ドキソルビシン塩酸塩

成分名

ドキソルビシン塩酸塩

適応症状

■ドキソルビシン塩酸塩通常療法
・次の疾患における自覚的症状および他覚的症状の緩解。悪性リンパ腫、肺がん、消化器がん(胃がん、胆のうがん、胆管がん、膵臓がん、肝がん、結腸がん、直腸がんなど)、乳がん、膀胱腫瘍、骨肉腫
・次の悪性腫瘍に対するその他の抗悪性腫瘍剤との併用療法。子宮体がん(手術後化学療法、転移・再発時化学療法)、乳がん(手術可能なケースにおける手術前、あるいは手術後化学療法)、悪性骨・軟部腫瘍、悪性骨腫瘍、多発性骨髄腫、小児悪性固形腫瘍(横紋筋肉腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、網膜芽腫、肝芽腫、神経芽腫、腎芽腫など)

■M-VAC療法
尿路上皮がん

簡易説明

ドキソルビシン塩酸塩は悪性リンパ腫などのがん種における自覚的症状および他覚的症状の緩解に用いられます。ドキソルビシン塩酸塩はがん細胞においてDNAと複合体を形成します。それによりDNA ポリメラーゼ反応、RNAポリメラーゼ反応が阻害され、結果としてDNAとRNAの生合成がブロックさがん細胞の無限増殖が阻害されると考えられています。

処方可能な診療科目

腫瘍内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:10mg約1,326円/50mg約5,592円
薬代後発薬1瓶の目安:10mg約693円/50mg約3,035円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1975年3月(アドリアシン注用10)、2010年11月(アドリアシン注用50)

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

アドリアシン注用10/50【製薬メーカー:サンドファーマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ドキソルビシン塩酸塩は悪性リンパ腫などのがん種における自覚的症状および他覚的症状の緩解に用いられます。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
がん細胞の増殖を阻害する薬には、化学療法薬、分子標的薬、内分泌療法薬など複数ありそれぞれ特徴が異なっています。ドキソルビシン塩酸塩はがん細胞においてDNAと複合体を形成することによって、DNA ポリメラーゼ反応、RNAポリメラーゼ反応を阻害し、DNAとRNAの生合成をブロックすることによって効果を発揮します。

使用方法

<ドキソルビシン塩酸塩通常療法>
■肺がん、消化器がん、乳がん、骨肉腫のケース
①ドキソルビシン塩酸塩として10mg(0.2mg/体重kg)/日(力価)を溶解し、1日1回4〜6日間連日静脈内ワンショット投与、その後7〜10日間は休薬します。この流れを1クールとして2〜3クール繰り返します。
②ドキソルビシン塩酸塩として20mg(0.4mg/体重kg)/日(力価)を溶解し、1日1回2〜3日間静脈内にワンショット投与、その後7〜10日間は休薬します。この流れを1クールとして2〜3クール繰り返します。
③ドキソルビシン塩酸塩として20〜30mg(0.4〜0.6mg/体重kg)/日(力価)を溶解し、1日1回、3日間連日静脈内にワンショット投与、その後18日間は休薬します。この流れを1クールとして2〜3クール繰り返します。
・総投与量はドキソルビシン塩酸塩として500mg(力価)/体表面積m2以下としてください。

■悪性リンパ腫のケース
・上記①~③と同様に行います。

■乳がんのケース
・ドキソルビシン塩酸塩として60mg(力価)/体表面積m2/日を溶解し、1日1回静脈内投与、その後13日間または20日間休薬します。この流れを1クールとし、4クール繰り返します。
・なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。
・ドキソルビシン塩酸塩の総投与量は500mg(力価)/体表面積m2以下としてください。

■子宮体がんのケース
・ドキソルビシン塩酸塩として60mg(力価)/体表面積m2/日を溶解し、1日1回静脈内投与、その後休薬し3週毎で繰り返す。
・なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。
・ドキソルビシン塩酸塩の総投与量は500mg(力価)/体表面積m2以下としてください。

■悪性骨・軟部腫瘍のケース
・ドキソルビシン塩酸塩として20〜30mg(力価)/体表面積m2/日を溶解し、1日1回3日間連続で静脈内投与、その後休薬し3〜4週毎で繰り返します。
・なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。
・ドキソルビシン塩酸塩の総投与量は500mg(力価)/体表面積m2以下としてください。

■悪性骨腫瘍のケース
・ドキソルビシン塩酸塩として20mg(力価)/体表面積m2/日を溶解し、1日1回3日間連続で静脈内投与または点滴静注し、その後3週間休薬します。この流れを1クールとし、投与を繰り返します。
・なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。
・ドキソルビシン塩酸塩の総投与量は500mg(力価)/体表面積m2以下としてください。

