成分名 |
ニムスチン塩酸塩 |
適応症状 |
脳腫瘍、消化器癌(胃癌、肝臓癌、結腸・直腸癌)、肺癌、悪性リンパ腫、慢性白血病の自覚的・他覚的症状の寛解 |
簡易説明 |
ニムスチン塩酸塩は、白血病や消化器癌などさまざまながんに使用される薬剤です。特に脳腫瘍では膠芽細胞腫に、肺がんでは小細胞がんに有効性が高いことが示唆されています。もともとは強い有効性を持つことが期待されていた成分でしたが、水に溶けにくいことから、ヒトの体内に投与することが難しいとされていました。しかし、第一三共が水溶化させることに成功し、本剤の注射が可能となりました。現在は、アルフレッサファーマに販売移管しております。 |
処方可能な診療科目 |
脳外科/血液内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
本剤は処方薬ではありません。
薬代1瓶あたりの目安:25mg約4023円/50mg約5754円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1980年2月発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ニドラン注射用25mg/ニドラン注射用50mg【製薬メーカー:アルフレッサファーマ】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
ニムスチン塩酸塩は、脳腫瘍や悪性リンパ腫、白血病などさまざまな癌に使用される抗がん剤です。もともとはアメリカでマウス白血病 L1210 に対して強い制癌作用を示す化合物として発見されましたが、水に溶けにくく不安定なため、薬剤化することに適していないという課題がありました。しかし、第一三共は、水溶性化することで本剤の注射剤を販売しました。特徴としては水溶性であるため、静脈内や動脈内から投与ができることです。
第Ⅱ相臨床試験は、第Ⅰ相臨床試験成績をもとに全国44施設において各種悪性腫瘍を対象に行われました。各施設から集まった報告症例963例、単独投与症例が632例、併用例が331例について検討しました。
疾患別の効果で見たところ、単独療法は 632名の患者を対象に行われ、有効率は585名中173名に認められ、割合では 29.6%でした。併用療法は26疾患を対象に行われ、有効率は295名中101名、割合では34.2%でした。
組織別で効果の検討をしたところ、悪性脳腫瘍として化学療法の対象にされる膠芽細胞腫に対する有効率は 31名中10名に認められ、割合では32.3%でした。
投与量と投与方法による有効性や安全性の検討も実施しています。効果、白血球数減少、血小板数減少に関して、症例数の多かった 2~4mg/kg間歇投与群、2mg/kg週1回連続2~4週投与群で比較した結果、間歇投与群では、白血球、血小板の減少とも 1 回投与量が 4mg/kgの場合に高率であり、2mg/kg週 1回連続投与群では、連続 4 週投与の場合に血小板減少が顕著でした。
抗腫瘍効果をマウスでも実験しています。105個のリンパ性白血病L1210細胞をBDF1マウスの腹腔内に移植し、24時間後に本剤を腹腔内に1 回投与しました。結果、1kgあたり1.4mg/kgの用量で延命効果が認められ、1kgあたり25mg/kg 以上の用量で大部分のマウスが 60日以上生存しました。ニムスチン塩酸塩を、日曜日を除いて連続12日間投与した場合では、1日1kgあたり0.3mg以上の用量で延命効果が認められ、10mg/kg/日以上の用量で大部分のマウスが60日以上生存しました。 |
使用方法 |
通常、以下の用量を本剤5mgあたり日本薬局方注射用水1mLに溶解して、静脈内もしくは動脈内に投与します。
・1kgあたり2~3 mgを1回投与し、投与後末梢血液所見により4~6週間休薬します。
・1kgあたり1回2mgを1週間隔で 2~3週投与し、投与後末梢血液所見により4~6週間休薬します。
年齢や状態によって増減することが可能です。 |
副作用 |
主な副作用
白血球減少が31.52%、血小板減少などの造血器障害が30%、嘔吐が13.4%、食欲
不振が12.49%、悪心が8.93%、嘔気が7.92%の確率で発現していました。全体では1970例中1208例、割合として61.32%ほどでした。
項目別の発現頻度は以下の通りです。
過敏症・・発疹(1%未満)
肝臓・・肝機能異常(AST(GOT)上昇/ALT(GPT)上昇/γ-GTP上昇等)(頻度不明)
腎臓・・蛋白尿/BUN上昇(1%未満)
消化器・・嘔吐/食欲不振(10%以上)、悪心/嘔気(1~10%未満)、下痢/口内炎(1%未満)
皮膚・・脱毛(1~10%未満)
その他・・発熱/全身倦怠感/頭痛(1~10%未満)、めまい/低蛋白血症/痙攣(1%未満)
重大な副作用
骨髄抑制、汎血球減少に注意をしてください。本剤を投与した後6週間は1週間ごとに末梢血液検査を行い数値の変動には注意をしてください。
また、間質性肺炎と肺線維症が頻度不明で認められています。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ニムスチン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ニドラン注射の有効成分
ニムスチン塩酸塩
▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム
・以前、ニムスチン塩酸塩を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・骨髄機能抑制のある方は、副作用として白血球減少などの報告があるので悪化を防ぐためにも使用はできません。
使用に注意が必要な方 ・肝障害のある方は症状悪化が報告されているため使用には注意をしてください。
・腎障害のある方は症状悪化が報告されているため使用には注意をしてください。
・感染症を合併している方は白血球減少によって感染にかかりやすくなるため使用には注意をしてください。
・水痘患者は致命的な全身障害があらわれることがありますので使用には注意をしてください。
・低出生体重児、新生児、乳児、幼児もしくは小児
小児や生殖可能な年齢の患者に本剤を使用する際には、性腺への影響を十分説明し、考慮したうえで投与をしてください。
・高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、副作用などに注意をしてください。
上記にあてはまる方は、ニムスチン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ニムスチン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 <他の抗悪性腫瘍剤放射線照射>
骨髄機能抑制などの作用が強まってしまう可能性があります。もし症状や異常が認められた場合には、減量や休薬などの処置を行ってください。
上記を使用している方は、ニムスチン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ニムスチン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ニムスチン塩酸塩に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ニムスチン塩酸塩 添付文書 |
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