成分名 |
トラベクテジン |
適応症状 |
悪性軟部腫瘍 |
簡易説明 |
悪性軟部腫瘍は国内での発生率がおそよ0.002%であり、全ての悪性腫瘍の中でも1%未満の稀な疾患です。
トラベクテジンを主成分とする医療用の医薬品であるヨンデリス点滴静注用0.25mg/1mgは悪性軟部腫瘍に適応を持つ抗悪性腫瘍剤です。DNAの副溝部分に結合する事によって、DNAを主溝側へ屈曲させることで抗腫瘍効果を示します。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/皮膚科/神経内科外科/心臓内科外科/呼吸器内科外科/耳鼻咽喉科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/麻酔科/歯科口腔外科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
薬代1錠あたりの目安:0.25mg約49,400円/1mg約198,200円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
トラベクテジンを主成分とする医療用医薬品のヨンデリス点滴静注用0.25mg/1mgは、2015年9月28日に製造販売が承認され、2015年11月26日に薬価基準に収載、その後2015年12月7日に販売が承認されました。 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ヨンデリス点滴静注用0.25mg/1mg【製薬メーカー:大鵬薬品工業株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
トラベクテジンは悪性軟部腫瘍に対して効果のある医薬品になります。
【作用機序】
トラベクテジンはDNAの副溝部分に結合する事で、DNAを主溝側へ屈曲させます。その結果、①DNA一本鎖切断の誘導(転写共役ヌクレオチド除去修復機構の抑制)、②DNA二本鎖切断の誘導(相同組換え経路の制御)、③転写因子の機能阻害、④サイトカイン類の産生抑制(単核食細胞系に作用してアポトーシスを誘導)を起こします。トラベクテジンがDNAに結合する事によって、細胞増殖抑制及び細胞死へと導く事で抗腫瘍効果を示します。
また、トラベクテジンは染色体転座陽性のヒト悪性骨軟部腫瘍であるヒト粘液型脂肪内肉腫由来FUS-CHOPタンパク質及びヒトEwing肉腫由来のEWSFLI1タンパク質の転写因子としての機能を阻害し、その制御下にあるがん関連遺伝子の発現を調節する事が報告されています。
【悪性軟部腫瘍とは】
悪性軟部腫瘍とは、軟部組織、例えば臓器(肺や肝臓など)、骨、皮膚を除いた組織で、筋肉、結合組織(腱)、脂肪、リンパ管、血管、神経、関節等の柔らかい部位に発生する悪性の腫瘍を言います。手や足、胴体や頭頸部など様々な部位に発生します。最も発生しやすい部位は背中、後腹膜、大腿部、子宮、臀部、上腕、頭頸部になります。多くは痛みのない腫瘤は腫脹が見られますが、一部痛みを伴う場合もあります。発症年齢は子供から高齢者までと幅広く、年齢や性別によって発生部位の傾向が異なります。 |
使用方法 |
通常、成人に使用する場合においては、ヨンデリス点滴静注用0.25mg/1mgを用いて主成分であるトラベクテジンとして1回1.2mg/m2(体表面積)を、24時間かけて点滴静注します。静注後は少なくとも20日間休薬します。
これを1サイクルとして、投与を繰り返します。
なお、患者の状態により適宜減量する事が認められています。 |
副作用 |
重大な副作用
1)肝不全、肝機能障害
肝不全(頻度不明)及びAST(47.2%)、ALT(66.7%)等の上昇を伴う肝機能障害が現れる事があります。
2)骨髄抑制
好中球減少(83.3%)、白血球減少(55.6%)、血小板減少(36.1%)、貧血(30.6%)、リンパ球減少(22.2%)、発熱性好中球減少症(13.9%)が現れる事があります。
3)横紋筋融解症(2.8%)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められます。
4)重篤な過敏症
過敏症(頻度不明)により死亡に至った例も報告されています。
5)感染症
肺炎(2.8%)、敗血症性ショック(頻度不明)等が現れる事があります。
6)心機能障害
うっ血性心不全(2.8%)及び左室駆出率低下(頻度不明)等の心機能障害が現れる事があります。
その他の副作用
消化器、肝臓、精神神経系、呼吸器、筋骨格系、循環器、皮膚・皮下組織系、その他の副作用が報告されております。
発生頻度は以下の通りです。
1)消化器
悪心(88.9%)、食欲不振(58.3%)、便秘(47.2%)、嘔吐(20%以上)
口内炎、下痢、味覚異常、消化不良(5~20%未満)
腹痛(5%未満)
膵炎(頻度不明)
2)肝臓
γーGTP上昇(20%以上)
ALP上昇、ビリルビン上昇(5~20%未満)
3)精神神経系
頭痛、末梢感覚性神経障害(5~20%未満)
浮動性眩暈(5%未満)
不眠症、錯感覚(頻度不明)
4)呼吸器
咳嗽、呼吸困難(頻度不明)
5)筋骨格系
筋肉痛、CK上昇(5~20%未満)
関節痛、背部痛(5%未満)
6)循環器
潮紅、低血圧(頻度不明)
7)皮膚・皮下組織系
脱毛、注射部位反応(5%未満)
注射部位壊死、注射部位紅斑、注射部位疼痛、皮下溢血(頻度不明)
8)その他
倦怠感(44.4%)
発熱、疲労、浮腫(5~20%未満)
低カリウム血症、体重減少(5%未満)
脱水、静脈炎、クレアチニン上昇、アルブミン減少(頻度不明)
頻度不明の潮紅等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
■トラベクテジンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ヨンデリス点滴静注用0.25mg/1mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ヨンデリス点滴静注用0.25mg/1mgの有効成分
トラベクテジン
▼代表薬の添加物
・精製白糖、リン酸二水素カリウム、pH調節剤
2)妊婦又は妊娠している可能性のある女性
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強する恐れがある為使用には注意が必要です。
②感染症を合併している患者
骨髄抑制により、感染症が悪化する恐れがある為使用には注意が必要です。
③アントラサイクリン系薬剤による治療歴のある患者又は心機能障害のある患者
心機能障害が発現又は増悪する恐れがある為使用には注意が必要です。
2)肝機能障害患者
血中濃度が上昇する恐れがある為使用には注意が必要です。
3)生殖能を有する者
4)妊婦
動物実験において胎児への移行性が確認されており、胎児への影響又は催奇形性を示す可能性がある為使用には注意が必要です。
5)授乳婦
6)小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していないため使用には注意が必要です。
7)高齢者
一般的に高齢者では生理機能が低下している為使用には注意が必要です。
上記にあてはまる方は、トラベクテジンを使用する事が出来ない可能性があります。 トラベクテジンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)CYP3A阻害剤(ケトコナゾール、クラリスロマイシン、アプレピタント等)
これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、トラベクテジンの代謝が阻害され、血漿中濃度が上昇し、副作用の頻度及び重症度が増加する恐れがある為併用には注意が必要です。
CYP3A誘導剤(リファンピシン、フェノバルビタール、セイヨウオトリギソウ(St.John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等)
これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、トラベクテジンの代謝が促進され、血漿中濃度が低下し、有効性が減弱する恐れがある為併用には注意が必要です。
上記を使用している方は、トラベクテジンを使用する事が出来ない可能性があります。 トラベクテジンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
トラベクテジンに関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
インタビューホーム 【大鵬薬品工業株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】 |
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