ダウノルビシン塩酸塩

成分名

ダウノルビシン塩酸塩

適応症状

急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)

簡易説明

ダウノルビシン塩酸塩は急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)に対して用いられます。ダウノルビシン塩酸塩はがん細胞の核酸合成プロセスに作用することで効果を発揮します。具体的にはがん細胞の核酸においてプリン環、ピリミジン環上に直接結合し、それによってDNA合成とDNA依存RNA合成反応が阻害され、がん細胞の無限増殖が阻害されます。

処方可能な診療科目

腫瘍内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:20mg約1,356円
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1970年8月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ダウノマイシン静注用20mg【製薬メーカー:Meiji Seikaファルマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ダウノルビシン塩酸塩は急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)に対して用いられます。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
がん細胞の増殖を阻害する薬には、化学療法薬、分子標的薬、内分泌療法薬など複数ありそれぞれ特徴が異なっています。ダウノルビシン塩酸塩はがん細胞の核酸合成プロセスに作用することで効果を発揮しますが、具体的にはがん細胞の核酸においてプリン環、ピリミジン環上に直接結合します。それによってDNA合成とDNA依存RNA合成反応を阻害し抗がん作用を示します。

使用方法

・小児のケース:ダウノルビシン塩酸塩として1日量1.0mg/kg(力価)を連日あるいは隔日に3〜5回静脈内または点滴静注し、その後で約1週間のモニタリング期間をおき、問題が無ければ投与を反復します。
・成人(15歳以上)のケース:ダウノルビシン塩酸塩として1日量0.4〜1.0mg/kg(力価)を連日あるいは隔日に3〜5回静脈内または点滴静注し、その後で約1週間のモニタリング期間をおき、問題が無ければ投与を反復します。
・その他の抗悪性腫瘍剤と併用するケースにおける小児:ダウノルビシン塩酸塩として1日25〜45mg(力価)体表面積m2を2〜4回、連日あるいは1〜6日間あけて静脈内投与し、骨髄機能が回復するまで休薬します。この流れを1コースとして投与を繰り返します。なお症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。
・その他の抗悪性腫瘍剤と併用するケースにおける成人(15歳以上):ダウノルビシン塩酸塩として1日25〜60mg(力価)/体表面積m2を2〜5回、連日あるいは1〜6日間あけて静脈内投与し、骨髄機能が回復するまで休薬します。この流れを1コースとして投与を繰り返します。なお症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。

<使用上の注意>
その他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合はダウノルビシン塩酸塩の使用量、使用スケジュール、併用薬などについて、学会のガイドラインなどを含む最新の情報を参考にしてください。

副作用

重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・骨髄抑制
※出血傾向、貧血、顆粒球の減少、血小板数の減少などの骨髄抑制が引き起こされる可能性があります。
・ネフローゼ症候群
・心筋障害、心不全
・ショック

その他の副作用
次に挙げるような副作用が引き起こされる可能性があります。
・皮膚系:脱毛など
・心臓系:心電図の異常、頻脈など
・腎臓系:BUNの上昇、タンパク尿など
・肝臓系:ALTの上昇、ASTの上昇、Al-Pの上昇、黄疸など
・精神神経系:頭痛、だるさ、めまいなど
・消化器系:食欲不振、潰瘍性口内炎、悪心、嘔吐など
・過敏症:発熱、発疹など
・その他:悪寒、呼吸困難

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・ダウノルビシン塩酸塩を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、ダウノマイシン静注用はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ダウノマイシン静注用の有効成分
ダウノルビシン塩酸塩
▼代表薬の添加物
D-マンニトール

・心機能異常を患っている方、またはその疾患の経験のある方
※心筋障害が引き起こされる可能性があります。

使用に注意が必要な方
・その他のアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤を使用与した後の方
・感染症を併発している方
※骨髄機能抑制によって感染症の増悪が引き起こされる可能性があります。
・骨髄機能が抑制されている方
※骨髄機能抑制の増悪が引き起こされる可能性があります。
・水痘を患っている方
※致命的な全身障害が引き起こされる可能性があります。
・腎機能に障害がある方
※ダウノルビシン塩酸塩の副作用が強く引き起こされる可能性があります。
・肝機能に障害がある方
※ダウノルビシン塩酸塩の副作用が強く引き起こされる可能性があります。
・生殖能を持っている方
※妊娠が可能な女性はダウノルビシン塩酸塩の使用中および使用終了後に一定期間の適切な避妊期間を設ける必要があります。
※パートナーが妊娠する可能性のある男性においては、ダウノルビシン塩酸塩の使用中および使用終了後に一定期間の適切な避妊期間を設ける必要があります。
※生殖可能な年齢および小児が使用する場合には、性腺に対する影響を検討してください。
・妊娠している方
※妊娠している方、妊娠している可能性のある方には使用しないことが推奨されています。
※動物実験(マウス):催奇形性が確認されています。
・授乳している方
※授乳しないことが推奨されています。
※ダウノルビシン塩酸塩は乳汁に移行するリスクがあり、乳児が乳汁を通じてダウノルビシン塩酸塩を摂取してしまった場合は乳児において重篤な副作用が引き起こされる可能性があります。
・小児など
※副作用の発現に注意してください。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。

上記にあてはまる方は、ダウノルビシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ダウノルビシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・潜在的に心毒性を有する他の抗悪性腫瘍剤(アントラサイクリン系薬剤など)
※心筋に対する毒性が蓄積し、心筋障害の増強が引き起こされる可能性があります。
・投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射
※心筋に対する毒性が蓄積し、心筋障害の増強が引き起こされる可能性があります。
・放射線照射、その他の抗悪性腫瘍剤
※骨髄機能抑制などの副作用が増強される可能性があります。

上記を使用している方は、ダウノルビシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ダウノルビシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ダウノルビシン塩酸塩に関する
よくある質問
ダウノルビシン塩酸塩使用中に尿が赤くなりましたが副作用でしょうか?

ダウノルビシン塩酸塩の尿中排泄物によって尿が赤色になることがあります。副作用によるものではないと考えられますが、腎臓系、泌尿器系の副作用の可能性もあるので十分にモニタリングしてください。ダウノマイシン静注用 【ダウノマイシン静注用 添付文書】

過量投与によって副作用が起こりやすくなりますがその目安量はありますか?

ダウノルビシン塩酸塩の総投与量が体重あたり25mgを超えてくると、重篤な心筋障害が引き起こされる可能性が高まると言われています。ダウノマイシン静注用 【ダウノマイシン静注用 添付文書】

参考元一覧

ダウノマイシン静注用 【ダウノマイシン静注用 添付文書】

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