成分名 |
カルボプラチン |
適応症状 |
〇頭頸部がん、肺小細胞がん、睾丸腫瘍、卵巣がん、子宮頸がん、悪性リンパ腫、非小細胞肺がん、乳がん
〇以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・網膜芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫) |
簡易説明 |
カルボプラチンは、シスプラチンの抗腫瘍活性を弱めることなく、且つ腎毒性及び嘔気・嘔吐などの副作用を軽減する事を目的に選択された白金錯化合物の一つになります。シスプラチンではたくさんの水分を点滴する必要がありましたが、カルボプラチンにおいてはその必要がなくなりました。
白金製剤はプラチナ製剤と呼ばれており、薬剤の構造中に白金(プラチナ:Pt)が含まれております。プラチナ製剤は細胞傷害性抗がん剤の一種になります。プラチナがDNAの塩基と共有結合する事で、塩基同士を結合させてしまいます。塩基同士が結合してしまうと、DNAの複製や転写ができなくなり、細胞は死んでしまいます。肺がんの治療で使われる「シスプラチン」、「カルボプラチン」や大腸がんの治療で使われる「オキサリプラチン」等が代表的な医薬品になります。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/泌尿器科/産婦人科/眼科/乳腺外科/腎臓内科等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約3,000円~6,000円
薬代1瓶あたりの目安:50mg約2,060円/150mg約5,5300円/450mg約13,430円
薬代後発薬1瓶の目安:50mg約1,780円/150mg約2,700円~4,200円/450mg約6,820円~9,870円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料また入院費用などが別途必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2006年7月24日製造販売承認
2006年12月8日薬価基準収載
1990年5月25日発売 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
パラプラチン注射液50mg/150mg/450mg【製薬メーカー:ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
カルボプラチン注射液50mg/150mg/450mg「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】
カルボプラチン注射液50mg/150mg/450mg「NK」【製薬メーカー:マイラン製薬株式会社】
カルボプラチン注射液50mg/150mg/450mg「SW」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
カルボプラチン注射液50mg/150mg/450mg「TYK」【製薬メーカー:武田テバ薬品株式会社】
カルボプラチン注射液50mg/150mg/450mg「サンド」【製薬メーカー:サンド株式会社】 |
効果・作用 |
カルボプラチンは頭頸部がん、肺小細胞がん、睾丸腫瘍、卵巣がん、子宮頸がん、悪性リンパ腫、非小細胞肺がん、乳がん、また小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・網膜芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法に対して効果を示す医薬品になります。
【作用機序】
カルボプラチンの作用機序はシスプラチンとほぼ同様と考えられております。すなわち、カルボプラチンは、構造上シスプラチンとは脱離配位子のみが異なり、活性化反応においては、シスプラチンと類似の変換をすると考えられております。
カルボプラチンは、1,1ーシクロブタンジカルボン酸配位子の一方がOH2に変換されることにより活性化され、DNAと反応、結合し、次いで、一方が外れた1,1ーシクロブタンジカルボン酸基は不安定となり脱離し、その脱離部が同様に活性化され、更にDNAと結合し、反応を終了するとされております。
つまりカルボプラチンは細胞内DNAのプリン塩基(グアニン及びアデニン)と結合し、架橋形成する事で、DNAの複製・転写を抑制する事から抗腫瘍効果を発揮するとされております。架橋形成の大部分は同一DNA鎖の中で生じ(鎖内架橋)、また細胞周期非依存性に作用するとされております。 |
使用方法 |
【頭頸部がん、肺小細胞がん、睾丸腫瘍、卵巣がん、子宮頸がん、悪性リンパ腫、非小細胞肺がんの場合】
通常、成人にはカルボプラチンとして、1日1回300~400mg/㎥(体表面積)を投与し、少なくとも4週間休薬する事とされております。これを1クールとし、投与を繰り返します。なお、投与量は、年齢、疾患、症状により適宜増減する事とされております。
【乳がんの場合】
トラスツズマブ(遺伝子組み換え)(商品名:エンハーツ点滴静注用等)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤(商品名:タキソール注射液等)との併用において、通常、成人にはカルボプラチンとして、1日1回300~400mg/㎥(体表面積)を投与し、少なくとも3週間休薬する事とされております。これを1クールとし、投与を繰り返します。なお、投与量は、患者の状態により適宜減ずることとされております。
【小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合】
