ノギテカン塩酸塩

成分名

ノギテカン塩酸塩

適応症状

ノギテカン塩酸塩を主成分とする医薬品であるハイカムチン注射用1.1mgは以下4つの癌又は腫瘍に対し適応症状を持ちます。
1)小細胞肺癌、2)卵巣癌(癌化学療法後に増悪したもの)、悪性固形腫瘍(小児)、子宮頸癌(進行又は再発のもの)に効果を示します。

簡易説明

ノギテカン塩酸塩を主成分とする医薬品であるハイカムチン注射用1.1mgはグラクソ・スミスクライン社によって開発された半合成カンプトテシン誘導体です。この誘導体はⅠ型トポイソメラーゼを阻害します。その結果、DNAと複合体を形成したⅠ型トポイソメラーゼを選択的に阻害します。そしてDNA合成を阻害する事で細胞死を誘導します。またノギテカン塩酸塩は広範囲な抗腫瘍スペクトラムを有していることが動物実験において認められています。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/呼吸器内科外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:1.1mg約6,600円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ノギテカン塩酸塩を主成分とする医薬品であるハイカムチン注射用1.1mgは販売名変更に伴い2007年3月28日に製造販売が承認され、2007年6月15日に薬価基準に収載されました。そして2003年3月6日より発売されています。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ハイカムチン注射用1.1mg【製薬メーカー:日本化薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

本剤は小細胞肺癌において、アメリカ、スイス、カナダ等38ヵ国で承認されています。また、卵巣癌においては、イギリス、アメリカ等の欧米諸国、オーストラリア、南アフリカ等72ヵ国で承認されています。
その中でも、英国では1996年11月12日に承認され、米国では1996年5月28日に承認されています。

効果・作用

ノギテカン塩酸塩を主成分とする医薬品であるハイカムチン注射用1.1mgは以下4つの癌又は腫瘍に対し適応症状を持ちます。
1)小細胞肺癌、2)卵巣癌(癌化学療法後に増悪したもの)、悪性固形腫瘍(小児)、子宮頸癌(進行又は再発のもの)に効果を示します。

【作用機序】
DNAと複合体を形成したⅠ型トポイソメラーゼ(トポⅠ)に選択的に結合し、その構造を安定化させ、DNA超ラセン構造の弛緩を阻害して、DNAの複製を阻害し細胞死を誘導します。
ノギテカン塩酸塩は、細胞内においては、ラクトン環を有する閉環体(ノギテカン)及びその開環体として存在し、これらの薬理作用は閉環体に由来する事が示唆されています。

ノギテカン塩酸塩は、動物実験において広い抗腫瘍スペクトラムを有しており、小細胞肺癌に対して高い感受性を示しました。なお、抗腫瘍効果は濃度及び処理時間に依存します。

生体内においてノギテカンは、ラクトン環が開環したジヒドロキシ体(開環体)と可逆的な平衡状態で存在している為、本剤投与後の体内動態に関して単回投与時における半減期を見たところ、ノギテカンでは3~5時間、総ノギテカンではおよそ5~7時間と示されました。また、反復投与においての消失半減期は約2~4時間位との事でした。

使用方法

【小細胞肺癌】
ノギテカンとして、通常、成人に投与する場合には1日1回、1.0mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注を行い、最低16日間以上は休薬します。これを1コースとして、投与を繰り返します。なお、患者の状態によっては適宜増減する事が認められています。

【卵巣癌(癌化学療法後に増悪したもの)】
ノギテカンとして、通常、成人に投与する場合には1日1回1.5mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注を行い、最低16日間以上休薬します。これを1コースとして、投与を繰り返します。なお、患者の状態によっては適宜増減する事が認められています。

【小児悪性固形腫瘍】
他の抗悪性腫瘍剤と併用する事により、ノギテカンとして1日1回、0.75mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注を行い、最低16日間以上休薬します。これを1コースとして、投与を繰り返します。
なお、患者の状態によっては適宜減量する事が認められています。

【子宮頸がん(進行又は再発のもの)】
シスプラチンと併用する事によって、ノギテカンとして、通常、成人に投与する場合には1日1回、0.75,g/m2(体表面積)を3日間連日点滴静注を行い、最低18日間以上休業とします。これを1コースとして、投与を繰り返します。なお、患者の状態によっては適宜減少する事が認められています。

本剤投与持、100mLの生理食塩液に混和し、30分かけて点滴静注を行います。

副作用

重大な副作用
1)骨髄抑制
白血球数減少(99.2%)、好中球数減少(97.8%)、赤血球数減少(92.2%)、ヘモグロビン減少(92.3%)、血小板数減少(85.4%)、発熱性好中球減少(12.8%)、汎血球減少症(1.3%)等の重度の血液毒性所見が現れる事があります。
2)消化管出血
消化管出血(下血も含む:1.2%)が現れる事があります。
3)間質性肺炎
間質性肺炎(2.5%)が現れる事があります。
4)肺塞栓症、深部静脈血栓症
5)類薬(イリノテカン塩酸塩)
高度な下痢、腸管穿孔、腸閉塞が現れる事が報告されています。

