成分名 |
バンデタニブ |
適応症状 |
根治切除不能な甲状腺髄様癌 |
簡易説明 |
チロシンキナーゼは甲状腺がんの発病及び病勢の進行において重要なシグナル伝達経路にあることから、甲状腺がん患者において臨床的ベネフィットが得られる可能性が示唆され、甲状腺がん治療薬としての開発が進められてきました。
カプレルサ錠はその中でも血管内皮増殖因子受容体2,上皮増殖因子受容体及びRearranged during Transfection(REF)の各チロシンキナーゼを標的とするマルチキナーゼ阻害薬になります。
適応は「根治切除不能な甲状腺髄様癌」を取得しました。
甲状腺がんは、気管付近、頸部の前面に位置する甲状腺の組織に生じる癌になり、男性よりも女性に多く発症し、日本の総患者数は1万3000~2万9000人と推定されております。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/産婦人科/耳鼻咽喉科/頭頸科/内分泌科等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約3,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:100mg約8,000円
この医薬品に後発薬は発売されておりません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2015年9月28日製造販売承認
2015年11月26日薬価基準収載
2015年12月24日販売開始 |
国内のジェネリック認可 |
国内においてジェネリック医薬品の販売はありません。 |
関連製品(先発薬) |
カプレルサ錠100mg【製薬メーカー:サノフィ株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
後発医薬品は現時点において販売されておりません。 |
効果・作用 |
バンデタニブは「根治切除不能な甲状腺髄様癌」に適応を持つ医薬品、いわゆる抗悪性腫瘍剤になります。
甲状腺髄様癌は甲状腺がんの中の一つで、甲状腺がん全体の約1%程度とまれな病気になります。カルシトニンと呼ばれるホルモンを分泌する傍濾胞細胞が変化してできる癌になります。髄様癌では約2/3が原因不明ですが、約1/3が遺伝性になります。
他の甲状腺がん同様、腫瘍が大きくなると頸にしこりを感じる程度で、自覚症状は特にみられないことがほとんどです。
【作用機序】
バンデタニブは、主に血管内皮増殖因子受容体ー2(VEGFR-2)チロシンキナーゼ、上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ及びRET(Rearranged during Transfection)チロシンキナーゼに対して選択的な阻害作用を示すマルチキナーゼ阻害薬と呼ばれる医薬品になります。
VEGFR-2チロシンキナーゼは主に血管内皮細胞に発現し、血管内皮増殖因子(VEGF)刺激による血管新生に重要は役割を果たします。
一方、EGFRチロシンキナーゼのシグナル伝達異常は、腫瘍細胞の増殖、遊走、浸潤、不死化を含む腫瘍形成過程に直接関与し、RETチロシンキナーゼは甲状腺髄様癌(MTC)の発症に関与するとされております。
バンデタニブは、VEGFR-2チロシンキナーゼを介した血管内皮細胞の増殖、遊走、生存等の血管新生にかかわる反応を抑制し、間接的に腫瘍増殖を抑制するとともに、EGFRやRETのチロシンキナーゼを介する腫瘍細胞の増殖を直接的に抑制する事で、相乗的な作用を示すと考えられております。 |
使用方法 |
通常、成人にはバンデタニブとして1回300mgを1日1回、経口投与します。
なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。 |
副作用 |
重大な副作用
1)間質性肺疾患(0.4%):間質性肺炎、肺臓炎、肺線維症、急性呼吸窮迫症候群等の間質性肺疾患が報告されております。
2)QT間隔延長(13.9%)、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)(頻度不明)
3)心障害(6.1%):頻脈性不整脈(心房細動、頻脈等)、心不全等の心障害が報告されております。
4)重度の下痢(9.4%):脱水、電解質異常等の異常が報告されております。
5)中毒性表皮壊死融解症(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明)
6)重度の皮膚障害(20.4%):光線過敏反応、発疹、皮膚潰瘍等の重度の皮膚障害が報告されております。
7)高血圧:高血圧(27.3%)、血圧上昇(1.2%)、高血圧クリーゼ(1.2%)等が報告されております。
8)可逆性後白質脳症症候群(頻度不明):痙攣、頭痛、視覚障害、錯乱、皮質盲等が報告されております。
9)腎障害:腎不全(0.4%)、蛋白尿(9.8%)等が報告されております。
10)低カルシウム血症(6.1%)
11)肝障害:ALT増加(3.3%)、AST増加(3.7%)、血中ビリルビン増加(頻度不明)等が報告されております。
12)出血:鼻出血(4.9%)、血尿(0.4%)、くも膜下出血(頻度不明)
13)消化管穿孔:小腸穿孔(0.4%)等が報告されております。
その他の副作用
1)皮膚症状に関しては以下の通り報告されております。
皮膚症状(発疹、ざ瘡、皮膚乾燥、皮膚炎、そう痒症等)(10%以上)
手掌・足底発赤知覚不全症候群、脱毛症、爪の障害(1~10%未満)
長睫毛症、擦過傷、メラノサイト性母斑、毛髪成長異常、毛質異常、多汗症、寝汗(1%未満)
2)消化器症状に関しては以下の通り報告されております。
下痢、悪心、食欲減退(10%以上)
消化不良、嘔吐、腹痛、便秘、嚥下障害、口内炎、口内乾燥(1~10%未満)
膵炎、腹部膨満、唾液欠乏、放屁、胃腸音異常(1%未満)
3)呼吸器症状に関しては以下の通り報告されております。
咳嗽、呼吸困難、発声障害(1~10%未満)
鼻乾燥(1%未満)
4)筋・骨格系症状に関しては以下の通り報告されております。
無力症、関節炎、筋骨格系胸痛、筋痙縮(1~10%未満)
筋力低下(1%未満)
5)血液症状に関しては以下の通り報告されております。
ヘモグロビン増加、リンパ球減少症(1~10%未満)
貧血(1%未満)
6)内分泌症状に関しては以下の通り報告されております。
甲状腺機能低下症(1~10%未満)
7)精神神経系症状に関しては以下の通り報告されております。
頭痛、睡眠障害(不眠症、嗜眠等)、うつ病、味覚異常、聴力低下、ニューロパチー、めまい、錯感覚、振戦、神経過敏、注意力障害、不安、性欲減退(1~10%未満)
口の感覚鈍麻、知覚過敏、感覚鈍麻(1%未満)
8)眼症状に関しては以下の通り報告されております。
角膜混濁(10%以上)
結膜炎、眼乾燥、視力障害、霧視(1~10%未満)
眼の障害、眼瞼浮腫、緑内障、羞明、光視症、マイボーム腺機能不全(1%未満)
9)その他
疲労 (10%以上)
体重減少、脱水、体重増加、疼痛、ほてり、潮紅、全身健康状態低下、低カリウム血症、低マグネシウム血症、尿意切迫、発熱、浮腫(1~10%未満)
虚血性脳血管障害、狭心症、治癒不良、粘膜の炎症、低ナトリウム血症、意識消失、頻尿、末梢冷感(1%未満)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
有効成分:バンデタニブ
添加物:リン酸水素カルシウム水和物、結晶セルロース、クロスポビドン、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール300、酸化チタン
2)先天性QT延長症候群のある患者
3)妊婦又は妊娠している可能性のある女性
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
②QT間隔延長の恐れ又はその既往歴のある患者
③心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者
④高血圧症の患者
2)腎機能障害患者
3)生殖能を有する者
4)妊婦
5)授乳婦
6)小児等
7)高齢者
上記にあてはまる方は、バンデタニブを使用する事が出来ない可能性があります。 バンデタニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)抗不整脈剤(キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド等)、並びにQT間隔延長を起こす恐れがある他の薬剤(オンダンセトロン、クラリスロマイシン、ハロペリドール等)
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させる恐れがある為、併用により作用が増強する恐れがあります。
2)CYP3A誘導剤(フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、バルビツール酸系薬物、セイヨウオトギリソウ含有食品等)
本剤の代謝が亢進し血中濃度が低下する可能性がございます。
3)OCT2の基質となる薬剤(メトホルミン等)
本剤はOCT2の阻害剤である為、併用によりOCT2基質の血漿中濃度が増加する可能性がございます。
4)P-糖蛋白の基質となる薬剤(ジゴキシン、アリスキレン、フェキソフェナジン、サキサグリプチン、シタグリプチン等)
本剤はP-糖蛋白の阻害剤であることから併用によりP-糖蛋白基質の血漿中濃度が増加する可能性がございます。
上記を使用している方は、バンデタニブを使用する事が出来ない可能性があります。 バンデタニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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