成分名 |
ナタリズマブ(遺伝子組換え) |
適応症状 |
多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制 |
簡易説明 |
ナタリズマブ(遺伝子組換え)はバイオジェン社及びElan社(アイルランド)によって開発されました。多発性硬化症(MS)治療剤としては世界で初めてのモノクローナル抗体製剤です。注射製剤で、投与頻度が4週に1回でよいため、患者さんにとっては日常生活を大きく変える必要がありません。投与負担が比較的軽い点が特徴です。 |
処方可能な診療科目 |
神経内科/内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません。
タイサブリ点滴静注300mg【製薬メーカー:バイオジェン・ジャパン】300mg1瓶230345円(薬価) |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2014年6月発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
タイサブリ 【製薬メーカー:バイオジェン・ジャパン】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
【アメリカ】
2006年6月にTYSABRIの名前で発売されており、アメリカのみ適応症が異なっております。
<効能又は効果>
多発性硬化症、クローン病
<用法及び用量>
300mgを4週に1回、1時間以上かけて静脈内投与
【ドイツ、イギリス、カナダ、イタリア、フランス、香港】
ドイツは2006年6月、イギリスは2006年7月、カナダでは2006年11月、イタリアは2007年2月、フランスは2007年4月、香港では2013年6月に発売されています。
<効能又は効果>
再発寛解型多発性硬化症
<用法及び用量>
300mgを4週に1回、1時間以上かけて静脈内投与 |
効果・作用 |
ナタリズマブ(遺伝子組換え)はBiogenIdec(現 Biogen)社(アメリカ)及び Elan社(アイルランド)で開発されました。ヒトα4インテグリンに特異的に結合するヒト化免疫グロブリン(Ig)G4モノクローナル抗体であり、多発性硬化症の治療薬としては世界初です。
多発性硬化症の病巣は、Tリンパ球を含む活性化炎症細胞が血液脳関門を通過することにより形成されると考えられています。白血球の血液脳関門通過には、炎症細胞表面のα4β1インテグリンと血管内皮細胞表面のVCAM-1との相互作用が関与しています。ナタリズマブは、ヒトインテグリンα4サブユニットに特異的に結合し、α4β1インテグリンとVCAM-1との相互作用を阻害することにより、炎症性組織への免疫細胞の動員を阻害して、多発性硬化症の病巣形成を阻止すると考えられています。また、ナタリズマブは、α4インテグリンを発現する白血球と細胞外マトリックス等との相互作用を阻害することにより、病巣で進行している炎症反応を抑制する可能性も示唆されています。
有効性としては、体重38~96kgの再発寛解型多発性硬化症患者(各群47例)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(国内第Ⅱ相試験)を実施しています。
プラセボ又は本剤300mgを4週に1回24週間点滴静注した結果、本剤群における24週間の新規活動性病巣の発生率(平均値±標準偏差)は、プラセボ群0.352±0.565、本剤群0.058±0.075であり、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意に低いことが認められました。また、国内第Ⅱ相試験を終了した97例を対象に継続長期投与試験を実施しています。 1年間の投与における年間再発率(回/人・年、平均値)は、0.366でした。 |
使用方法 |
1回300mgを4週に1回1時間かけて点滴静注します。 |
副作用 |
主な副作用
主に、頭痛、感染症、過敏症などがあげられます。
項目別の発現頻度は以下の通りです。
神経系障害・・頭痛(5%超)、浮動性めまい(1~5%)
胃腸障害・・悪心/下痢(1~5%)、嘔吐/便秘(1%未満)
一般・全身障害および投与部位の状態・・疲労/インフルエンザ様疾患/悪寒(1~5%)、発熱(1%未満)
感染症および寄生虫症・・鼻咽頭炎/尿路感染(1~5%)
皮膚および皮下組織障害・・脱毛症/発疹(1~5%)、蕁麻疹(1%未満)
筋骨格および結合組織障害・・関節痛/四肢痛(1~5%)
血液およびリンパ系障害・・好酸球増加症/血小板減少症(頻度不明)
その他・・不規則月経(1~5%)
重大な副作用
重大な副作用は以下の通りです。
<進行性多巣性白質脳症(PML)(0.4%)、小脳顆粒細胞障害(granule cell neuronopathy:GCN)(頻度不明)>
片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害、小脳症状(運動失調、眼振等)等の症状は、初期症状の可能性があります。
もし、上記の症状が出た場合には、直ちに投与を中断し、MRIによる画像診断、脳脊髄液検査等によりPML発症の有無を確認してください。同時に、最新のガイドライン等を参考にし、血漿交換等の処置を行ってください。
また、本剤投与患者でJCVによるGCNが報告されています。小脳症状があらわれた場合はGCNの可能性があることに留意してください。
<感染症(11.9%)>
日和見感染症、ヘルペス感染を含む感染症があらわれることがあるため、症状が出た場合には、すぐに休薬または中止し、医療機関に相談してください。
<過敏症(3.6%)>
アナフィラキシー等の重篤な事象を含め、低血圧、高血圧、胸痛、胸部不快感、呼吸困難、発疹、蕁麻疹等の過敏症の症状があらわれることがあります。
臨床試験では、過敏症の多くは投与開始から 2時間以内に発現しているため、もし症状が出た場合にはすぐに投与を中止してください。
<肝障害(0.2%)>
肝硬変、肝不全、脂肪肝、黄疸等の重篤な肝障害がまれにあらわれることがあります。
< 急性網膜壊死(acute retinal necrosis:ARN)(頻度不明)>
視力低下、霧視、結膜充血、眼痛等の症状があらわれた場合には、すぐに投与を中断し、眼科的検査等を行ってください。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ナタリズマブ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ナタリズマブ(遺伝子組換え)の有効成分
ナタリズマブ(遺伝子組換え)
▼代表薬の添加物
リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸水素二ナトリウム七水和物、塩化ナトリウム、ポリソルベート80
・以前、ナタリズマブ(遺伝子組換え)を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・進行性多巣性白質脳症(PML)の方又はその既往歴のある方はPMLが悪化もしくは再発する恐れがあるため使用できません。
・免疫不全患者又は免疫抑制剤の使用等により高度の免疫抑制状態にある方は、〔PMLを含む感染症が誘発される恐れがあるため使用できません。
・重篤な感染症を合併している方は、感染症が増悪し致命的となる恐れがあるため使用できません。
使用に注意が必要な方 ・抗JCウイルス(JCV)抗体陽性の方は、PMLの発症リスクが高いことが確認されているため注意をしてください。
・感染症を合併している方又は感染症が疑われる方は、感染症が増悪する恐れがあるため注意をしてください。
・易感染性の状態にある方は感染症が誘発される恐れがあるため注意をしてください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
・小児
・高齢者
上記にあてはまる方は、ナタリズマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。 ナタリズマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 <生ワクチン又は弱毒生ワクチン(BCGワクチン、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン等)>
生ワクチンによる二次感染が否定できないため、注意をして併用してください。
<不活化ワクチン(日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン等)>
ワクチンの効果を減弱させる恐れがあります。
上記を使用している方は、ナタリズマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。 ナタリズマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ナタリズマブ(遺伝子組換え)に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ナタリズマブ(遺伝子組換え)医薬品インタビューフォーム
ナタリズマブ(遺伝子組換え)添付文書
タイサブリ点滴静注300mgの基本情報【日経メディカル】 |
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