成分名 |
ボロファラン(10B) |
適応症状 |
切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌 |
簡易説明 |
ボロファラン(10B)は、ホウ素中性子捕捉療法用の薬剤で、中性子の反応性が高いホウ素10Bを用いてがん細胞を破壊する治療法です。ホウ素は腫瘍細胞に取り込まれ、そこに中性子が照射されることで、ホウ素と中性子が反応し抗腫瘍効果が現れます。特にステボロニンは99%以上の濃縮10Bを使用しており、治療効果の向上に寄与します。日本では、化学放射線療法や放射線療法後の切除不能な局所再発頭頸部癌患者や切除不能な頭頸部非扁平上皮癌患者を対象に臨床試験が行われ、2020年に承認されました。 |
処方可能な診療科目 |
耳鼻咽喉科/頭頚部外科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
本剤は処方薬ではありません。
薬代1袋あたりの目安:9000mg約444215円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:2020年5月 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL【製薬メーカー:ステラファーマ】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
2023年時点では海外では発売されておりません。 |
効果・作用 |
ボロファラン(10B)は、ステラファーマ株式会社が開発・創製したBNCT用ホウ素薬剤です。
フェニルアラニン誘導体である4-ボロノ-L-フェニルアラニンに含まれるホウ素中の 10Bの存在比を高めた薬剤となっています。体の外から中性子線を照射することで、腫瘍細胞に取り込まれた10Bは中性子を捕捉します。その後、核反応により生成されたアルファ線やリチウム原子核を放出することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。天然由来のホウ素原子は 11Bが約8割、10Bが約2割安定同位体として含まれています。これらの安定同位体のうち中性子と相互作用を起こすのは 10Bのみとなっており、薬剤として治療効果を高くするためには、ホウ素原子の 10B同位体比率を向上されることが重要とされていました。
このような中で、ステラファーマの親会社であったステラケミファ株式会社は、日本で唯一、99%以上の濃縮 10Bを製造することが可能となりました。
化学放射線療法もしくは放射線療法後の切除ができない局所再発頭頸部扁平上皮癌患者もしくは切除ができない頭頸部非扁平上皮癌患者21名を対象に、国内第2相臨床試験を実施しています。本剤1kgあたり500mgを投与開始後2時間は1時間1kgあたり200 mg、その後は1時間1kgあたり100 mgで点滴静注しました。また、本剤の投与開始2 時間後から、口腔、咽頭もしくは喉頭粘膜線量として12 Gy-Eq の中性子線を最大60 分間単回照射しました。その結果、主要評価項目として設定したRESIST v.1.1の中央判定による奏効率は、71.4%でした。 |
使用方法 |
1時間あたり1kgあたり200 mgの速度で2時間点滴静注します。その後は、病巣部位への中性子線の照射を開始し、照射中は1時間あたり100 mg/kgのスピードでボロファラン(10B)を点滴静注してください。 |
副作用 |
主な副作用
アミラーゼ増加、悪心、口内炎、嘔吐、倦怠感、口喝、結膜炎、食欲減退、味覚異常などがあげられます。
項目別の発現頻度は以下の通りです。
血液およびリンパ系障害・・リンパ球数減少、フィブリンD ダイマー増加、白血球数増加(5~20%未満)、鉄欠乏性貧血、リンパ減少症、血中フィブリノゲン増加(5%未満)
耳および迷路障害・・耳痛(5~20%未満)、回転性めまい、聴力低下(5%未満)
眼障害・・眼乾燥、眼痛、眼瞼浮腫、涙器障害(5%未満)
胃腸障害・・アミラーゼ増加、悪心、口内炎、嘔吐(20%以上)、腹部不快感、便秘、唾液腺痛(5~20%未満)、下痢、嚥下痛、顎下腺腫大(5%未満)
一般・全身障害および投与部位の状態・・倦怠感、口渇(20%以上)、発熱(5~20%未満)、顔面浮腫、顔面痛、腫脹 、潰瘍(5%未満)
感染症および寄生虫症・・耳下腺炎、結膜炎、唾液腺炎(20%以上)、蜂巣炎、外耳蜂巣炎、外耳炎、中耳炎(5~20%未満)、膀胱炎、口腔カンジダ症(5%未満)
傷害、中毒および処置合併症・・放射線脱毛症(5%未満)
代謝および栄養障害・・食欲減退(20%以上)
筋骨格系および結合組織障害・・頚部痛、顎痛、開口障害(5~20%未満)、
神経系障害・・味覚異常(20%以上)、顔面不全麻痺(5~20%未満)、頭痛、嗅覚錯誤(5%未満)
精神障害・・不眠症(5%未満)
腎および尿路障害・・排尿困難(5%未満)
呼吸器、胸郭および縦隔障害・・咽頭の炎症、鼻出血、口腔咽頭痛(5~20%未満)、しゃっくり、鼻閉、鼻の炎症(5%未満)
皮膚および皮下組織障害・・脱毛症(20%以上)、顔面腫脹(5~20%未満)、皮膚炎、薬疹、紅斑(5%未満)
内分泌障害・・血中プロラクチン異常、血中プロラクチン増加(20%以上)
重大な副作用
<嚥下障害>
頻度不明ですが、粘膜の炎症を伴う症状があらわれることがあります。
<脳腫瘍>
4.8%の割合で確認されています。
<重度の皮膚障害>
4.8%の割合で確認されています。放射線皮膚損傷などの重症な障害があらわれることがあります。
<白内障>
9.5%の割合で確認されています。
<結晶尿>
頻度不明ですが、結晶尿から血尿をきたすことがあります。
<頸動脈出血>
< 咽頭・喉頭浮腫>
頻度不明ですが、 咽頭・喉頭浮腫があらわれ、気道の狭窄や閉塞をきたすことがあります。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ボロファラン(10B)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ステボロニン点滴静注の有効成分
ボロファラン(10B)
▼代表薬の添加物
D-ソルビトール、亜硫酸水素ナトリウム、pH調節剤
・以前、ボロファラン(10B)を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・腫瘍が頸動脈を全周性に取り囲んでいる方は、頸動脈出血を起こすリスクがあるため使用できません。
使用に注意が必要な方 ・頸動脈への腫瘍浸潤が認められる方は、頸動脈出血を起こすリスクがあるため使用には注意をしてください。
・フェニルケトン尿症の方は、製剤中にフェニルアラニンを含むため、症状が悪化するリスクがあるため使用には注意をしてください。
・心不全のある方は、血液量の増加により心臓に負荷がかかり、心不全が悪化する可能性があります。
・遺伝性果糖不耐症の方は、本剤の添加剤 D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発される可能性があります。
・腎機能障害の方を対象とした臨床試験は実施しておりません。
・妊娠もしくは妊娠している可能性のある女性には投与するメリットが上回るとされる場合にのみ投与を検討してください。
上記にあてはまる方は、ボロファラン(10B)を使用する事が出来ない可能性があります。 ボロファラン(10B)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ボロファラン(10B)に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL 添付文書 |
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