成分名 |
カペシタビン |
適応症状 |
〇手術不能または再発乳がん
〇結腸・直腸がん
〇胃がん |
簡易説明 |
カペシタビンは、フルオロシチジン誘導体として開発され、段階的にフルオロウラシル(5ーFU)に変換されることにより、骨髄や消化管では活性体になりにくく、全身の暴露を抑え、高用量の5ーFUを腫瘍選択的に供給する事を目的として設計された経口の抗悪性腫瘍剤になります。その適応症としては乳がん、大腸がん、胃がんへの使用が認められており、体表面積によりまた併用する抗悪性腫瘍剤によりその用量が定められております。
副作用については初期段階より発生する事が報告されており、特に手足症候群の副作用については酷い場合には歩行困難、物がつかめない等日常生活に支障をきたすことからその予防が非常に大切だと言われております。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/泌尿器科/産婦人科/消化器内科/消化器外科/乳腺外科/腎臓内科等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約3,000円~6,000円
薬代1錠あたりの目安:約192円
薬代後発薬1錠の目安:約80円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2003年4月16日製造販売承認
2003年6月6日薬価基準収載
2003年6月24日販売開始 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
ゼローダ300【製薬メーカー:中外製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
カペシタビン錠300mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
カペシタビン錠300mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
カペシタビン錠300mg「日医工」【製薬メーカー:日医工株式会社】
カペシタビン錠300mg「ヤクルト」【製薬メーカー:ダイト株式会社】
カペシタビン錠300mg「JG」【製薬メーカー:日本ジェネリック株式会社】
カペシタビン錠300mg「NK」【製薬メーカー:日本化薬株式会社】 |
効果・作用 |
カペシタビンは手術不能または手術不能・再発乳がん、結腸・直腸がん、胃がんの治療に効果を示す医薬品になります。
代謝酵素の分布に着目する事で、腫瘍組織内において活性体である5ーFU濃度を選択的に高めることを目的に設計された経口の抗悪性腫瘍剤になります。
【作用機序】
カペシタビンは服用後、消化管より未変化体のまま体内に吸収されます。その大部分が肝臓に局在する酵素であるカルボキシエステラーゼにより5'-deoxy-5-fluorocytijine(5'-DFCR)に代謝されます。その後主として肝臓や腫瘍組織に存在するとされるシチジンデアミナーゼにより5'-deoxy-5-fluorouridine(5'-DFUR)に変換されます。更に、腫瘍組織内に高レベルで存在するチミジンホスホリラーゼ(TP)により活性体である5ーFUに変換される事で、抗腫瘍効果を発揮すると言われております。
作用する酵素が腫瘍組織内において高い活性を示す事で、目的とする腫瘍組織内において高濃度の5ーFUを得ることが可能とされております。
その後5ーFUはFdUMPに代謝され、チミジル酸合成酵素(TS)及び5,10ーメチレンテトラヒドロ葉酸と不活性複合体を形成します。その結果チミジル酸合成を抑制する事により、DNA合成を阻害します。また、5’ーFUはFUTPに代謝され、UTPの代わりにRNAに取り込まれてFーRNAを生成し、リボソームRNA及びメッセンジャーRNAの機能を障害すると考えられております。
以上の点から腫瘍細胞内におけるDNA合成阻害とRNA機能障害の双方に作用する事で抗腫瘍効果を発揮すると考えられております。 |
使用方法 |
①手術不能または再発乳がんにはA法又はB法を使用する事とされております。。
②手術不能または再発乳がんにおいてラパチニブトシル酸塩水和物(先発医薬品名:タイケルブ錠250mg)と併用する場合にはC法を使用する事とされております。。
③結腸・直腸がんにおける補助化学療法にはB法を使用する事とされております。。
④結腸・直腸がんにおいてオキサリプラチン(先発医薬品名:エルプラット点滴静注液)と併用する場合にはC法を使用する事とされております。
⑤治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんには他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法又はE法を使用する事とされております。
⑥直腸がんにおける補助化学療法で放射線照射と併用する場合にはD法を使用する事とされております。
⑦胃がんには白金製剤との併用でC法を使用する事とされております。
A法:体表面積に合わせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、21日間連日経口投与し、その後7日間休薬します。これを1コースとして投与を繰り返します。
(体表面積1.31㎥未満の場合1回量900mg、体表面積1.31㎥以上1.64㎥未満の場合1回量1200mg、体表面積1.64㎥以上の場合1回量1500mg)
B法:体表面積に合わせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に、1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬します。これを1コースとして投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。
(体表面積1.33㎥未満の場合1回量1500mg、体表面積1.33㎥以上1.57㎥未満の場合1回量1800mg、体表面積1.57㎥以上1.81㎥未満の場合1回量2100mg、体表面積1.81㎥以上の場合1回量2400mg)
