ニロチニブ塩酸塩水和物

成分名

ニロチニブ塩酸塩水和物

適応症状

・移行期慢性骨髄性白血病
・慢性期慢性骨髄性白血病

簡易説明

・がん細胞の増殖などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬です。
・がん細胞の無秩序な増殖や、増殖に必要な異常なタンパク質の働きを選択的に妨害することで、抗腫瘍作用をあらわします。主に、慢性骨髄性白血病に使用されています。
・細胞増殖を引き起こす因子となるチロシンキナーゼという酵素の殖抑制作用があります。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約10000円~
薬代1錠あたりの目安:1313.1円/カプセル
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

販売開始年月 : 2017年12月

国内のジェネリック認可

現在国内ジェネリック医薬品の製造はありません。(海外ジェネリックのみ)

関連製品(先発薬)

タシグナカプセル50mg/150mg/200mg【製薬メーカー:ノバルティスファーマ】

関連製品(ジェネリック)

ニロチニブ(Nilotinib)50mg/150mg/200mg【製薬メーカー:Cyno Pharmaceuticals Ltd.】

効果・作用

・「分子標的薬」と呼ばれるタイプの抗がん薬となります。がん細胞の増殖を指令するシグナル伝達経路を分子レベルで遮断します。標的分子(蛋白)は、白血病細胞増殖の最初の伝達ポイントとなるBCR-ABLチロシンキナーゼです。
・慢性骨髄性白血病患者によくみられるのが「フィラデルフィア染色体」という不正な染色体です。この染色体においてBCR-ABL融合遺伝子が形成され、これがBCR-ABLチロシンキナーゼという異常な蛋白を産生し、これが慢性骨髄性白血病の病因ともなり、がん細胞増殖の引き金となるシグナルを送る役目をしています。
ニロチニブ塩酸塩水和物は、BCR-ABLチロシンキナーゼに結合し、細胞増殖を促すシグナル伝達を遮断し、通常型BCR-ABLチロシンキナーゼや、イマチニブ耐性の変異型BCR-ABLチロシンキナーゼに対しても妨害活性があります。また、働きを妨害することにより、異常な血球の産生を抑制し、血液を正常化させます。その作用により寛解に導くことで、急性転化を回避し、より長生きできる可能性が高まります。初発の慢性骨髄性白血病の1次治療に使用されるほか、従来の標準薬のイマチニブが効果不十分な場合において、2次治療薬として使用することも可能です。

▼慢性骨髄性白血病とは▼
血液は骨のなかの骨髄の造血幹細胞からつくられます。慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞がガン化、白血球の一種の顆粒球が異常増殖する病気のことです。進行してしまうと、正常な血球ができなくなってしまい「貧血、出血、感染症」などを引き起こし命を脅かします。

▼他の分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔Bcr-Abl〕)▼
グリベック/スプリセル/タシグナ/ボシュリフ/アイクルシグ

使用方法

・成人は、1回400mg食事の1時間以上前または、食後2時間以降に1日2回、12時間毎を目安に経口投与すること
※初発の慢性期の慢性骨髄性白血病の場合においては、1回の投与量は300mgです。※使用者の状態により適宜減量してください。
・小児の場合、体表面積を合わせて、以下の投与量(ニロチニブとして1回約230mg/㎡)を食事の1時間以上前または、食後2時間以降に1日2回、12時間毎を目安に経口投与してください。
※患者の状態により適宜減量します。
〈小児の体表面積の目安〉
0.32㎡以下は、1回投与量50mg
0.33~0.54㎡は、1回の投与量100mg
0.55~0.76㎡は、1回の投与量150mg
0.77~0.97㎡は、1回の投与量200mg
0.98~1.19㎡は、1回の投与量250mg
1.20~1.41㎡は、1回の投与量300mg
1.42~1.63㎡は、1回の投与量350mg
1.64㎡以上は、1回の投与量400mg

副作用

主な副作用
ニロチニブ塩酸塩水和物には、副作用が起こる可能性があります。
ニロチニブ塩酸塩水和物を服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

狭心症、好中球減少、心筋梗塞、肝炎、末梢動脈閉塞性疾患、四肢動脈血栓症、急激な体重増加、肺水腫、間欠性跛行、頭蓋内出血、体液貯留、うっ血性心不全、消化管穿孔、消化管出血、心タンポナーデ、脳浮腫、貧血、骨髄抑制、白血球減少、血小板減少、高血糖、汎血球減少、後腹膜出血、QT間隔延長、心不全、閉塞性動脈硬化症、末梢性虚血、壊死、疼痛、冷感、しびれ、一過性脳虚血発作、心膜炎、感染症、肺炎、敗血症、肝機能障害、黄疸、膵炎、胸水、心嚢液貯留、呼吸困難、間質性肺疾患、脳梗塞、出血性ショック、B型肝炎ウイルス再活性化、出血、腫瘍崩壊症候群

