カボザンチニブリンゴ酸塩

成分名

カボザンチニブリンゴ酸塩

適応症状

〇根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
〇がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん

簡易説明

カボザンチニブリンゴ酸塩は複数の受容体型チロシンキナーゼを阻害する経口抗悪性腫瘍剤になります。経口摂取により根治切除不能又は転移性の腎細胞がん及びがん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がんに効果が期待されております。
腎細胞がんとは、腎実質の細胞ががん化したもので、腎臓にできるがんの約9割が腎細胞がんと言われております。腎細胞がんは、初期にはほとんど症状はありませんが、進行してがんが大きくなると、血尿、背中・腰の痛み、おなかのしこり等の症状が現れるようになります。
肝細胞がんとは、肝臓の細胞ががん化したもので、肝がんの9割異常が肝細胞がんと言われております。初期の肝細胞がんは自覚症状がほとんどなく、進行すると、腹痛、背部痛、黄疸、むくみ、腹水、食欲不振、体重減少などが認められております。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/泌尿器科/産婦人科/消化器内科/消化器外科/乳腺外科/腎臓内科等

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約3,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:20mg約8,000円/60mg約22,300円
この医薬品に後発薬は発売されておりません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2020年3月25日製造販売承認
2020年5月20日薬価基準収載
2020年5月22日販売開始

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

カボメティクス錠20mg/60mg【製薬メーカー:武田薬品工業株式会社】

関連製品(ジェネリック)

日本国内においてジェネリック医薬品は発売されておりません。以下海外製品のジェネリック医薬品になります。
カボザニクス【製薬メーカー:ビーコン社】

効果・作用

カボザンチニブリンゴ酸塩は根治切除不能又は転移性の腎細胞がん並びにがん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がんに効果のある医薬品になります。

【作用機序】
がん細胞はVEGF(血管内皮細胞増殖因子)が血管のVEGF受容体に結合する事で血管新生を行うとされております。血管新生する事でがん細胞が増殖・他臓器への転移等が引きおこされます。
またがん細胞の細胞膜にはMET(肝細胞増殖因子受容体)、AXL(成長停止特異的タンパク質6受容体)が存在しております。
METは主にがんの増殖、VEGFはがんの増殖と血管新生、AXLはがんの増殖や抗がん剤の耐性に関与していると言われております。
これら受容体を介したシグナル伝達が、がん細胞の核内に到達すると、がん細胞の増殖活性化につながると考えられております。

薬剤耐性機構においては、腫瘍細胞の生存・増殖・浸潤及び遠隔転移に関与する特定のシグナル伝達経路を阻害すると、腫瘍細胞の恒常性維持のために阻害されていないシグナル伝達経路の活性化が誘導され、耐性を獲得することが示唆されております。したがって、耐性例への治療効果を得るためには VEGFシグナルのみならず、他の主要な受容体下流のシグナルへの阻害作用も重要であると考えられ、その結果VEGFRに加えてMET、AXLを同時に阻害する薬剤としてカボザンチニブリンゴ酸塩が開発されました。

カボメティクスはがんの増殖や血管新生の関与しているMET/VEGFR2/AXLを選択的に阻害するマルチキナーゼ阻害薬になります。
血管に存在しているVEGFR2を阻害する事でがんの血管新生を抑制します。加えて、がん細胞に存在しているMET、VEGFR2、AXLをマルチに阻害する事でがん細胞の増殖抑制効果を発揮するとともに同時に薬剤耐性も克服すると考えられています。

使用方法

【カボメティクス錠20mg】
〇根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
通常、成人にはカボザンチニブとして1日1回60mgを空腹時に経口投与します。
なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。
本剤とニボルマブ(遺伝子組み換え)(商品名:オプジーボ点滴静注)の2剤併用療法を行う場合においては、通常、成人にはカボザンチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与します。
なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。
〇がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん
通常、成人にはカボザンチニブとして1日1回60mgを空腹時に経口投与します。
なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。
【カボメティクス錠60mg】
〇根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん
通常、成人にはカボザンチニブとして1日1回60mgを空腹時に経口投与します。
なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。

