成分名 |
トラスツズマブ(遺伝子組換え) |
適応症状 |
トラスツズマブ(遺伝子組換え)を主成分とする医薬品であるハーセプチン注射用60/150の効能効果は以下4点になります。
1)HER2過剰発現が確認された乳癌
2)HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん
3)HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん
4)癌化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
に対して適応症状を持ちます。 |
簡易説明 |
トラスツズマブ(遺伝子組換え)を主成分とする医薬品であるハーセプチン注射用60/150は抗悪性腫瘍剤である抗HER2ヒト化モノクローナル抗体になります。つまりHER2(Human Epidermal Growth Factor Recepter Type2)の細胞外領域に選択的に結合する遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体です。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/耳鼻咽喉科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/精神科/麻酔科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
薬代1瓶あたりの目安:60mg約13,600円/150mg約31,100円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
トラスツズマブ(遺伝子組換え)を主成分とする医療用の医薬品であるハーセプチン注射用60/150は、60mgについて2004年2月26日に製造販売が承認され、2004年6月25日に薬価基準に収載、その後2004年8月3日に発売が開始されました。また150mgにおいて2001年4月4日に製造販売が承認され、2001年6月1日に薬価基準に収載、その後2001年6月1日に発売が開始となりました。 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
ハーセプチン注射用60/150【製薬メーカー:中外製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
トラスツズマブBS点滴静注用60/150mg「第一三共」【製薬メーカー:第一三共株式会社】
トラスツズマブBS点滴静注用60/150mg「CTH」【製薬メーカー:セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン株式会】
トラスツズマブBS点滴静注用60/150mg「NK」【製薬メーカー:日本化薬株式会社】
トラスツズマブBS点滴静注用60/150mg「ファイザー」【製薬メーカー:ファイザー株式会社】 |
効果・作用 |
トラスツズマブ(遺伝子組換え)を主成分とする医療用の医薬品であるハーセプチン注射用60/150の効能効果は
1)乳癌(HER2過剰発現が確認されたもの)
2)胃がん(HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発のもの)
3)唾液腺がん(HER2陽性の根治切除不能な進行・再発のもの)
4)結腸・直腸がん(癌化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発のもの)
に対して効果のある医薬品になります。
【作用機序】
トラスツズマブは細胞表面のHER2受容体に特異的に結合した後、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、単球を作用細胞とした抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)により抗腫瘍効果を発揮します。
また、トラスツズマブが細胞表面のHER2受容体に結合し、HER2受容体数を低下させることによって、細胞増殖シグナルが低減し、その結果としてトラスツズマブが直接的に細胞増殖を抑制するとの機序も考えられています。
【HER2とは】
HER2とはhuman epidermal growth factor receptor 2を略したもので、日本語訳すると「ヒト上皮増殖因子受容体2」と呼ばれています。細胞の増殖に関与するとされるたんぱく質の事で、正常な細胞にもわずかに存在し、細胞の増殖調節能を担っていると考えられていますが、過剰に発現、活性化する事によって細胞の増殖制御ができなくなり癌化してしまいます。
