フルオロウラシル

成分名

フルオロウラシル

適応症状

○下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
胃癌、肝癌、結腸・直腸癌、乳癌、膵癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌
ただし、下記の疾患については、他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用してください。
食道癌、肺癌、頭頸部腫瘍

○以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
頭頸部癌、食道癌

○レボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
結腸・直腸癌、小腸癌、治癒切除不能な膵癌、治癒切除不能な進行・再発の胃癌

簡易説明

フルオロウラシルは代謝拮抗薬という抗がん剤の一種です。食道がんや胃がん、肝臓がんなどさまざまな病気に用いられる薬剤です。がん細胞は急激なスピードで増えますが、本剤は、がん細胞が増殖する際のDNAの合成や機能を阻害します。経口薬と注射薬があり、適応する疾患などによって投与方法を選択します。日本では協和キリンが販売しています。

処方可能な診療科目

消化器内科/肝臓外科/肝臓内科/消化器外科/産婦人科/耳鼻咽喉科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
<先発品>
5−FU注250mg【製薬メーカー:協和キリン】250mg1瓶255円(薬価)
5−FU注1000mg【製薬メーカー:協和キリン】1000mg1瓶838円(薬価)

<後発品>
フルオロウラシル注250mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品】250mg1瓶255円(薬価)
フルオロウラシル注1000mg「トーワ」 【製薬メーカー:東和薬品】1000mg1瓶519円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

5−FU注250mg:2013年6月発売
5−FU注1000mg:2011年6月発売

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

5−FU注250mg/5−FU注1000mg【製薬メーカー:協和キリン】

関連製品(ジェネリック)

フルオロウラシル注250mg「トーワ」/フルオロウラシル注1000mg「トーワ」
【製薬メーカー:東和薬品】

海外での使用実績

フルオロウラシルはアメリカ、イギリス等において販売されています。

【アメリカ】
Fluorouracil Injection, USPという名前で発売されています。

<効能・効果>
・結腸直腸腺癌
・乳房の腺がん
・胃腺癌
・膵臓腺がん

効果・作用

フルオロウラシルは代謝拮抗薬という抗がん剤の一種です。がん細胞が増殖する際のDNAの合成や機能を阻害することで、がん細胞の増殖を抑え、死滅させます。

国内32施設において、各種悪性腫瘍患者を対象とした単独使用例と併用使用例別の成績概要をまとめています。それぞれの有効率は以下の通りです。

胃癌・・単独使用:27.3%(41/150)、併用使用:37.8%(202/535)
肝癌・・単独使用:22.2%(2/9) 、併用使用:40.9%(36/88)
結腸・直腸癌・・単独使用: 41.9%(13/31)、併用使用:49.3%(36/73)
乳癌・・単独使用:35.1%(13/37)、併用使用: 58.7%(37/63)
膵癌・・単独使用:21.1%(4/19)、併用使用: 23.1%(3/13)
子宮癌(頸癌、併用使用:体癌) ・・単独使用:57.1%(24/42)
卵巣癌・・単独使用:100.0%(1/1) 、併用使用:56.0%(28/50)
食道癌・・単独使用:33.3%(2/6)、併用使用:12.5%(2/16)
肺癌・・単独使用:9.1%(1/11) 、併用使用:25.8%(89/345)
頭頸部腫瘍・・単独使用:40.0%(2/5)、併用使用: 78.1%(25/32)

<動脈内投与>
胃癌・・50.0%(11/22)
肝癌・・52.7%(29/55)
乳癌・・81.0%(17/21)
肺癌・・72.7%(8/11)
頭頸部腫瘍・・75.0%(18/24)

化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌を対象に第Ⅱ相臨床試験を実施しております。
対象の36名にFOLFIRINOX法(1クールを2週間として第1日目にオキサリプラチン85mg/m2、レボホリナート200mg/m2、イリノテカン塩酸塩水和物180mg/m2を点滴静注し、引き続き本剤400mg/m2を急速静脈内投与、本剤2400mg/m2を46時間かけて持続静注)を行った時の効果は14名に認められ、奏効率38.9%でした。

