ヒドロキシカルバミド

成分名

ヒドロキシカルバミド

適応症状

慢性骨髄性白血病/本態性血小板血症/真性多血症

簡易説明

ヒドロキシカルバミドは、がん細胞が増殖する過程においてがん細胞の代謝を阻害する、抗腫瘍効果を示す成分です。

赤血球、白血球、血小板の血液細胞の元になる造血幹細胞に、何らかの要因で傷がつくと遺伝子変化が起こります。そして遺伝子変化が起きた異常な状態のまま増殖した細胞ががん細胞です。がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し、過剰に産生されます。

がん細胞が増殖するには、遺伝子情報の刻まれたDNAを複製することが必須です。
ヒドロキシカルバミドにはDNAの合成を阻止する作用があるので、その摂取によってがん細胞の増殖を抑えることが出来るのです。

処方可能な診療科目

血液内科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約5,000円~6,000円
薬代1カプセルあたりの目安:500mg 212.2円
薬代後発薬1カプセルの目安:500mg 94.8円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

日本 1992年8月(販売)
国際誕生 1966年3月承認

国内のジェネリック認可

ジェネリックなし

関連製品(先発薬)

ハイドレアカプセル500mg(製薬会社:ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社)

関連製品(ジェネリック)

ヒドロキシ尿素 (ハイドレア ジェネリック)(製薬会社:Cipla(インド))

効果・作用

ヒドロキシカルバミドは、「骨髄増殖性腫瘍」に分類される疾患において、がん細胞のDNA合成を妨げることで同細胞が増殖するのを阻止する、代謝拮抗や抗腫瘍の作用を示す成分です。

骨髄増殖性腫瘍について、まず血液細胞(赤血球、白血球、血小板)は、一部を除いて骨髄において「造血幹細胞」という細胞から作り出されます。

血液細胞には寿命があり、通常は産生と消失がバランスよく行われているのですが、何かしらの原因で造血幹細胞の遺伝子に傷がつくと遺伝子変化が起こり、血液細胞が過剰に産生される状態になります。これが骨髄増殖性腫瘍を罹患した状態です。

同じ骨髄増殖性腫瘍でも、増加した血液細胞の種類によって、例えば白血球が増加した場合は慢性骨髄性白血病、血小板が増加した場合は本態性血小板血症、全種類が増加した場合は真性多血症、とそれぞれ疾患名が異なります。

こうして傷がついたまま増殖した異常な細胞ががん細胞で、放置しておくと無秩序な増殖を繰り返し、正常な細胞の組織を壊したり別の場所に転移したりして身体を蝕んでいきます。

冒頭にもあるように、ヒドロキシカルバミドには細胞のDNA合成を妨げるはたらきがあります。
正常な細胞はもとより、がん細胞も遺伝子情報の刻まれたDNAが合成できないと増殖ができないため、同成分の摂取によりがん細胞の増殖を阻害する効果が得られるのです。

使用方法

通常、成人はヒドロキシカルバミドとして1日500mg~2000mg(1~4カプセル)を1~3回に分けて服用します。
寛解後の維持には、ヒドロキシカルバミドとして1日500mg~1000mg(1~2カプセル)を1~2回に分けて服用します。
血液所見、症状、体重、年齢などによって、初回量、維持量を適宜増減する必要がありますので、医師から指示された用量用法に従って使用してください。

副作用

主な副作用
発疹/嘔気/嘔吐/Al-P上昇/ビリルビン上昇/クレアチニン上昇/出血/下痢/腹痛/口内炎/食欲不振

重大な副作用
血小板減少/骨髄機能抑制/白血球減少/貧血/ヘモグロビン減少/赤血球減少/汎血球減少/好中球減少/ヘマトクリット値減少/間質性肺炎/発熱/咳嗽/呼吸困難/肺浸潤影/皮膚潰瘍

その他の副作用
胃炎/AST上昇/ALT上昇/BUN上昇/尿酸上昇/過敏症/皮膚色素沈着/脱毛/紅斑/爪変色/皮膚そう痒/頭痛/しびれ/倦怠感/浮腫/関節痛/筋肉痛/皮膚エリテマトーデス/無精子症/巨赤芽球症/便秘/胃痛/消化管潰瘍/黄疸/排尿困難/蕁麻疹/皮膚萎縮/爪萎縮/鱗屑/紫色丘疹/皮膚乾燥/発汗減少/眩暈/舌のしびれ感/眠気/幻覚/見当識障害/痙攣/不快感/悪寒