■多発性骨髄腫のケース
・ドキソルビシン塩酸塩として9mg(力価)/体表面積m2/日を溶解し、必要に応じて輸液に希釈し、24時間持続静注します。この流れを4日間連続で行います。その後休薬し、3〜4週毎で繰り返す方法を1クールとします。
・なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。
・ドキソルビシン塩酸塩の総投与量は500mg(力価)/体表面積m2以下としてください。

■小児悪性固形腫瘍のケース
・ドキソルビシン塩酸塩の投与量および投与方法は、以下のとおりとしてください。
①20〜40mg(力価)/体表面積m2/日を24時間持続点滴
・1コース20〜80mg(力価)/体表面積m2を24〜96時間かけて投与します。なお繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与します。1日あたりの最大投与量は40mg(力価)/体表面積m2としてください。
②1日1回20〜40mg(力価)/体表面積m2を静注または点滴静注
・1コース20〜80mg(力価)/体表面積m2を投与します。繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与します。1日あたりの最大投与量は40mg(力価)/体表面積m2としてください。投与する際にはよく溶解し、必要に応じて輸液によって希釈してください。
・なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。
・ドキソルビシン塩酸塩の総投与量は500mg(力価)/体表面積m2以下としてください。

■膀胱腫瘍のケース
・ドキソルビシン塩酸塩として30〜60mg(力価)/日を、20〜40mLの日局生理食塩液に1〜2mg(力価)/mLになるように溶解し、1日1回連日または週2〜3回膀胱腔内に注入します。
・なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜増量、減量することができます。

<M-VAC療法>
■尿路上皮がんのケース
・成人(15歳以上):ドキソルビシン塩酸塩を溶解し、1回30mg(力価)/体表面積m2を静脈内に注射します。
・なお、年齢や症状に応じて、医師の判断のもと適宜減量することができます。

副作用

重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・ショック
・出血、骨髄機能抑制
・心筋障害、心不全
・間質性肺炎
・萎縮膀胱

その他の副作用
次に挙げるような副作用が引き起こされる可能性があります。
・過敏症:発疹、じんましん
・呼吸器系:血胸、気胸
・心臓系:頻脈、心電図の異常、不整脈、胸の痛み
・腎臓系:タンパク尿
・肝臓系:肝障害
・皮膚系:脱毛、色素沈着
・消化器系:悪心、食欲不振、嘔吐、下痢、口内炎、軟便
・精神神経系:だるさ、頭痛
・泌尿器系:頻尿、膀胱炎、排尿時の痛み、血尿、残尿感
・その他:鼻血、発熱

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・ドキソルビシン塩酸塩を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、アドリアシン注用はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼アドリアシン注用の有効成分
ドキソルビシン塩酸塩
▼代表薬の添加物
パラオキシ安息香酸メチル、乳糖水和物、pH調整剤

・心機能異常またはその経験のある方
※心筋障害が引き起こされる可能性があります。

使用に注意が必要な方
・腎機能障害を患っている方
・肝機能障害を患っている方
・感染症を併発している方
・骨髄機能が抑制されている方
・水痘を患っている方
・生殖能を持っている方
・授乳している方
※授乳は避けることが推奨されています。
※ドキソルビシン塩酸塩は乳汁中へ移行することが確認されています。
・妊娠している方
※妊娠している方または妊娠している可能性のある方は使用しないことが推奨されています。
※動物実験(ラット):消化器系、泌尿器系、心臓血管系に催奇形作用が確認されています。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。
・小児など
※副作用発現に注意してください。
※ドキソルビシン塩酸塩の治療終了後も心機能検査を行ってください。

上記にあてはまる方は、ドキソルビシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ドキソルビシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・パクリタキセル
・投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射
・心毒性をもっている抗悪性腫瘍剤(アントラサイクリン系薬剤など)
・その他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射

上記を使用している方は、ドキソルビシン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ドキソルビシン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ドキソルビシン塩酸塩に関する
よくある質問
ドキソルビシン塩酸塩の溶解について注意点はありますか?

ドキソルビシン塩酸塩は溶かす際のpHによって安定性が低下します。その他薬剤との混和は避け、日局生理食塩液または日局注射用水に溶かしてください。アドリアシン注用 【アドリアシン注用 添付文書】

ドキソルビシン塩酸塩を日局生理食塩液に溶解する際の注意点はありますか?

日局生理食塩液で溶かす際は、ドキソルビシン塩酸塩として10mg(力価)あたり1mL以上ですみやかに行ってください。少なすぎる量の日局生理食塩液で溶解をはじめると最終的に溶けにくくなることが確認されています。アドリアシン注用 【アドリアシン注用 添付文書】

参考元一覧

アドリアシン注用 【アドリアシン注用 添付文書】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。