使用方法

単剤か併用か、どんな症状に対して使用するのかで、用量が異なっています。

単独で使用する場合
①成人には1日5~15mg/kgを最初の5日間毎日1日1回静脈内に注射又は点滴静注します。その後5~7.5mg/kgを1日おきに1日1回静脈内に注射又は点滴静注します。
②成人には1日5~15mg/kgを1日おきに1日1回静脈内に注射又は点滴静注します。
③成人には1日5mg/kgを10~20日間毎日1日1回静脈内に注射又は点滴静注します。
④フルオロウラシルとして、通常、成人には 1日10~20mg/kgを週1回静脈内に注射又は点滴静注します。
また、必要に応じて動脈内に1日5mg/kgを適宜注射します。年齢、症状により適宜増減が可能です。

他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用する場合
成人には1日5~10mg/kgを他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用し、単独で使用する場合の使い方に準じます。もしくは、間歇的に週1~2回用います。

頭頸部癌及び食道癌に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
他の抗悪性腫瘍剤との併用療法において、1日1000mg/m(体表面積)までを、4~5日間毎日持続点滴します。投与を繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与します。本剤単独投与の場合には併用投与時に準じますが、年齢、患者の状態などにより適宜減量が可能です。

結腸・直腸癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
①通常、成人にはレボホリナートとして1回100mg/m(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射します。
レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルを400mg/m(体表面積)静脈内注射します。
さらにフルオロウラシルとして600mg/m(体表面積)を22時間かけて持続静注します。これを2日間連続して行い、2週間ごとに繰り返すします。

②通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射します。
レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして2600mg/m(体表面積)を24時間持続静注します。
1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬します。これを1クールとします。

③通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射します。
レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして2400~3000mg/m(体表面積)を46時間持続静注します。これを2週間ごとに繰り返します。年齢、患者の状態などにより適宜減量が可能です。

小腸癌、治癒切除不能な膵癌及び治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射します。
レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして2400mg/m(体表面積)を46時間持続静注します。
これを2週間ごとに繰り返しますが、年齢、患者の状態などにより適宜減量が可能です。

副作用

主な副作用
主に、食欲不振、下痢、悪心・嘔吐、倦怠感などがあげられます。

項目別の発現頻度としては以下の通りです。

消化器・・食欲不振/下痢/悪心・嘔吐(5%以上)、味覚異常/口渇/腹部膨満感/腹痛/下血(0.1~5%未満)、便秘(0.1%未満)、口角炎/舌炎/胸やけ(頻度不明)
肝臓・・AST上昇/ALT上昇/ビリルビン上昇等の肝機能検査値異常(頻度不明)
腎臓・・蛋白尿(0.1~5%未満)、BUN上昇/クレアチニン値上昇/クレアチニン・クリアランス低下(頻度不明)
精神神経系・・倦怠感(5%以上)、めまい/末梢神経障害(しびれ/知覚異常等)(頻度不明)
皮膚・・色素沈着/脱毛/浮腫/びらん/水疱/そう痒感/紅潮(0.1~5%未満)、爪の異常/光線過敏症(頻度不明)
過敏症・・発疹(0.1~5%未満)
循環器・・心電図異常(ST上昇/T逆転/不整脈等)/胸痛/胸内苦悶(頻度不明)
眼・・流涙/結膜炎(頻度不明)
動脈内投与時・・カテーテル先端付近の動脈壁の変性/血栓形成(頻度不明)
その他・・発熱/頭痛(0.1~5%未満)、糖尿/低カルシウム血症/耐糖能異常(頻度不明)

重大な副作用
< 激しい下痢(頻度不明)>
脱水症状を起こすことがあります。症状が出た場合には、投与を中止し補液等の処置を行ってください。

<重篤な腸炎(頻度不明)>
出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることがありますので、激しい腹痛・下痢等の症状が出た場合には投与を中止してください。

<骨髄機能抑制(頻度不明)>
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少が起こる場合があります。

<ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)>
発疹、呼吸困難、血圧低下等の症状があらわれた場合には投与を中止してください。

<白質脳症等を含む精神神経障害(頻度不明)>
白質脳症の初期症状として歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、舌のもつれ等があらわれることがあります。また、錐体外路症状、言語障害、運動失調、眼振、意識障害、痙攣、顔面麻痺、見当識障害、四肢末端のしびれ感、せん妄、記憶力低下、自発性低下、尿失禁等の精神神経症状があらわれることがあります。

<うっ血性心不全、心筋梗塞、安静狭心症、心室性頻拍(いずれも頻度不明)>
<重篤な腎障害(頻度不明)>
急性腎障害、ネフローゼ症候群等があらわれることがあります。

