成分名 |
カプマチニブ塩酸塩水和物 |
適応症状 |
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌 |
簡易説明 |
カプマチニブ塩酸塩水和物(販売名:タブレクタ錠)は米国Incyte社で創製された、間葉上皮転換因子(MET:mesenchymal-epithelial transitionfactor)に対する選択的な経口阻害剤で、発癌性変異体であるMET遺伝子エクソン14スキッピング変異のMETチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害する事により活性化を抑制し、癌細胞の増殖を妨げる医薬品として開発されました。国内においては同じく肺がんに使用するテポチニブ塩酸塩水和物(販売名:テプミトコ)に次いで2製品目となります。
肺がんは早期に発見できた場合は手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法の治療が中心となります。 |
処方可能な診療科目 |
内科/呼吸器内科/外科/整形外科/血液・腫瘍内科/産婦人科等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約3,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:150mg約5,100円/200mg約6,600円
この医薬品に後発薬は発売されておりません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2020年6月29日製造販売承認
2020年8月26日薬価基準収載
2020年8月26日販売開始 |
国内のジェネリック認可 |
国内においてジェネリック医薬品の販売はありません。 |
関連製品(先発薬) |
タブレクタ錠150mg/200mg【製薬メーカー:ノバルティスファーマ株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
後発医薬品は現時点において販売されておりません。 |
効果・作用 |
カプマチニブ塩酸塩水和物はMET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に効果のある医薬品です。
【がん細胞が増殖するメカニズム】
がん細胞が増殖するメカニズムは様々存在していますが、しばしばMETと呼ばれるたんぱく質(チロシンキナーゼ)を発現していることが知られております。
その因子であるHGF(肝細胞増殖因子)が、がん細胞のMETと結合すると、その刺激が細胞内を伝達し、核内に刺激が届けられます。核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞が増殖すると言われております。
但し、通常は因子であるHGFが存在しなければ、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖する事はありません。
【MET遺伝子に変異のある患者のメカニズム】
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がんでは、膜近傍ドメインの欠失によりMETシグナル伝達経路の制御異常が生じております。その為下流のシグナル伝達経路が亢進することで、腫瘍の増殖、生存、浸潤・転移、及び血管新生が促されると考えられております。
これらはHGFが存在しないにも関わらず、恒常的にシグナル伝達が核へと伝達されてしまい、常に癌細胞は増殖が活性化されている状態となります。
【カプマチニブの作用機序】
カプマチニブは、METに対する選択的な阻害剤で、チロシンキナーゼのATP結合部位を競合的に阻害します。また、MET下流のシグナル因子のリン酸化を阻害することで、METの活性化に基づく細胞増殖、生存、及び遊走に対して阻害作用を示し、抗腫瘍効果を発揮するとされております。 |
使用方法 |
通常、成人にはカプマチニブとして1回400mgを1日2回経口投与します。但し、患者の状態によって適宜減量する事と定められております。
用量においては適宜増減とはなっておらず、適宜減量であることに注意が必要です。副作用等出現した場合においては減量を判断し重篤な副作用を回避できる様にしてください。
【用法・用量に関連する注意事項】
副作用が発現した場合は、本剤の投与を休薬、減量または中止する事とされております。基本的な考え方は下記の通りとなっております。
●減量・中止する場合の投与量
通常投与量:1回400mg(1日2回)
1段階減量:1回300mg(1日2回)
2段階減量:1回200mg(1日2回)
中止:1回200mg(1日2回)で忍容不能な場合においては、投与を中止する事とされております。
●副作用発現時の用量調節基準
上述した減量・中止における投与量が基本的考え方となります。
下記疾患・検査結果において使用する用量の判断を検討してください。
①間質性肺疾患:Grade1以上(投与を中止する事とされております。)
※間質性肺疾患により死亡した症例があり、重要な特定されたリスクとしており、重篤な事象でもあることから「警告」に記載され使用中止する事として設定されております。
②AST又はALT増加かつ総ビリルビン増加:AST又はALT増加>3.0×ULNかつ総ビリルビン増加>2.0×ULN(投与を中止する事とされております。)
③AST又はALT増加:Grade3(Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。7日以内に回復した場合は、同一用量で投与を再開する。7日を過ぎてから回復した場合は、1段階減量し
て投与を再開する事とされております。)
:Grade4(投与を中止する事とされております。)
④総ビリルビン増加:Grade2:(Grade1以下に回復するまで休薬する。7日以内に回復した場合は、同一用量で投与を再開する。7日を過ぎてから回復した場合は、1段階減量して投与を再開する事とされております。)
