成分名 |
ビカルタミド |
適応症状 |
前立腺がん |
簡易説明 |
アストラゼネカ社は、抗黄体ホルモン作用を目的として合成した化合物の中に、抗アンドロゲン活性を持つ化合物を得た事で、前立腺がん治療薬としての開発に着目しました。忍容性が高く、経口で活性を示し、1日1回投与が可能な非ステロイド性抗アンドロゲン剤の開発を目指し、数多くの化合物を合成して検討を行い、その結果としてビカルタミドが選定されました。
ビカルタミドは抗アンドロゲン薬に分類されるホルモン療法剤の一つとして、前立腺におけるアンドロゲン受容体に対し、アンドロゲンの結合を阻害する事で、癌細胞の活性化を抑え、前立腺がの進行を抑える治療薬として開発されました。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/泌尿器科/腎臓内科/腎臓外科等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約3,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:80mg約330円
薬代後発薬1錠の目安:80mg約170円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2006年2月20日製造販売承認
2006年6月9日薬価基準収載
2006年6月9日発売
【医薬発第935号(平成12年9月19日付)に係る販売名変更前】
1999年3月12日製造・輸入承認
1999年5月7日薬価基準収載
1999年5月7日販売 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
カソデックス錠80mg/OD錠80mg【製薬メーカー:アストラゼネカ株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
ビカルタミド錠錠80mg/OD80mg「NK」【製薬メーカー:日本化薬株式会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「ケミファ」【製薬メーカー:日本ケミファ株式会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「明治」【製薬メーカー:MeijiSeikaファルマ株式会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「DSEP」【製薬メーカー:第一三共エスファ株式会社】
ビカルタミド錠80mg「JG」【製薬メーカー:日本ジェネリック株式会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「NP」【製薬メーカー:ニプロ株式会社】
ビカルタミド錠80mg「SN」【製薬メーカー:シオノケミカル株式会社】
ビカルタミド錠80mg「VTRS」【製薬メーカー:マイランEPD合同会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「あすか」【製薬メーカー:あすか製薬株式会社】
ビカルタミド錠80mg「オーハラ」【製薬メーカー:大原薬品工業株式会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
ビカルタミド錠80mg「サンド」【製薬メーカー:サンド株式会社】
ビカルタミド錠80mg「テバ」【製薬メーカー:武田テバファーマ株式会社】
ビカルタミド錠80mg「マイラン」【製薬メーカー:マイラン製薬株式会社】
ビカルタミド錠80mg「TCK」【製薬メーカー:辰巳化学株式会社】
ビカルタミド錠80mg/OD錠80mg「KN」【製薬メーカー:小林化工株式会社】 |
効果・作用 |
ビカルタミドは前立腺がんに適応をもつ医薬品です。
ビカルタミドの錠剤はフィルムコーティング剤であり、高齢者の様な嚥下障害が発生している患者においても服用しやすいよう、水なしでも服用可能な口腔内崩壊錠が発売されました。
しかし寝たままの状態では、口腔内崩壊錠であったとしても水なしで服用させない事との注意書きがございます。水なしで飲むと、のどや食道に引っかかったり、誤って気管に入る危険があるからです。また寝たままで飲むのも同様に、長くのどや食道に留まり潰瘍などの原因になることがあるからです。
また、ビカルタミドによる治療は根治療法ではない事から、期待する効果が得られない場合や病勢の進行等によっては服薬を中止し、手術等他の適切な処置への考慮が必要になることが注意事項として表記されております。
【作用機序】
前立腺がんの発症リスクとして男性ホルモンであるアンドロゲンが知られております。アンドロゲンが前立腺の細胞に作用するほど、前立腺がんの発症リスクが高まることが分かっており、この結合を阻害する作用をもつ医薬品がビカルタミドになります。
血液中に分泌されるアンドロゲンの95%は精巣で合成されるテストステロンで、残りの5%は副腎由来のアンドロゲンであると言われております。
