アテゾリズマブ(遺伝子組換え)

成分名

アテゾリズマブ(遺伝子組換え)

適応症状

【テセントリク点滴静注1200mg】
・切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
・PD-L1陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法
・進展型小細胞肺癌
・切除不能な肝細胞癌

【テセントリク点滴静注840mg】
・PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能もしくは再発乳癌

簡易説明

テセントリクは、アメリカのGenentech社により開発された抗がん剤で、主成分であるアテゾリズマブはPD-L1を対象とするヒト化免疫グロブリンG1モノクローナル抗体です。PD-L1は腫瘍細胞や免疫細胞の表面に存在し、結合によりT細胞の活動が抑制され、腫瘍の成長が許容されます。本剤はPD-L1と結合することで、T細胞の再活性化を促進、腫瘍細胞への攻撃を可能にします。2016年にアメリカで承認を受け、その後ヨーロッパでも承認されています。日本では中外製薬が販売しております。

処方可能な診療科目

呼吸器外科/消化器外科/肝臓外科/乳腺外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

本剤は処方薬ではありません。
薬代1瓶あたりの目安:840mg約446843円/1200mg約563917円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

【テセントリク点滴静注840mg】2019年11月発売
【テセントリク点滴静注1200mg】2018年4月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

テセントリク点滴静注840mg/テセントリク点滴静注1200mg【製薬メーカー:中外製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

アメリカでは2016年5月に発売されております。

効果・作用

テセントリク点滴静注は、アメリカのGenentechによって開発された薬剤で、モノクローナル抗体をもととする抗がん剤です。PD-L1が過剰に発現するとがん患者においては予後不良であると考えられておりますが、本剤はPD-L1と結合性を示すことで、抑制性シグナルを遮断します。

臨床試験としては、化学療法歴のない進展型小細胞肺癌患者403名を対象に第1・3相試験を実施しております。日本人は42名含まれておりました。本剤1200mgとカルボプラチン+エトポシドの併用療法の3週間間隔投与と、プラセボとカルボプラチン+エトポシドの併用療法を比較した結果、本剤群ではプラセボ群と比較し
て主要評価項目として設定した全生存期間の有意な延長が認められました。中央値は本剤群で12.3カ月、プラセボ群で10.3カ月でした。

転移・再発乳癌に対する全身性の前治療歴がない転移/再発もしくは局所進行性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の乳癌患者に対しても試験を実施しております。902名が対象となり、そのう日本人65が含まれておりました。
本剤+nab-パクリタキセル併用療法とプラセボ+nab-パクリタキセル併用療法の有効性と安全性を比較しました。
本剤840mgは2週間間隔、nab-パクリタキセル100mg/m2は週1回投与しましたが、本剤群で、有害事象もしくはその他の理由によりどちらかの薬剤を中止した後は、本剤かnab-パクリタキセルを病勢進行まで投与しました。結果、PD-L1陽性患者集団369名において、本剤群はプラセボ群と比較して主要評価項目の一つである無増悪生存期間の有意な延長が認められました。中央値は本剤群で7.46カ月、プラセボ群で4.96カ月でした。

使用方法

●非小細胞肺癌に使用する場合
化学療法未治療である扁平上皮癌を除いた切除ができない進行・再発の非小細胞肺癌の場合、他の抗悪性腫瘍剤との併用で、1回1200mgを60分かけて3週間の間をあけて点滴静注します。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮することが可能です。
化学療法未治療であるPD-L1陽性の切除ができない進行・再発の非小細胞肺癌の場合、1回1200mgを60分かけて3週間の間をあけて点滴静注します。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮することが可能です。
化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の場合、1回1200mgを60分かけて3週間の間をあけて点滴静注します。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮することが可能です。

●PD-L1陽性の非小細胞肺癌の術後補助療法
1回1200mgを60分かけて3週間の間をあけて点滴静注します。投与期間は12カ月間までとしてください。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮することが可能です。

●進展型小細胞肺癌
カルボプラチンとエトポシドとの併用では、1回1200mgを60分かけて3週間の間をあけて点滴静注してください。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮することが可能です。

●肝細胞癌
ベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において、1回1200mgを60分かけて3週間の間をあけて点滴静注してください。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮することが可能です。

●乳癌
パクリタキセル(アルブミン懸濁型)との併用では、1回840mgを60分かけて2週間の間をあけて点滴静注します。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮することが可能です。

副作用

主な副作用
下痢や悪心、疲労や無力症、関節痛、血小板減少などに注意をしてください。

重大な副作用
間質性肺炎、大腸炎、重度の下痢などに注意をしてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
<使用ができない方>

■アテゾリズマブを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼テセントリク点滴静注の有効成分
アテゾリズマブ

▼代表薬の添加物
L-ヒスチジン、氷酢酸、精製白糖、ポリソルベート20

・以前、アテゾリズマブを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。

使用に注意が必要な方
・ 自己免疫疾患の合併もしくは慢性的もしくは再発性の自己免疫疾患に以前かかったことのある方は、免疫関連の副作用が発現もしくは増悪する可能性があります。
・間質性肺疾患のある患者もしくは以前かかったことのある方は、間質性肺疾患が発現もしくは増悪する恐れがあるので注意をしてください。
・妊婦には投与するメリットが上回るとされる場合にのみ検討してください。
・小児に対しては臨床試験を実施しておりませんので注意をしてください。
・高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、慎重に投与をしてください。

上記にあてはまる方は、アテゾリズマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
アテゾリズマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

アテゾリズマブ(遺伝子組換え)に関する
よくある質問
インフルエンザなどの予防接種は受けられますか?

添付文書上では、ワクチンに関する規定はありません。一方、臨床試験では「インフルエンザワクチンを含む不活化ワクチンの接種」は許容しており、「弱毒性ワクチン」に関しては、治験薬投与開始前4週間以内、治療期間中、及びテセントリクの最終投与後5カ月間併用禁止もしくは要注意療法としておりました。

テセントリク/アバスチン(肝細胞がん)のQ&A

【上記引用元:中外製薬 薬剤師向けサイト】

アバスチン以外の薬剤と併用してもよいですか?

本剤をアバスチン以外の抗がん剤と併用することは避けてください。

テセントリク/アバスチン(肝細胞がん)のQ&A

【上記引用元:中外製薬 薬剤師向けサイト】

参考元一覧

テセントリク点滴静注 添付文書

テセントリク点滴静注 医薬品インタビューフォーム

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