ラムシルマブ(遺伝子組換え)

成分名

ラムシルマブ(遺伝子組換え)

適応症状

ラムシルマブ(遺伝子組換え)を主成分とする医療用の医薬品であるサイラムザ点滴静注液100mg/500mgの効能効果は
1)治癒切除不能な進行・再発の胃癌
2)治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
3)切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
4)がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌
に対して適応症状を持ちます。

簡易説明

ラムシルマブ(遺伝子組換え)を主成分とする医療用の医薬品であるサイラムザ点滴静注液100mg/500mgは、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR-2)に対する特異的なヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体です。この抗体はVEGFR-2に特異的かつ高い親和性で結合する事で、VEGFリガンドがVEGFR-2に結合する事を阻害し、この受容体の活性化を阻害します。その為、内皮細胞の増殖、遊走及び生存を阻害し、腫瘍血管新生を阻害します。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/呼吸器内科/泌尿器科/腎臓内科/消化器内科外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:100mg約76700円/500mg約362,000円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ラムシルマブ(遺伝子組換え)を主成分として販売している医療用医薬品のサイラムザ点滴静注液100mg/500mgは、2015年3月26日に製造販売が承認され、2015年5月20日に薬価基準に収載、その後2015年6月22日に販売が開始となりました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

サイラムザ点滴静注液100mg/500mg【製薬メーカー:日本イーライリリー株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ラムシルマブ(遺伝子組換え)を主成分とする医療用の医薬品であるサイラムザ点滴静注液100mg/500mgの効能効果は
1)治癒切除不能な進行・再発の胃癌
2)治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
3)切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
4)がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌に対して効果のある医薬品になります。

【作用機序】
細胞の表面に存在している血管内皮細胞増殖因子受容体ー2(VEGFR-2)は腫瘍の血管新生において重要な働きを示す受容体です。リガンドがこの受容体に結合する事で下流のシグナル伝達経路が活性化され、血管形成に必要なプロセスが開始されます。
ラムシルマブ(遺伝子組換え)は血管内皮細胞増殖因子受容体-2(VEGFR-2)に対する抗体になります。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の3つのリガンドであるVEGF-A、VEGF-C及びVEGF-DがVEGFR-2へ結合する事を阻害します。その結果、VEGFR-2は活性化する事が出来ず、VEGFリガンドによるシグナル伝達を阻害します。ラムシルマブはVEGFR-2の活性化を阻害する事によって、内皮細胞の遊走、増殖及び生存を阻害し、腫瘍の血管新生を阻害すると考えられています。

使用方法

【治癒切除不能な進行・再発の胃がん、がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL異常の切除不能な肝細胞がん】
通常、成人に使用する場合においては、2週間に1回、ラムシルマブとして1回8mg/kgを、およそ60分かけて点滴静注します。初回投与の忍容性が良好な場合に限り、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮する事ができます。なお、患者の状態により適宜減量する事が認められています。

【治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん】
イリノテカン塩酸塩水和物(先発名:トポテシン点滴静注40mg/100mg)、レボホリナート(先発名:アイソボリン点滴静注用25mg/100mg)及びフルオロウラシル(先発名:5-FU注250mg/1000mg)との併用において、通常、成人に使用する場合においては、2週間に1回、ラムシルマブとして1回8mg/kgを、およそ60分かけて点滴静注します。初回投与の忍容性が良好な場合に限り、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮することができます。なお、患者の状態により適宜減量する事が認められています。

【切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌】
化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合、ドセタキセル(先発名:タキソテール点滴静注用20mg/80mg)との併用において、通常、成人に使用する場合においては、3週間に1回、ラムシルマブとして、1回10mg/kgを、およそ60分かけて点滴静注します。初回投与の忍容性が良好な場合に限り、2回目以降の投与時間は30分前短縮する事ができます。なお、患者の状態により適宜減量する事が認められています。
EGFR遺伝子が変異陽性の場合における切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に投与する場合、エルロチニブ塩酸塩(先発名:タルセバ錠25mg/100mg/150mg)又はゲフィチニブ(先発名:イレッサ錠250)との併用において、通常、成人に使用する場合においては、2週間に1回、ラムシルマブとして、1回10mg/kgを、およそ60分かけて点滴静注します。初回投与の忍容性が良好な場合に限り、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮する事ができます。なお、患者の状態により適宜減量する事が認められています。