副腎由来のアンドロゲンは非活性で、末梢組織や前立腺組織などでテストステロンに変換されます。前立腺組織に到達したテストステロンは、前立腺細胞内の5αー還元酵素により強力なアンドロゲン活性をもつジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。
このDHTが、前立腺細胞内のアンドロゲン受容体に結合する事で、特定の遺伝子の転写活性を亢進させ、結果的に前立腺細胞を増殖させるための一群の蛋白が生産されます。
上述したアンドロゲンの作用メカニズムの中で、ビカルタミドは、DHTとアンドロゲン受容体との結合を競合的に阻害する事により抗アンドロゲン作用を発揮します。
アンドロゲン依存性の臓器である前立腺や精巣等、及び前立腺腫瘍の細胞増殖を抑制する事で前立腺がんの進行を抑え、抗悪性腫瘍剤としての効果が期待されております。 |
使用方法 |
通常、成人にはビカルタミドとして1回80mgを1日1回、経口投与する事とされております。 |
副作用 |
重大な副作用
1)劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
2)白血球減少(1.0%)、血小板減少(1.0%)
3)間質性肺炎(頻度不明)
4)心不全、心筋梗塞(いずれも頻度不明)
その他の副作用
1)内分泌
乳房腫脹(44.7%)、乳房圧痛(46.6%)、ほてり(5%以上)
2)生殖器
勃起力低下(5%以上)
3)肝臓
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇(1~5%未満)
γ-GTP上昇、LDH上昇(1%未満)
4)泌尿器
腎機能障害(クレアチニン上昇、BUN上昇)(1%未満)
血尿、夜間頻尿(頻度不明)
5)皮膚
掻痒、発疹(1%未満)
発汗、皮膚乾燥、脱毛、多毛、光線過敏症(頻度不明)
6)精神神経系
性欲減退(5%以上)
傾眠(1%未満)
頭痛、めまい、不眠、抑うつ状態(頻度不明)
7)循環器
心電図異常(1%未満)
8)消化器
便秘(1~5%未満)
口渇(1%未満)
食欲不振、下痢、悪心、嘔吐、消化不良、鼓脹放屁、腹痛(頻度不明)
9)筋・骨格系
胸痛(1%未満)
骨盤痛(頻度不明)
10)過敏症
血管浮腫、蕁麻疹(頻度不明)
11)その他
総コレステロール上昇、中性脂肪上昇(1~5%未満)
さむけ(1%未満)
貧血、浮腫、倦怠感、無力症、疲労、高血糖、体重増加・減少(頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
主成分:ビカルタミド
普通錠の添加物:乳糖水和物、デンプングリコール酸ナトリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール300、酸化チタン
OD錠の添加物:ヒプロメロース、カルメロースカルシウム、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、含水二酸化ケイ素、オレンジ油、ステアリン酸マグネシウム
●普通錠及び口腔内崩壊錠において添加剤に違いがある為に注意が必要になります。
2)小児:本薬の薬理作用に基づき、男子小児の生殖器官の正常発育に影響を及ぼす恐れがあるとされております。
3)女性:本薬の毒性試験において、子宮の腫瘍性変化及び雄児の雌性化が報告されております。
使用に注意が必要な方 1)肝機能障害患者:本剤は肝臓でほぼ完全に代謝を受けるため、定常状態時の血中濃度が高くなる可能性がございます。
2)高齢者:一般に高齢者では、心・循環器系の機能が低下していることが多く、心・循環器系の有害事象の発現頻度が若年層よりも高い事から設定されております。
上記にあてはまる方は、ビカルタミドを使用する事が出来ない可能性があります。 ビカルタミドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)クマリン系抗凝血薬(ワルファリン等):蛋白結合部位においてワルファリンと置換するとの報告があり、クマリン系抗凝血薬の作用を増強する恐れがある為注意が必要とされております。
2)トルブタミド:トルブタミドの代謝を阻害するため、トルブタミドの作用を増強する恐れがあり注意が必要とされております。
3)デキストロメトルファン:デキストロメトルファンの代謝を阻害するため、デキストロメトルファンの作用を増強する恐れがあり注意が必要とされております。
4)主にCYP3A4によって代謝される薬物(カルバマゼピン、シクロスポリン、トリアゾラム等):CYP3A4によるテストステロン6βー水酸化酵素活性を阻害するため、CYP3A4によって代謝される薬物の作用を増強する恐れがあり注意が必要とされております。
上記を使用している方は、ビカルタミドを使用する事が出来ない可能性があります。 ビカルタミドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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