イホスファミド(商品名:注射用イホマイド1g)とエトポシド(商品名:ラステット注等)との併用療法において、カルボプラチンの投与量及び投与方法は、カルボプラチンとして635mg/㎥(体表面積)を1日間点滴静注又は400mg/㎥(体表面積)を2日間点滴静注し、少なくとも3~4週間休薬する事とされております。これを1クールとし、投与を繰り返します。なお、投与量及び投与日数は疾患、症状、併用する他の抗悪性腫瘍剤により適宜減ずることとされております。
また、1歳未満もしくは体重10Kg未満の小児に対して使用する場合においては、投与量に関しては十分配慮する事が必要とされております。
【小児悪性固形腫瘍(網膜芽腫)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合】
ビンクリスチン硫酸塩(商品名:オンコビン注射用1mg)とエトポシド(商品名:ラステット注等)との併用療法において、カルボプラチンの投与量及び投与方法は、カルボプラチンとして560mg/㎥(体表面積)を1日間点滴静注し、少なくとも3~4週間休薬する事とされております。これを1クールとし、投与を繰り返します。
但し、36カ月齢以下の患児にはカルボプラチンを18.6mg/kgとします。なお、投与量及び投与日数は疾患、症状、使用する他の抗悪性腫瘍剤により適宜減ずることとされております。
【共通事項として】
本剤投与時、投与量に応じて250mL以上のブドウ糖注射液又は生理食塩液に混和し、30分以上かけて点滴静注する事とされております。 |
副作用 |
重大な副作用
1)汎血球減少(0.1%未満)等の骨髄抑制
2)ショック、アナフィラキシー(0.1%未満)
3)間質性肺炎(0.1%)
4)急性腎障害(0.1%未満)、ファンコニー症候群(頻度不明)
5)肝不全、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
6)消化管壊死、消化管穿孔、消化管出血、消化管潰瘍(いずれも頻度不明)
7)出血性腸炎、偽膜性大腸炎(頻度不明)
8)麻痺性イレウス(0.1%未満)
9)脳梗塞(0.1%未満)、肺梗塞(頻度不明)
10)血栓・塞栓症(頻度不明)
11)心筋梗塞、うっ血性心不全(頻度不明)
12)溶血性尿毒症症候群(頻度不明)
13)急性窮迫症候群(頻度不明)
14)播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明)
15)急性膵炎(頻度不明)
16)難聴(0.1%未満)
17)白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む)(頻度不明)
18)腫瘍崩壊症候群(頻度不明)
【重大な副作用(類薬)】
1)うっ血乳頭、球後視神経炎、皮膚盲
2)溶血性貧血
その他の副作用
1)消化器
悪心・嘔吐、食欲不振(10%以上又は頻度不明)
下痢、口内炎、腹痛、便秘(1~10%未満)
口渇(1%未満)
2)腎臓
血尿、蛋白尿(1~10%未満)
乏尿(1%未満)
3)過敏症
蕁麻疹(10%以上又は頻度不明)
発疹(1~10%未満)
掻痒感(1%未満)
4)精神神経系
末梢神経障害(痺れ等)、頭痛(1~10%未満)
耳鳴り、聴力低下、視力障害、めまい、痙攣、異常感覚、味覚異常、神経過敏、不安、不眠(1%未満)
5)肝臓
ALT(GPT)上昇(10%以上又は頻度不明)
AST(GOT)上昇、Al-P上昇、ビリルビン上昇、LDH上昇、γーGTP上昇(1~10%未満)
6)循環器
心電図異常(期外収縮)、心悸亢進、血圧上昇、血圧低下、不整脈(頻脈、徐脈、心房細動、心房粗動、房室ブロック)(1%未満)
7)電解質
血清ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、リン、マグネシウム等の異常(1~10%未満)
抗利尿ホルモン分泌異常症候群(1%未満)
8)皮膚
脱毛(10%以上又は頻度不明)
色素沈着、爪の変色、皮膚疾患(1%未満)
9)その他
全身倦怠感、無力症、尿酸上昇、悪寒、脱水、体重減少、アルブミン低下、呼吸困難(10%以上又は頻度不明)
発熱、浮腫(1~10%未満)
疼痛、潮紅、ほてり、胸部不快感、吃逆、注射部位反応(発赤、腫脹、疼痛、壊死、硬結等)、低蛋白血症(1%未満)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)重篤な骨髄抑制のある患者:骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症又は出血を伴い、重篤化する可能性がございます。
2)本剤又は他の白金を含む薬剤に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者:再投与により再び過敏症を起こす可能性がたかいとされております。
3)妊婦又は妊娠している可能性のある女性:動物実験において催奇形性等の報告がございます。
使用に注意が必要な方 1)骨髄抑制のある患者
2)腎障害のある患者
3)肝障害のある患者
4)感染症を合併している患者
5)水痘患者
6)高齢者
7)小児
8)長期間使用している患者
上記にあてはまる方は、カルボプラチンを使用する事が出来ない可能性があります。 カルボプラチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)放射線照射
骨髄抑制等の副作用を有するため副作用が増強する事があるとされております。
2)抗悪性腫瘍剤
骨髄抑制等の副作用を有するため副作用が増強する事があるとされております。
3)腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤
アミノグリコシド系、抗生物質等
ともに腎障害及び聴器障害を有するため腎障害及び聴器障害が増強する事があるとされております。
上記を使用している方は、カルボプラチンを使用する事が出来ない可能性があります。 カルボプラチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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