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

はじめに
ヒドロキシカルバミドを主成分とする薬剤の使用にあたっては、「使用出来ない方」「使用に注意が必要な方」の条件に該当するか否かに関わらず、以下注意が必要となります。
緊急時に対応が可能な医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療への十分な知識・経験を有する医師のもと、薬剤の持つ有効性及び危険性についての説明を受け納得した上で服用を開始してください。

【注意事項】
骨髄機能抑制等の重篤な副作用、また感染症や出血傾向の発現や憎悪が起こることがあります。これらは服用期間が長くなるほど強く現れる傾向があります。
他にも当該薬剤の長期維持療法で、皮膚癌や二次性白血病が発現したとの報告が挙がっています。
薬剤使用中は血液検査、腎機能検査、肝機能検査などの臨床検査を頻回に行い、状態に変化がないかどうか十分に確認してください。

使用が出来ない方
■ヒドロキシカルバミドに対し、過敏症の既往歴のある方

■妊婦又は妊娠している可能性のある方
妊娠中に当該薬剤を服用し、奇形児が生まれたとの報告があります。
またラット、ウサギ等を用いた動物実験において、催奇形作用及び胚・胎児の死亡が報告されています。

使用に注意が必要な方
■骨髄機能抑制のある方
骨髄機能抑制を憎悪させるおそれがあります。

■感染症を合併している方
骨髄機能抑制により感染症が悪化するおそれがあります。

■水痘を患っている方
致命的な全身障害が発現することがあります。

■腎機能障害のある方
腎からの排泄が遅れ、副作用が強く現れることがあります。

■肝機能障害のある方
代謝機能が低下しているので、副作用が強く現れることがあります。

■妊娠する可能性のある方
マウス、ラットを用いた動物実験(小核試験)において、遺伝毒性が報告されています。
そのため当該薬剤の服用期間中、及び服薬終了後一定期間は適切な避妊、また性腺に対する影響を考慮をする必要があります。

■授乳婦
本成分がヒト母乳中に移行することがあります。当該薬剤の服用期間は授乳を避けてください。

■小児等
小児等を対象とした臨床実験は実施されていないため、安全性が確立されていません。

■高齢者
一般的に高齢者は生理機能が低下しています。服用による体調の変化に十分注意しながら、医師の判断に応じて減薬するなどの措置が必要となります。

上記にあてはまる方は、ヒドロキシカルバミドを使用する事が出来ない可能性があります。
ヒドロキシカルバミドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■抗悪性腫瘍剤 放射線照射
副作用が相互に増強されるおそれがあります。それにより骨髄抑制等を増強することがありますので、やむを得ず併用する場合には減量するなど用量に注意してください。

■抗レトロウイルス剤(特にジダノシンとサニルブジンの併用)
ヒドロキシカルバミドを主成分とする薬剤と抗レトロウイルス剤、特にサニルブジンとジダノシンが併用されたHIV感染患者で、死に至る重篤な膵炎、肝障害及び高度の末梢神経障害が発現したとの報告があります。

上記を使用している方は、ヒドロキシカルバミドを使用する事が出来ない可能性があります。
ヒドロキシカルバミドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ヒドロキシカルバミドの有用性はどのくらいですか?

本成分の適応疾患の一つである慢性骨髄性白血病の臨床成績を例に挙げると、奏効率が91.7%(222/242)、そのうち完全寛解が54.1%(131/242)と高い有用性が示されています。

代謝拮抗作用のある成分は他にもありますか?もしあれば、ヒドロキシカルバミドとの違いは何ですか?

代謝拮抗作用のある成分は、急性白血病治療に使われるエノシタビン、消化器系のがん治療に使われるテガフール・ウラシルなど20種類近く存在します。
それぞれ有効な疾患の種類や強さが違うので、個人に合った成分を含む医薬品を服用する必要があります。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。