ホリナートカルシウム

成分名

ホリナートカルシウム

適応症状

結腸がんのテガフール・ウラシルの抗腫瘍効果の増強/直腸がんのテガフール・ウラシルの抗腫瘍効果の増強など

簡易説明

ホリナートカルシウムは、体内で還元型葉酸になり、抗がん剤であるフルオロウラシルの抗腫瘍効果を高めるはたらきがあります。一般にテガフール・ウラシル配合剤(テガフールは体内でフルオロウラシルに変換される)と併用して、ホリナート・テガフール・ウラシル療法で使用する薬です。
日本では、大鵬薬品工業がユーゼルの商品名で販売しており、また、共和クリティケアがホリナートの商品名でジェネリック(後発薬)は販売しています。

処方可能な診療科目

内科/胃腸科/消化器科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約1000円~5000円程度
薬代1錠あたりの目安:5mg約611円/25mg約1200円
薬代後発薬1錠の目安:25mg約586円
※病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

薬価基準収載年月 : 2003年9月
販売開始年月 : 2003年9月

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり。

関連製品(先発薬)

【製薬メーカー:大鵬薬品工業】
ユーゼル錠25mg

【製薬メーカー:ファイザー】
ロイコボリン錠5mg
ロイコボリン錠25mg

関連製品(ジェネリック)

ホリナート錠25mg「タイホウ」/ホリナート錠25mg「DSEP」/ホリナート錠25mg「JG」/ホリナート錠25mg「KCC」/ホリナート錠25mg「NK」/ホリナート錠25mg「オーハラ」/ホリナート錠25mg「サワイ」/ホリナート錠25mg「武田テバ」/ホリナート錠25mg「トーワ」/ホリナート錠25mg「NIG」

海外での使用実績

・ホリナートカルシウムについて、諸外国での承認日は以下になっています。

スペイン 2000/3/23
アイルランド 2000/12/8
アイスランド 2000/12/8
スウェーデン 2000/12/15
ベルギー 2000/12/18
ノルウェー 2000/12/21
イギリス 2001/1/5
フィンランド 2001/1/15
オランダ 2001/1/17
デンマーク 2001/1/18
ポルトガル 2001/1/25
フランス 2001/2/5
ギリシャ 2001/3/14
ルクセンブルグ 2001/3/14
オーストリア 2001/4/6
イタリア 2002/1/22
ドイツ 2002/1/22
ニュージーランド 2000/6/13
オーストラリア 2001/3/13
スロバキア 2001/4/6
カナダ 2001/4/6
イスラエル 1999/7/8
南アフリカ 2001/12/3
ハンガリー 2001/12/14

・諸外国での用法.用量については、UFT 300 mg/m2/日をホリナートカルシウム経口剤90 mg/日と併用して1日3回の分割投与して、食事の1時間以上前または食後1時間以上を経てから服用することとして28日間連用します。以後も継続する場合は、UFT/ホリナートカルシウム療法を7日間休薬した後に行ないます。

効果・作用

ホリナートカルシウムは、体内で還元型葉酸になることから、抗がん剤であるフルオロウラシルの抗腫瘍効果を高める効果をあらわします。
一般にテガフールは体内でフルオロウラシルに変換されるテガフール・ウラシル配合剤と併用して、ホリナート・テガフール・ウラシル療法で使用する薬となっています。
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害して、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖します。
消化器がんなどで使用される抗がん薬のフルオロウラシル(5-FU)は体内で代謝を受けることで、DNA合成に必要なチミジル酸合成酵素(TS)という酵素と結合しします。
この酵素活性を阻害することでチミジル酸合成阻害作用によりDNA合成を阻害した結果、細胞の増殖を抑える作用をあらわします。
本剤の成分であるホリナート(dl-ロイコボリン)は体内で活性本体のレボホリナート(l-ロイコボリン)が細胞内で還元されて、5,10メチレンテトラヒドロ葉酸となります。
この物質がTdUMP及びTSと強固な複合体を形成して、TSの解離を遅延させることでこの酵素活性を阻害することから、フルオロウラシルによる抗腫瘍効果を増強する作用をあらわします。

使用方法

▼用法用量
[ホリナート・テガフール・ウラシル療法]
・成人にはホリナートとして75mgを、1日8時間ごとに3回に分けて、テガフール・ウラシル配合剤と同時に経口投与します。テガフール・ウラシル配合剤の投与量は、1日量として、テガフール300~600mg相当量(300mg/m2を基準)を1日8時間ごとに3回に分けて、食事の前後1時間を避けて経口投与します。
28日間連日経口投与して、その後7日間休薬して、これを1クールとして投与を繰り返します。

副作用

重大な副作用
▼骨髄抑制、溶血性貧血等の血液障害
汎血球減少、無顆粒球症(症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、白血球減少、血小板減少、貧血、出血傾向、溶血性貧血等があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼肝硬変
長期投与においてAST(GOT)、ALT(GPT)の明らかな上昇を伴わずに肝硬変があらわれることがあります。観察を十分に行い、プロトロンビン時間延長、アルブミン低下、コリンエステラーゼ低下、血小板減少等が認められた場合には投与を中止してください。

▼脱水症状
激しい下痢があらわれ、脱水症状まで至ることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼重篤な腸炎
出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることがあります。観察を十分に行い、激しい腹痛・下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼白質脳症等を含む精神神経障害
白質脳症(意識障害、小脳失調、認知症様症状等を主症状とする)や意識障害、失見当識、傾眠、記憶力低下、錐体外路症状、言語障害、四肢麻痺、歩行障害、尿失禁、知覚障害等があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼狭心症、心筋梗塞、不整脈
狭心症、心筋梗塞、不整脈(心室頻拍等を含む)があらわれることがあります。観察を十分に行い、胸痛、失神、息切れ、動悸、心電図異常等が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼急性腎障害、ネフローゼ症候群
急性腎障害、ネフローゼ症候群があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼嗅覚脱失
嗅覚障害があらわれ、嗅覚脱失まで至ることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼間質性肺炎
間質性肺炎(初期症状:咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱等)があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して、胸部X線等の検査を行い、副腎皮質ホルモン剤の投与など適切な処置を行ってください。

▼急性膵炎
急性膵炎があらわれることがあります。観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼重篤な口内炎、消化管潰瘍、消化管出血
重篤な口内炎、消化管潰瘍、消化管出血があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼ショック、アナフィラキシー
ショック、アナフィラキシー があらわれることがあります。観察を十分に行い、発疹、呼吸困難、血圧低下等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止して、適切な処置を行ってください。

その他の副作用
発疹/血色素減少/好酸球増多/リンパ球減少/肝機能障害/AST上昇/ALT上昇/Al-P上昇/蛋白尿/便秘/味覚異常/皮膚色素沈着/そう痒/総蛋白低下/LDH上昇/血糖値上昇/糖尿/血清ナトリウム低下/血清カルシウム低下/頭痛/好塩基球増多/腎機能障害/BUN上昇/クレアチニン上昇/心窩部痛/腹部膨満感/胃不快感/胃重感/舌炎/口唇炎/頭重感/耳鳴/皮膚炎/皮膚乾燥/手足症候群/頻尿/血清カリウム上昇/血清カリウム低下/血清クロル上昇/血清クロル低下/血清カルシウム上昇/心電図異常/咳/平均赤血球容積増加/MCV増加/ST上昇/黄疸/脂肪肝/血尿/胸やけ/口角炎/口渇/胃炎/嚥下困難/腹鳴/眩暈/しびれ/興奮/末梢性ニューロパチー/皮膚糜爛/皮膚角化/紅潮/光線過敏症/過敏症/皮膚水疱/DLE様皮疹/爪異常/脱毛/皮膚浮腫/蕁麻疹/発赤/胸内苦悶感/血痰/痰/高トリグリセリド血症/高コレステロール血症/無月経/関節痛/灼熱感/結膜充血/血清尿酸値上昇/女性型乳房/筋肉痛/CK上昇/CPK上昇

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ホリナートカルシウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方は、ユーゼルにアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ユーゼルの有効成分
ホリナートカルシウム
▼代表薬の添加物
乳糖水和物、部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム

■重篤な骨髄抑制のある患者
重篤な骨髄抑制のある患者は、骨髄抑制の増悪により重症感染症を併発し、致命的となることがあるため使用できません。投与しないでください。

■下痢(水様便)のある患者
下痢(水様便)のある患者は、下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし、致命的となることがあるため使用できません。投与しないでください。

■重篤な感染症を合併している患者
重篤な感染症を合併している患者は、骨髄抑制により感染症が増悪して、致命的となることがあるため使用できません。投与しないでください。

■テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者には使用できません。投与しないでください。

■妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には使用できません。投与しないでください。

使用に注意が必要な方
■骨髄抑制のある患者
骨髄抑制のある患者は骨髄抑制が増強するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■肝障害又はその既往歴のある患者
肝障害又はその既往歴のある患者は肝障害が悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■腎障害のある患者
腎障害のある患者は副作用が強くあらわれるおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■感染症を合併している患者
感染症を合併している患者は骨髄抑制により、感染症が悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■心疾患又はその既往歴のある患者
心疾患又はその既往歴のある患者は症状が悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■消化管潰瘍又は出血のある患者
消化管潰瘍又は出血のある患者は症状が悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■耐糖能異常のある患者
耐糖能異常のある患者は耐糖能異常が悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■水痘患者
水痘患者は致命的な全身障害があらわれるおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■他の化学療法、放射線治療を受けている患者
他の化学療法、放射線治療を受けている患者は、下痢、骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■前化学療法を受けていた患者
前化学療法を受けていた患者は、下痢、骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■高齢者
高齢者では生理機能が低下していることが多く、特に消化器障害(下痢、口内炎等)、骨髄抑制があらわれやすいことから、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。

■小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していません。

上記にあてはまる方は、ホリナートカルシウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ホリナートカルシウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・フェニトイン
・ワルファリンカリウム
・他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射
・葉酸代謝拮抗剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム等)

上記を使用している方は、ホリナートカルシウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ホリナートカルシウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤
(ティーエスワン)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
Q:ホリナートカルシウムはビタミンの一種と聞きましたが副作用があるのですか?

A:ホリナートカルシウムは自体はビタミン誘導体であることから副作用はほとんどありませが、併用される抗がん薬や抗リウマチ薬による副作用に注意が必要になります。いつもと違う症状が現れた場合は、医師に相談して指示に従ってください。

Q:ホリナートカルシウムの飲み方で気を付けることはありますか?

A:ホリナートカルシウムを飲み忘れた場合は、次の服用時間に1回分服用してください。絶対に2回分を一度に飲まないでください。また、誤って多く飲んだ場合は医師に相談してください。

サイト利用に関する注意事項

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。