その他の副作用
消化管、肝臓、腎臓、皮膚、過敏症、全身症状、精神神経系、循環器、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)消化器
悪心・嘔吐、食欲不振(20%以上)
口内炎、下痢、便秘(5~20%未満)
腹痛、胃炎、イレウス(5%未満)
呼気臭、口内乾燥、鼓腸、歯肉出血、舌変色、舌障害、直腸しぶり(頻度不明)
2)肝臓
ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇(5%~20%未満)
総ビリルビン上昇、Al-P上昇、肝機能障害(5%未満)
3)腎臓
BUN上昇、尿糖、尿蛋白、尿沈査(5~20%未満)
尿ウロビリノーゲン、血尿、排尿異常、腎機能障害(5%未満)
アルブミン尿、出血性膀胱炎、膿尿(頻度不明)
4)皮膚
脱毛(20%以上)
爪の障害(5%未満)
多汗症(頻度不明)
5)過敏症
発疹、掻痒症、蕁麻疹(5%未満)
6)全身症状
発熱、易疲労感(20%以上)
体重減少、状態悪化、頭痛、倦怠感(5~20%未満)
疼痛(筋肉痛、関節痛、背部痛、腰痛、四肢痛等)、注射部位反応、浮腫、悪寒(5%未満)
無力症、インフルエンザ様疾患、口渇(頻度不明)
7)精神神経系
味覚異常、眩暈、末梢性ニューロパチー、耳鳴り、感覚鈍麻、不安、傾眠(5%未満)
回転性眩暈、痙攣、錯覚感、不全麻痺、失神、異常な夢、うつ病、神経過敏(頻度不明)
8)循環器
頻脈、不整脈、低血圧(5%未満)
心房細動、心不全、チアノーゼ、循環虚脱、表在性静脈炎、心電図異常(頻度不明)
9)その他
ナトリウム減少、総蛋白減少、アルブミン減少(20%以上)
LDH上昇、カリウム増加、クロール減少、カルシウム減少、カリウム減少、クレアチニン上昇(5~20%未満)
LDH下降、ナトリウム増加、クロール増加、静脈炎、感染症、胸痛、口腔咽頭痛、咳嗽、呼吸困
難、脱水、鼻出血、咽頭炎(5%未満)
喘息、結膜炎、視力障害、アルブミン・グロブリン比異常、尿検査異常、アシドーシス、骨痛、筋痙縮、外陰部障害、性器分泌物、グロブリン増加、血中マグネシウム減少、血中リン減少(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)重篤な骨髄抑制のある患者
重症感染症を併発する恐れがある為使用できません。
2)重篤な感染症を合併している患者
感染症が増悪する事がある為使用できません。
3)妊婦又は妊娠している可能性のある患者
動物実験においてで催奇形性、胚・胎児死亡が報告されている為使用できません。
4)授乳中の患者
動物実験において乳汁中へ移行する事が報告されている為使用できません。
5)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■ノギテカン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ハイカムチン注射用1.1mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ハイカムチン注射用1.1mgの有効成分
ノギテカン塩酸塩
▼代表薬の添加物
・D-マンニトール、酒石酸、pH調整剤

使用に注意が必要な方
1)骨髄抑制のある患者
感染症等を併発する恐れがある為使用には注意が必要です。
2)腎障害のある患者
副作用が強く現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
3)間質性肺炎、肺線維症、放射線肺炎の既往歴又は合併症のある患者
間質性肺炎等が増悪する事がある為使用には注意が必要です。
4)全身衰弱が著しい患者
副作用が強く現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
5)高齢者
一般的に高齢者では腎機能が低下していることが多く、排泄遅延により血液毒性等が増強する恐れがある為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、ノギテカン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ノギテカン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)他の抗悪性腫錠剤(シスプラチン等)、放射線照射
併用により骨髄抑制等の副作用が増強する恐れがある為併用には注意が必要です。
2)腎陰イオン輸送系阻害剤(プロベネシド等)
併用により本剤の腎クリアランスが低下する可能性がある為併用には注意が必要です。

上記を使用している方は、ノギテカン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ノギテカン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ノギテカン塩酸塩に関する
よくある質問
ノギテカン塩酸塩の消失半減期はどの位になりますか?

反復投与におけるノギテカン塩酸塩の消失半減期は約2時間から4時間と報告されています。
インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

ノギテカン塩酸塩投与における排泄経路はどこになりますか?

ノギテカン塩酸塩は主に尿中に排泄されます。投与24時間後までに投与量の40~60%が排泄されます。
インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

ノギテカン塩酸塩投与により注意が必要なことはありますか?

ノギテカン塩酸塩投与により易疲労感等が発現する可能性があります。その際には自動車の運転又は機械の操作に注意する必要があります。
インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

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