:Grade3(Grade1以下に回復するまで休薬する。7日以内に回復した場合は、1段階減量して投与を再開する。7日以内に回復しない場合は、投与を中止する事とされております。)
:Grade4(投与を中止する事とされております。)
⑤上記以外の副作用:Grade2(管理困難で忍容不能な場合は、Grade1以下に回復するまで休薬
する。休薬後に投与を再開する際には、1段階減量して投与を再開する事とされております。)
:Grade3(Grade2以下に回復するまで休薬する。休薬後に投与を再開する際には、1段階減量して投与を再開する事とされております。)
:Grade4(投与を中止する事とされております。)
なお、いづれの場合においても、GradeはNCI-CTCAE ver.4.03に準じております。 |
副作用 |
重大な副作用
1)間質性肺疾患
間質性肺疾患(2.1%)、肺臓炎(4.1%)
2)体液貯留(54.6%)
末梢性浮腫(52.6%)、低アルブミン血症(7.2%)、胸水(頻度不明)、心嚢液貯留(1.0%)等
3)肝機能障害(10.3%)
AST増加(7.2%)、ALT増加(10.3%)等
4)腎機能障害(25.8%)
血中クレアチニン増加(25.8%)、腎不全(頻度不明)、急性腎障害(頻度不明)等
その他の副作用
1)感染症及び寄生虫症
蜂巣炎(10%未満)
2)代謝及び栄養障害
食欲減退(10%以上)
低リン酸血症(10%未満)
低ナトリウム血症(頻度不明)
3)呼吸器、胸郭および縦隔障害
呼吸困難、咳嗽(10%未満)
4)胃腸障害
悪心(37.1%)、嘔吐、下痢、リパーゼ増加(10%以上)
便秘、アミラーゼ増加(10%未満)
急性膵炎(頻度不明)
5)肝胆道系障害
血中ビリルビン増加(10%未満)
6)皮膚及び皮下組織障害
掻痒症、蕁麻疹(10%未満)
7)一般・全身障害及び投与部位の状態
疲労(10%以上)
発熱、体重減少(10%未満)
背部痛、非心臓性胸痛(頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
有効成分:カプマチニブ塩酸塩水和物
添加物:
『タブレクタ錠150mg』:セルロース、D-マンニトール、クロスポビドン、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、無水ケイ酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒプロメロース、酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク、酸化鉄、三二酸化鉄
『タブレクタ錠200mg』:セルロース、D-マンニトール、クロスポビドン、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、無水ケイ酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒプロメロース、酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク、三二酸化鉄
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①間質性肺疾患のある患者:間質性肺疾患が発現又は増悪する可能性があります。
2)生殖能を有する者
①妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行う事とされております。
②男性においても同様でパートナーに対して一定期間は適切な避妊を行うこととされております。
3)妊婦
4)授乳婦:乳児に重大な副作用が発現すれ宇恐れがある為授乳しないことが望ましいとされております。
5)小児等
上記にあてはまる方は、カプマチニブ塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 カプマチニブ塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ①強力な又は中等度のCYP3A4誘導剤
リファンピシン・カルバマゼピン・エファピレンツ等
これらの薬剤がCYP3A4を誘導する事により、タブレクタ錠の血中濃度が低下し、有効性が減弱する恐れがあるとされております。
②強力なCYP3A4阻害剤
イトラコナゾール・リトナビル・クラリスロマイシン等
これらの薬剤がCYP3A4を阻害する事により、タブレクタ錠の血中濃度が増加し、副作用が増強される恐れがあるとされております。
③CYP1A2の基質となる薬剤
テオフィリン・チザニジン・ピルフェニドン等
タブレクタ錠がCYP1A2を阻害する事により、これらの薬剤の血中濃度が増加し、副作用が増強される恐れがあるとされております。
④P-gpの基質となる薬剤
ジゴキシン・フェンタニル・タクロリムス等
タブレクタ錠がP-gpを阻害する事により、これらの薬剤の血中濃度が増加し、副作用が増強される恐れがあるとされております。
⑤BCRPの基質となる薬剤
ロスバスタチン・アトルバスタチン・メトトレキサート等
タブレクタ錠がBCRPを阻害する事により、これらの薬剤の血中濃度が増加し、副作用が増強される恐れがあるとされております。
⑥胃内pHを上昇させる薬剤
プロトンポンプ阻害剤(ラベプラゾール・ランソプラゾール・オメプラゾール等)
これらの薬剤が胃内pHを上昇させるため、タブレクタ錠の吸収が低下し、タブレクタ錠の血中濃度が低下する事により有効性が減弱する恐れがあるとされております。
上記を使用している方は、カプマチニブ塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 カプマチニブ塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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