その他の副作用
便秘、腹痛、ALT増加、疲労、リパーゼ増加、体重増加、紅斑、皮膚色素過剰、多汗症、寝汗、皮膚剥脱、皮膚過角化、蕁麻疹、挫傷、皮膚疼痛、ざ瘡、斑状出血、光線過敏、皮膚水疱、結節性紅斑、皮膚嚢腫、脂腺過形成、皮膚肥厚、CK増加、皮膚変色、剥脱性発疹、多形紅斑、不眠症、うつ病、錯乱状態、浮動性めまい、感覚鈍麻、味覚異常、片頭痛、錯感覚、意識消失、振戦、健忘、知覚過敏、異常感覚、下肢静止不能症候群、結膜炎、眼瞼浮腫、結膜出血、眼窩周囲浮腫、眼瞼炎、発熱、眼刺激、網脈絡膜症、結膜充血、オキュラーサーフェス疾患、霧視、眼出血、聴覚障害、耳痛、皮膚乳頭腫、背部痛、筋骨格硬直、筋力低下、側腹部痛、消化不良、腹部膨満、鼓腸、腹部不快感、胃腸炎、痔核、胃食道逆流、胃潰瘍、裂孔ヘルニア、メレナ、歯肉炎、歯知覚過敏、口腔内潰瘍、潰瘍性食道炎、ALP増加、肝腫大、低マグネシウム血症、咳嗽、鼻出血、発声障害、胸膜炎、高血圧、口腔咽頭痛、動悸、心房細動、冠動脈疾患、着色尿、徐脈、肺高血圧症、期外収縮、駆出率減少、心拡大、チアノーゼ、口内炎、房室ブロック、不整脈、リンパ球減少症、発熱性好中球減少症、好酸球増加症、潮紅、血腫、BUN増加、頻尿、排尿困難、女性化乳房、勃起不全、月経過多、乳頭腫脹、乳房硬結、毛包炎、鼻咽頭炎、ヘルペスウイルス感染、気管支炎、カンジダ症、せつ、皮下組織膿瘍、低ナトリウム血症、肛門膿瘍、甲状腺機能亢進症、糖尿病、食欲不振、脂質異常症、高トリグリセリド血症、痛風、低血糖、顔面浮腫、けん怠感、胸痛、過敏症、熱感、重力性浮腫、限局性浮腫、口腔乳頭腫、低カリウム血症、血中インスリン増加、血中非抱合ビリルビン増加、下痢、超低比重リポ蛋白増加、VLDL増加、高カリウム血症、トロポニン増加、皮膚炎、LDH増加、手足症候群、点状出血、皮膚潰瘍、乳房痛、視神経炎、顔面神経麻痺、複視、眼部腫脹、視神経乳頭浮腫、羞明、耳鳴、関節腫脹、筋骨格系疼痛、吐血、亜イレウス、胆汁うっ滞、胸膜痛、咽喉刺激感、喘鳴、心雑音、高血圧クリーゼ、尿意切迫、尿失禁、尿路感染、甲状腺炎、脱水、食欲亢進、インフルエンザ様疾患、高リン酸血症、血中副甲状腺ホルモン増加、γ-GTP増加、末梢性浮腫、血尿、腎不全、胸部不快感、ビリルビン増加、AST増加、高コレステロール血症、無力症、低リン酸血症、不快気分、湿疹、眼乾燥、視力障害、失見当識、眼そう痒症、光視症、血栓症、顔面腫脹、高尿酸血症、関節炎、末梢性ニューロパチー、回転性めまい、足部白癬、気道感染、甲状腺機能低下症、口内乾燥、失神、眼充血、眼痛、低カルシウム血症、低血圧、高カルシウム血症、続発性副甲状腺機能亢進症、食道痛、白血球増加症、不安、強膜充血、視力低下、嗜眠、体重減少、注意力障害、血小板血症、悪寒、血中クレアチニン増加、皮膚萎縮、頻脈、

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・妊婦/産婦
・過敏症

■ニロチニブ塩酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方タシグナは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼タシグナの有効成分
ニロチニブ塩酸塩水和物
▼代表薬の添加物
乳糖、クロスポビドン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
カプセル本体にゼラチン、酸化チタン、三二酸化鉄含有

使用に注意が必要な方
・高齢者
・新生児(低出生体重児を含む)/乳児/幼児/小児
・B型肝炎/肝機能障害/心疾患/膵炎/低カリウム血症/低マグネシウム血症/電解質異常/QT間隔延長/B型肝炎ウイルスキャリア/イマチニブに忍容性のない/心リスク因子のある/HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性/HBs抗原陰性かつHBs抗体陽性/低カリウム血症/低マグネシウム血症/電解質異常/イマチニブに忍容性のない

上記にあてはまる方は、ニロチニブ塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ニロチニブ塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含むもの
・グレープフルーツジュース

上記を使用している方は、ニロチニブ塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ニロチニブ塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
薬物代謝酵素<CYP3A4>を阻害する薬剤/アゾール系抗真菌剤/イトラコナゾール/ボリコナゾール/リトナビル/クラリスロマイシン/ケトコナゾール/肝薬物代謝酵素<CYP3A4>を誘導する薬剤/フェニトイン/リファンピシン類/カルバマゼピン/フェノバルビタール/デキサメタゾン/肝薬物代謝酵素<CYP3A4>の基質となる薬剤/ミダゾラム/CYP3A4・P糖蛋白の基質/CYP3A4・P糖蛋白を阻害する薬剤/イマチニブ/抗不整脈剤/アミオダロン/ジソピラミド/プロカインアミド/キニジン/ソタロール/QTを延長する薬剤/ハロペリドール/モキシフロキサシン/ベプリジル/ピモジド/胃内pHを上昇させる薬剤/プロトンポンプ阻害剤

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
タシグナの注意点はどうなりますか?

食後にタシグナを服用すると吸収が促進されて血中濃度が上昇してしまい、副作用が現れやすくなる恐れがあるので注意が必要です。食前1時間、食後2時間は服用を控える必要があり、12時間ごとを目安に服用してください。

分子標的治療薬を飲み続けて、効かなくなることはないのですか?

CMLの分子標的治療薬による治療が行われるようになって10年以上経ちますが、「分子標的治療薬を長期間続けた方はCMLが悪化する」、という報告は現在のところございません。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。