ロルラチニブ

成分名

ロルラチニブ

適応症状

ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

簡易説明

ロルラチニブは、細胞増殖のシグナルを伝達する上で重要な、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)融合遺伝子から作られるタンパク質「チロシンキナーゼ活性」を妨害します。無秩序な細胞増殖をおこしてしまうのを抑制することで抗腫瘍の働きがあります。主に、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに使用されます。
第一/第二世代のALK阻害薬で耐性が生じた時も治療効果が期待できます。
一次治療にも使用可能となっております。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約10,000円~
薬代1錠あたりの目安:25mg7350円/錠
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2018年11月【ローブレナ錠】

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可なし(海外のみ)

関連製品(先発薬)

ローブレナ錠25mg/100mg【製薬メーカー:ファイザー】

関連製品(ジェネリック)

LORBRENA25mg/100mg(Pfizer)

効果・作用

ロルラチニブは、G1202Rなどの遺伝子変異(耐性)の生じたALK融合タンパクに対しても妨害作用を持っております。
ALK融合タンパクを妨害し、シグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑えるといった作用機序となります。また、血液脳関門を通過できるように設計されており、脳転移に対してもその効果が期待されています。

▼ALK阻害薬の耐性▼
第一世代と第二世代のALK阻害薬が登場し、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの生存期間は延長しましたが、いつか遺伝子変異によって耐性を生じてしまいます。耐性化した方はALK融合タンパクに第一・第二世代のALK阻害薬が結合できなくなり、その結果がん細胞のシグナル伝達が回復してしまし、再びがんの増殖が活性化されてしまいます。

「ALK阻害薬の世代」
第一世代:ザーコリ
第二世代:アレセンサ、ジカディア
第三世代:アルンブリグ、ロルラチニブ

ロルラチニブは、「第三世代」に分類されます。第一/第二世代のALK阻害薬で耐性の生じた肺がん細胞に使われてましたが、今後は一次治療の治療選択肢として使用可能となります。

▼他の分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔ALK-TKI〕)▼
ザーコリ/アレセンサ/ジカディア/ローブレナ/アルンブリグ

使用方法

・成人は、1日1回100mgを経口投与すること。
※患者の状態により適宜減量する。
効能、効果に関連する注意
・十分な経験を有する病理医もしくは、検査施設における検査によって「ALK融合遺伝子陽性」が確認された方に投与してください。検査は、承認された体外診断用医薬品もしくは、医療機器を使用すること。また承認された体外診断用医薬品もしくは、医療機器に関する情報については、他のウェブサイトから入手可能となっております。
・また、術後補助療法における有益性や安全性は確立しておりません。
用法用量に関連する注意
・投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を参考に「休薬・減量・中止」してください。

〈減量/中止する際の投与量の目安〉
・減量レベルが、通常投与量の場合の投与量は[100mg/日]です。
・減量レベルが、一次減量の場合の投与量は[75mg/日]です。
・減量レベルが、二次減量の場合の投与量は[50mg/日]です。
・減量レベルが中止の場合の投与量は[50mg/日]です。※副作用で患者が耐えられない場合は投与を中止してください。

〈副作用に対する休薬・減量並びに中止基準の目安〉
「肺炎」
①程度が、アミラーゼ並びに、リパーゼの増加がGrade2以下、画像検査で膵炎の意見を認める場合の処置は以下の通り。
・アミラーゼ並びに、リパーゼの増加がGrade2以下、画像検査でベースラインに回復するまで服用は控えること。回復した後、1用量レベル減らして再び投与すること。
②程度がGrade3・4の場合
・投与するのを控える。
「間質性肺疾患」
①程度が、Grade1、症候性の場合の場合の処置は以下になります。
・ベースラインに快復するまで薬を服用するのはやめて回復後に、同一の用量で服用を始めるとする。
・再発や適切な治療をしても「6週間の休薬期間」を超え回復の兆しがない場合、服用を中止。
②Grade2の処置は以下。
・ベースラインに体調が回復するまでは服用はやめてください。体調が戻ったら1用量レベル減量し、投与再び初めてください。
・再発もしくは、正常な治療が行われ、約6週間の休薬期間を超えて、それでも回復が認められない場合、必ず投与するのは中止してください。
③Grade3、4の場合の処置は次の通り。
・服用を必ず中止する。
「左室駆出率低下」
①程度がGrade3、4の場合の処置は次の通りです。
・投与はお控えください。
「房室ブロック」
①程度が、第1度房室ブロックの場合の処置。
・症候性の場合は〈無症候性〉になるまで薬はやめ、快復したのちに、同一の用量か、1用量レベル減量し、再び再開すること。
②第2度房室ブロックの処置
・無症候性の場合においては、第2度房室ブロックが完全に回復するまで薬はやめてください。以降、回復ら同一用量もしくは、1用量レベルほど減量し投与するのを開始してください。
・症候性の時は「無症候性かつ第1度房室ブロック以下」に快復するまで休薬をしてください。また、快復したら、1用量レベル減量をして投与をはじめてください。
③完全房室ブロックの場合
・PR間隔が200msec未満に回復、かつ無症候性になるまでは休薬とします。回復したら用量レベルを1減量し、投与するのを再開してください。
「高脂血症」
①Grade3時の処置
・Grade1以下まで体調が回復するまで薬を飲むのはやめ、調子が回復したら、同用量で投与再開となりますが、再発してしまった時は必ず、「Grade1以下」になるまで服用はせず、戻り次第、用量レベル1減量し、再び飲み始めてください。また、十分な治療が行われた上で、高血圧が続いてしまう時は、中止してください。
「高血圧」
①Grade3においての処置
・必ずGrade1に下がるまで薬は休んでください。投与の再開は回復後となります。再発したときもGrade1以下に回復するまでは休薬となり、投与の再開に関しては回復して、1用量レベル減量となります。
・相応の治療をしても高血圧が持続する場合、中止すること。
②Grade4処置
・休薬は、Grade1以下に回復するまでとなります。投与の中止、再開は回復後になり、1用量レベル減量してください。再発するときは、服用はやめてください。
「高血糖」
①Grade3もしくは、4での処置として
・休薬は、血糖がコントロールできるようになるまでとし、投与は1用量レベルを減量し回復したら服用してください。また、妥当な治療をしても、高血糖状態のときは中止となります。
「その他の非血液学的毒性」
①Grade3において
・休薬の目安は、Grade1以下もしくは、ベースラインに回復するまでとします。1用量レベル減量もしくは、同一用量で快復したら飲み始めてください。
②Grade4において
・快復(Grade1以下もしくは、ベースライン)にするまで薬を飲むのは控えてください。快復後での投与再開の量は、1用量レベル減となります。
「リンパ球減少症」
①Grade3、4のときの処置
・Grade1以下もしくはベースライン値に快復するまで休薬か、同一用量で投与継続し、数値が戻り次第、同一での用量もしくは、減量レベルを1用量とし、投与再開を始めてください。
「その他の血液学的毒性」
①Grade3もしくは4の場合
・休薬の目安は、ベースライン値に回復するまでか、Grade1以下になるまでとします。回復したのちに、1用量レベル減量するか、又は同一の用量で投与を再開してください。

