イダルビシン塩酸塩

成分名

イダルビシン塩酸塩

適応症状

急性骨髄性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)

簡易説明

イダルビシン塩酸塩は急性骨髄性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)に用いられます。イダルビシン塩酸塩はがん細胞においてDNAと結合することで核酸ポリメラーゼの活性を阻害、またトポイソメラーゼIIを阻害することによってDNA鎖を切断します。脂溶性が高くすみやかかつ高濃度にがん細胞内へ取り込まれるという特徴があります。

処方可能な診療科目

腫瘍内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:5mg約9,837円
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1995年6月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

イダマイシン静注用5mg(ファイザー)

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

イダルビシン塩酸塩は急性骨髄性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)に用いられます。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
がん細胞の増殖を阻害する薬には、化学療法薬、分子標的薬、内分泌療法薬など複数ありそれぞれ特徴が異なっています。イダルビシン塩酸塩はがん細胞においてDNAと結合し、核酸ポリメラーゼの活性を阻害し、またトポイソメラーゼII阻害作用によってDNA鎖を切断するはたらきも持ちあわせています。なお、ダウノルビシンの一部分が脱メトキシル化された構造を取っているため脂溶性が増大し、すみやかにかつ高濃度でがん細胞内へ取り込まれるという特徴もあります。

使用方法

・1バイアル5mg(力価)に日局注射用水を5mL添加し、溶かして使用します。
・成人(15歳以上)のケース:イダルビシン塩酸塩として12mg(力価)/体表面積m2を1日1回、3日間連日静脈内投与します。その後、骨髄機能が回復するまでは休薬して投与を繰り返します。

副作用

重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・心筋障害
※心筋において障害、ひどい場合だと心不全などが引き起こされる可能性があります。モニタリングを十分に行って、異常が確認された場合には休薬または使用を中止してください。とくにその他のアントラサイクリン系薬剤などの心毒性をもっている薬剤によって前治療を実施したケースでの使用では十分に注意してください。
・骨髄抑制
※汎血球の減少、血小板の減少、顆粒球の減少、貧血、出血傾向が引き起こされる可能性があります。定期的に末梢血液のモニタリングを行ってください。なお高度な骨髄抑制が継続してしまい、重篤な感染症(肺炎、敗血症など)や出血(消化管出血、脳出血)を併発し死亡した事例も報告されています。
・口内炎
※重篤な口内炎が引き起こされる可能性があります。
・ショック
※モニタリングを十分に行って異常が確認された場合には使用を中止して適切な処置を行ってください。
・不整脈(完全房室ブロックなど)
※モニタリングを十分に行って異常が確認された場合には使用を中止して適切な処置を行ってください。

その他の副作用
・消化器系:胃炎、嘔吐、消化管潰瘍、悪心、吐き気、下痢、食欲不振、腹部不快感、口の中の痛み、腹痛、食道炎、腸炎、消化管出血
・精神神経系:頭痛
・心臓系:心電図の異常、頻脈、心膜炎
・皮膚系:脱毛、色素沈着
・腎臓系:BUNの上昇、クレアチニンの上昇など
・肝臓系:ALTの上昇、ASTの上昇、Al-Pの上昇、総ビリルビンの上昇など
・注射部位:静脈炎、血管の痛み、血栓症
・過敏症:発疹、紅斑、かゆみ、じんましん
・その他:脱水、発熱、胸部の圧迫感、疼痛、全身の筋肉痛、ほてり

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

■使用出来ない方
・イダルビシン塩酸塩を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、イダマイシン静注用はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼イダマイシン静注用の有効成分
イダルビシン塩酸塩
▼代表薬の添加物
乳糖水和物

・その他のアントラサイクリン系薬剤などの心毒性をもっている薬剤による前治療で、すでに限界量に到達している方
※心筋障害の増強が引き起こされる可能性があります。
・重篤な感染症を併発している方
※感染症が増悪した結果、致命的な予後をたどる可能性があります。
・心機能に異常がある方、またはその経験のある方
※心筋障害が引き起こされる可能性があります。
・重篤な腎障害を患っている方
※イダルビシン塩酸塩が血液中から消失するまでの時間が遅延する可能性があります。
・重篤な肝障害を患っている方
※イダルビシン塩酸塩が血液中から消失するまでの時間が遅延する可能性があります。

使用に注意が必要な方
・骨髄抑制を患っている方
・感染症を併発している方
※感染症のコントロールができるようになってから使用してください。
・肝障害を患っている方
※イダルビシン塩酸塩が血液中から消失するまでの時間が遅延する可能性があります。
・腎障害を患っている方
※イダルビシン塩酸塩が血液中から消失するまでの時間が遅延する可能性があります。
・水痘を患っている方
※致命的な全身障害が引き起こされる可能性があります。
・その他のアントラサイクリン系薬剤などの心毒性をもっている薬剤による治療経験のある方
・高齢者
※イダルビシン塩酸塩は主に肝臓で分解され、腎臓を通じて体外に排泄されますが、高齢者では肝臓や腎臓の機能が低下していることが多く、副作用リスクが高まります。
・妊娠している方
※妊娠している方または妊娠している可能性のある方は使用しないことが推奨されています。
※仮にイダルビシン塩酸塩を使用する場合、使用中および使用終了後一定期間は適切な避妊を行ってください。
※動物実験(ラット):催奇形性、胎児毒性が確認されています。
・授乳している方
※授乳している方が使用する場合は授乳を中止してください。
※動物実験(ラット):イダルビシン塩酸塩の乳汁中への移行が確認されています。
・小児など
※低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児に対する安全性が確立されていません。

上記にあてはまる方は、イダルビシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
イダルビシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・抗悪性腫瘍剤
・放射線照射
・心臓部または縦隔への放射線照射
・心毒性をもっている可能性のある抗悪性腫瘍剤(アントラサイクリン系薬剤など)

上記を使用している方は、イダルビシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
イダルビシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

イダルビシン塩酸塩に関する
よくある質問
イダルビシン塩酸塩の小児に対する副作用リスクを教えてください。

使用成績調査においては、15歳未満の小児における副作用発症率が100%だったという報告があります(9例中9例)。イダマイシン静注用 【イダマイシン静注用 添付文書】

イダルビシン塩酸塩による骨髄抑制の副作用にはどのような特徴がありますか?

イダルビシン塩酸塩の使用後に引き起こされる可能性のある骨髄抑制は、長期的かつ重篤な症状を伴って持続することがあります。感染予防はもちろんのこと出血の予防などにも十分な対策を取ってください。イダマイシン静注用 【イダマイシン静注用 添付文書】

イダルビシン塩酸塩はどのような病院、クリニックで処方してもらえますか?

イダルビシン塩酸塩の使用は、緊急時にしっかりとした対応をとれる医療機関においてのみ使用が推奨されています。また白血病の治療に対して十分な実践知を持ち合わせた医師のもとで行うことが推奨されています。イダマイシン静注用 【イダマイシン静注用 添付文書】

参考元一覧

イダマイシン静注用 【イダマイシン静注用 添付文書】

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