ブスルファン

成分名

ブスルファン

適応症状

・マブリン
真性多血症の自覚的並びに他覚的症状の緩解
慢性骨髄性白血病の自覚的並びに他覚的症状の緩解

・ブスルフェクス
神経芽細胞腫/悪性リンパ腫の自家造血幹細胞移植の前治療
ユーイング肉腫ファミリー腫瘍の自家造血幹細胞移植の前治療
同種造血幹細胞移植の前治療

簡易説明

・マブリン
腫瘍細胞の核酸やタンパク質に働いて、増殖をおさえる作用があります。主に、白血病や真性多血症を治療するのに使用されます。

・ブスルフェクス
腫瘍の増殖や骨髄の働きを抑制し、移植した造血幹細胞が骨髄中で正常に働くのを助ける作用があります。主に造血幹細胞移植の前に使用されます。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約10,000円~
薬代1%あたりの目安:1%約109.1円
薬代1バイアルあたりの目安:60mg約28967円
※病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。
指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。性症は指定難病であり、自己負担分の治療費の一部または全部が国または自治体により賄われることがあります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始年月 : 2009年3月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。(海外のみ)

関連製品(先発薬)

マブリン散1%【製薬メーカー:大原薬品工業】
ブスルフェクス点滴静注用60mg【製薬メーカー:大塚製薬】

関連製品(ジェネリック)

MYLERAN tablet, film coated 2mg (NDA)【製薬メーカー:Aspen Global Inc./Woodward Pharma Services LLC】
BUSULFEX injection 6mg/mL (NDA)【製薬メーカー:Otsuka America Pharmaceutical, Inc.】
Busulfan injection 6mg/mL (ANDA)【製薬メーカー:Accord Healthcare, Inc/Amneal Pharmaceuticals LLC/Apotex Corp./CELLTRION USA, INC.】
Busulfan injection, solution 6 mg/mL (ANDA)【製薬メーカー:Armas Pharmaceuticals Inc./Meitheal Pharmaceuticals Inc.】
BUSULFAN injection, solution 6 mg/mL (ANDA)【製薬メーカー:Hospira, Inc.】
Busulfan injection 6 mg/mL (ANDA)【製薬メーカー:Mylan Institutional LLC/Pharmascience Inc.】
Busulfan injection, solution, concentrate 6 mg/mL (ANDA)【製薬メーカー:Sagent Pharmaceuticals】

効果・作用

アルキル化剤に分類される抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)です。細胞増殖に必要なDNAに作用し、DNA複製阻害作用やDNA破壊作用があります。マブリンは慢性骨髄性白血病の治療を目的とする経口剤で、ブスルフェクス点滴静注用は造血幹細胞移植の前治療に使用される注射剤です。

≪共通の病理作用≫
がん細胞は、無秩序な増殖を繰り返したり、転移することで細胞を障害し組織を壊します。ブスルファンは、アルキル基と呼ばれる原子のかたまりを持っています。アルキル基はがん細胞などのDNAに結合し、複製を妨害する働きがあります。またアルキル基が結合した状態で、細胞が分裂や増殖を続けると、DNAの破壊がおこり細胞が死滅します。この作用により抗腫瘍効果を発揮します。ブスルファンは、ナイトロジェンマスタード類やニトロソウレア類などに分かれます。

・マブリン
細胞内の核酸や核蛋白の働きを妨害し、がん細胞を死滅させます。主に「慢性骨髄性白血病」の治療に使用されます。骨髄の造血機能全般を抑え、真性多血症に対する適応もあります。細胞の遺伝情報を持つ「DNA」をアルキル化し、DNAの働きを妨害します。がん細胞の増殖を抑制することから「アルキル化薬」という部類に入ります。

▼特徴
スルホン酸エステル系です。強力な抗がん薬ですが、重い副作用が多いです。一時的に白血球数を減少させ病状を弱めますが、病気そのものを治すことは難しいです。同成分の注射薬は、造血幹細胞移植に先立ち、骨髄の白血病細胞を根絶するための前処置に使用されます。

▼他のアルキル化剤
エンドキサン/ダカルバジン/テモダール

・ブスルフェクス
細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害し、骨髄の細胞やがん細胞の増殖を抑制します。