副作用

主な副作用
末梢性ニューロパチー、感覚鈍麻、筋力低下、浮動性めまい、頭痛、味覚異常、不眠症、関節痛、筋肉痛、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、四肢痛

重大な副作用
言語障害、ALT上昇、QT間隔延長、中枢神経系障害、認知障害、AST上昇、記憶障害、健忘、注意力障害、構語障害、言語緩慢、会話障害、膵炎、肝機能障害、間質性肺疾患

その他の副作用
筋痙縮、徐脈、洞性頻脈、心臓障害、左室機能不全、心嚢液貯留、高血圧、下痢、悪心、腹部膨満、腹痛、口内炎、鼓腸、高トリグリセリド血症、食欲亢進、低比重リポ蛋白増加、貧血、血小板減少、耳鳴、脱毛症、発汗、皮膚乾燥、呼吸困難、体重増加、無力症、顔面浮腫、不整脈、便秘、第1度房室ブロック、頻脈、高コレステロール血症、好中球減少、嘔吐、低アルブミン血症、疲労、発疹、脂質異常、血中クレアチニン増加、駆出率減少、筋骨格硬直、高脂血症、洞性徐脈、視覚障害、皮膚炎、高血糖、浮腫、高尿酸血症、動悸

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・妊婦/産婦
・過敏症
・リファンピシン投与中
■ロルラチニブを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ローブレナは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ローブレナの有効成分
ロルラチニブ
▼代表薬の添加物
結晶セルロース/無水リン酸水素カルシウム/デンプングリコール酸ナトリウム/ステアリン酸マグネシウム/ヒプロメロース/酸化チタン/乳糖水和物/マクロゴール4000/トリアセチン/黒酸化鉄/三二酸化鉄

使用に注意が必要な方
・高齢者
・授乳婦
・新生児(低出生体重児を含む)/乳児/幼児/小児
・QT間隔延長
・中等度腎機能障害
・重度腎機能障害
・間質性肺疾患
・中等度以上の肝機能障害
・30mL/min>eGFR
・60mL/min>eGFR≧30mL/min

上記にあてはまる方は、ロルラチニブを使用する事が出来ない可能性があります。
ロルラチニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・CYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール等)
・フェニトイン、カルバマゼピン
・CYP3A誘導剤(フェニトイン、モダフィニル、デキサメタゾン等)
・CYP3Aの基質となる薬(ミダゾラム、アトルバスタチン、フェンタニル等)
・P-gpの基質となる薬(ジゴキシン、エベロリムス、シロリムス等)
・QT間隔延長を起こすことが知られている薬(イミプラミン、ピモジド、クロルプロマジン等)

上記を使用している方は、ロルラチニブを使用する事が出来ない可能性があります。
ロルラチニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・リファンピシン(リファジン等)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ロルラチニブはアレクチニブ耐性肺がんにも有効なんでしょうか?

研究では、アレクチニブに耐性を示したALK融合遺伝子陽性の肺がん患者から採取したがん細胞を培養し「G1202R」変異や「I1171N」変異をもつ細胞を作って実験しました。 結果として、患者さん由来の細胞に対し、ロルラチニブが有効であることを確認でたという報告がございます。

ロルラチニブは2次治療以降に使用は可能ですか?

1次治療でアレクチニブを使用、耐性化したので、2次治療でロルラチニブを使用した方が、ロルラチニブに対しても耐性化した場合、次にどのような治療を行えばよいか、まだ明らかにされておりません。

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。