≪注事事項≫
①食後に本剤を投与した場合にカボザンチニブのCmax及びAUCが増加するとの報告がございますので、食事による影響を避けるために、食事の1時間前から食事の2時間後までの間の服用は避けることとされております。
②副作用が発現した場合には、フローチャートを参考に、本剤を休薬、減量または中止する事とされております。減量する場合においては適宜20mgずつ減量する事を推奨しております。
③20mg錠と60mg錠の生物学的同等性は示されておりません。60mgを投与する際には20mg錠を使用しない事とされております。20mg錠は副作用発現時またはニボルマブ併用時等、減量を考慮する場合において使用する事とされております。

副作用

重大な副作用
1)消化管穿孔(0.9%)、瘻孔(0.7%)
2)出血(7.7%)
3)血栓塞栓症(4.1%)
4)高血圧(32.6%)
5)可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)
6)顎骨壊死(0.2%)
7)膵炎(0.6%)
8)腎障害(13.6%)
9)肝不全(0.1%)、肝機能障害(34.8%)
10)骨髄抑制
貧血(9.2%)、好中球減少(8.1%)、血小板減少(13.3%)、リンパ球減少(2.5%)
11)虚血性心疾患(0.1%)、不整脈(1.3%)、心不全80.2%)
12)横紋筋融解症(0.2%)
13)間質性肺疾患(1.4%)
14)手足症候群(44.3%)
15)創傷治癒遅延(0.6%)
16)重度の下痢(8.7%)

その他の副作用
1)消化器
下痢(57.2%)、食欲減退、悪心、口内炎、嘔吐、腹痛(10%以上)
消化不良、便秘(1~10%未満)
舌痛(1%未満)
2)皮膚
発疹(10%以上)
皮膚乾燥、脱毛、ざ瘡様皮膚炎、毛髪変色、紅斑、過角化(1~10%未満)
3)その他
疲労、味覚異常、体重減少、甲状腺機能低下症、発声障害、粘膜の炎症、無力症(10%以上)
浮動性めまい、頭痛、筋痙縮、四肢痛、関節痛、脱水、末梢性ニューロパチー、嚥下障害、低マグネシウム血症、低リン酸血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、低アルブミン血症、アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇(1~10%未満)
膿瘍(1%未満)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

有効成分:カボザンチニブリンゴ酸塩
添加剤:結晶セルロース、無水乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、トリアセチン、黄色三二酸化鉄

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
  ①高血圧の患者:高血圧が悪化する恐れがあります。
  ②消化管等腹腔内の炎症を合併している患者、消化管に腫瘍の浸潤を認める患者:消化管穿孔、瘻孔の恐れがあります。
  ③血栓塞栓症又はその既往のある患者:血栓塞栓症が悪化又は再発する恐れがあります。
  ④脳転移を有する患者:脳出血の恐れがあります。
  ⑤肺転移を有する患者:肺出血の恐れがあります。
  ⑥外科処置後、創傷外科的処置後、創傷が治癒していない患者:創傷治癒遅延が現れることがあります。
2)肝機能障害患者:血中濃度が上昇し、副作用が強く現れる恐れがあります。
3)生殖能を有する者
4)妊婦
5)授乳婦
6)小児等

上記にあてはまる方は、カボザンチニブリンゴ酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
カボザンチニブリンゴ酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)CYP3A阻害剤
  ①リトナビル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等
  ②グレープフルーツ(ジュース)
 本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する事で副作用が増強される恐れがあるとされております。
2)CYP3A誘導剤
  ①リファンピシン、デキサメタゾン、カルバマゼピン等
  ②セイヨウオトギリソウ含有食品
 本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下する事で効果が減弱する恐れがあるとされております。

上記を使用している方は、カボザンチニブリンゴ酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
カボザンチニブリンゴ酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
飲み忘れた場合はどうしたらよいか?

飲み忘れたときは次の服薬時間まで12時間以上ある場合には直ちに服用してください。次の服薬時間まで12時間以内の場合には服用せず次の投与のタイミングで1回分服用してください。

抜歯する場合に投与中止する必要はあるか?

カボメティクス投与において創傷治癒を遅らせる可能性があることが示されております。また副作用の項目で顎骨壊死の発現についても示されております。具体的な休薬期間については明記されておりませんが海外のデータによると歯科処置の少なくとも28日前にカボメティクスを中止する事が望ましいとされております。定期的な歯のクリーニングや、歯のかぶせ物の処置の場合はカボメティクスを中止する必要はないとされております。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。