ネシツムマブ(遺伝子組換え)

成分名

ネシツムマブ(遺伝子組換え)

適応症状

切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌

簡易説明

ネシツムマブ(遺伝子組換え)は、EGFRと呼ばれているヒト上皮成長因子受容体に対する遺伝子組換えヒト免疫グロブリンG1モノクローナル抗体で、EGFRを介したシグナル伝達を阻害し、腫瘍の増殖を抑制します。アメリカとヨーロッパでは、それぞれ2014年と2015年に本剤が承認されています。日本では、進行固形癌患者に対する試験と肺扁平上皮癌患者に対する試験が実施され、その結果もアメリカやヨーロッパの試験と同様の効果が見られたため、2019年に「切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌」の治療薬として日本でも承認されました。

処方可能な診療科目

呼吸器内科/呼吸器外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

本剤は処方薬ではありません。
薬代1瓶あたりの目安:800mg約231176円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2019年11月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ポートラーザ点滴静注液800mg【製薬メーカー:日本化薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

アメリカでは2015年11月に、ヨーロッパでは2016年2月に承認されております。

効果・作用

ネシツムマブ(遺伝子組換え)は、EGFRと呼ばれるヒト上皮成長因子受容体に対して作用するモノクローナル抗体です。EGFRに結合すると、シグナル伝達を阻害し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。

化学療法未治療の切除ができない進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に、国内第1b/2相試験を実施しています。第2相部分では、本剤とゲムシタビン・シスプラチン療法(GC)の併用療法(GC+N)とGCを比較しました。本剤は800mgを3週間を1コースとして1日目と8日目に投与し、GCはゲムシタビン
1250mg/m2を各コースの1日目と8日目、シスプラチン75mg/m2を各コースの1日目に投与しました。GCは両群とも最大4コースまで投与しており、GC+N群での本剤の投与はGCの中止もしくは終了後も疾患進行等の中止基準に該当するまで継続しました。第2相部分における主要評価項目である全生存期間は、GC+N群でGC群と比較して延長しました。

化学療法未治療の切除ができない進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に、GC+NとGCを比較する海外第3相試験を実施しています。GCは両群とも最大6コースまでとし、GC+N群での本剤の投与はGCの中止もしくは終了後も疾患進行等の中止基準に該当するまで継続しました。主要評価項目である全生存期間は、GC+N群でGC群と比較して統計学的に有意な延長を認めました。

使用方法

ゲムシタビンとシスプラチンとの併用において、1回800mgを約60分ほどかけて点滴静注し、週1回投与を2週連続で行い、3週目は休薬します。これを1コースとして投与を繰り返してください。患者の状態に合わせて減量することが可能です。

副作用

主な副作用
食欲減退や口内炎、発疹、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、そう痒、皮膚亀裂、爪囲炎、手掌・足底発赤知覚不全症候群などの皮膚障害があげられます。

項目別の発現頻度は以下の通りです。
眼・・結膜炎(5~10%未満)
消化器・・食欲減退/口内炎(10%以上)、嘔吐(5~10%未満)、嚥下障害/口腔内潰瘍形成/口腔咽頭痛(5%未満)
一般・全身及び投与部位反応・・発熱(5%未満)
精神神経系・・頭痛/味覚異常(5%未満)
皮膚・・皮膚障害(発疹/ざ瘡様皮膚炎/皮膚乾燥/そう痒/皮膚亀裂/爪囲炎/手掌・足底発赤知覚不全症候群等)(10%以上)
腎臓・・尿路感染/排尿困難(5%未満)
代謝・・低カルシウム血症/低リン酸血症/低カリウム血症(5%未満)
肝臓・・AST増加/ALP増加(5%未満)
その他・・体重減少/筋痙縮/静脈炎(5%未満)

重大な副作用
< 動脈血栓塞栓症 、 静脈血栓塞栓症>
2.5%の割合で動脈血栓塞栓症が、5.4%の割合で静脈血栓塞栓症が確認されています。脳血管障害、虚血性心疾患などの動脈血栓塞栓症、肺塞栓症、深部静脈塞栓症等の静脈血栓塞栓症などがあらわれる可能性がありますので、症状が出た場合には、すぐに投与を中止してください。

<インフュージョンリアクション>
アナフィラキシー、悪寒、潮紅、低血圧、呼吸困難、気管支痙攣などの症状があらわれることがあります。異常が出た場合にはすぐに投与を中止してください。
また、グレード1の症状が起きた時には、投与速度を50%減速してください。グレード2の場合は、グレード1になるまで中断してください。グレード3の場合は、すぐに投与を中止し、その後の再投与も避けてください。

<低マグネシウム血症>
倦怠感、筋痙縮、振戦等を伴う低マグネシウム血症があらわれることがあります。異常が出た場合には必要に応じてマグネシウムの補充などを行ってください。
また、投与開始前、投与中と投与終了後はマグネシウム、カルシウム、カリウムやリンなどの血清中電解質をモニタリングしてください。

<間質性肺炎>
<重度の皮膚障害>
<発熱性好中球減少>
<重度の下痢>
<出血>

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ネシツムマブ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ポートラーザの有効成分
ネシツムマブ(遺伝子組換え)

▼代表薬の添加物
クエン酸ナトリウム水和物、無水クエン酸、グリシン、塩化ナトリウム、D-マンニトール、ポリソルベート80

・以前、ネシツムマブ(遺伝子組換え)を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。

使用に注意が必要な方
・血栓塞栓症もしくは以前かかったことのある方は、心筋梗塞、脳血管障害、肺塞栓症等が悪化もしくは再発するおそれがあります。
・間質性肺疾患のある方もしくは以前かかったことのある方は、間質性肺疾患が悪化もしくは再発するリスクがあります。
・妊婦もしくは妊娠している可能性のある女性は、本剤を投与するメリットが上回るとされる場合にのみ投与を検討してください。
・小児を対象とした試験は実施しておりません。

上記にあてはまる方は、ネシツムマブ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
ネシツムマブ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ネシツムマブ(遺伝子組換え)に関する
よくある質問
本剤を調整する際の注意点はありますか?

他の薬剤と混ぜないでください。また、本剤の調整は日局生理食塩液を使用して、ブドウ糖溶液の配合は避けてください。調整後は速やかに使用することとされていますが、もし難しい場合は、冷蔵保存(2~8℃)では24時間以内、室温保存(30℃以下)では4時間以内に投与を開始することとしてください。

Q&A

【上記引用元:日本化薬 メディカルInfoナビ】

本剤を投与する際の注意点はありますか?

本剤投与する前に、異物が混入していないか目視によって確認してください。また、本剤投与が終わった後には使用したラインを日局生理食塩液でフラッシュしてください。

Q&A

【上記引用元:日本化薬 メディカルInfoナビ】

参考元一覧

ポートラーザ点滴静注液800mg 添付文書

ポートラーザ点滴静注液800mg 医薬品インタビューフォーム

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