HER2は4種類あるチロシンキナーゼ受容体(HER1からHER4)のグループに属する受容体で、身体中にある多くの細胞で細胞膜に埋め込まれています。
HER2陽性率が高い腫瘍では、乳癌や胃がんなどがあります。 |
使用方法 |
A法:通常成人に対してハーセプチン注射用60/150を投与する場合、主成分であるトラスツズマブ(遺伝子組換え)として、1回目は4mg/kgを投与後、2回目以降は2mg/kgに減量して、1日1回90分以上かけて点滴静注を行います。A法の場合の点滴静注は1週間に1回行います。
B法:通常成人に対してハーセプチン注射用60/150を投与する場合、主成分であるトラスツズマブ(遺伝子組換え)として、1回目は8mg/kgを投与後、2回目以降は6mg/kgに減量して、1日1回90分以上かけて点滴静注を行います。B法の場合の点滴静注は3週間に1回行います。
なお、初回投与の忍容性が良好な場合に限り、2回目以降の投与時間を30分間まで短縮して点滴静注する事ができます。
【用法及び用量】
1)乳癌(HER2過剰発現が確認されたもの):A法またはB法を使用します。
2)胃がん(HER2過剰発現が確認された治療切除不能な進行・再発のもの):他の抗悪性腫瘍剤との併用でB法を使用します。
3)唾液腺がん(HER2陽性の根治切除不能な進行・再発のもの):ドセタキセル製剤との併用でB法を使用します。
4)結腸・直腸がん(癌化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発のもの):ベルツズマブ(遺伝子組換え)との併用でB法を使用します。 |
副作用 |
重大な副作用
1)心障害
心不全(4.5%)、心原性ショック(頻度不明)、肺浮腫(頻度不明)、心嚢液貯留(0.1%)、心筋症(0.4%)、心膜炎(頻度不明)、不整脈(1.4%)、徐脈(0.1%)等が報告されています。
2)Infusion reaction(頻度不明)
症状:発熱、悪心、悪寒、嘔吐、、頭痛、疼痛、咳嗽、眩暈、発疹、無力症等が約40%の患者において報告されています。
また、ショック、アナフィラキシー、肺障害等の重篤な副作用(気管支痙攣、急性呼吸促迫症候群、重度の血圧低下、頻脈、眩暈、顔面浮腫、耳鳴、喘息、呼吸困難、喘鳴、咽頭浮腫、血管浮腫、呼吸不全、胸水、非心原性肺浮腫、低酸素症等)が発現し死亡に至った例が報告されています。
3)間質性肺炎・肺障害
間質性肺炎(0.2%)、肺線維症(頻度不明)、急性呼吸促迫症候群(0.1%未満)、肺炎(アレルギー性肺炎等を含む)(0.3%)等の肺障害が現れる事があります。
4)白血球減少(4.4%)、好中球減少(6.9%)、血小板減少(1.9%)、貧血(3.7%)
5)肝不全(0.1%未満)、黄疸(0.1%)、肝炎(0.1%)、肝障害(0.5%)
6)腎障害
腎不全(0.2%)、腎障害(1.0%)が現れる事があります。
7)昏睡(頻度不明)、脳血管障害(0.2%)、脳浮腫(頻度不明)
8)敗血症(0.2%)
9)腫瘍崩壊症候群(頻度不明)
その他の副作用
1)HER2過剰発現が確認された転移性乳癌
①10%以上
悪心・嘔吐(16.8%)、発熱(34.5%)、悪寒(20.0%)、疲労(10.5%)
②2~10%未満
頭痛、眩暈、味覚異常、感覚鈍麻、ニューロパチー、下痢、口内炎、食欲不振、便秘、腹痛、呼吸困難、咳嗽、鼻出血、発疹、脱毛症、爪の障害、掻痒症、倦怠感、疼痛、関節痛、浮腫、無力症、胸痛、筋肉痛、末梢性浮腫、四肢痛
③2%未満
錯覚感、不眠症、うつ病、不安、筋緊張亢進、傾眠、上腹部痛、消化不良、腸炎、低血圧、頻脈、潮紅、動機、高血圧、熱感、胸水、喘息、紅斑、皮膚乾燥、皮膚炎、蕁麻疹、斑状丘疹状皮疹、発汗、痤瘡、AST増加、ALT増加、流涙増加、視力障害、結膜炎、上気道感染(鼻咽頭炎、鼻炎、咽頭炎、副鼻腔炎)、胸部不快感、骨痛、尿路感染症、頚部痛、難聴、感染症
④頻度不明
運動失調、不全麻痺、痺れ(感)、思考異常、血管拡張、プロトロンビン減少
2)HER2過剰発現が確認された乳癌における術後薬物療法
①1%以上
頭痛、悪心、下痢、嘔吐、動悸、呼吸困難、爪の障害、発疹、掻痒症、無力症、悪寒、疲労、発熱、関節痛、筋肉痛、インフルエンザ様疾患、上気道感染(鼻炎、鼻咽頭炎、咽頭炎等)
②0.2~1%未満
眩暈、錯覚感、振戦、嗜眠、不眠症、味覚異常、うつ病、不安、回転性眩暈、口内炎、腹痛、消化不良、高血圧、頻脈、熱感、鼻漏、鼻出血、紅斑、痤瘡、末梢性浮腫、背部痛、筋痙縮、胸部不快感、倦怠感、粘膜の炎症、骨痛、胸痛、インフルエンザ
③0.2%未満
上腹部痛、便秘、胃炎、リンパ浮腫、咽喉頭痛、咳嗽、副鼻腔炎、気管支炎、排尿困難、浮腫、膀胱炎、筋骨格痛、尿路感染症、丹毒
④頻度不明
