成分名 |
テムシロリムス |
適応症状 |
根治切除不能または転移性の腎細胞がん
<適応症状における注意>
・添付文書上の「17.臨床成績」の内容をよく熟知したうえで、テムシロリムスの安全性および有効性を念頭において適応患者さんの選定を行ってください。
・手術後補助化学療法としてのテムシロリムスの安全性および有効性は確立されていません。 |
簡易説明 |
テムシロリムスは根治切除不能または転移性の腎細胞がんに用いられる抗悪性腫瘍薬です。テムシロリムスはmTORの活性化をブロックします。その結果、細胞周期におけるG1からS期への移行を阻害し、さらに腫瘍微小環境における血管新生に重要な役割をもつ低酸素誘導性転写因子(HIF)および血管内皮増殖因子(VEGF)の発現も阻害します。これにより最終的にがん細胞の増殖が抑制されます。 |
処方可能な診療科目 |
腫瘍内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:25mg約133,439円
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月:2010年9月 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
トーリセル点滴静注液25mg(ファイザー) |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
テムシロリムスは根治切除不能または転移性の腎細胞がんに用いられる抗悪性腫瘍薬です。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
がん細胞の増殖を阻害する薬には、化学療法薬、分子標的薬、内分泌療法薬など複数ありそれぞれ特徴が異なっています。テムシロリムスはmTORと呼ばれる酵素の活性化を阻害します。その結果、細胞周期におけるG1からS期への移行を阻害し、さらに腫瘍微小環境における血管新生に重要な役割をもつ低酸素誘導性転写因子(HIF)および血管内皮増殖因子(VEGF)の発現も阻害することができ、最終的にがん細胞の増殖が抑制されます。 |
使用方法 |
・間質性肺疾患の副作用が確認された場合には、重症度や症状に応じて、下記目安を参考に休薬または中止してください。
┗無症候性で画像所見の異常のみの確認:投与を継続します
┗日常生活に支障がない程度の軽度の臨床症状の確認:当該症状が回復するまで休薬します
┗日常生活に支障があり酸素療法を必要とする重度の臨床症状の確認:投与を中止します
┗臨床症状において増悪傾向を確認し、肺拡散能の低下も確認できる:投与を中止します
┗肺において基礎疾患を持ち、画像所見上または臨床上の変化が確認できる:投与を中止します
・間質性肺疾患以外のグレード3以上の重度な副作用が確認された場合には、回復するまでテムシロリムスの使用を休薬してください。
・その他の抗悪性腫瘍剤(サイトカイン製剤を含む)との併用については安全性および有効性が確立されていません。
・infusion reactionの予防目的で、テムシロリムスの使用前にd-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩などの抗ヒスタミン剤を投与してください。 |
副作用 |
重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・重度のinfusion reaction
※場合によっては致命的な予後をたどる可能性があります。infusion reactionを確認した場合には、その症状が完全に回復するまでモニタリングを十分に行ってください。
・間質性肺疾患
※場合によっては致命的な予後をたどる可能性があります。咳嗽、呼吸困難、発熱などの初期症状が確認された場合には、肺機能検査を実施してモニタリングを十分に行ってください。
・腎不全
・静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎
・消化管穿孔
・心嚢液貯留
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
・脳出血
・胸水
・高血糖状態
・けいれん
・口内炎
・感染症
・横紋筋融解症
・貧血、血小板減少、白血球減少、好中球減少、リンパ球減少などの血液障害
その他の副作用
・代謝、内分泌系:低カリウム血症、低リン酸血症、高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、・腎臓系:クレアチニン上昇
・循環器系:血圧の上昇
・皮膚系:かゆみ、発疹、爪の障害、皮膚の乾燥感、ざ瘡、剥脱性皮膚炎
・筋、骨格系:関節の痛み、筋肉の痛み、背部の痛み
・消化器系:歯肉炎、下痢、食欲の不振、吐き気、嘔吐、腹痛、悪心、お腹のハリ、消化管からの出血
・肝臓系:ALPの上昇、ALTの上昇、ASTの上昇、γ-GTPの上昇などの肝臓機能障害
・感染症:細菌感染、咽頭炎、上気道感染、ウイルス感染
・呼吸器系:咳嗽、鼻血、呼吸困難
・眼:結膜炎、白内障
・精神神経系:味覚障害、不眠症、味覚異常、うつ状態、不安
・その他:悪寒、無力症、倦怠感、むくみ、発熱、だるさ、粘膜炎、痛み、胸の痛み
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ・テムシロリムスを配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、トーリセル点滴静注液はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼トーリセル点滴静注液の有効成分
テムシロリムス
▼代表薬の添加物
無水エタノール、トコフェロール、プロピレングリコール、無水クエン酸
・テムシロリムスまたはシロリムス誘導体に対して重度の過敏症の経験のある方
・妊娠している方、または妊娠している可能性のある方
使用に注意が必要な方 ・感染症を併発している方
・肺に間質性陰影を確認できる方
・重度の肝機能障害を患っている方
・軽度および中等度の肝機能障害を患っている方
・結核、肝炎ウイルスなどに感染している、またはその経験のある方
・授乳している方
※授乳している方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ使用してください。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください
・小児など
※小児などを対象としている安全性および有効性を指標とした臨床試験が実施されていません。
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併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・不活化ワクチン(不活化インフルエンザワクチンなど)
※テムシロリムスの免疫を抑制する作用によりワクチンに対する免疫が十分に得られない可能性があります。
・ACE阻害剤(リシノプリル、エナラプリル、キナプリルなど)
※テムシロリムスと上記薬剤の併用によって血管神経性浮腫反応が引き起こされる可能性があります。
・CYP3A酵素を阻害する作用をもっている薬、食品(グレープフルーツジュース、リトナビル、ネルフィナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、エリスロマイシン、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、アプレピタント、ベラパミルなど)
※CYP3A4が阻害されることによって、テムシロリムスおよびその分解物であるシロリムスの血液中濃度が上昇してしまい副作用の発症リスクが高まります。
・CYP3A酵素を誘導させる作用をもっている薬、食品(リファブチン、フェニトイン、カルバマゼピン、バルビツール酸系製剤、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ含有食品など)
※CYP3A4/5が誘導されることによって、テムシロリムスおよびその分解物であるシロリムスの血液中濃度が低下してしまい有効性が弱まる可能性があります。
上記を使用している方は、テムシロリムスを使用する事が出来ない可能性があります。 テムシロリムスを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 ・生ワクチン(乾燥BCG、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥弱毒生麻しんワクチン、経口生ポリオワクチンなど)
※免疫が抑制されている中、生ワクチンを接種してしまうと上記感染症が発症する可能性があります。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
テムシロリムスに関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
トーリセル点滴静注液 【トーリセル点滴静注液 添付文書】 |
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