副作用

重大な副作用
(併用薬剤はパクリタキセル、ドセタキセル、ゲフィチニブ、エルロチニブ)
1)動脈血栓塞栓症(単独1.4%、併用0.8%)、静脈血栓塞栓症(単独0.9%、併用3.0%)
心筋梗塞(単独0.2%、併用0.1%)、脳血管障害(単独0.7%、併用0.3%)等の動脈瞼銭塞栓症、肺塞栓症(単独0.2%,併用1.2%)等の静脈血栓塞栓症が現れる事があります。
2)Infusion reaction(単独3.0%、併用3.5%)
アナフィラキシー、悪寒、低血圧、潮紅、呼吸困難、気管支痙攣等が現れる事があります。
3)消化管穿孔(単独0.7%、併用0.7%)
4)出血(単独9.5%、併用31.1%)
肺出血(単独0.5%、併用2.1%)、消化管出血(単独1.8%、併用4.8%)等の出血が現れる事があります。
5)好中球減少症(単独3.9%、併用49.7%)、白血球減少症(単独1.4%、併用21.6%)、発熱性好中球減少症(単独0.2%、併用8.4%)
6)うっ血性心不全(単独0.2%、併用1.0%)
7)創傷治癒障害(単独頻度不明、併用0.3%)
8)瘻孔(単独0.2%、併用0.3%)
9)可逆性後白質脳症症候群(単独頻度不明、併用0.1%)
頭痛、錯乱、痙攣、視覚障害等が現れる事があります。
10)ネフローゼ症候群(単独0.2%、併用0.2%)、蛋白尿(単独6.9%、併用14.8%)
11)間質性肺疾患(単独頻度不明、併用1.2%)
12)肝不全(単独0.2%、併用0.1%)、肝障害(単独4.4%、併用15.1%)
肝不全、ALT、AST等の上昇を伴う肝障害、肝性脳症(単独0.9%、併用頻度不明)が現れる事があります。
13)感染症(単独2.5%、併用24.1%)
敗血症(単独頻度不明、併用0.3%)、肺炎(単独0.5%、併用1.4%)、尿路感染(単独0.2%、併用1.2%)等の感染症が現れる事があります。
14)血栓性微小血管症(単独頻度不明、併用0.1%)
破砕赤血球を伴う貧血、血小板減少、腎機能障害等が現れる事があります。

その他の副作用
①単独投与時
血液、消化器、循環器、呼吸器、内分泌、代謝、皮膚、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)5~15%未満
下痢、頭痛、高血圧
2)5%未満
血小板減少症、発声障害、腹痛、甲状腺機能低下症、低アルブミン血症、低ナトリウム血症、低カリウム血症、末梢性浮腫、発疹、皮膚乾燥、粘膜の炎症、血管腫
3)頻度不明
腸閉塞

②併用投与時
血液、消化器、循環器、呼吸器、内分泌、代謝、腎臓、皮膚、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)20%以上
下痢、食欲減退、口内炎、脱毛症、無力症/疲労
2)5~20%未満
貧血、腹痛、血小板減少症、発熱、高血圧、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、粘膜の炎症、発疹、手掌・足底発赤知覚不全症候群、末梢性浮腫、頭痛、体重減少、流涙増加
3)5%未満
心電図QT延長、咳嗽、呼吸困難、上気道感染、発声障害、咽頭炎、甲状腺機能低下症、低ナトリウム血症、低アルブミン血症、低リン酸血症、血中クレアチニン増加、関節痛、潮紅、眼瞼浮腫、血管腫、顔面浮腫

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
■ラムシルマブ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、サイラムザ点滴静注液100mg/500mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼サイラムザ点滴静注液100mg/500mgの有効成分
ラムシルマブ(遺伝子組換え)
▼代表薬の添加物
・L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、グリシン、塩化ナトリウム、ポリソルベート80
2)妊婦又は妊娠している可能性のある女性

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①血栓塞栓症又はその既往歴のある患者
心筋梗塞、脳血管障害、肺塞栓症等が現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
②高血圧症の患者
高血圧が悪化する恐れがある為使用には注意が必要です。
③消化管等の腹腔内の炎症を合併している患者
消化管穿孔が現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
④出血素因や凝固系異常のある患者
出血が現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
⑤消化管出血等の出血が認められている患者
出血が増強される恐れがある為使用には注意が必要です。
⑥胸部における腫瘍の主要血管への浸潤や腫瘍内空洞化を認められる患者、喀血の既往歴のある患者
肺出血が合われる恐れがある為使用には注意が必要です。
⑦大きな手術の術創が治癒していない患者
創傷治癒障害による合併症が現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
2)肝機能障害患者
①重度の肝障害「重度の肝硬変(Child-Pugh分類B又はC)、肝性脳症を伴う肝硬変、肝硬変による著名な腹水、肝腎症候群」を有する患者
3)生殖能を有する者
4)妊婦
5)授乳婦
6)小児等
小児等を対象とした臨床試験恥視していないため使用には注意が必要です。
7)高齢者
一般的に高齢者では生理機能が低下している事が多い為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、ラムシルマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
ラムシルマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)抗凝固剤(ワルファリン、ヘパリン等)
併用する事で出血リスクを増大させる恐れがある為併用には注意が必要です。

上記を使用している方は、ラムシルマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
ラムシルマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ラムシルマブ(遺伝子組換え)に関する
よくある質問
ラムシルマブ(遺伝子組換え)を投与した場合どのくらい効果が持続しますか?

単回投与時における薬物動態より平均半減期は約8日と血中より緩やかに消失していきます。
インタビューホーム 【日本イーライリリー株式会社】

ラムシルマブ(遺伝子組換え)をパクリタキセルと併用した場合にはどの位効果が持続しますか?

単回投与時における薬物動態より181時間と消失半減期はおおむね単独投与時と同じ推移で血中より消失していきます。
インタビューホーム 【日本イーライリリー株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【日本イーライリリー株式会社】

医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

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