感覚鈍麻、口内乾燥、口腔内潰瘍形成、ニューロパチー、鼓脹、ほてり、低血圧、潮紅、鼻部不快感、鼻乾燥、鼻潰瘍、爪破損、皮膚乾燥、皮膚亀裂、帯状疱疹、乳房痛、四肢痛、流涙増加、蜂巣炎、冷感、体重増加、疼痛、霧視、粘膜乾燥、筋骨格硬直
3)HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん
①10%以上
ニューロパチー、悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、口内炎、便秘、手掌。足底発赤近く不全症候群、疲労、無力症、粘膜の炎症、体重減少
②2~10%未満
味覚異常、浮動性眩暈、不眠症、錯覚感、腹痛、上腹部痛、高血圧、しゃっくり、鼻取穴、ヘモグロビン減少、色素沈着障害、脱毛症、発疹、爪の障害、腎クレアチニン・クリアランス減少、皮膚乾燥、中毒性ネフロパシー、悪寒、発熱、脱水、低ナトリウム血症、低カリウム血症、上気道感染、浮腫、難聴、末梢性浮腫、耳鳴り、口腔カンジダ症、高クレアチニン血症、過敏症
③2%未満
頭痛、嗜眠、消化不良、口内乾燥、嚥下障害、動悸、潮紅、起立性低血圧、咳嗽、呼吸困難、掻痒症、倦怠感、低アルブミン血症、体重増加
4)HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん
①30%以上
倦怠感、末梢性浮腫、低アルブミン血症
②20~30%未満
胸水、ALT増加
③20%未満
口内炎、上腹部痛、嘔吐、食欲不振、気管支炎、呼吸困難、爪甲剥離症、皮膚乾燥、脱毛症、流涙増加、リンパ球数減少、体重増加、発熱、顔面浮腫、低カルシウム血症、血中乳酸脱水素酵素増加
5)癌化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
①20%以上
下痢(36.7%)
②10~20%未満
口内炎、倦怠感
③10%未満
食欲不振、発疹
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■トラスツズマブ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ハーセプチン注射用60/150はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ハーセプチン注射用60/150の有効成分
トラスツズマブ(遺伝子組換え)
▼代表薬の添加物
・トレハロース水和物、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、L-ヒスチジン、ポリソルベート20
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①重篤な心障害のある患者
2)アントラサイクリン系薬剤の前治療歴のある患者
3)胸部へ放射線を照射中の患者
4)心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者
5)左室駆出率が低下している患者、コントロール不能な不整脈のある患者、臨床上重大な心臓弁膜症のある患者
6)冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者
7)高血圧症の患者又はその既往歴のある患者
8)安静時呼吸困難(肺転移、循環器疾患等ニヨル)のある患者又はその既往歴のある患者
9)生殖能を有する者
10)妊婦
11)授乳婦
12)小児等
13)高齢者
上記にあてはまる方は、トラスツズマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。 トラスツズマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)アントラサイクリン系薬剤
心障害の発現頻度が上昇する事が報告されている為併用には注意が必要です。
併用禁忌薬はありませんので比較的投与しやすい医薬品です。用法・用量を遵守して使用するようにしましょう。
上記を使用している方は、トラスツズマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。 トラスツズマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
トラスツズマブ(遺伝子組換え)に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
インタビューホーム 【中外製薬株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】 |
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