C法:体表面積に合わせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に、1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬します。これを1コースとして投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。
(体表面積1.36㎥未満の場合1回量1200mg、体表面積1.36㎥以上1.66㎥未満の場合1回量1500㎎、体表面積1.66以上1.96㎥未満の場合1回量1800mg、体表面積1.96㎥以上の場合1回量2100mg)
D法:体表面積に合わせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、5日間連日経口投与し、その後2日間休薬します。これを繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。
(体表面積1.31㎥未満の場合1回量900mg、体表面積1.31㎥以上1.64㎥未満の場合1回量1200mg、体表面積1.64㎥以上の場合1回量1500mg)
E法:体表面積に合わせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬します。これを1コースとして投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量する事とされております。
(体表面積1.31㎥未満の場合900mg、体表面積1.31㎥以上1.69㎥未満の場合1回量1200mg、体表面積1.69㎥以上2.07㎥未満の場合1回量1500mg、体表面積2.07㎥以上の場合1回量1800mg) |
副作用 |
重大な副作用
1)脱水症状(頻度不明)
2)手足症候群(頻度不明)
3)心障害(頻度不明)
4)肝障害、黄疸(頻度不明)
5)腎障害(頻度不明)
6)骨髄抑制(頻度不明)
7)口内炎(頻度不明)
8)間質性肺炎(頻度不明)
9)重篤な腸炎(頻度不明)
10)重篤な精神神経系障害(白質脳症等)(頻度不明)
11)血栓塞栓症(頻度不明)
12)皮膚粘膜眼症候群(頻度不明)
13)溶血性貧血(頻度不明)
その他の副作用
1)精神神経系
味覚異常、頭痛、浮動性眩暈(10%未満)
不眠症、うつ病、錯覚感(頻度不明)
2)消化器
悪心(33.2%)、食欲不振(30.5%)、嘔吐(10%以上)
便秘、腹痛、上腹部痛、口唇炎(10%未満)
消化不良、鼓脹、食道炎、十二指腸炎、胃腸出血、胃炎、口内乾燥、軟便、口渇、胃部不快感(頻度不明)
3)循環器
胸痛、下肢浮腫、心筋症、心筋虚血、頻脈(頻度不明)
4)呼吸器
咳嗽(10%未満)
呼吸困難(頻度不明)
5)血液
赤血球数減少(26.2%)、白血球数減少(24.8%)、リンパ球数減少(21.5%)、ヘモグロビン減少(10%以上)
ヘマトクリット減少、血小板数減少、単球数増加、プロトロンビン時間延長、好中球数減少(10%未満)
貧血(頻度不明)
6)皮膚
色素沈着(10%以上)
発疹、脱毛症(10%未満)
爪の異常(爪甲離床症、脆弱爪、爪変色、爪ジストロフィー等)、紅斑性皮疹、皮膚亀裂、光線過敏、放射線照射リコール症候群、皮膚乾燥、剥脱性皮膚炎、皮膚落屑、そう痒症、皮膚炎(頻度不明)
7)眼
眼障害(結膜炎、角膜炎、眼刺激等)、流涙増加(頻度不明)
8)肝臓・腎臓
血中ビリルビン増加(24.2%)、AST増加、LDH増加、ALT増加、AlP増加(10%以上)
尿沈渣陽性、蛋白尿、BUN増加、尿中ブドウ糖陽性(10%未満)
肝機能異常、血中クレアチニン増加(頻度不明)
9)その他
倦怠感、体重減少、発熱、血中ブドウ糖増加(10%以上)
鼻咽頭炎、体重増加、疲労、背部痛、血中アルブミン減少、関節痛、血圧上昇(10%未満)
無力症、脱力、四肢痛、電解質異常、胸痛、筋痛、高トリグリセリド血症(頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)合併症・既往歴等のある患者
①冠動脈疾患の既往歴のある患者:心障害が現れる恐れがある為投与は避けた方がよいとされております。
②骨髄抑制のある患者:骨髄抑制が増強する恐れがある為投与は避けた方がよいとされております。
③消化管潰瘍又は出血のある患者:症状が悪化する恐れがある為投与は避けた方がよいとされております。
2)腎機能障害患者:副作用が重篤化又は発現率が上昇する恐れがある為投与は避けた方がよいとされております。
3)肝機能障害患者
4)生殖能を有する者
5)妊婦
6)授乳婦
7)小児等
8)高齢者:特に80歳以上の高齢者において、重症の下痢、嘔気、嘔吐等の発現率が上昇したとの報告がございます。
使用に注意が必要な方 1)本剤の成分又はフルオロウラシルに対し過敏症の既往歴のある患者
2)テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者
3)重篤な腎障害のある患者
4)妊婦又は妊娠している可能性のある女性
上記にあてはまる方は、カペシタビンを使用する事が出来ない可能性があります。 カペシタビンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ワルファリンカリウム
『本剤が肝チトクロームP450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影響し、酵素活性が低下している可能性が考えられております。
フェニトイン
『フェニトインの血中濃度が上昇したとの報告がございます』
トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤
『フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の代謝に影響を及ぼす可能性がございます。』
上記を使用している方は、カペシタビンを使用する事が出来ない可能性があります。 カペシタビンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)
『ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇するため、早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現する恐れがあります。』
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |