン、軽質無水ケイ酸、D-マンニトール、フマル酸ステアリルナトリウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄
使用に注意が必要な方 1)腎機能障害患者:本剤の血中濃度が上昇する恐れがあります。
2)肝機能障害患者:本剤の血中濃度が上昇する恐れがあります。
3)生殖能を有する者:胎児に対し染色体異常誘発性が認められております。生殖能を有する男性及び女性においては一定期間は適切な避妊方法を用いる事とされております。
4)妊婦:妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤の投与は推奨されません。
5)授乳婦:授乳中の女性においては、本剤投与期間中は授乳を中止するよう示されております。
6)小児
7)高齢者:一般的に高齢者では、生理機能が低下しております。
上記にあてはまる方は、オラパリブを使用する事が出来ない可能性があります。 オラパリブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 強いCYP3A4阻害剤
イトラコナゾール
リトナビル
ホリコナゾール等
中程度のCYP3A4阻害剤
シプロフロキサシン
ジルチアゼム
エリスロマイシン
フルコナゾール
ベラパミル等
※これらの薬剤等のCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性があります。それに伴い副作用の発現率及び重症度が増加する可能性があるとされているため注意が必要です。
グレープフルーツ含有食品
※本剤投与時はグレープフルーツ含有食品の摂取は避ける事とされております。
CYP3A4誘導剤
リファンピシン
カルバマゼピン
フェノバルビタール
フェニトイン
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort)含有食品等
※これらの薬剤等のCYP3A4誘導作用により、本剤の代謝活性が誘導されるため、本剤の血中濃度が低下する可能性があります。その為、本剤の有効性が減弱する恐れがある為併用に注意が必要となります。
上記を使用している方は、オラパリブを使用する事が出来ない可能性があります。 オラパリブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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