<間質性肺炎(頻度不明)>
発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行ってください。

<劇症肝炎、肝不全、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)>
AST、ALT、Al-P、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれ、肝不全まで至ることがあります。劇症肝炎にも注意をしてください。

<肝硬変(頻度不明)>
<消化管潰瘍、重症な口内炎(いずれも頻度不明)>
<急性膵炎(頻度不明)>
腹痛、血清アミラーゼ上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行ってください。

<意識障害を伴う高アンモニア血症(頻度不明)>
<肝動脈内投与における肝・胆道障害(頻度不明)>
胆嚢炎、胆管壊死、肝実質障害等があらわれることがあるので、造影等により薬剤の分布領域をよく確認してください。

<手足症候群(頻度不明)>
手掌・足蹠の紅斑、疼痛性発赤腫脹、知覚過敏等があらわれることがあります。

<嗅覚障害(頻度不明)>
嗅覚障害(長期投与症例に多い)があらわれ、嗅覚脱失まで至ることがあります。

<中毒性表皮壊死融解症(ToxicEpidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)>
<溶血性貧血(頻度不明)>

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■フルオロウラシルを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼フルオロウラシルの有効成分
フルオロウラシル

▼代表薬の添加物
トロメタモール

・以前、フルオロウラシルを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の方及び投与中止後7日以内の方は使用できません。

使用に注意が必要な方
・骨髄機能抑制のある方は骨髄機能をより強く抑制するおそれがあるため注意してください。
・感染症を合併している方は骨髄機能抑制により感染症が悪化する恐れがあるため注意してください。
・心疾患又はその既往歴のある方は症状が悪化するおそれがあります。
・消化管潰瘍又は出血のある方は症状が悪化するおそれがあります。
・水痘の方は致命的な全身障害があらわれるおそれがあります。
・腎機能障害の方は、副作用が強くあらわれるおそれがあります。
・肝機能障害の方は、副作用が強くあらわれるおそれがあります。
・妊婦
・授乳婦
・小児等
・高齢者は生理機能が低下していることが多く、特に骨髄機能抑制、消化器障害(激しい下痢、口内炎等)、皮膚障害、精神神経系の副作用があらわれやすいので注意してください。

上記にあてはまる方は、フルオロウラシルを使用する事が出来ない可能性があります。
フルオロウラシルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<フェニトイン>
構音障害、運動失調、意識障害等のフェニトイン中毒があらわれることがあります。

<ワルファリンカリウム>
ワルファリンカリウムの作用を増強させることがあるので、凝固能の変動に注意してください。

<トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤>
重篤な骨髄抑制等の副作用が発現するおそれがあります。

<他の抗悪性腫瘍剤放射線照射>
骨髄機能抑制、消化管障害等の副作用が増強することがあります。

上記を使用している方は、フルオロウラシルを使用する事が出来ない可能性があります。
フルオロウラシルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
<テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)>
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現する恐れがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本剤を投与しないでください。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

フルオロウラシルに関する
よくある質問
5-FUによる手足症候群とはどのようなものですか?

5-FUによる手足症候群は手・足・爪を好発部位とし、軽度のものは紅斑、色素沈着に終わりますが、高度なものは疼痛性に発赤腫脹し、知覚過敏、歩行困難、物がつかめないなどの症状を訴えて水疱、びらんを形成します。やがて手掌足蹠は角化、落屑が著明になって亀裂を生ずるようになり、爪は著明な変形を残すこともあります。発現頻度は5-FUの投与方法に関与し、長時間の持続点滴法による発現率が高いとされます。また高い血中濃度が持続すると出現しやすいようですが、短期間投与で出ることもあり個人差も大きいとされます。

5-FU[よくある医薬品Q&A]

【上記引用元:協和キリンメディカルサイト】

5-FUによる手足症候群が出た際の対策は何かありますか?

対策として軽度な皮膚変化では投与続行は可能ですが、剥脱性皮膚炎、疼痛を伴うようになれば一時的に中止もしくは減量します。局所はステロイド剤外用で2~3週にて軽快することが多いですが、ステロイド内服も有用です。またピリドキシン(ビタミンB6)投与が有用とする報告もあります。

5-FU[よくある医薬品Q&A]

【上記引用元:協和キリンメディカルサイト】

参考元一覧

フルオロウラシル添付文書

5-FU(フルオロウラシル) 【オンコロ】

5-FU(ファイブエフユー)の効果と副作用について 【日本統合医療推奨協会】

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医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。