▼作用機序
細胞内に取り込まれた後にDNA鎖間、またはDNA鎖内架橋形成などを介して細胞増殖を抑え、骨髄抑制作用や抗腫瘍作用を示します。

▼同種造血幹細胞移植の前治療とは
抗がん剤や全身放射線照射、ときに免疫抑制剤を組み合わせた移植の前に行う治療のことです。

使用方法

・マブリン
≪慢性骨髄性白血病の場合≫
投与法1:初期1日4~6mgを脾臓の縮小をみながら経口投与してください。白血球数が15000/mm3前後に減少すれば1日2mgまたは、それ以下に減量してください。
※維持療法としては、週1回または、2週に1回1日2mgを経口投与してください。
投与法2:最初から1日2mgまたは、それ以下を経口投与してください。白血球数や脾臓の縮小をみながら白血球数が15000/mm3前後になるまで投与してください。
維持療法としては、週1回または、2週に1回1日2mgを経口投与してください。
※いずれの方法でも、年齢、症状により適宜増減します。
≪真性多血症の場合≫
1日2~4mgから経口投与してください。血液所見をみながら1日6mgまで漸増してください。
※緩解後は減量維持します。
※年齢、血液所見、症状等により適宜増減します。

・ブスルフェクス
〈ユーイング肉腫ファミリー腫瘍及び神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療、同種造血幹細胞移植の前治療〉
他の抗悪性腫瘍薬との併用する場合、A法かB法、小児にはC法かD法を使用してください。
※患者の状態により適宜減量します。
〈悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療〉他の抗悪性腫瘍薬との併用において、成人にはA法かB法を使用してください。
※患者の状態により適宜減量します。

(成人)
A法:1回0.8mg/kgを2時間かけて点滴静注してください。
※6時間毎に1日4回、4日間投与してください。
B法:1回3.2mg/kgを3時間かけて点滴静注してください。
本剤は1日1回、4日間投与してください。

(小児)
C法:以下の体重別の投与量を2時間かけて点滴静注してください。
※6時間毎に1日4回、4日間投与してください。
①体重9kg未満:本剤投与量1.0mg/kg
②体重9kg以上16kg未満:本剤投与量1.2mg/kg
③体重16kg以上23kg以下:本剤投与量1.1mg/kg
④体重23kg超34kg以下:本剤投与量0.95mg/kg
⑤体重34kg超:本剤投与量0.8mg/kg

D法:以下体重別の投与量を3時間かけて点滴静注してください。
※1日1回、4日間投与してください。
①体重9kg未満:本剤投与量4.0mg/kg
②体重9kg以上16kg未満:本剤投与量4.8mg/kg
③体重16kg以上23kg以下:本剤投与量4.4mg/kg
④体重23kg超34kg以下:本剤投与量3.8mg/kg
⑤体重34kg超:本剤投与量3.2mg/kg

(用法用量に関連する注意)
〈効能共通〉
肥満患者<BMIが25以上>では投与量が過多にならないように、標準体重から換算した投与量を考慮してください。
〈ユーイング肉腫ファミリー腫瘍及び神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療、同種造血幹細胞移植の前治療〉
シクロホスファミド、メルファランもしくは、フルダラビンとの併用以外での有効性及び安全性は確立されてません。

副作用

主な副作用
・マブリン
黄疸、腎障害、食欲不振、悪心、嘔吐、潰瘍性口内炎、舌炎、下痢、過敏症、発疹、蕁麻疹

・ブスルフェクス
ALT上昇、ビリルビン上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、肝腫大、発熱、発熱性好中球減少症、移植片対宿主病、咽喉頭疼痛、鼻出血

重大な副作用
・マブリン
骨髄抑制、汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血、間質性肺炎、肺線維症、発熱、咳嗽、呼吸困難、呼吸器症状、白内障

・ブスルフェクス
静脈閉塞性肝疾患、感染症、痙攣、口内炎、舌炎、嘔吐、悪心、食欲不振、下痢、軟便、肺胞出血、喀血、急性呼吸窮迫症候群、間質性肺炎、呼吸不全、出血、重度骨髄抑制、致命的、ショック、アナフィラキシー、心筋症

その他の副作用
・マブリン
皮膚色素沈着、脱毛、黒皮症、消化障害、疲労、脱力、体重減少、陰萎、睾丸萎縮、無精子症、無月経、卵巣線維症、無汗症、女性型乳房

・ブスルフェクス
紅斑、精巣萎縮,
腹痛、消化不良、肛門周囲異常、胃腸出血、腹水、頭痛、情動不安、血清クレアチニン上昇、乏尿、脱毛、発疹、皮下出血、血清マグネシウム低下、血清カリウム低下、血糖上昇、倦怠感、血清カルシウム低下、脾腫、有熱性骨髄無形成、めまい、血清リン低下、味覚異常、浮腫、脱力、体重増加、LDH上昇、肝機能異常、黄疸、肝臓痛、門脈圧亢進症、門脈狭窄、前立腺炎、呼吸音減弱、FDP上昇、血尿、プロトロンビン時間延長、APTT延長、アンチトロンビン3低下、血栓性微小血管症、凝血異常、血中フィブリノゲン上昇、血中フィブリノゲン低下、白血球増多、免疫グロブリン低下、生着症候群、骨髄移植拒絶反応、疼痛、咽頭紅斑、咳嗽、呼吸困難、ラ音、鼻閉、胸水、鼻漏、咽喉乾燥、上気道炎、副鼻腔不快感、出血性胃炎、鼻乾燥、血清リン上昇、頻呼吸、副鼻腔うっ血、無気肺、嗄声、嚥下性肺炎、頻脈、血圧上昇、血圧低下、起立性低血圧、心拡大、徐脈、腹部膨満、メレナ、吐血、しゃっくり、舌苔、血清アルブミン低下、腹部不快感、便秘、痔核、食道炎、直腸炎、腸炎、嚥下障害、口腔内痛、唾液過多、口腔粘膜出血、胃炎、鼓腸、直腸出血、無月経、マロリー・ワイス症候群、胃酸過多、激越、口内乾燥、歯肉出血、食道痛、食道不快感、蛋白漏出性胃腸症、腸雑音異常、裂肛、咽喉頭不快感、膵炎、錯乱状態、しびれ感、悪夢、肝性脳症、失見当識、口内水疱、脳出血、譫妄、耳鳴、出血性膀胱炎、膀胱炎、排尿困難、BUN上昇、冷感、蛋白尿、BUN低下、胃前庭部毛細血管拡張症、多尿、尿意切迫、尿閉、膀胱痛、皮膚色素沈着、皮膚そう痒症、皮膚落屑、皮膚障害、皮脂欠乏症、皮膚乾燥、血清総蛋白低下、体液貯留、血清カリウム上昇、耳痛、トリグリセリド上昇、血清クロル上昇、血清クロル低下、血清ナトリウム上昇、脱水、電解質失調、尿酸上昇、関節痛、筋痛、腎機能障害、背部痛、筋痙攣、頸部痛、顎痛、顔面痛、不眠症、四肢痛、骨痛、殿部痛、振戦、霧視、角膜炎、眼そう痒、眼球乾燥、眼充血、眼瞼炎、強膜浮腫、結膜出血、血清ナトリウム低下、羞明、体重減少、ほてり、潮紅、悪寒、CRP上昇、不正子宮出血、灼熱感、膣出血、圧迫感、胸痛、胸部不快感、粘膜過形成、白血球Al-P上昇、早発閉経、結膜炎、卵巣機能不全、口内異常感、卵巣障害、性腺機能低下、乏精子症、無精子症

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ブスルファンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方マブリン/ブスルフェクスは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼マブリン/ブスルフェクスの有効成分
ブスルファン
▼代表薬の添加物
マブリン/ブスルフェクス

■他に使用できない方
・マブリン
重篤な過敏症
妊婦/授乳者

・ブスルフェクス
過敏症
重症感染症

使用に注意が必要な方
・マブリン
高齢者
新生児/乳児/幼児/小児
肝障害
感染症
骨髄抑制
腎障害
水痘
肺障害

・ブスルフェクス
高齢者
新生児/乳児/幼児/小児
肝機能障害
感染症
心機能障害
腎機能障害
肺障害
肥満患者<BMIが25以上>

上記にあてはまる方は、ブスルファンを使用する事が出来ない可能性があります。
ブスルファンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・マブリン/ブスルフェクス
イトラコナゾール/メトロニダゾール/デフェラシロクス/デフェラシロクス

上記を使用している方は、ブスルファンを使用する事が出来ない可能性があります。
ブスルファンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
服用中に気を付けることはありますか?(マブリン)

臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査)が頻繁に行われるので必ず検査はしてください。
マブリン散1%【大原薬品工業】

生活する上での注意点は?(ブスルフェクス)

妊娠する可能性のある女性や、パートナーが妊娠する可能性のある男性は避妊を必ずしてください。
ブスルフェクス点滴静注用60mg【くすりの適正使用協議会】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。